アメリカ赴任が決まって「アメリカの日本人学校の学費」を調べ始めた方が、たいてい最初に驚くことがあります。アメリカに全日制の日本人学校は4校しかありません。文部科学省が認定している日本人学校は世界47ヶ国・1地域に90校ありますが、そのうちアメリカにあるのはニューヨーク・ニュージャージー・シカゴ・グアムの4校だけ。在留邦人が世界で最も多い国なのに、です。そしてその4校で、授業料は年US$6,630〜18,882=2.8倍もの差があります。この記事では各校が公表している2026年度の納付金一覧をそのまま並べ、入学金・教材費・スクールバス代まで含めた「初年度に実際に出ていく額」を計算し、アメリカの私立・インターの学費、そして授業料無料の公立という選択肢と比較します。
アメリカの日本人学校4校の学費一覧【2026年度の公表額】
まず全体像です。アメリカにある全日制の日本人学校はニューヨーク日本人学校(コネチカット州リバーサイド)、ニュージャージー日本人学校(ニュージャージー州オークランド)、シカゴ双葉会日本語学校 全日校(イリノイ州アーリントンハイツ)、グアム国際日本人学校(グアム・マンギラオ)の4校。グアム以外の3校は小1〜中3で、4校とも高等部はありません。グアムのみ幼稚部を併設しています。
| 学校 | 所在地 | 対象 | 授業料(年) | 入学金 | スクールバス(年) |
|---|---|---|---|---|---|
| ニューヨーク日本人学校 | コネチカット州リバーサイド | 小1〜中3 | 小 $16,836/中 $18,882 | $2,000 | $6,240 |
| ニュージャージー日本人学校 | ニュージャージー州オークランド | 小1〜中3 | 小 $13,440/中 $15,093 (施設維持費込) |
$2,000 | $5,679 |
| シカゴ双葉会日本語学校 全日校 | イリノイ州アーリントンハイツ | 小1〜中3 | 小 $11,364/中 $12,159 | $500 | $2,874 |
| グアム国際日本人学校 | グアム・マンギラオ | 幼稚部〜中3 | 小・中 $6,630/幼 $6,815 (第2子以降 $6,460) |
$535 | 要問い合わせ |

小学部の授業料だけで比べると、グアム$6,630 → シカゴ$11,364 → ニュージャージー$13,440 → ニューヨーク$16,836。同じ制度の学校が同じ国にあって、なぜここまで違うのか。理由は日本人学校がそれぞれ現地の日本人会や日本商工会議所などが設置した独立の学校法人であり、学費は各校が自校の運営費から決めているからです。校舎の賃料・人件費・在籍数といった条件がそのまま学費に出ます。とくにニューヨーク近郊は不動産コストと人件費が高く、後述するように在籍数も小さいため、1人あたりの負担が大きくなります。
入学金・教材費・バス代を足した「初年度に出ていく額」
学費表の一番上の数字だけで判断すると、あとで足りなくなります。アメリカの日本人学校はスクールバス代が高額で、東海岸の2校は年$5,679〜6,240=授業料の3〜4割に相当します。通学圏が州をまたいで広く、送迎距離が長いからです。入学金・教材費・登録料まで含めて初年度を計算すると次のようになります。
| 初年度の内訳 | ニューヨーク(小) | ニュージャージー(小) | シカゴ全日校(小) | グアム(小) |
|---|---|---|---|---|
| 授業料 | $16,836 | $13,440 | $11,364 | $6,630 |
| 入学金 | $2,000 | $2,000 | $500 | $535 |
| 教材費・登録料等 | $720 | $789 | — | 登録料 $295 施設維持費 $780 ICT費 $121 |
| スクールバス | $6,240 | $5,679 | $2,874 | 要問い合わせ |
| 初年度合計(バス利用) | 約$25,796 | 約$21,908 | 約$14,738 | 約$8,361 |
| 参考:中学部の初年度合計 | 約$28,157 | 約$24,011 | 約$15,533 | 約$8,466 |
つまりニューヨークの中学部は初年度で約$28,157(約440万円)、グアムの小学部は約$8,361(約130万円)。3.4倍です。日本人学校は「海外の学校の中では安い」と語られがちですが、アメリカに限ってはニューヨーク近郊の日本人学校は現地の私立校の下限と重なる価格帯にあります。世界の他の都市の水準と比べたい方は日本人学校の学費相場を、入学資格や手続きの考え方は日本人学校の入学条件と手続きにまとめています。
ニューヨーク86人、ニュージャージー39人――アメリカの日本人学校は「小さな学校」になった

学費を比べる前に知っておいてほしい数字があります。ニューヨーク日本人学校の在籍は初等部54名・中等部32名の計86名、ニュージャージー日本人学校は初等部19名・中等部20名の計39名(いずれも2025年春の公表値)。ニュージャージーは学校側が「全学年1学級10人以下の少人数構成」と案内しており、募集人数も各学年約15名です。アジアの日本人学校――たとえばバンコクの1,962名やシンガポールの大規模校――とはまったく別の世界です。
これは良い面と難しい面の両方があります。良い面はひとりひとりに手が届く教育で、ESLや英語・美術の授業、現地校との交流、ワシントンD.C.やフィラデルフィアへの宿泊学習など、少人数だからできる中身があります。難しい面は「日本人学校に入れば日本人の同世代がたくさんいる」という前提が、アメリカでは成り立たないことです。1学年6〜10人という規模では、気の合う友達が同学年に見つからない年もあり得ます。中学部で部活を組むことも簡単ではありません。
日本人学校の学費が「その子にどれだけの日本語環境を買っているか」という観点で見ると、アメリカでは金額に対して得られる同世代の密度が、アジア駐在とはかなり違うと言えます。都市ごとの事情はニューヨークの日本人学校とインター比較、シカゴの日本人学校とインター比較にそれぞれ整理しています。
なぜ4校しかないのか――アメリカの主流は「公立+土曜の補習授業校」
「アメリカ 日本人学校 少ない」と検索される理由は、実際に少ないからです。ただしそれは日本語教育が弱いからではなく、アメリカでは別の組み合わせが主流になったからです。
ひとつは授業料無料の公立学校です。ニュージャージーのバーゲン郡、イリノイのネイパービル203/204学区やニュートライア、カリフォルニアのクパチーノやアーバインなど、駐在家庭が集まる地域には全米屈指の評価を受ける公立学区があり、授業料は無料です。年$2万を超える日本人学校と、無料で質の高い公立。多くの家庭が平日は公立を選びます。
もうひとつが土曜の補習授業校です。補習授業校は文部科学省・外務省の支援を受けた在外教育施設で、世界51カ国・1地域に246校(2026年8月時点)。アメリカ各地には数十校が置かれ、ロサンゼルスのあさひ学園やニューヨーク補習授業校のように世界最大級の規模の校もあります。平日は現地校、土曜は日本語――これがアメリカの標準形です。
ここで混同しやすいのが「日本人学校」と「補習授業校」の違いです。とくにシカゴでは同じ「シカゴ双葉会日本語学校」という名前の中に、平日の全日校(小1〜中3)と土曜の補習校(幼〜高等部)が同居しているため、学費を調べていると別物の金額が混ざります。全日校は日本の学習指導要領で全教科を日本語で学ぶ学校、補習校は週1回・国語などを補う場です。両者の違いは日本人学校と補習校の違い、補習校側の仕組みは日本語補習校とはで詳しく扱っています。
アメリカの私立・インターの学費と並べると
では現地の私立やインターナショナルスクールはどうか。地域差が非常に大きいのですが、ニューヨーク・コネチカット近郊の私立デイスクールは年$4万〜6万台、シカゴ近郊の私立・インターは年$2万〜4.5万が目安です。これに登録料・教材費・アフタースクール・遠征費などが上乗せされます。
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安(年) | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本人学校(4校) | 日本語・日本の学習指導要領(全日制) | 小1〜中3(グアムは幼稚部あり) | 授業料 $6,630〜18,882+入学金・バス代 | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験を重視 |
| 公立学校(優良学区) | 英語・州のカリキュラム | K〜12 | 授業料無料(学用品等は実費) | △ 国語は別途対策が必要 | 学区を選んで住める/英語環境を最優先 |
| 私立・インター | 英語・IB/米国式 | 3〜18歳 | 約$20,000〜60,000 | △ 国語は別途対策が必要 | 長期・永住/特定の進学ルートを狙う |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月額定額(通い放題) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どれを選んでも日本語と日本とのつながりを足したい |
インター側の相場をもう少し詳しく知りたい方はインターナショナルスクールの学費をご覧ください。
学費を払ったあとに残る「日本語」――アメリカ特有の宿題

ここが本題です。年$28,000の日本人学校を選んでも、無料の優良公立を選んでも、年$5万の私立を選んでも、どの選択肢の学費にも含まれていないものがあります。それは「その子の日本語を、日本の同学年の水準で保ち続けること」と「帰国後の学校復帰・受験」です。
公立や私立を選んだ家庭では、この宿題は分かりやすい形で現れます。英語はぐんぐん伸びる一方、漢字・読解・作文は家庭任せになります。土曜の補習校に通っても週1回・数時間で、しかも土曜が丸ごと埋まる。小学5年生前後から国語の抽象語彙が一気に増えるため、「家では日本語で話しているから大丈夫」と思っていた家庭ほど、帰国が決まってから慌てます。アメリカは在留期間が長期化しやすく、当初3年の予定が5年10年になるケースも多いので、この差は静かに開き続けます。
では日本人学校なら安心か。こちらにも別の宿題があります。4校とも高等部がありません。中3の段階で「現地の高校へ移る」か「日本に帰国して高校受験をする」かを選ぶ必要があります。日本人学校の中学部卒業者は日本の高校の入学資格を持ちますが、受験の国語・英語は学校の授業だけでは足りないのが実情です。加えて前述のとおり在籍数が小さいため、日本人の同世代と関わる量そのものが確保しにくいという、アジア駐在にはない論点があります。
その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校や現地校を置き換えるものではなく、どれを選んでも足せる「第三の選択肢」としてお使いいただく前提でつくっています。
時差の相性も正直にお伝えします。アメリカと日本は昼夜が逆なので、平日の日本時間夕方クラスはアメリカでは早朝になります。そこでおすすめは日本の土曜・日曜の午前クラス。これが東海岸では金曜・土曜の夜、西海岸では金曜・土曜の夕方にあたります。週末の予定を崩さずに参加できる黄金枠です。グアムは日本より1時間早いだけなので、平日の放課後にそのまま重なります。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍900名超)の日本の子どもたちと、8人の少人数グループで話します。1学年6〜10人の日本人学校でも、土曜だけの補習校でも得にくい「日本のリアルな友達」ができる、他社にない独自価値です。
- レッスン以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。
- 子ども特化だから安心:月額定額で毎日でも参加OK。学年ではなく会話レベルでクラス分けするので、「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1回では量が足りない」も解決します。
よくある質問(アメリカで学校を選ぶ方から)
アメリカの日本人学校で一番学費が安いのはどこですか?
グアム国際日本人学校です。2026年度の授業料は小学部・中学部とも年$6,630(第2子以降$6,460)で、入学金$535・登録料$295〜400・施設維持費$780・ICT費$121を足しても初年度は約$8,400程度。ニューヨーク日本人学校の初年度約$25,800と比べて3分の1です。グアムは幼稚部(K4-K5)も併設しており年$6,815。ただし赴任地は選べないので、実務上は「赴任地にある学校の額を見る」ことになります。
スクールバス代は必ずかかりますか?
利用する場合のみです。ただしアメリカの日本人学校は通学圏が広く、自家用車での送迎が現実的でない家庭が多いため、事実上の必須経費になりがちです。ニューヨーク年$6,240、ニュージャージー年$5,679、シカゴ年$2,874と学校差が大きいので、住む場所を決める前に路線図と金額を確認しておくと予算が安定します。
支払い方法や分割はできますか?
学校によって異なります。ニュージャージー日本人学校は授業料等を3期分割納入、入学金はキャッシャーズチェック(銀行発行小切手)のみという指定があります。グアム国際日本人学校は年間払い・学期払い(3学期)・月払い(8月を除く11回)から選べます。渡米直後は現地の銀行口座開設に時間がかかることがあるので、入学金の支払手段は早めに学校へ確認してください。
公立に通わせて土曜の補習校だけで日本語は足りますか?
正直に言えば、学年が上がるほど足りなくなります。補習校は週1回で、扱えるのは国語(学校によって算数)を中心とした限られた範囲です。会話は家庭で保てても、漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、平日は公立で英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけを補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめました。
日本人学校の学費は会社が負担してくれますか?
企業の海外赴任規程によります。学費補助の対象範囲(授業料のみか、入学金・バス代も含むか)、上限額、対象年齢は会社ごとに大きく違い、「インターの学費は上限まで、日本人学校は実費」といった非対称な規定もあります。上の表の内訳をそのまま人事に照会すると、どこまでが自己負担になるかがはっきりします。
他の国と比べたい方は、世界90校をまとめた日本人学校 一覧、同じく国レベルで学費を並べたタイの日本人学校の学費・マレーシアの日本人学校の学費もあわせてご覧ください。

