ハノイやホーチミンへの赴任が決まって「ベトナムの日本人学校の学費」を調べると、月400ドルと書いてあるページと月500ドルと書いてあるページが出てきて混乱します。どちらも間違いではありません。ベトナムの全日制日本人学校は2校あり、その2校で学費が違うからです。ハノイ日本人学校は授業料 月US$500、ホーチミン日本人学校は月US$400。年額に直すとUS$1,200(約19万円)の差になります。さらにホーチミンには「入学金が商工会議所の会員かどうかで$250変わる」という、他の国ではあまり見ない仕組みがあります。この記事では両校が公表している2026年度の学費案内をそのまま並べ、スクールバス代・PTA会費・入学金まで含めた実額と、ベトナムのインターナショナルスクールの学費を比較します。
ベトナムの日本人学校2校の学費【2026年度の公表額】
ベトナムにある全日制の日本人学校はハノイ日本人学校とホーチミン日本人学校の2校です。どちらも文部科学省が認定する在外教育施設で、対象は小学部1年〜中学部3年。タイのように同一法人の2キャンパスではなく別々に設立・運営されている独立した学校なので、学費表も2つあり、金額も違います。
| 項目 | ハノイ日本人学校 | ホーチミン日本人学校 |
|---|---|---|
| 入学金(入学時のみ) | US$800 | JCCH会員 US$500(13,000,000VND) 非会員 US$750(19,500,000VND) |
| 授業料(月額) | US$500 (学校施設費 月$50を含む) |
US$400 (10,400,000VND) |
| 授業料 年額換算 | 約US$6,000 | 約US$4,800(124,800,000VND) |
| 登下校バス費(月額) | US$140 (8月分は不要) |
US$150(3,900,000VND) (8月分は不要) |
| PTA会費 | 年 500,000VND(児童生徒1人世帯) 年 700,000VND(2人以上世帯) |
学校の案内でご確認ください |
| 支払い方法 | 学期ごとに払込書を発行し指定口座へ払込。VND払いは学校所定レート。月途中の入学でも月単位 | 学期ごと(1期4〜7月/2期8〜11月/3期12〜3月)。1USD=26,000VNDの学校所定レート |

まず押さえておきたいのが、ベトナムの日本人学校は学費がドル建てで提示されることです。ホーチミン日本人学校は1USD=26,000VNDという学校所定のレートを案内に明記しており、ドン払いの場合もこのレートが適用されます。ハノイも「現地通貨VNDでのお支払の場合は、授業料等払込書に記載の本校所定の為替レート」と定めています。つまりドンが動いても円換算の負担は為替次第で変わるが、ドル建ての額そのものは学校が固定しているという構造です。予算を組むときはドル建てで考えるのが実務的です。
ホーチミンは「JCCH会員かどうか」で入学金が$250変わる
ベトナム特有の論点がここです。ホーチミン日本人学校の入学金はホーチミン日本商工会議所(JCCH)の会員企業に所属しているかどうかで二段階になっています。
| ホーチミン日本人学校 1期分(4〜7月)の納付額 | JCCH会員 | JCCH非会員 |
|---|---|---|
| 入学金 | 13,000,000VND(US$500) | 19,500,000VND(US$750) |
| 授業料 4か月分 | 41,600,000VND(US$1,600) | 41,600,000VND(US$1,600) |
| スクールバス 4か月分 | 15,600,000VND(US$600) | 15,600,000VND(US$600) |
| 1期分 合計 | 70,200,000VND(US$2,700) | 76,700,000VND(US$2,950) |
差額はUS$250。金額としては大きくありませんが、見落としやすいのは「自社がJCCH会員かどうかを、赴任前に人事に確認できる」という点です。会員企業であれば学校への申請時に会員であることを示す必要があります。渡越後に慌てて確認するより、赴任前の面談で聞いておくほうが手続きが軽くなります。ハノイ日本人学校の入学金は一律US$800で、会員区分による差はありません。
もう一点、バス代の月数に注意です。両校とも8月分のバス代は不要です(夏休み)。したがって年間のバス代はハノイが US$140×11か月=US$1,540、ホーチミンが US$150×11か月=US$1,650。授業料に対してバス代が2割超を占めるので、住まいを決める前にバス路線と金額を確認しておくと予算が安定します。入学資格や必要書類の一般的な考え方は日本人学校の入学条件と手続きにまとめています。
ホーチミン663名、ハノイ544名――ベトナムは「増えている」数少ない国

学費以外の判断材料として、規模を見ておきます。
| ハノイ日本人学校 | ホーチミン日本人学校 | |
|---|---|---|
| 小学部 | 418名 | 515名 |
| 中学部 | 126名 | 148名 |
| 全校合計 | 544名 | 663名(35学級) |
| 対象 | 小1〜中3(高等部なし) | 小1〜中3(高等部なし) |
両校あわせて約1,200名。1学年あたり小学部が70〜85名=2〜3クラス規模で、学年全員の顔と名前が分かる程度の大きさです。バンコクの1,962名のような大規模校ではありませんが、後述するアメリカの日本人学校(ニューヨーク86名、ニュージャージー39名)とは桁が違います。日本人の同世代と日常的に関われる規模は確保されていると言っていい水準です。
そしてベトナムは、いま在籍が増えている数少ない国です。ホーチミン日本人学校は2023年度時点で全校633名でしたが、直近の資料では663名。日本人学校の在籍が世界的に縮小傾向(バンコク校は2014年の約3,050名から1,962名へ)にある中で、日系企業のベトナム進出が続いていることが数字に出ています。学校選びの観点では「日本人学校を選べば日本人の同世代がいる」という前提が、ベトナムではまだ機能しているということです。都市ごとの詳細はハノイの日本人学校とインター比較、ホーチミンの日本人学校とインター比較をご覧ください。
ベトナムのインターナショナルスクールの学費と並べると
ハノイもホーチミンもインターの選択肢が急速に増えています。代表格はハノイのUNIS Hanoi(国連系・IB)、ホーチミンのISHCMC(IB)、Saigon South International School(米国式)、British International School(英国式)など。学費の目安は年US$11,000〜38,000で、学年が上がるほど高くなります。これに登録料・施設賦課金・バス・制服・アクティビティ費が上乗せされ、総額で2〜4割増えることも珍しくありません。
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安(年) | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本人学校(2校) | 日本語・日本の学習指導要領(全日制) | 小1〜中3(高校なし) | 授業料 US$4,800〜6,000+入学金US$500〜800+バス | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験を重視 |
| インター(UNIS/ISHCMC/SSIS/BIS 等) | 英語・IB/米国式/英国式 | 2〜18歳 | 約US$11,000〜38,000 | △ 国語は別途対策が必要 | 長期・永住/英語環境を最優先 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月額定額(通い放題) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも日本語と日本とのつながりを足したい |
数字を並べるとインターは日本人学校のおよそ2〜8倍。ベトナムの日本人学校の授業料(年US$4,800〜6,000)は、世界の日本人学校の中でもかなり安い水準です。世界全体の相場は日本人学校の学費相場、インター側はインターナショナルスクールの学費にまとめています。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題

ここからが、学費表を眺めていても見えてこない部分です。年US$6,000の日本人学校を選んでも、年US$3万のインターを選んでも、どちらの学費にも含まれていないものがあります。それが「その子の日本語を、日本の同学年の水準で保ち続けること」と「帰国後の学校復帰・受験」です。
インターを選んだ家庭では、この宿題は分かりやすい形で現れます。英語は伸びる一方、漢字・読解・作文は家庭任せになり、学年が上がるほど日本の同学年との差が開きます。会話は保てても、書くこと・読み取ることは意識的な量を確保しないと積み上がりません。とくに小学5年生前後から国語の抽象語彙が一気に増えるため、「話せているから大丈夫」と思っていた家庭ほど帰国が決まってから慌てます。
では日本人学校なら安心か。こちらにも別の宿題があります。ベトナムの2校はどちらも中学部までで、高等部がありません。つまりベトナムには全日制の日本人高校が存在しません。中3の段階で「ベトナムのインター高校へ移る」か「日本に帰国して高校受験をする」かを選ぶ必要があります。日本人学校の中学部卒業者は日本の高校の入学資格を持ちますが、受験の国語・英語は学校の授業だけでは足りないのが実情です。
その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校やインターを置き換えるものではなく、どちらを選んでも足せる「第三の選択肢」としてお使いいただく前提でつくっています。
時差の相性もお伝えします。ベトナムは日本より2時間遅れ(−2h)。日本の平日夕方のクラスが、ハノイ・ホーチミンの放課後の時間帯にそのまま重なります。学校から帰って着替えて一息ついたらリビングのパソコンから参加、という無理のないリズムで続けられます。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍900名超)の日本の子どもたちと、8人の少人数グループで話します。ベトナムの教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができる、他社にない独自価値です。
- レッスン以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。
- 子ども特化だから安心:月額定額で毎日でも参加OK。学年ではなく会話レベルでクラス分けするので、「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1回では量が足りない」も解決します。
よくある質問(ベトナムで学校を選ぶ方から)
ハノイとホーチミンで学費はどれくらい違いますか?
授業料はハノイが月US$500、ホーチミンが月US$400で、年額換算すると US$6,000 対 US$4,800=年US$1,200の差です。ハノイの月$500には学校施設費 月$50が含まれているので、施設費を除いた実質の授業料は月$450と考えることもできます。入学金はハノイUS$800、ホーチミンはJCCH会員US$500・非会員US$750。バス代はハノイ月US$140、ホーチミン月US$150でほぼ同等です。
年度の途中でベトナムに赴任します。編入できますか?
両校とも編入学の受付を行っています。ホーチミン日本人学校は学期区切り(1期4〜7月/2期8〜11月/3期12〜3月)で案内を出しており、入学する学期分の授業料と入学金をまとめて納付します。ハノイ日本人学校は「月の途中の入学または利用開始であっても月単位でのお支払い」と定めているため、月初に合わせて入学するほうが無駄がありません。赴任日が決まった段階で学校の受付窓口へ早めに相談してください。
ドンで払うのですか、ドルで払うのですか?
どちらも可能ですが、提示はドル建てで、ドン払いの場合は学校所定の為替レートが適用されます。ホーチミン日本人学校は案内に1USD=26,000VNDと明記しています。ハノイ日本人学校も払込書に記載の学校所定レートを使う方式です。市中レートと差が出ることがあるので、どちらで払うかは口座の通貨と手数料で判断するとよいでしょう。
インターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけでインター生の学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、インターで英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。
ダナンなど地方都市に赴任する場合は?
全日制の日本人学校はハノイとホーチミンの2都市にしかありません。ダナンなどの都市では、土曜の補習授業校や現地校・インターとの組み合わせになります。補習校は週1回・国語などを補う場で、全日制の日本人学校とは目的も授業時間もまったく違います。両者の違いは日本人学校と補習校の違い、補習校の仕組みは日本語補習校とはで詳しく扱っています。通える補習校がない地域では、オンラインで日本語と日本の友達を確保する選択肢が現実的です。
他の国と比べたい方は、世界90校をまとめた日本人学校 一覧、同じく国レベルで学費を並べたタイの日本人学校の学費・マレーシアの日本人学校の学費もあわせてご覧ください。

