「帰国子女 国語」で検索する保護者の方が知りたいことは、たいてい次のどれかです。国語ができない・苦手をどうするか、国語力をどう伸ばすか、勉強法は何が正しいのか、塾や家庭教師・オンラインは必要か、そして中学受験で国語はどう効いてくるのか。ただ、この5つはぜんぶ同じ問題ではありません。同じ「国語が苦手」でも、漢字が読めないのか、語彙が足りないのか、書けないのか、文章が読み取れないのかで、打つ手はまったく変わります。この記事では、帰国子女・海外で育つ子の国語のつまずきを4つの層に分けて見分ける方法から整理します。
「話せるのに、読めない・書けない」が起こる理由【2026】
まず、多くのご家庭が驚く公的データを紹介します。文部科学省の「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」(令和7年度・2026年5月公表)によれば、日本語指導が必要な児童生徒は公立学校に84,759人。そのうち11,446人は日本国籍の子どもたちです。さらに驚くのは内訳で、この日本国籍の子の「使用言語」で最も多いのが『日本語』(27.7%)だという点です。

つまり、家庭で日本語を話していても、学校の授業についていくための日本語は自然には育たないということです。実は文部科学省は、「日本語指導が必要な児童生徒」を「日常会話ができても、学年相当の学習言語能力が不足し、学習活動への取組に支障が生じている児童生徒」と定義し、その対象の筆頭に「海外から帰国した児童生徒」を挙げています。「うちの子は話せるから大丈夫」は、国が公式に否定しているのです。
では、どれくらいの時間がかかるのか。文部科学省が作成した『外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントDLA』は、子どもの言語能力を3つに分け、会話の流暢さは1〜2年で伸びる一方、教科学習言語能力が学年相当に達するには5年以上かかるとしています。同資料はこうも書いています――「1、2年も経てば、流暢な日本語を話し日常生活では問題のない子どもが、教科学習に困難を感じるのは、求められる日本語能力が異なることによります」。会話と国語は、伸びる速度がまったく違うのです。
「国語ができない」を4つの層に分けて見分ける
お子さんの国語のつまずきがどこにあるのかを、まず特定してください。次の4層のどこで止まっているかで、必要な手当てが変わります。

| 検索してしまう言葉 | 本当に起きていること | まず打つ手 |
|---|---|---|
| 「漢字が読めない・書けない」 | 第1層。学年配当の漢字に空白がある | 学年をさかのぼって、読みから埋める(書きは後) |
| 「国語力がない」 | 第2層。語彙が生活語彙で止まっている | 教科書・本の言葉を説明させるやり取りを増やす |
| 「作文が書けない」 | 第3層。書く経験の絶対量が足りない | 短くていいので毎週書いて、読んでもらう |
| 「読解ができない・国語苦手」 | 第4層。論理と心情を追う練習が不足 | 人と話しながら読む授業で読み方を教わる |
海外で育つ子は、この4層が上から順に薄くなるのが特徴です。会話はできるので周囲も本人も気づきにくく、気づいたときには教科書が読めないところまで来ています。
見落とされているのは「時間の絶対量」
国語のつまずきを語るとき、多くの記事は「教材」や「やる気」の話をします。しかし帰国子女・海外在住の子の場合、原因はもっと単純です。国語に触れている時間が、日本の子と桁違いに少ないのです。
学校教育法施行規則が定める小学校国語の標準授業時数は、1年306時間/2年315時間/3年245時間/4年245時間/5年175時間/6年175時間、6年間の合計で1,461時間。一方、補習授業校は週に1回、国語に充てられるのはおおむね2〜3時間ですから、年間では100時間前後にとどまります。補習授業校に6年間きちんと通っても、日本の小学校の1〜2年生1年分にようやく届く程度という計算になります。補習授業校の価値を否定しているのではありません。そもそも設計が「補う」ためのものだということです。
さらに、学年別漢字配当表の漢字を数えると小学校6年間で1,026字。授業時数は学年が上がるほど減る(306→175時間)のに、漢字は増えていく――この非対称が、4年生前後で急に苦しくなる正体です(詳しくは帰国子女の漢字|読めない・書けないの正体)。
帰国子女の国語は「帰国後に取り返す」より「海外にいる今つなぐ」
帰国生入試を意識するご家庭ほど、「帰国してから塾で国語をやればいい」と考えがちです。しかし帰国枠の入試は学校ごとに条件も科目もまったく異なります。実際の募集要項を並べると、その差がよく分かります。
| 学校(帰国生入試) | 海外在留年数/帰国後 | 国語(日本語)の扱い |
|---|---|---|
| 広尾学園中(インターナショナルAG) | 原則1年以上/3年以内 | Japanese 50点+英語100点・数学は英語出題 |
| 広尾学園中(本科・医進サイエンス等) | 同上 | 国語100点+算数100点(日本語出題) |
| 渋谷教育学園渋谷中 | 2年以上/2年以内 | 英語型・作文型のどちらでも国語100点が必須 |
| 都立国際高(日本人学校出身者) | 2年以上(段階制)/1〜3年以内 | 国語(作文を含む)・数学・英語の3教科 |
| 都立国際高(現地校出身者) | 同上 | 作文と面接のみ。日本語か英語かを選択できる |
この表が示すのは、「帰国枠なら国語はいらない」も「国語がなければ詰む」も、どちらも正しくないということです。同じ広尾学園の中にも国語100点の方式と50点の方式があり、都立国際高は現地校出身者なら日本語を使わずに受験できます。一方で渋渋は英語型でも国語100点。志望校の募集要項を公式サイトで確認することが唯一の正解で、噂やまとめ記事で判断してはいけません。そして在留年数と帰国後の年数の条件が学校ごとにバラバラなので、「いつ帰るか」が受験できる学校を左右することも覚えておいてください。

そして、たとえ受験で国語を使わなくても、帰国後に待っているのは日本語の教科書で学ぶ毎日です。理科も社会も算数の文章題も、すべて日本語で読みます。だから国語は、入試のための科目である前に、帰国後の学校生活そのものを支える科目なのです。取り返すコストは、空白が長いほど跳ね上がります。
塾・家庭教師・オンライン――何を選べばいいか
「帰国子女 国語 塾」「国語 家庭教師」「国語 オンライン」と検索したときに出てくる選択肢は、それぞれ役割が違います。受験直前の記述対策なら、志望校を熟知した塾や1対1の家庭教師が強い。これは本当です。一方で、第1層〜第2層の空白(漢字・語彙)や、第3層の「書く量」は、短期集中では埋まりません。毎週の積み重ねが要ります。

私たちともだちじゃぱんが担っているのは、この土台のほうです。授業を担当するのは約2%の選考を通過した現役水準の日本の先生。8人制の少人数クラスで、学年相当の国語を読む・書く・話すの往復で積み上げます。同じクラスに日本の同世代の友達がいるので、「日本語を使う相手が家族しかいない」状態から抜け出せます。海外にいる今から続けられて、送迎はゼロ、月24,800円(税込・通い放題)。補習授業校が近くにない・土曜が合わないご家庭の選択肢としても使えます(補習校の代わりになるオンラインの選び方/世界の日本人学校94校の一覧)。
4つの層のどこでつまずいているか、まず確かめたい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で今の目安が分かります。海外での国語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。
よくある質問(帰国子女の国語)
帰国子女の国語の勉強法で、いちばん効果があるのは何ですか?
お子さんがどの層でつまずいているかを特定してから始めることです。漢字が読めない状態(第1層)で読解問題集を解いても伸びません。順番としては、①学年をさかのぼって漢字の「読み」を埋める、②教科書の言葉を自分の言葉で説明させる、③短い文章を毎週書いて誰かに読んでもらう、④その上で読解の型を教わる、が現実的です。
「国語ができない」と言われますが、家では普通に日本語を話しています。
会話の日本語と、学年相当の読み書きの日本語は別の力です。文部科学省の令和7年度調査でも、日本語指導が必要な日本国籍の子ども11,446人のうち、使用言語で最も多いのは「日本語」(27.7%)でした。家庭で日本語を話していても、教科の日本語は自然には育ちません。珍しいことでも、家庭の努力不足でもありません。
国語力を伸ばすのに、読書だけでは足りませんか?
読書は非常に有効ですが、読書だけでは第3層(書く力)が育ちにくいのが実情です。書く力は「書いて、読んでもらって、直す」往復でしか伸びません。また海外では、そもそも日本語の本にアクセスしにくいご家庭も多いため、読む素材を用意してくれる場があると続けやすくなります。
帰国子女の中学受験で、国語はどのくらい重要ですか?
学校によります。同じ広尾学園中でも、インターナショナルAGはJapanese 50点、本科などは国語100点。渋谷教育学園渋谷中は英語型でも国語100点が必須で、都立国際高は現地校出身者なら作文を英語で書くことも選べます。必ず志望校の募集要項を公式サイトで確認してください。ただし、入試で国語を使わない場合でも入学後の授業はすべて日本語です。帰国後の学校生活を支える意味での重要度は、どの学校を選んでも変わりません。
帰国したら、子どもは何年生に編入することになりますか?
文部科学省は、帰国した学齢児童生徒は原則としてその年齢に応じた相当学年に編入学するとしています。そのうえで、日本語能力等の事情により直ちに相当学年の教育を受けることが適切でないと認められるときは、学校生活に適応するまで一時的に下級の学年に編入する措置も可能と示しています(適応後に相当学年へ戻すことも想定されています)。手続きは住所地の教育委員会・指定校で行い、短期間の帰国でも編入手続きが必要とする自治体が一般的です。「学年を下げるかどうか」は、国語をどこまでつないできたかで実質的に決まります。
国語はオンラインでも身につきますか? 家庭教師のほうがいいですか?
目的で選び分けてください。志望校別の記述対策など短期の目標なら1対1の家庭教師が向いています。一方、学年相当の国語を継続的に積み上げるのであれば、少人数クラスのほうが「話す・書く・読む」の往復が生まれ、続きやすい傾向があります。海外からのオンライン学習の選び方は海外からのオンライン塾の選び方に、費用感は海外駐在の日本語、結局いくら?にまとめています。
国語は、帰国してから取り返す科目ではありません。
ともだちじゃぱんは2026年12月に開校(パイロット)予定です。開校情報をメールでゲットいただくと、体験会のご案内をいちばんにお届けします。
学年別の具体的な進め方は、帰国子女の国語の勉強法でも学年ごとに整理しています。

