「赴任先の日本人学校に入学できるのか」「入学条件はどうなっているのか」「入学金はいくらで、入学式はいつなのか」――「日本人学校 入学」と検索するご家庭が知りたいのは、だいたいこの3つです。結論から言うと、日本人学校の入学条件は「学校ごとに」決まっており、全国共通のルールはありません。しかも「日本人だから入れる」とは限らず、国籍・保護者のビザ・保護者団体への加入・日本語で授業を受けられることという、日本国内の公立小中学校にはない関門があります。この記事では、台北・上海・シンガポール・香港・ジャカルタ・バンコク・メルボルンなど各校が公表している募集要項の原文と、文部科学省の制度説明だけをもとに、入学条件・時期・書類・入学金を整理します。
日本人学校の入学は「4つの関門」で決まる【2026】
日本人学校は、海外に暮らす日本人の子どものための全日制の教育施設です。文部科学省は在外教育施設を「海外に在留する日本人の子供のために、学校教育法に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として海外に設置された教育施設」と定義しており、そのうち日本人学校は世界47ヶ国・1地域に90校(令和8年4月1日時点。児童生徒 約1万6千人は令和6年4月15日現在)です。日本国内の公立小中学校が住所で就学先が決まるのに対し、日本人学校はそれぞれの学校が自分の学則で入学資格を定めている――ここが最初のギャップになります。

実際に各校の入学案内を読み比べると、同じ「日本人学校」でも条件の書き方がまるで違います。主な学校の公表内容を並べます。
| 学校 | 国籍について公表されている条件 | 保護者側の条件 |
|---|---|---|
| 上海日本人学校(虹橋校) | 学則に「本学に入学を希望する者が日本国籍を有していること」と明記 | 保護者が上海市で就労/本人が上海市の外国人居留許可を取得(渡航ビザや臨時宿泊登記は不可と明記)/本人と保護者が同居 |
| ジャカルタ日本人学校 | 子女が日本国籍を有すること/インドネシア国籍でないこと(日本との二重国籍は除外) | 保護者の企業または個人が学校維持会の会員であること |
| 台北日本人学校 | 「原則的には日本国籍を有する子ども、もしくは特別の理由により、学校長が認め、学校運営委員会が就学を承認した子ども」 | 保護者が日本人会会員(夫婦で在住なら原則 夫婦会員)/保護者が子どもと同居 |
| シンガポール日本人学校 | シンガポール国籍を持つ児童は原則入学不可(政府の承認がある場合は例外) | 保護者がシンガポール日本人会の会員/日系企業勤務は企業寄付金、それ以外は個人寄付金の納入 |
| 香港日本人学校 | 「国籍は問いません」と明記 | 香港の居留権または有効ビザ/子の家族居住ビザ(Dependent Visa)が必須(香港の教育条例による) |
| 泰日協会学校(バンコク・シラチャ) | 二重国籍は「国籍に関する編入学要件上の問題はありません」/タイ国籍しか持たない子は受け入れ不可 | 保護者全員がツーリストビザだけの滞在は受付不可 |
| メルボルン日本人学校 | 「日本からお越しの方はもちろん、永住の方も入学が可能」 | ビザのサブクラスにより授業料の区分が変わる(403/457/482/485等は普通授業料、500番台は留学生扱い) |
「日本国籍がないと入学できない」は正しくない
上の表でいちばん重要なのは、国籍の扱いが学校によって正反対だということです。上海やジャカルタは日本国籍を明文の入学資格にしています。一方で香港日本人学校は「国籍は問いません」とはっきり書いており、メルボルン日本人学校は「永住の方も入学が可能」と案内しています。つまり「日本人学校は日本国籍がないと入れない」という一般論は成り立ちません。逆に、日本国籍があってもビザの種類が合わなければ入学できないことがあります(香港は子どものDependent Visaが必須、上海は「上海市の外国人居留許可」であることを名指しで求め、バンコクは保護者全員がツーリストビザの場合は受付不可)。
国際結婚のご家庭や二重国籍のお子さんは、申し込みの前に問い合わせるのが実務上いちばん早い道です。上海虹橋校は、児童本人が日本以外の国籍・二重国籍の場合、あるいは両親のいずれかが日本以外の国籍の場合について「必ずオンライン申し込みの前に…お問合せください」とし、さらに「入学資格=在籍資格となります。入学後ご家庭の状況に変更がある場合も事前のお問合せをお願いいたします」と書いています。入学時だけでなく在籍中もその資格が続いていることが前提だ、という点は見落とされがちです。

意外な本丸は「日本語で授業を受けられるか」
見落とされやすいのが日本語の要件です。日本人学校は日本の学習指導要領にもとづき全教科を日本語で学ぶ場所なので、複数の学校が入学資格そのものに日本語能力を書き込んでいます。上海虹橋校は「本人及び保護者が学校生活に必要な日本語能力を有し、本人に集団生活適応能力があること」を入学資格の一つに挙げ、「申込み後、説明会前に学年に応じた日本語能力を有しているか教育相談等を行うことがあります」としています。メルボルン日本人学校は「授業はEALの授業を除いては全て日本語で行っておりますので、授業を理解できる日本語力が必要となります」。泰日協会学校は国際結婚家庭について「日本語での通常の授業についていける日本語能力」に加えて「保護者も学校からの文書や電話連絡に対応できる日本語能力」を求めています。香港日本人学校の募集も「日本語による教育に支障がない方」という条件付きです。
ここで言われている日本語は、あいさつや日常会話のことではありません。文部科学省は「日本語指導が必要な児童生徒」を「日常会話ができても、学年相当の学習言語能力が不足し、学習活動への参加に支障が生じている」子と定義しています。家では日本語で話せている子でも、教科書の日本語――つまり学年相当の国語――で止まるのはめずらしくありません。現地校やインターに数年通ったあとで日本人学校へ移ろうとすると、この差がそのまま関門になります。日本語そのものの育ち方は帰国子女の国語と帰国子女の漢字で詳しく整理しています。
「日本語で授業を受けられる」かどうか、1分でチェック
「話せているから大丈夫」と「学年相当の国語ができている」は別物です。学年相当・国語力チェック(無料・1分)で、いまの立ち位置をざっくり確かめられます。転入の相談をする前に見ておくと、学校との話が具体的になります。
入学の時期|4月の新入学と、年度途中の編入は別物
日本人学校の学年は、南半球でも原則4月始まりです。上海虹橋校は「本校は学校教育法に基づいて、学齢に合わせた学年で新入学・編入学の受入れをしています」とし、台北日本人学校も新小学1年生を2019年4月2日〜2020年4月1日生まれと、日本の学齢どおりに区切っています。オーストラリアのメルボルン日本人学校も、学校のブログに「4月13日にスタートした58日間の1学期が終わりました」(2026年7月3日)と記録されており、現地の暦ではなく日本の年度で動いていることが分かります。ややこしいのはシドニー日本人国際学校で、「日本人学級の年度は4月から始まり、3月修了」「国際学級の年度は1月から始まり、12月修了」と、同じ学校の中で2つの学年暦が並走しています。

そして受付の時期は「4月の新入学」と「年度途中の編入」でまったく別です。上海虹橋校は2026年度について、4月新入学の申込を前年の2025年11月4日〜11月25日、4月からの新学期編入学を2026年1月8日〜3月6日、入学式・始業式以降の年度途中編入学を2026年2月5日〜2027年1月14日と、3本立てで公表しています。さらに「虹橋校は前期(4-9月) 後期(10-3月)の二学期制となっており、学期末および年度末にあたる9月、2月、3月の編入受入れは行っておりません」と、受け入れない月まで明示しています。香港日本人学校は1学期・2学期・3学期それぞれで募集し(1学期入学の説明会・適性検査は2026年4月17日)、途中入学も随時受付。シンガポール日本人学校は「希望編入学日の1か月前までには仮登録を」としています。
人気都市では席が空いているかどうかが最後の関門になります。ロンドン日本人学校は「受け入れ可能人数上限を超えた学年においては、願書を受領した日(9時〜15時)ごとに抽選を行い、入学可能な順番を決定いたします」と、抽選になることを明記しています。条件を満たしていても、今年その学年に入れるとは限らない――ここは早めに学校へ直接確認するしかありません。
日本を出る前にそろえる書類|「転入」ではなく「編入」
手続きでいちばん多い誤解が、日本人学校への移動は「転校」ではないことです。台北日本人学校の説明が最も分かりやすいので引用します。「日本の国内で学校を転校する場合は転出・転入と言いますが、外国にある学校に入る場合は、日本の学校を退学し、本校のような在外教育施設に入る場合は編入と言います」。同校はさらに「本校は在外教育施設なので、在籍校で『退学』の手続きが必要になります。在籍校の校長が退学を認めた日(最後の日)付けで、指導要録の写しと健康診断表、歯の記録等の文書を受け取ってください。その場合は在学証明書はいりません」と書いています。在学証明書か、指導要録の写しか――どちらを求めるかも学校で違うということです。
| 学校 | 日本の学校から編入するときの主な提出書類 |
|---|---|
| 上海日本人学校(虹橋校) | ①在学証明書 ②指導要録の写し(厳封・親展) ③健康診断票・歯の検査票(厳封・親展)/現地校・インターからの編入は①在学証明書のみ/教科用図書給与証明書は学校への提出は不要(渡航前に海外子女教育振興財団へ) |
| 香港日本人学校 | 在学証明書/教科書給与証明書/指導要録の写し/健康診断票/予防接種記録/有効な居留ビザのあるパスポート/Landing slip/(永住者は)HK Permanent IDカード |
| デュッセルドルフ日本人学校 | 在学証明書(日本の学校以外からはドイツ語または英語)/指導要録の写し・健康診断票は日本の学校・日本人学校からの編入の場合のみ |
| シンガポール日本人学校 | 保護者の労働許可証(EPカード)/日本人会会員証/児童生徒のパスポート/DP申請状況の分かる書類 |
| ロンドン日本人学校 | 入学願書/児童生徒家庭環境調査票・児童生徒に関する調査票(写真貼付)/誓約書 |
もう一つ、教科書だけは学校ではなく海外子女教育振興財団の窓口という点も押さえてください。台北日本人学校は「3月に日本の幼稚園や保育園を卒園し、4月より本校へ入学される方は、1年生で使用する教科書を日本にある海外子女教育振興財団より給付をうけて必ずご持参ください。本校では給付できませんのでご注意ください」と注意しています。上海虹橋校も同様に、渡航前に財団へ提出して教科書を受け取るよう案内しており、あわせて「日本国籍を有しない児童に対しての教科書配付はございません」とも書いています。出国前後の書類の全体像は海外 転校の手続きにまとめました。
入学金・初期費用は?(公表されている金額だけ)
入学時にかかるお金も学校ごとに大きく違います。公式サイトで金額を公表している学校の入学時の費用だけを並べます(授業料などの継続費用は日本人学校の学費で都市別に整理しています)。
| 学校 | 入学時にかかる費用(公表値) |
|---|---|
| 台北日本人学校(2026年度) | 入学金 NT$40,000+施設設備費 NT$60,000(いずれも入学・編入時のみ)+日本人会の入会金・会費 |
| 上海日本人学校(虹橋校)(2026年度) | 入学金 10,000元(第二子以降 5,000元)+施設金 10,000元(在籍30日以内なら全額返金) |
| ジャカルタ日本人学校(2026年度) | 入学金 Rp 15,000,000/人 |
| デュッセルドルフ日本人学校(2026年度) | 入学金 EUR 450(一人一律)+授業料3か月分 EUR 1,590 の前納 |
| ロンドン日本人学校(令和8年度) | 入学金 1,684ポンド(VAT込・転入学児童生徒のみ) |
| メルボルン日本人学校(令和8年度) | 入学金 AU$800+学校債 AU$500(転出時に返金) |
| 香港日本人学校(令和7年度) | 「香港政府からの指示により、徴収いたしません」=入学金なし |
| シンガポール日本人学校 | 入学金の代わりに寄付金(日系企業勤務は企業寄付金=企業規模により異なる/それ以外は個人寄付金 S$3,000+GST を一世帯一度) |
| 泰日協会学校(バンコク) | 金額は公式サイトで画像掲載のため本記事では引用しません(納入時期のみ公表:1学期分は前年度2月中など) |

入れない・近くにない・合わなかったときにできること
ここまで見てきたとおり、日本人学校の入学は4つの関門をすべて通過して初めて成立します。そして現実には、そもそも赴任先に日本人学校が無いケースがいちばん多い。日本人学校は世界に90校ですが、日本人が暮らす都市はそれよりはるかに多いからです(設置都市は日本人学校 一覧にまとめました)。無い都市では、週末の日本語補習校に通うのが定番ですが、こちらも世界51カ国1地域に246校で、通える距離にあるとは限りません。両者の違いは日本人学校と補習校の違いで比較しています。
日本人学校に入れることが決まった場合でも、入学の可否とは別に「学年相当の国語が続くか」は残ります。逆に入れなかった場合は、その課題が最初から全部のしかかってきます。ともだちじゃぱんは、そこを埋めるためのオンライン日本語スクールです。現役水準の日本の教員が、8人までの少人数クラスで学年相当の国語を担当します。授業は平日夜(現地時間)を含む3つの時間帯から選べ、時差に合わせて調整します。送迎はゼロで、料金は月額定額(通い放題)。日本の同世代の子と同じ教室で学ぶので、帰国したときに「もう知っている子がいる」状態をつくれます。日本人学校が無い都市での続け方は補習校の代わりにオンラインで、帰国から逆算した国語の間に合わせ方は駐在中の国語、帰国後に間に合う?、全体像は海外で育つ子の国語ガイドにまとめています。
よくある質問(日本人学校の入学)
日本人学校の入学条件は何ですか?
全校共通の条件はなく、学校ごとの学則・募集要項で決まっています。よく出てくるのは①子どもの国籍(上海・ジャカルタは日本国籍を明文で要求、香港は「国籍は問いません」)②保護者と子どものビザ・居留資格(香港はDependent Visa必須、上海は上海市の外国人居留許可、バンコクは保護者全員ツーリストビザ不可)③保護者が日本人会・学校維持会などの会員であること(台北・シンガポール・ジャカルタ)④日本語で授業を受けられること⑤本人と保護者が同居していること、の5点です。必ず志望校の最新の募集要項で確認してください。
日本国籍がないと日本人学校に入学できませんか?
学校によります。香港日本人学校は「国籍は問いません」と明記し、メルボルン日本人学校は「永住の方も入学が可能」と案内しています。泰日協会学校(バンコク)は二重国籍について「国籍に関する編入学要件上の問題はありません」としつつ、タイ国籍しか持たない子は受け入れていません。一方で上海日本人学校とジャカルタ日本人学校は日本国籍を入学資格に明記しています。二重国籍・国際結婚のご家庭は、申し込み前に学校へ直接問い合わせるのが確実です(上海虹橋校は事前の問い合わせを明示的に求めています)。
日本人学校の入学金はいくらですか?
公表されている例では、台北がNT$40,000(別に施設設備費NT$60,000)、上海虹橋校が10,000元(別に施設金10,000元)、ジャカルタがRp 15,000,000、デュッセルドルフがEUR 450、ロンドンが1,684ポンド、メルボルンがAU$800(別に学校債AU$500)です。香港日本人学校は「香港政府からの指示により、徴収いたしません」=入学金なし。シンガポール日本人学校は入学金ではなく寄付金の形をとります。授業料など毎年かかる費用は都市差が大きいので、日本人学校の学費をご覧ください。
入学式はいつですか? 年度は4月始まりですか?
日本人学校の学年は南半球でも原則4月始まりで、入学式は4月中旬に行う学校が多いです(台北日本人学校は令和8年度の入学式を4月11日、上海虹橋校は「2026年4月中旬(予定)」と案内)。メルボルン日本人学校も1学期の始業が4月13日でした。ただしシドニー日本人国際学校は「日本人学級の年度は4月から始まり、3月修了」「国際学級の年度は1月から始まり、12月修了」と2つの学年暦が併存します。入学式の服装について公的な規定は確認できませんでした。学校からの案内に従ってください。
年度の途中でも編入できますか?
多くの学校が年度途中の編入を受け付けていますが、受付期間と受け入れない月が決まっている場合があります。上海虹橋校は年度途中の編入学申込を長期間受け付ける一方、「学期末および年度末にあたる9月、2月、3月の編入受入れは行っておりません」と明示しています。香港日本人学校は学期ごとの募集に加えて途中入学も随時受付、シンガポール日本人学校は希望編入日の1か月前までの仮登録を求めています。定員を超えた学年では、ロンドン日本人学校のように抽選になることもあります。
日本人学校の中学部を卒業したら、日本の高校を受験できますか?
できます。文部科学省は「日本人学校及び私立在外教育施設は、文部科学大臣から、国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けており、中学部卒業者は、国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は、国内の大学の入学資格をそれぞれ有します」と説明しています。なお高等部がある日本人学校は世界で1校のみです(日本人学校 一覧参照)。受験そのものの仕組みは帰国子女の高校受験にまとめています。
入学条件は「日本国籍があれば入れる」という単純な話ではなく、日本人会への加入、日本語力の審査、定員と待機――と学校ごとに違います。自分の赴任先はどうなのかは、都市別の記事で募集要項までさかのぼって確認してください。
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入学先を決める前に、その学校が日本の学籍として扱われるかどうかも確認しておくと安心です。一条校とは何か、インターとの違いをまとめています。
この記事で取り上げた都市のある国は、その国にある日本人学校の校数と学費を国単位でも整理しています。タイの日本人学校の学費/マレーシアの日本人学校の学費/ベトナムの日本人学校の学費/中国の日本人学校の学費/台湾の日本人学校の学費/韓国の日本人学校の学費/アメリカの日本人学校の学費/イギリスの日本人学校の学費/フランスの日本人学校の学費。
入学の次に必ず来るのが、日本へ戻るときの扱いです。日本人学校から帰国|帰国枠は使えるのか(10都道府県の実際の条件)で、帰国枠の対象になる在外期間や帰国後の年数が自治体ごとにどう違うかを確認できます。

