フランス赴任が決まって「フランスの日本人学校の学費」を調べると、まず知っておくべき事実がひとつあります。フランスで全日制の日本人学校はパリ日本人学校の1校だけで、しかも所在地はパリ市内ではなく、郊外のモンティニー=ル=ブルトンヌーです。学費は令和8年度から改定され、入学金900ユーロ・授業料が小学部も中学部も年6,000ユーロ・施設費協力金が年600ユーロ。合計で年6,600ユーロ(約112万円)です。ヨーロッパの日本人学校のなかでは安いほうに入りますが、ここに月320ユーロのバス分担金が乗ると景色が変わります。この記事では学校が公開している金額をそのまま並べ、パリのインターとの差、そして「高等部がない」という進路の話まで整理します。
パリ日本人学校の令和8年度(2026年度)校納金【公表額そのまま】
同校は「令和8年度から校納金を改定させていただきました」と明記しています。以下はその記載どおりの金額です。円換算は1ユーロ=170円で計算した目安で、レートは変動します。
| 費目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 900ユーロ(約15万3千円) | 入学時のみ |
| 授業料(年間) | 6,000ユーロ(約102万円) | 小学部・中学部とも同額 |
| 施設費協力金 | 月50ユーロ/年600ユーロ(約10万2千円) | 児童生徒一人につき |
| 1学期(4〜8月の5か月分) | 2,750ユーロ | 授業料+施設費協力金 |
| 2学期(9〜12月の4か月分) | 2,200ユーロ | 同上 |
| 3学期(1〜3月の3か月分) | 1,650ユーロ | 同上 |
| バス分担金 | 月320ユーロ(利用月のみ) | 令和8年度 |
| 体験・宿泊学習費(参考) | 小学部590ユーロ/中学部700ユーロ | 令和7年度・いずれも3泊4日 |

効いてくるのはバス代――授業料の半分を超える
パリ日本人学校の校舎は7 Rue Jean Pierre Timbaud, 78180 Montigny-le-Bretonneux。パリ市内から西へ約25kmのイヴリーヌ県です。学校は「通常スクールバスで通学します」「渋滞等がなければ20〜45分くらいです」と説明しており、事実上バス通学が前提です。バスポイントは「パリ市内で多く日本人が住んでいるところには必ずあります」とされ、ブローニュ、ヌイイにもあります。それ以外の場所からは保護者の車、電車、路線バスになります。
このバス分担金が月320ユーロ。利用月のみの負担ですが、年10か月使えば3,200ユーロ(約54万円)で、授業料6,000ユーロの半分を超えます。授業料+施設費協力金6,600ユーロにバス3,200ユーロを足すと年9,800ユーロ(約167万円)。この数字で見ると、パリはもう「ヨーロッパで安い日本人学校」ではありません。見積もりを作るときは、バスを使うかどうかを最初に決めてください。
ヨーロッパの日本人学校と並べると、パリは中位
| 学校(年度) | 年間授業料 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| チューリッヒ日本人学校(2026年度) | 11,000フラン | 約204万円 |
| ウィーン日本人国際学校(小学部) | 9,660ユーロ | 約164万円 |
| ロッテルダム日本人学校 | 9,360ユーロ | 約159万円 |
| ロンドン日本人学校(令和8年度) | 7,368ポンド | 約144万円 |
| パリ日本人学校(令和8年度) | 6,600ユーロ(授業料6,000+施設費600) | 約112万円 |
| デュッセルドルフ日本人学校(2026年度) | 6,360ユーロ | 約108万円 |
| ブラッセル日本人学校(2026年度) | 6,300ユーロ | 約107万円 |
| マドリッド日本人学校(令和8年度・小学部) | 6,300ユーロ | 約107万円 |
| フランクフルト日本人国際学校(2026年度) | 5,520ユーロ | 約94万円 |
パリはチューリッヒの半分程度で、ヨーロッパでは中位です。物価の高さと学費は連動しません。効くのは在籍数(規模)で、これは中国の日本人学校でも同じ構造でした。
パリのインターは年21,000〜41,400ユーロ――差は3〜6倍
パリのインターナショナルスクールは、2026-2027年度でおおむね年21,000〜41,400ユーロの水準です。加えて入学時の一時金が最大12,400ユーロかかる学校もあります。International School of Paris は初年度の一時金を含めると36,700ユーロという試算が出ています。

なおフランスには、学費が無償または非常に低額の公立校のセクション・アンテルナショナル(国際部)という選択肢もあります。日本語セクションを持つ公立校に入れれば費用は劇的に下がりますが、入学審査があり、住む地区に強く縛られます。「インターは高いから無理」と決める前に、居住予定地の学区を確認する価値があります。インター全体の相場はインターナショナルスクールの学費にまとめました。

高等部がない。中3の先をどうするかは入学前に決めておく
学校は「本校には高等部はありません」とはっきり書いています。中学3年生の卒業後の進路は、日本国内の高校、ヨーロッパにある在欧高校、日本語セクションがある現地校、インターナショナルスクールなど。つまり、中学卒業のタイミングで必ず一度、学校を選び直すことになります。滞在が長くなりそうなご家庭は、入学の段階でこの先の分岐を想定しておいたほうがいいです。
教育面では、フランスならではの特色があります。フランス語の授業が小学部1年生から中学部2年生まであり、学年ごとに初心者・経験者に分かれています(中学3年生は履修しません)。小学部の英語も2クラスに分かれます。教員は校長・教頭を含む一般教諭15名が文部科学省が各都道府県から採用した現役の教員で、これに現地採用の講師(フランス語・英会話・音楽の6名)、養護教諭1名、事務職員3名が加わります。給食はなくお弁当ですが、業者弁当を1週間前予約で注文できます(前売りチケットで小盛・普通10ユーロ、大盛・特盛12ユーロ)。
パリ以外に住む場合――全日制はここしかない
フランスで全日制の日本人学校はパリ日本人学校だけです。リヨン、ストラスブール(アルザス)、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズ、レンヌ、コルマール、コートダジュール、ディジョンなどには土曜の補習授業校があります。つまりパリ首都圏以外に赴任した家庭は、「日本人学校か、インターか」という問いの前に立てません。現地校かインターに通わせたうえで、日本語をどう確保するかを考えることになります。補習校の位置づけは日本人学校と補習校の違いに整理しています。
学費を払ったあとに残るもの――「日本の同世代と話す時間」
パリ日本人学校を選べば、授業は日本語で、教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。学校の説明どおり「本校の児童・生徒のほとんどは転校生」で、新しく入る子が浮くことはないでしょう。ただし同じ説明のなかに「転出していく児童生徒も多いため、たくさんのお別れもあります。年度当初の4月と年度末の3月を比べるとクラスのメンバーもだいぶ替わります」とあります。駐在家庭の学校の、正直な姿です。
現地校やインターを選べばフランス語・英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本にいる同学年の子と日常的に話す機会がない」という点です。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、現地校・インターの日本語のピンポイント補強としても使えます。リヨンでもストラスブールでも、住む都市に関係なく日本語のクラスに毎日入れます。時差は7時間(夏時間)で、日本の夕方の授業はフランスの昼過ぎにあたります。
よくある質問(フランスで学校を選ぶ方から)
フランスに日本人学校はいくつありますか?
全日制はパリ日本人学校の1校だけです(1973年開校、小学部・中学部)。所在地はパリ市内ではなく郊外のモンティニー=ル=ブルトンヌーです。リヨン、アルザス(ストラスブール)、マルセイユ、ボルドー、トゥールーズなどには土曜の補習授業校があります。
パリ日本人学校の学費はいくらですか?
令和8年度は入学金900ユーロ、授業料が小学部・中学部とも年6,000ユーロ、施設費協力金が年600ユーロで、合計6,600ユーロ(約112万円)です。学期単位でも納入でき、1学期2,750/2学期2,200/3学期1,650ユーロです。
スクールバス代はいくらですか?
令和8年度のバス分担金は月320ユーロ(利用月のみ)です。年10か月で3,200ユーロ、授業料の半分を超えます。所要時間は渋滞がなければ20〜45分。バスポイントの詳細な場所はセキュリティー上非公開で、入学時に学校から手渡されます。
高等部はありますか?
ありません。中学3年生の卒業後は、日本国内の高校、ヨーロッパの在欧高校、日本語セクションのある現地校、インターナショナルスクールなどへ進学しています。中学卒業時に必ず進路を選び直すことになるので、入学前に想定しておくことをおすすめします。
日本語ができなくても入学できますか?
学校は「入学できないというわけではありませんが、学習の遅れや学校生活での困難を感じると思います」「家庭での協力をお願いしながら対応できるように努めていきます」と回答しています。受け入れは可能だが家庭の負担は大きい、というのが率直なところです。国際結婚のご家庭は、入学前に日本語の土台をどう作るかを一緒に考えておくと安心です。

世界の学校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、パリの学校選びはパリの日本人学校とインターの比較、近隣国はベルギー・ドイツ・スペインもあわせてどうぞ。

