インターナショナルスクールのメリット・デメリットを調べていると、「英語が身につく」「学費が高い」の二言で終わる説明によく出会います。どちらも本当ですが、それだけでは決められません。実際に家庭の判断を分けるのは、制度上の扱いと日本語のほうだからです。
先に結論を書きます。
- メリットは、英語で教科を学ぶ環境、IBなどの国際カリキュラム、海外大学を含む進路の広さ、多様な友達の4つです。
- デメリットも4つです。1つ目は、一条校でないインターでは日本国籍の子の就学義務を果たしたことにならないこと(文部科学省)。2つ目は、2026-27年度の小学部の授業料が主要5校で年265万〜350万円かかること。3つ目は、保護者の英語力が入学条件になっている学校があること。4つ目は、国語の時間数が法令で決まっていないことです。
当サイトはインターナショナルスクールを運営していません。だから良い点も悪い点も、そのまま書けます。この記事では8項目のひとつひとつを、文科省・自治体・各校の公式情報で確かめて整理しました(2026年9月14日時点)。
メリット・デメリット8項目の一覧

| 項目 | 要点 | |
|---|---|---|
| メリット1 | 英語で教科を学ぶ | 英語が「科目」ではなく「授業の言語」になる |
| メリット2 | 国際カリキュラム | 国内のIB認定校等は273(2026年6月30日時点・プログラム別の延べ数) |
| メリット3 | 進路の広さ | 評価団体の認定校の12年課程を終えると、日本の大学の入学資格も得られる |
| メリット4 | 多様な友達 | 国籍・言語の違う同級生と毎日過ごす |
| デメリット1 | 制度上の扱い | 一条校でなければ就学義務を果たしたことにならず、公立中学校にも原則入れない |
| デメリット2 | 学費 | 小学部の授業料が年265万〜350万円、ほかに入学時の一時金 |
| デメリット3 | 保護者の英語 | 親の少なくとも1人に英語力を求める学校がある |
| デメリット4 | 日本語(国語) | 国語を何時間教えるかは学校まかせ |
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メリット1:英語が「授業の言語」になる
インターの一番の良さは、英語を「習う」のではなく、英語で算数や理科を学ぶことです。週に数時間の英会話とは、英語に触れる時間の桁が違います。
ただし、言葉は二段階で身につくと考えられています。文部科学省の研修資料(京都教育大学・浜田麻里氏)は、日常会話の力(生活言語)が2年程度、教科を学ぶための力(学習言語)が5〜10年で身につくという目安を紹介しています。これは日本の学校で日本語を学ぶ外国人児童についての資料ですが、「話せる」と「教科が分かる」の間に長い距離があるという点は、インターで英語を学ぶ場合にも当てはまります。入学して1〜2年で英語をペラペラ話すようになっても、それで完成ではありません。
メリット2:IBなど国際カリキュラムで学べる
国際バカロレア(IB)は、探究型の授業と国際的に通用する大学入学資格で知られています。文科省のIB教育推進コンソーシアムによると、国内のIB認定校等は273(2026年6月30日時点)です。
内訳は、初等教育のPYPが認定91・候補36、中等教育前期のMYPが48・10、大学入学前のDPが80・6、CPが1・1です。この8つを足すと273になるので、273は「学校の数」ではなく「プログラムごとの延べ数(候補校を含む)」と読むのが正確です。なお、IB校のなかには一条校もあります。「IB=インター」ではありません。
メリット3:進路の選択肢が広い
海外の大学が現実的な選択肢になります。日本の大学に進みたくなった場合も、道はあります。文科省は、WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBISといった国際的な評価団体の認定を受けた学校で12年の課程を終えた人に、日本の大学の入学資格を認めています。
注意点は、文科省が認定校の一覧を持っていないことです。「各学校が認定を受けているかどうかは団体に問い合わせてください」という案内になっています。入学前に「どの団体の認定を受けているか」を学校に確認しておくのが確実です。
メリット4:多様な友達と毎日過ごす

国籍も母語も違う同級生と一緒に過ごすと、「違って当たり前」という感覚が自然に育ちます。数字で比べられるものではありませんが、インターを選んだ保護者がいちばん大切にしている点のひとつです。
千葉大学の五十嵐洋己氏の論文(『教育学研究』91巻1号、2024年)は、日本人家庭がインターを選ぶ理由が、親の職業・学歴・経済的な状況によって違うことを示しています。「英語のため」だけで選ばれているわけではありません。
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デメリット1:一条校でなければ「日本の学校に通った」ことにならない

ここがいちばん知られていないデメリットです。インターは法律上、一条校(学校教育法第1条の学校)、各種学校、無認可のどれかにあたります。多くは一条校ではありません。
文部科学省は、日本国籍の子を一条校でないインターに通わせても、法律で決められた就学義務を果たしたことにはならない、という見解を示しています。これを受けて、自治体の案内は次のように書いています。
| 出典 | 書かれている内容 |
|---|---|
| 文部科学省 | 一条校でないインターの小学部を終えても、中学校への入学は認められない(中学部の途中から編入する場合も同じ) |
| 横浜市 | 小学校の課程を修了したとは見なさないため、原則として市立中学校には入学できない |
| 世田谷区 | 中学校・高校への入学(編入学)資格は与えられない |
| 新宿区 | インターに通わせることは「就学義務違反」となる、と明記 |
「途中で日本の学校に戻ればいい」と考えている場合は、とくに影響が大きい部分です。戻るときの手続きや受験の資格は、学校と自治体ごとに扱いが違います。一条校のインターがどこにあるかは一条校とは|インターとの違いにまとめています。
デメリット2:小学部の学費は年265万〜350万円、ほかに入学時の一時金

各校が公式サイトに載せている2026-27年度の金額です(円。小学部にあたる学年の授業料)。
| 学校 | 年間授業料(小学部相当) | 入学時の主な一時金 |
|---|---|---|
| アメリカンスクール・イン・ジャパン | K–G5 3,498,000円 | 登録料300,000円+校舎維持費1,525,000円 |
| 横浜インターナショナルスクール | K–G5 3,210,000円 | 登録料1,480,000円 |
| 西町インターナショナルスクール | 3,129,000円 | 登録料300,000円+校舎維持費825,000円 |
| セントメリーズ・インターナショナルスクール | 小学部 2,860,000円 | 登録料400,000円+Development Fund 1,000,000円 |
| 清泉インターナショナル学園 | G1–5 2,650,000円 | 登録料300,000円+施設関連850,000円 |
このほかに、毎年かかる施設費などが別にある学校もあります。検索で出てくる比較サイトには前年度の金額が残っていることが多いので、必ず各校の公式ページで年度を確認してください。初年度にいくらかかるかの考え方はインターナショナルスクールの学費|初年度総額の実際で整理しています。
高校については、2026年4月に就学支援金の制度が変わりました。これまで対象だった「外国人学校を指定する仕組み」は廃止されましたが、在校生と、旧制度なら対象だった新入生には支援が続く扱いになっています。細かい条件はインターナショナルスクールの無償化をご覧ください。
デメリット3:保護者の英語力が入学条件になる学校がある
子どもだけでなく、親の英語を見る学校があります。公式の入学案内から確認できた例です。
- アメリカンスクール・イン・ジャパン:保護者の一方または両方が英語に堪能であること
- 西町インターナショナルスクール:学校とのやり取りはすべて英語。主に子どもを育てる保護者の少なくとも1人に英語力が必要
- 清泉インターナショナル学園:保護者の少なくとも1人が英語でやり取りできることが欠かせない、とFAQに明記
入学後も、先生との面談、学校からのお知らせ、宿題のサポートは英語です。「子どもはすぐ慣れるけれど、親がついていけない」というのは、入学前には気づきにくいつまずきです。
デメリット4:国語を何時間教えるかは学校まかせ
各種学校のインターについて、法令が決めているのは年間の授業時数の合計(680時間以上が基準)だけです(各種学校規程)。国語や日本語を何時間教えるかという決まりはありません。日本語の授業がある学校もありますが、その時間数や中身は学校ごとに違います。
言語教育の研究者ジム・カミンズ(Cummins, 2001)は、家庭の言語を話す人が周りに少ない環境で学校生活を始めた子どもは、数年のうちに家庭の言語で話す力が弱くなることがあると書いています。移民の子どもについての研究なので、日本に住むインター生にそのまま当てはまるわけではありません。それでも、学校が英語、家でも日本語を使う時間が少ないという状態が続くと、日本語は伸びにくくなります。
「話せるのに読めない」「会話はできても学年相当の文章が書けない」がなぜ起きるのかは、インターナショナルスクールで日本語が遅れる・話せない原因で詳しく解説しています。
向いている家庭・慎重に考えたい家庭
| こんな家庭は向いている | こんな家庭は慎重に |
|---|---|
| 海外大学・海外赴任など、英語を前提にした進路を考えている | 小学校の途中で日本の公立中学校に進むつもり |
| 卒業まで在籍する費用の見通しがある | 兄弟全員を通わせる費用が長くは続かないかもしれない |
| 保護者が英語で学校とやり取りできる | 学校との連絡を英語でするのが負担 |
| 家庭で日本語の読み書きを見る時間を取れる | 家では日本語に触れる時間が少ない |
右の列に当てはまる項目があっても、インターをやめるべきという意味ではありません。「入学前に手を打っておく必要がある項目」です。入学後に起きやすいことはインターナショナルスクールで後悔しやすい4つのことにまとめました。
どちらを選んでも残る宿題は「日本語と日本の同世代」

ここまでの8項目のうち、学費と保護者の英語は入学前に分かります。制度上の扱いも、調べれば答えが出ます。最後まで残るのは日本語です。インターで英語の力が伸びるほど、日本語を使う時間は短くなります。そして日本語は、授業の数を増やすだけでは育ちません。日本語で話したい相手がいることが必要です。
帰国したあとの子どもに起きることは帰国子女が日本語できないときの3つのタイプで整理しています。インターを選ぶ場合も、選ばない場合も、同じ準備が役に立ちます。
ともだちじゃぱんという選択肢
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