「日本人学校 レベル」で検索すると、候補に「レベル高い」と並んで、マレーシア・ホーチミン・デュッセルドルフ・サンパウロ・バンコク・インドネシア・タイ・シンガポール・上海・台湾と、国名や都市名がずらりと出てきます。つまり多くの人が「うちの赴任先の日本人学校は、勉強の面で大丈夫なのか」を、1校ずつ調べているということです。先に結論を書きます。日本人学校の学力を測った公的なデータは、1件も存在しません。国の調査の対象になっていないからです。そして今回、日本人学校11校の公式サイトを実際に確認したところ、「偏差値」や学力の順位に相当する記述は、11校すべてで見つかりませんでした。この記事では、代わりに公表されている情報だけで、学校ごとの違いをどこまで見分けられるのかを整理します。
結論|「日本人学校の学力ランキング」は、国も学校も出していない
まず、なぜ数字が出てこないのかをはっきりさせておきます。理由は単純で、日本人学校が国の学力調査の対象に入っていないからです。
令和8年度の全国学力・学習状況調査に関する実施要領(令和7年12月5日・文部科学省)は、調査の対象をこう定めています。
国・公・私立学校の以下の学年の原則として全児童生徒を対象とする。(略)ア 小学校調査 小学校第6学年、義務教育学校前期課程第6学年、特別支援学校小学部第6学年/イ 中学校調査 中学校第3学年、義務教育学校後期課程第3学年、中等教育学校前期課程第3学年、特別支援学校中学部第3学年
この実施要領の全文を検索すると、「在外教育施設」「日本人学校」「海外」は、いずれも0件です。参加する主体も「都道府県教育委員会、市区町村教育委員会、学校法人、国立大学法人、公立大学法人等」と列挙されていて、日本人学校を運営する現地の日本人会や学校運営委員会は入っていません。
学校の基礎データを集める学校基本調査も同じです。調査の概要には「調査対象の範囲は幼稚園、幼保連携型認定こども園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学(短期大学を含む)、高等専門学校、専修学校及び各種学校である」とあり、在外教育施設は含まれていません。
では文部科学統計要覧はどうか。第14章「海外児童・生徒教育」に載っている統計表は「海外在留児童・生徒数・在外教育施設数」と「帰国児童・生徒数」の2つだけで、学力に関する表はありません。しかもこの統計要覧は令和6年版で作成が終了しています(文部科学省のページに「※令和7年以降、統計要覧は作成しておりません」と明記)。
国の方針文書である「在外教育施設未来戦略2030」の本文を検索しても、「学力調査」「全国学力」「学習到達度」「PISA」はすべて0件でした。令和5年の「在外教育施設における教育の振興に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」も同様です。つまり国は、日本人学校の学力を測っていませんし、測る計画も文書に書いていません。

11校の公式サイトを見た結果|「偏差値」はどこにも書かれていない
国が出していないなら、学校が出しているかもしれません。そう考えて、サジェストに登場する国と都市に対応する日本人学校11校の公式サイトを、2026年8月2日に確認しました。結果は次のとおりです。
| 学校 | 在籍数(基準日) | 学級数 | 学力に関する公表 |
|---|---|---|---|
| 泰日協会学校 バンコク日本人学校 | 1,962名 (2026年4月現在) | 89学級 小71/中18 | 記述なし |
| 台北日本人学校 | 728名 (令和8年4月15日) | 26学級 小19/中6/特支1 | 記述なし |
| ジャカルタ日本人学校 | 677名 (2026年4月20日) | 非公表 | 「校内研究」の記述のみ |
| 上海日本人学校 浦東校 | 614名 (令和8年4月) | 26学級 小9/中17 | 記述なし |
| 上海日本人学校 虹橋校 | 本文「986名」と 表の合計「868」が併存 (令和8年4月時点) | 35学級 (特支を含む) | 標準学力検査(NRT)の実施を明記。ただし結果は非公表 |
| クアラルンプール 日本人学校 | 544名 (令和8年4月13日) | 非公表 (表から算出は可能) | 記述なし |
| デュッセルドルフ 日本人学校 | 「約430名」 基準日の記載なし | 非公表 | 記述なし(進学先の学校名は4年分を公表) |
| 泰日協会学校 シラチャ校 | 399名 (2026年4月現在) | 20学級 小16/中4 | 記述なし |
| シンガポール 日本人学校 | 非公表 | 非公表 | 記述なし |
| ホーチミン 日本人学校 | 非公表 | 非公表 | 「中学部学力テスト進路指導年間計画」の掲載あり(内容は非公開) |
| サンパウロ日本人学校 | 非公表 | 非公表 | 記述なし |
この表から言えることは3つあります。
1つめ。学力を測っていると公式に書いている学校は、11校のうち1校だけでした。上海日本人学校虹橋校の学校経営の基本方針に「標準学力検査(NRT)の実施と結果の活用」とあります。ただしその結果は一切公表されていません。つまり「測っているが、外には出していない」という状態です。ホーチミン日本人学校は進路のページに「中学部学力テスト進路指導年間計画」というPDFへのリンクがあり、中学部で何らかの学力テストをしていることは読み取れますが、テストの名称も回数も公開されていません。
2つめ。「偏差値」という語は、11校のうち10校で1件も出てきませんでした。唯一ヒットしたシンガポール日本人学校の1件も、中学部のブログで校長が始業式に『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』という書籍の題名を引用したものであって、学校の学力水準を示すものではありません。
3つめ。在籍数すら公表していない学校が3校ありました。シンガポール日本人学校・ホーチミン日本人学校・サンパウロ日本人学校は、公式サイトを横断して見ても児童生徒数の記載が見つかりません。逆に台北日本人学校は「文部科学省からの派遣教員35名、及び、現採、講師26名によりなる計61名の教員が授業を担当し、他に事務等の職員7名で合計68名」と教員構成まで明記しています。この「どこまで出すか」の差そのものが、実は保護者が最初に受け取る情報です。

数字ではっきり違うのは「学力」ではなく「規模」
学力の数字はなくても、規模の数字はあります。そしてこれが、想像よりずっと大きく開いています。

最大のバンコク日本人学校は1,962名・89学級。同じ泰日協会学校が運営するシラチャ校は399名・20学級で、運営法人が同じでも規模は約4.9倍違います。学年単位で見ると差はもっと具体的です。上海日本人学校浦東校の中学1年は156名・6学級ですが、クアラルンプール日本人学校の中学3年は28名・1学級。3年間クラス替えが起きない学年と、6クラスから毎年組み替えられる学年とでは、子どもの学校生活はかなり違うものになります。
1学級の人数の上限は制度で決まっています。「在外教育施設の認定等に関する規程」第10条が小学校設置基準・中学校設置基準の第4条を準用し、それらは「一学級の児童数は、法令に特別の定めがある場合を除き、四十人以下とする」と定めています(高等部は同規程の附則で「当分の間、45人を標準とする」)。国内の公立学校は義務標準法で小学校35人、中学校も令和8年4月1日施行の改正で35人への引き下げが始まっているので、上限だけを比べると日本人学校のほうが1つゆるいことになります。
ただし上限と実際は別物です。1学級あたりの実際の人数を公式に書いている学校は、11校中1校だけでした。上海日本人学校虹橋校の「少人数(1学級30人前後)で学級を編制し、一人一人にきめ細やかな指導を行う」という記述です。ほかの学校の1学級人数は、在籍数を学級数で割れば計算はできますが、実際の編制と一致する保証はありません。「少人数だから丁寧に見てもらえる」と期待する場合は、志望校に直接聞くしかないのが実情です。
なお、上海日本人学校虹橋校については、公式サイトの同じページ内で本文の「児童数は986名」と、その下の表の合計「868」が食い違っています。どちらが最新なのかは公式サイトからは判断できません。公表されている数字ですら、こうしたばらつきがあるという前提で見ておくのが安全です。
実は「小さな日本人学校」のほうが多い
ここまで挙げてきたのは、名前がよく検索される大きな学校ばかりです。しかし全体で見ると、実情はまったく逆です。文部科学省が「在外教育施設未来戦略2030」の参考資料集で公表している規模別の学校数(令和2年4月15日時点・当時95校)を見てください。
| 全校の児童生徒数 | 学校数 | 1学年あたりの目安 |
|---|---|---|
| 500人以上 | 9校(すべてアジア) | 1学年55人以上 |
| 100人以上500人未満 | 28校 | 1学年11〜55人 |
| 30人以上100人未満 | 26校 | 1学年3〜11人 |
| 30人未満 | 32校 | 1学年平均3.3人 |
全校で30人に満たない学校が32校、全体の約3分の1です。100人未満まで広げると58校で、当時の95校のうち約6割にあたります。9学年で100人未満ということは、1学年あたり平均11人以下。学年に1学級すら置けない規模ということです。
その場合どうなるかというと、複式学級になります。制度上そうできることが明記されていて、認定規程第10条が準用する小学校設置基準第5条には「小学校の学級は、同学年の児童で編制するものとする。ただし、特別の事情があるときは、数学年の児童を一学級に編制することができる」とあります。文部科学省の派遣教師募集のよくある質問にも、派遣教師の業務として「必要に応じて小学部及び中学部を担当するほか、複式学級や免許外指導を担うこともあります」と書かれています。
つまり「日本人学校」という同じ名前でも、1,962名89学級の学校と、全校で数十人の学校とでは、まったく違う環境だということです。「日本人学校のレベル」を一般論で語れない最大の理由がここにあります。
「レベル」の正体は、学校ごとの設計の違い
教育課程については、制度が明確に定めています。「在外教育施設の認定等に関する規程」第9条です。
第9条 申請施設の教育課程については、学校教育法及び学校教育法施行規則並びに小学校学習指導要領、中学校学習指導要領又は高等学校学習指導要領の定めるところによらなければならない。ただし、地域社会、当該申請施設又は当該申請施設に在学する児童生徒の実態等から特に必要があり、かつ、小学校等と同等の教育水準が確保できると認められる場合には、その一部について特別の教育課程によることができる。
つまり「原則は日本と同じ、ただし一部は各校の裁量」です。この「ただし」の部分に、学校ごとの個性が出ます。実際、公表されている授業回数を並べると差は明らかです。
- シンガポール日本人学校:英語は「週3回」の授業。中学部には英語中心のグローバルクラスを設置。「日本と同程度の約200日の授業日数を確保」とも明記
- 泰日協会学校バンコク校:中学全学年で「週3時間の通常英語授業に加え、週2時間の『グローバル・イングリッシュ』」。タイ語はタイ教育省より義務付けで小学1年から週1時間
- 台北日本人学校:英語は小1〜中3で週1回(小学3・4年生は週2回)。中国語も週1回。いずれも「1つの学級を3コースに分け少人数で実施」
- クアラルンプール日本人学校:英語コミュニケーションは週2回で「授業は全て英語」。水泳は「マレーシアで水泳を専門に指導しているコーチが各クラスに2名付き、英語による水泳指導をほぼ年間通して」
- 上海日本人学校虹橋校:全学年で英語活動と中国語会話を週1時間ずつ。「全クラス全ての英語活動、外国語活動、外国語の授業に英語専科とALTを配置」
英語だけを見ても、週1時間の学校から、通常授業に週2時間を上乗せする学校まであります。詳しくは日本人学校の英語で学校ごとの時間数を整理しています。ICTも学校差が大きく、台北日本人学校は「全校児童生徒に1人1台のiPadやChromebookなどのICT端末を貸与」、上海虹橋校は「個人所有のiPadを全教科ほぼ全ての授業にて使用しています。筆記用具やノートと同様の学習用具の位置づけ」と、負担のしかたまで違います。
授業時数はどうでしょうか。制度上は、認定規程第9条が学校教育法施行規則によることを求めており、その第51条・第73条が別表第一・第二の授業時数を「標準とする」と定めています。ただし年間の授業時数を数値で公表している日本人学校は、18校の公式サイトを調べて、ジャカルタ日本人学校の1校だけでした。同校は学年別に年間885・945・997・1032・1015・1015時間(小学部)、中学部は各学年1,041時間と公開しており、いずれも国の標準(850・910・980・1015・1015・1015/中学1,015)を上回っています。学則で年間授業日数を明記しているのもジャカルタ(200日を基準)とホーチミン(200日を標準)の2校で、どちらも休業日に現地の祝日を含めています。裏を返せば、ほとんどの学校では授業時数が足りているかどうかを外から確かめられません。
進路の情報公開にも大きな差があります。卒業生の進路を実数で公表しているのは、11校のうちジャカルタ日本人学校だけでした。2025年度の中学部卒業生45名について、日本の私立高等学校29/国公立高等学校5/高等教育課程に相当する在外教育施設6/インドネシア国内のインター校5と内訳まで出しています。デュッセルドルフ日本人学校は人数こそ出していませんが、直近4年分の進学先を学校名で列挙しています。残りの9校は、進路指導の体制についての説明はあっても、実績の公表はありません。
中学部や高等部があるかどうかも、進路の選択肢を直接左右します。日本人学校の中学部と日本人学校と高校で、どこに何があるのかを整理しています。学校そのものの一覧は海外の日本人学校の一覧、費用は日本人学校の学費、入学の条件は日本人学校の入学条件にまとめました。
教員は「日本の現職教員」だが、全員ではない
「日本人学校のレベル」を気にするとき、多くの方が実際に見ているのは誰が教えているのかだと思います。ここは制度がはっきりしています。
文部科学省が派遣する教師の応募資格は、「現に義務教育諸学校、高等学校、中等教育学校の後期課程又は特別支援学校の高等部の教諭として勤務し、小学校又は中学校の教員普通免許状を有し、勤務成績が優秀であり」「経験を3年以上有する者」。選考は「書類審査及び面接による選考試験」で、派遣期間は原則2年です。令和7年の派遣教師数は合計1,319人(現職890人/シニア387人/プレ42人)でした。
ただし、これは各校の教職員の一部です。認定規程第11条第6項には、特別の事情がある場合には一部について「外国において授与された教育職員に関する免許状を有する者その他教科に関して専門的な知識、技能等を有する者を充てることができる」という例外も置かれています。実際、派遣教員の人数を公表しているのは台北日本人学校の1校だけで、その内訳は派遣35名に対して現地採用・講師26名。教える人の約4割は現地採用という構成です。ほかの10校は内訳を公表していないため、外からは分かりません。
補習授業校との違いはここが大きく、補習校については国の文書自体が「学校採用教師・講師の多くは他の仕事と兼職しており、日本の教員免許状を有していない者も多い」と書いています。両者の位置づけの違いは日本人学校と補習校の違いで整理しています。
帰国してから効いてくるのは、学力より国語の接続
ここまでで、「レベル」を学力の数字で比べる方法はないことがはっきりしました。では何を心配すればいいのか。実際に相談として多いのは、帰国したあとに国語でつまずくという場面です。
まず、進路の統計から。文部科学省が公表している日本人学校中学部卒業者の進路データは、平成18年3月卒業者が最新です。969名のうち日本国内の上級学校へ進んだのが636名(65.6%)、海外の上級学校へ進んだのが333名(34.4%)でした。約20年前の数字であり、現在の傾向として読むことはできませんが、それでも「半分以上は日本に戻る」という構図は把握できます。
そして戻ったあとです。令和7年度の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(2026年5月25日公表)によると、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は84,759人。そのうち日本国籍の子どもは11,446人で、その22.2%にあたる2,537人が「海外から帰国した児童生徒」でした。さらに、日本国籍の子を言語別に見ると最も多いのが「日本語」で27.7%です。
この調査でいう「日本語指導が必要な児童生徒」の定義は、こう書かれています。
日本語で日常会話が十分にできない児童生徒、もしくは、日常会話ができても学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている児童生徒を指す。
「話せているから大丈夫」が通用しないことを、国の調査が定義の段階で書いているわけです。文部科学省は別のページで、この対象の筆頭に「海外から帰国した児童生徒」を挙げています。

量の面も見ておきます。小学校の国語の標準授業時数は、学校教育法施行規則の別表第一で306・315・245・245・175・175=6年間で1,461時間。学年別漢字配当表の漢字は1,026字で、学年ごとの内訳は80・160・200・202・193・191字です(『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 国語編』p.18)。日本人学校に通っていればこの時間はおおむね確保されますが、通えない地域や、途中から通えなくなった場合には、この差が積み上がります。
なお帰国後の学年については、文部科学省の就学事務Q&Aが「原則として、その年齢に応じ、小学校、中学校又は義務教育学校の相当学年に編入学することになります」としています。日本語能力の事情で一時的に下の学年で学ぶ措置も可能ですが、その場合も「指導要録上は学齢相当学年に編入したものとしておく必要があります」と書かれています。

通えない・合わない・続かないときの選択肢
日本人学校は、行ける場所にあって、通えて、合っていれば、とても良い選択肢です。日本の学習指導要領に沿った教育を日本語で受けられて、日本の教科書が使えて、卒業すれば日本の高校の受験資格も得られます。ここは正直に書いておきます。
問題は、その条件がそろわない家庭のほうが多いことです。日本人学校は文部科学省の2026年版資料で90校(2026年4月1日時点・在籍者数は15,680人/2025年4月15日時点)。赴任先にあるとは限りませんし、あってもスクールバスの範囲外だったり、途中から学校が合わなくなったりすることもあります。全日制の日本人学校で高等部があるのは上海の1校だけです(日本の学校法人が海外に置く私立在外教育施設には、高等部のある学校が5校あります)。
ともだちじゃぱんは、そういうときのためのオンラインの日本語スクールです。学校教育法上のいわゆる一条校ではありませんし、日本人学校の代わりに卒業資格が出るものでもありません。できるのは、学年相当の国語を、日本の現役水準の教員と、同じ学年の日本の子どもたちと一緒に続けることです。
- 担任が付く8人までの少人数クラス。日本の教員経験のある先生が、学年相当の国語を進めます
- 月100コマ・3つの時間帯。時差に合わせて調整でき、通い放題です
- 月額定額。入学金は1期生無料、兄弟割引あり
- 送迎ゼロ。土曜日をまるごと使う必要がありません
- 日本の同世代と友達として続く関係ができます
日本人学校に通いながら国語だけ補強する使い方も、日本人学校がない地域で主軸にする使い方もできます。帰国子女の国語や帰国子女の漢字、日本語補習校、補習校の代わりになるオンラインの選択肢もあわせてご覧ください。お子さんの現状が気になる方は国語の力のセルフチェック、全体像は駐在中の子どもの国語ガイドにまとめています。
よくある質問
日本人学校のレベルは高いのですか?
学力の高さを比べられる公的なデータは存在しません。日本人学校は全国学力・学習状況調査の対象外(令和8年度実施要領に「在外教育施設」「日本人学校」「海外」はいずれも0件)で、学校基本調査の対象学校種にも入っておらず、文部科学統計要覧にも学力の数値はありません。今回11校の公式サイトを確認しましたが、学力を測っていると明記していたのは上海日本人学校虹橋校の標準学力検査(NRT)だけで、その結果も公表されていません。「レベルが高い/低い」と書かれた情報を見かけたら、それが何を根拠にしているのかを確認することをおすすめします。
日本人学校に偏差値はありますか?
ありません。今回確認した11校の公式サイトで「偏差値」がヒットしたのは1件だけで、その1件もシンガポール日本人学校の中学部ブログで校長が『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』という書籍の題名を引用したものでした。学校の学力水準を示すものではありません。ただし「入学に試験がない」という意味ではありません。クアラルンプール日本人学校は「編入に際し試験はありません」と明記していますが、逆に学力試験を課す学校も実在します。ニューヨークの日本人学校は「受付面接では、インタビューと算数(数学)、国語(漢字、作文等)のテストを行います」、ハノイ日本人学校の編入学審査は「年齢相当の基本的な学習問題〈国語・算数(数学)〉及び面接」、上海日本人学校浦東校の編入学は「児童生徒の面接及び国語と算数・数学のテスト実施」、シンガポール日本人学校は現地校・インター校からの編入について「編入試験を受けていただく必要があります」としています。全校共通のルールはないというのが正確な答えです。
マレーシアやタイ、上海の日本人学校のレベルを知りたいのですが
学力の比較はできませんが、規模と教育の設計は公表されています。クアラルンプール日本人学校は544名(令和8年4月13日)で英語コミュニケーションが週2回、泰日協会学校バンコク校は1,962名・89学級で中学部は通常英語週3時間に加えてグローバル・イングリッシュ週2時間、上海日本人学校虹橋校は「1学級30人前後」と明記し英語活動と中国語会話を週1時間ずつ実施しています。知りたい国の学校について、まず在籍数・学級数・英語の時間数・進路の公表状況の4点を公式サイトで確認するのが、いちばん確かな比べ方です。
日本人学校の授業は日本の学校とまったく同じですか?
原則は同じですが、一部は各校の裁量です。「在外教育施設の認定等に関する規程」第9条は、教育課程を学校教育法・同施行規則・学習指導要領によらなければならないと定めたうえで、ただし書きで「その一部について特別の教育課程によることができる」としています。実際、現地語の授業(バンコクはタイ教育省の義務付けで小1から週1時間、上海と台北は中国語)や、英語による水泳指導(クアラルンプール)など、日本の学校にはない時間が置かれています。
少人数できめ細かく見てもらえますか?
学校によります。制度上の1学級の上限は40人以下(認定規程第10条が小学校・中学校設置基準第4条を準用)で、国内の公立学校の35人より1つゆるい設定です。実際の1学級人数を公式に書いているのは11校中1校(上海虹橋校の「1学級30人前後」)だけでした。ただし規模の小さい学校では結果的に少人数になります。クアラルンプール日本人学校の中学3年は28名で1学級です。志望校が決まっているなら、学級数と在籍数の両方を確認するか、直接問い合わせるのが確実です。
日本人学校に通っていれば、帰国後の授業についていけますか?
日本人学校は日本の教育課程に沿っているため、通えている間の接続は比較的スムーズです。ただし令和7年度の調査では、公立学校で日本語指導が必要とされた日本国籍の児童生徒11,446人のうち2,537人(22.2%)が海外からの帰国者でした。国の定義も「日常会話ができても学年相当の学習言語が不足し、学習活動への参加に支障が生じている」子を含みます。心配が大きいのは、日本人学校に通えなかった期間がある場合や、途中から通えなくなった場合です。帰国後の学年は原則として年齢相当の学年になるため、その学年の国語に追いつけているかが実際の分かれ目になります。
この記事で取り上げた都市のある国は、その国にある日本人学校の校数と学費を国単位でも整理しています。タイの日本人学校の学費/マレーシアの日本人学校の学費/ベトナムの日本人学校の学費/インドネシアの日本人学校の学費/中国の日本人学校の学費/台湾の日本人学校の学費/ドイツの日本人学校の学費。
学力の話とあわせて確認されるのが、実際に使う教材です。日本人学校の教科書|出版社7社の一覧と受け取り方。国内と同じ教科書が届く仕組みと、その受け取り方を整理しています。

