ドイツ赴任が決まって「ドイツの日本人学校の学費」を検索すると、月460ユーロという数字と月720ユーロという数字が出てきます。どちらも正しい金額です。ドイツの全日制日本人学校は5校あり、いちばん安いミュンヘン・フランクフルトといちばん高いベルリンで、月額が1.57倍ひらくからです。さらに驚くのは入学金で、ミュンヘンの50ユーロに対しベルリンは720ユーロ+施設費720ユーロ。入学時の一時金だけで14倍から28倍の差があります。この記事では5校が公表している金額をそのまま並べ、ミュンヘンだけにある所得連動の減免制度、インターとの実際の差、そして日本人学校でもインターでも残ってしまう「日本語」の宿題まで整理します。
ドイツの日本人学校5校の学費【2026年度の公表額】
ドイツの全日制日本人学校はデュッセルドルフ・フランクフルト・ミュンヘン・ハンブルグ・ベルリンの5校です。金額はすべて各校の公式サイトの記載どおりで、円換算は1ユーロ=160円で計算した目安です。
| 学校(1人あたり) | 授業料(月額) | 年額換算 | 入学時の一時金 |
|---|---|---|---|
| ミュンヘン日本人国際学校 | 460ユーロ | 5,520ユーロ (約88万円) |
入学金 50ユーロ |
| フランクフルト日本人国際学校 | 460ユーロ | 5,520ユーロ (約88万円) |
入学金 450ユーロ(返金不可) |
| デュッセルドルフ日本人学校 | 530ユーロ | 6,360ユーロ (約102万円) |
入学金 450ユーロ |
| ベルリン日本人国際学校 | 720ユーロ | 8,640ユーロ (約138万円) |
入学金 720ユーロ+ 施設費 720ユーロ(一家庭1回) |
| ハンブルグ日本人学校 | 公式サイトに金額の記載なし(学校へ問い合わせ) | ||

ベルリンがいちばん高く、ミュンヘン・フランクフルトがいちばん安い
年額でならべると、ミュンヘンとフランクフルトが5,520ユーロ、デュッセルドルフが6,360ユーロ、ベルリンが8,640ユーロ。ベルリンとミュンヘンの差は年3,120ユーロ(約50万円)です。3年の赴任なら約150万円の差になります。
ここでも効いているのは規模です。デュッセルドルフは在留邦人が数千人規模の「日本人の街」で、日本人学校も大きい。フランクフルトも金融の集積があり日系家庭が多い。対してベルリンは日系企業の集積が相対的に小さく、学校自身が「少人数の日本人学校です」と紹介しています。少人数であることは教育の面ではむしろ利点になりますが、一人あたりの固定費は上がる――ドイツの5校はその関係がきれいに出ています。学費の高さを「学校の質」と読み替えないでください。
なお、フランクフルト日本人国際学校は以前は小学部370ユーロ・中学部380ユーロと学部で分けていましたが、2026年度は小中一律で月460ユーロになっています。数年前の駐在ブログの数字がそのまま残っているケースが多いので、会社の教育手当を申請する数字は必ず学校の最新の案内で確認してください。
ミュンヘンだけにある「世帯年収80,000ユーロ以下の減免」
ドイツの5校のなかで、ミュンヘン日本人国際学校だけが所得に連動した授業料の減免制度を公表しています。条件は前年度の世帯年収が80,000ユーロ以下(税前・全世界ベース)であること。世界中の所得を合算して判定する点が特徴です。
ただし、ここには重要な但し書きがあります。企業から子女教育手当が支給されている場合は減免の対象外です。つまりこの制度は、会社の手当で学費が賄われる一般的な駐在家庭ではなく、現地採用の方、独立して事業をしている方、国際結婚でドイツに生活基盤がある家庭のために用意されているものだと読めます。ミュンヘンの入学金がわずか50ユーロ(他校の9分の1)に抑えられているのも同じ思想でしょう。駐在ではない形でドイツにいる日本人家庭にとって、ミュンヘンは金額面でかなり現実的な選択肢になります。
体験入学の扱いも学校で違います。ミュンヘンは期間にかかわらず一人150ユーロ、ベルリンは週180ユーロで年間4週以内。一時帰国ならぬ「一時滞在」で日本人学校を試したい家庭は、この差も確認しておくとよいでしょう。
入学時の一時金は14倍ちがう
月額の差以上に効いてくるのが、入学時に一度だけ払う一時金です。
- ミュンヘン=入学金50ユーロ。入会費・年会費はいずれも0ユーロ。
- フランクフルト=入学金450ユーロ。返金不可と明記。
- デュッセルドルフ=入学金450ユーロ(一人一律)。授業料は銀行の自動定額送金で3か月分1,590ユーロを前納する仕組み。
- ベルリン=入学金720ユーロ(一人あたり)+施設費720ユーロ(一家庭1回限り)。子ども1人なら1,440ユーロ、2人なら2,160ユーロ。
子ども2人でベルリンに赴任した場合、入学時だけで2,160ユーロ(約35万円)。同じ2人でミュンヘンなら100ユーロです。「入学金は誤差」と考えて予算を組むと、赴任直後に想定外の出費になります。会社に教育手当を申請するときは、月額だけでなく入学時一時金も内訳に入れてください。

ハンブルグは学費を公開していない
ハンブルグ日本人学校は1981年開校で、幼稚部・小学部・中学部を持つ全日制の日本人学校です(校舎は隣接するハルシュテンベック)。ただし公式サイトに授業料・入学金の記載はなく、問い合わせページから直接連絡する必要があります。第三者サイトには「ドイツの日本人学校は月500ユーロ程度」といった概算が出回っていますが、実際の5校が460〜720ユーロに散らばっていることを考えると、その概算をそのまま予算に使うのは避けたほうが安全です。
ドイツで幼稚部から通わせたいという条件がある家庭にとっては、ハンブルグとフランクフルト(共益法人の幼稚部が別にあります)が候補になります。逆にデュッセルドルフ・ベルリンは小中が中心です。学費だけでなく「何歳から預かってもらえるか」も学校で違うので、下のお子さんがいる家庭は最初にそこを確認してください。
インターは年15,000〜27,000ユーロ=日本人学校の3〜4倍
ドイツの主要インターナショナルスクールの授業料は、フランクフルト圏(FIS/ISF/Metropolitan など)で年15,000〜25,000ユーロ、デュッセルドルフのISD/ISRで年27,000ユーロ前後。日本人学校の年5,520〜8,640ユーロと比べるとおおむね3〜4倍です。会社の教育手当がインターの実額まで出るかどうかで、選択肢は事実上決まります。

そしてドイツでも日本人学校は中学3年生までです。高校をどうするかは、インターへ移る、ドイツのギムナジウムに進む、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る――のいずれかを、中学のうちに決めることになります。ドイツは小学校4年生(州によっては6年生)で進路が分岐する教育制度なので、現地校を選ぶ場合はさらに早い段階で判断が必要です。ここは他国と大きく違う点なので、赴任前に押さえておいてください。
補習授業校という第三の選択肢
ドイツには全日制の日本人学校のほかに、土曜だけの補習授業校が各地にあります。現地校やインターに平日通いながら、土曜に国語(と算数)を補う形です。学費は全日制よりずっと安く、日本人学校のない都市(シュツットガルト、ケルン、ブレーメンなど)でも選べます。詳しくはドイツの補習校まとめとミュンヘンの補習校をご覧ください。
ただし補習校には補習校の悩みがあります。週1回・土曜の午前がまるごと埋まること、レベル別ではなく学年別なので日本語力が合わないと苦しいこと、そして地方に住んでいると通学に片道1〜2時間かかること。「補習校が合わなかった」「そもそも通える距離にない」という家庭が、ドイツにはかなりいます。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題
日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、ドイツで暮らしているのにドイツ語も英語も伸びにくいという悩みが出てきます。インターや現地校を選べば語学は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。ドイツと日本の時差は7時間(夏時間)なので、日本の土曜午前=ドイツの土曜早朝、日本の平日夕方=ドイツの平日午前という組み合わせのほか、週末の午前を使う家庭が多くなっています。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、インター・現地校の日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(ドイツで学校を選ぶ方から)
ドイツの日本人学校で、いちばん学費が安いのはどこですか?
公表額でみるとミュンヘン日本人国際学校です。月額はフランクフルトと同じ460ユーロですが、入学金が50ユーロ(フランクフルトは450ユーロ)なので、初年度の総額ではミュンヘンが最も安くなります。さらにミュンヘンには世帯年収80,000ユーロ以下の減免制度があります(企業の子女教育手当を受給している場合は対象外)。
日本人学校は何歳から入れますか?
学校で違います。ハンブルグ日本人学校は幼稚部を持ち、幼稚部の入学説明会も実施しています。フランクフルトは共益法人として幼稚部が別にあります。ベルリンは案内に小・中学校(児童生徒)の記載のみで、幼稚部の記載はありません。下のお子さんの預け先まで含めて決めたい場合は、学費より先に学部構成を確認してください。
授業料はどうやって払うのですか?
デュッセルドルフ日本人学校は銀行の自動定額送金で3か月分(1,590ユーロ)を前納する方式です。フランクフルトは毎月の振込か年間分のまとめ納入を選べます。いずれもドイツ国内の銀行口座が前提になるため、赴任直後の口座開設が学費の支払いスケジュールに直結します。着任してすぐ手続きが必要になるので、渡航前に会社の総務へ段取りを確認しておくと安心です。
ドイツの日本人学校に高等部はありますか?
ありません。ドイツの5校はいずれも中学3年生までです。高校はインターへ移る、ドイツの現地校(ギムナジウム)へ進む、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る、のいずれかになります。世界の日本人学校で高等部があるのは上海・バンコクなど数校のみです。詳しくは日本人学校 一覧にまとめています。
現地校やインターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけで学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、現地校でドイツ語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

都市ごとの詳細はデュッセルドルフ・フランクフルトの記事をご覧ください。世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたタイ・マレーシア・ベトナム・アメリカもあわせてどうぞ。

