「インターナショナルスクール 無償化」は、いま調べ方がいちばん難しいテーマのひとつです。理由は2つあります。ひとつは、無償化と呼ばれる制度が段階ごとに別物だから(幼稚園、小中学校、高校でまったく違う制度が動いています)。もうひとつは、2026年(令和8年)4月に高校段階の制度が大きく変わったからです。ネット上の解説の多くは、この改正前の説明のままになっています。
この記事では、文部科学省とこども家庭庁が公表している内容にもとづいて、段階別に「使えるのか・使えないのか」を整理します。あわせて、「インターだから一律に対象外」という説明が正確ではなかったことと、2026年4月に何が変わったのかを書きます。制度は改定されるため、最終的な判断は必ず在籍校・都道府県の私学担当窓口・お住まいの市区町村で確認してください。

先に結論――段階によって答えが3つに分かれる

まとめると、次のようになります。
| 段階 | 制度の名前 | インターナショナルスクールの場合 |
|---|---|---|
| 幼稚園・プリスクール (0〜5歳) |
幼児教育・保育の無償化 | 条件つきで対象になりうる。認可外保育施設として都道府県に届出し国の基準を満たすこと+市区町村で「保育の必要性の認定」を受けることが必要 |
| 小学校・中学校 | (該当する制度なし) | 公的な学費補助の仕組みがない。一条校ではないため、義務教育の無償措置の対象外 |
| 高校 | 高等学校等就学支援金 /高校生等・新修学支援 |
2026年4月に大きく変わった。従来は指定を受けた学校が対象。新制度では支給対象者の見直しにより扱いが変更(在校生は経過措置、新入生は新制度) |
幼稚園・プリスクール段階――条件を満たせば月3.7万円まで
まず幼児教育・保育の無償化です。ここはインターナショナルスクールのプリスクール部門でも対象になることがあります。ただし「インターだから」ではなく、認可外保育施設として要件を満たしているかどうかで決まります。
こども家庭庁の案内によると、認可外保育施設を利用する場合の上限額は3〜5歳で月額3.7万円まで、0〜2歳は住民税非課税世帯が対象で月額4.2万円までです。対象となるのは都道府県に届出をし、国が定める基準を満たす認可外保育施設に限られます。
見落とされやすいのが、手続きと要件のほうです。こども家庭庁は「無償化の対象となるためには、お住いの市区町村へ申請し『保育の必要性の認定』を受ける必要があります。その際、就労等の要件を満たす必要があります」としています。つまり専業主婦(夫)家庭が認可外保育施設を利用する場合は、無償化の対象になりません。ここは幼稚園(一条校の幼稚園)とは扱いが違う部分です。
検討するときの確認事項は、次の3つに絞られます。①その施設が認可外保育施設として都道府県に届出をしているか ②国の定める基準を満たしているか ③自分の家庭が「保育の必要性の認定」を受けられるか。①②は施設に、③は市区町村に確認することになります。
小学校・中学校段階――ここには制度そのものがない
義務教育段階については、はっきりしています。一条校でないインターナショナルスクールに対する公的な学費補助の仕組みは、ありません。
義務教育の「無償」は、授業料の不徴収と教科書の無償給与という形で実現されていますが、これは学校教育法第1条に定める学校を前提にした制度です。一条校でない学校に通う場合、その枠組みの外に出ることになります。
さらに、費用以前の問題として、文部科学省は日本国籍の子を一条校でないインターナショナルスクールに就学させても就学義務を履行したことにはならないとしています。加えて、そのまま中学校から一条校への入学を希望しても認められないとも明記しています。義務教育段階でインターを選ぶことは、費用の話にとどまらず進路の選択肢に関わる判断です。この点は一条校とは何かで条文と原文を引用しながら詳しく整理しました。
高校段階――「インターは一律に対象外」ではなかった
ここがこの記事の本題です。まず、2026年3月までの仕組みから説明します。
高等学校等就学支援金は、高等学校だけでなく専修学校および各種学校のうち「高等学校の課程に類する課程」に学ぶ生徒も対象としてきました。外国人学校については、制度的・客観的に「高等学校の課程に類する」かどうかで判断することとされ、指定のルートが2つ用意されていました。
(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(ドイツ学校、韓国学校等の民族系外国人学校)。(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール)。根拠は、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律施行規則第1条第1項第2号ハです。
そして文部科学省が公表している指定一覧(令和8年3月1日現在)では、(イ)のルートで17校、(ロ)のルートの各種学校で33校が指定されています。指定校にはアメリカンスクール・イン・ジャパン、クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン、横浜インターナショナルスクール、名古屋国際学園、カネディアン・アカデミイなどが含まれます。
つまり「インターナショナルスクールは無償化の対象外」という説明は、正確ではありませんでした。 認証を受けた学校であれば対象になっていた、というのが2026年3月までの実際です。ここを知らずに諦めていた家庭は少なくないはずです。

2026年4月に何が変わったのか
令和8年4月から、高校段階の支援は大きく拡充されました。文部科学省の説明によると、受給資格に係る収入要件(所得制限)が撤廃され、支給限度額も引き上げられています。
| 区分 | 令和8年度以降の支給上限額(月額) |
|---|---|
| 公立・全日制 | 9,900円 |
| 公立・定時制 | 2,700円 |
| 公立・通信制 | 520円 |
| 私立・全日制/定時制 | 最大 38,100円 |
| 私立・通信制 | 最大 28,100円 |
問題は、この拡充と同時に支給対象者の見直しが行われたことです。文部科学省の周知資料によれば、新たな制度においては国籍および在留資格等による支給対象者の見直しが行われ、外国籍の生徒および外国人学校の生徒については法律上の支援の対象外となりました。
ただし、そこで支援が途切れる設計にはなっていません。文部科学省の説明では、次の3つが用意されています。
① 在校生への経過措置。 令和8年3月末時点で就学支援金制度の対象として指定されていた外国人学校に在籍していた生徒については、法令の経過措置により従来と同等の水準での支援が継続されるとされています。
② 新入生への「高校生等・新修学支援」。 令和8年3月末時点で指定されていた外国人学校の新入生については、世帯の収入に応じて新たに実施する「高校生等・新修学支援」による支援の対象となるとされています。新制度では所得制限が撤廃された一方、こちらは世帯収入に応じた支援である点に注意が必要です。
③ 都道府県が支援する場合の国庫補助。 新制度の対象外となる外国籍および外国人学校の生徒に対して、旧制度と同等の水準で都道府県が授業料を支援する場合、国が都道府県に対して所要額の4分の3を補助するとされています。
ここで実務上、非常に重要になるのが③です。③は都道府県が実施主体であるため、お住まいの都道府県によって実際の支援内容が変わりうるということになります。同じ学校に通っていても、住んでいる都道府県で結論が違う可能性がある、ということです。
なお、経過措置の適用期間や具体的な金額の詳細については、今回参照した公開ページからは読み取れませんでした。確認できなかったことは、確認できないとそのまま書きます。 実際の判断は、必ず次の3か所で確認してください。①在籍(予定)校の事務室 ②都道府県の私学担当窓口 ③文部科学省の最新の公表資料。とくに②は、この制度の実施主体になるため必須です。

支援を使っても、埋まらないもの
最後に、制度の話から少し離れます。仮に支援が受けられたとしても、インターナショナルスクールに通う家庭に残る課題があります。実際の相談でいちばん多いのは、費用ではなく日本語です。
インターのカリキュラムは、英語・算数・理科・社会は責任をもって面倒を見ます。誰も見なくなるのは、学年相当の国語だけです。会話は家庭で毎日成立しているので気づきにくいのですが、学年が上がるほど「話せるのに、学年相当の文章が読めない・書けない」という差が開きます。文部科学省が「日本語指導が必要な児童生徒」を日常会話ができても学年相当の学習言語能力が不足している子を含む概念として定義しているとおり、「話せているから大丈夫」は国のほうが公式に否定している見立てです。
そしてこれは、進路を変えたくなったときに効いてきます。日本の高校の帰国生入試を受けたい、日本の大学に進みたい――そのときに必要になるのは英語ではなく学年相当の日本語です。詳しい構造はインターナショナルスクールで日本語が遅れる・話せない?に、実際の費用はインターナショナルスクールの学費にまとめています。
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駐在先の都市ごとに見る
無償化の対象になるのは日本国内の学校です。海外赴任先でインターを選ぶと、学費はそのまま家計の負担になります。アジア主要都市の実額はこちら。
- シンガポールの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- バンコクの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- クアラルンプールの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- ジャカルタの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- ホーチミンの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- ハノイの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- マニラの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 上海の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 香港の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 台北の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- ソウルの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 北京の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 広州の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 深センの日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
- 大連の日本人学校とインターナショナルスクール――学費・授業料の実額と、帰国後の進学まで含めた比較。
無償化の対象外だったとき、次に見る数字。国内の制度で救われない場合でも、赴任先には日本人学校という選択肢があります。国別の学費=アメリカ/ドイツ/韓国/中国/タイ。費用を抑えて日本語を続ける形としては補習授業校もあります(ソウル・上海)。
よくある質問
インターナショナルスクールは高校無償化の対象ですか?
2026年3月までは、指定を受けた学校が対象でした。 外国人学校のうち「高等学校の課程に類する課程」に当たるものが指定される仕組みで、国際的な学校評価団体の認証を受けたインターナショナルスクールもこのルートで対象になっていました。令和8年3月1日現在の一覧では各種学校で33校が指定されています。ただし令和8年4月からの新制度で国籍・在留資格等による支給対象者の見直しが行われ、外国人学校の生徒は法律上の支援の対象外となりました。在校生には経過措置、新入生には「高校生等・新修学支援」が用意されています。必ず在籍校と都道府県の私学担当窓口に確認してください。
2026年4月から、具体的に何が変わりましたか?
大きく2つです。①受給資格に係る収入要件(所得制限)が撤廃され、支給限度額が引き上げられました(公立・全日制は月額9,900円、私立・全日制/定時制は最大月額38,100円)。②国籍および在留資格等による支給対象者の見直しが行われ、外国籍の生徒・外国人学校の生徒が法律上の対象外となりました。ただし在校生への経過措置、新入生への「高校生等・新修学支援」、都道府県が支援する場合の国庫補助(所要額の4分の3)が用意されています。
在校生ですが、支援は止まってしまいますか?
文部科学省は、令和8年3月末時点で就学支援金制度の対象として指定されていた外国人学校の在校生については、法令の経過措置により従来と同等の水準での支援が継続されると説明しています。ただし経過措置の適用期間や具体的な金額については、今回参照した公開ページから読み取れませんでした。必ず在籍校の事務室と都道府県の私学担当窓口で確認してください。
これから入学する場合はどうなりますか?
文部科学省の説明では、令和8年3月末時点で指定されていた外国人学校の新入生は、世帯の収入に応じて新たに実施する「高校生等・新修学支援」による支援の対象となるとされています。新制度の就学支援金は所得制限が撤廃されましたが、こちらは世帯収入に応じた支援である点が違います。また、都道府県が旧制度と同等の水準で支援する場合に国が所要額の4分の3を補助する枠組みもあるため、実際の支援内容は都道府県によって変わりうると考えてください。
プリスクール(幼稚園段階)は幼保無償化の対象になりますか?
条件を満たせば対象になります。認可外保育施設を利用する場合、3〜5歳は月額3.7万円まで、0〜2歳は住民税非課税世帯で月額4.2万円までが対象です。ただし都道府県に届出をして国が定める基準を満たす認可外保育施設であることと、市区町村で「保育の必要性の認定」を受けること(就労等の要件を満たすこと)が必要です。専業主婦(夫)家庭が認可外保育施設を利用する場合は対象になりません。
小学校・中学校のインターに補助はありますか?
公的な学費補助の仕組みはありません。 義務教育の無償(授業料不徴収・教科書無償給与)は学校教育法第1条に定める学校を前提にした制度で、一条校でないインターナショナルスクールはその枠組みの外にあります。加えて、文部科学省は日本国籍の子を一条校でないインターに就学させても就学義務を履行したことにはならないとし、中学校から一条校への入学を希望しても認められないとしています。費用だけでなく進路に関わる判断になるため、一条校とは何かもあわせてお読みください。
自治体独自の補助制度はありますか?
都道府県・市区町村が独自の助成を設けている場合がありますが、内容は自治体によって大きく異なります。とくに2026年4月の改正では、新制度の対象外となる生徒について都道府県が支援する場合に国が所要額の4分の3を補助する枠組みが設けられているため、都道府県の対応が結論を左右します。お住まいの都道府県の私学担当窓口に直接お問い合わせください。この記事の内容は確認の出発点としてお使いください。

