「日本語補習校って、そもそもどういう学校?」「うちの国・都市にはあるの?」「費用はいくらで、土曜がまるまる潰れるって本当?」――「日本語補習校」と検索してこのページにたどり着いた方は、だいたいこの3つを知りたいはずです。正式には補習授業校といい、世界51カ国1地域に242校あります(文部科学省/学校数は令和6年7月1日現在、在籍者約2万1千人は令和6年4月15日時点)。この記事では、誰が設置しているのか・何をどれだけ学ぶのか・費用はいくらかを、公的資料と各校の公式要項だけで整理します。あわせて近くにない・入れない・続かないときにどうするかまで正直にまとめます。
日本語補習校とは――文部科学省の「認定」ではなく、外務大臣の「指定」
文部科学省は補習授業校を、「現地の学校や国際学校(インターナショナルスクール)等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設」と定義しています。教科は「国語を中心に、施設によって算数(数学)、理科、社会などを加えた授業が、国内で使用されている教科書を用いて」行われ、設置・運営の主体は現地の日本人会などです。
ここで最初に押さえておきたいのが、「文科省認定の補習校」という言い方は正確ではないということです。文部科学大臣が認定するのは日本人学校と私立在外教育施設で、これらの卒業者には国内の高校・大学の入学資格が認められます。一方補習授業校は、外務省告示に基づいて外務大臣が「指定」します。文科省の資料でも、補習授業校の「法令上の規定」欄は「なし」と整理されています。所管も位置づけも違うため、支援の中身も日本人学校とは同じではありません。

世界に242校――ただし「日本の学校が来てくれる」わけではない
補習授業校は51カ国1地域に242校。全日制の日本人学校は49カ国1地域に94校・約1万6千人(令和6年4月15日現在)ですから、校数では補習授業校のほうが2.5倍以上多いことになります。昭和46年には22校・2,384人でしたから、50年で校数は約11倍、在籍者は約9倍に増えました。
ただし、ここが誤解されやすいところです。会計検査院の報告は、在外教育施設の経費について「基本的には現地在留邦人の自助努力によって賄われるもの」であり、国は「予算の範囲内で」援助を行っていると明記しています。実際、文部科学省が教師を派遣している補習授業校として掲載しているのは43校――242校のうち2割弱にすぎません。残りの多くは現地採用の講師と保護者の手で運営されているのが実態です。
分布も偏っています。バンコク・ソウル・北京・広州・ジャカルタ・マニラのように、全日制の日本人学校はあっても週末の補習授業校が存在しない都市があります。逆に、授業時数や科目が日本人学校に近い「準全日制補習授業校」(4科目以上を週5日・午後2時間程度)もあり、「補習校」とひとくくりにできないほど中身に幅があるのが実情です。
そしてもう一つ、見落とされがちな数字があります。文部科学統計要覧の同じ表で平成29年を見ると、海外の学齢児童生徒82,571人に対し、日本人学校19,759人+補習授業校21,458人=41,217人。つまりこの年、海外で暮らす学齢期の子どものおよそ半数は、日本人学校にも補習授業校にも通っていませんでした(学齢児童生徒の総数は平成30年度以降は調査主体が変わり計上されていないため、現在値は公表されていません)。文部科学省「在外教育施設未来戦略2030」も、「現地校やインター校のみに在籍する児童生徒数は増加が続いていると考えられる」と述べています。
費用はいくら?――公式に公表されている実額
授業料は学校ごとにまったく違います。運営が現地の日本人会・保護者会に委ねられているためで、月額の学校もあれば学期ごと・年額の学校もあり、単純比較ができません。以下は各校が公式サイトや募集要項で公表している金額だけを、通貨・期間の単位ごとそのまま並べたものです。
| 学校(国) | 入学金 | 授業料(公表値・単位そのまま) | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| シンガポール日本語補習授業校 | 日本人会会員 S$272.50/非会員 S$545.00 | 小学部 S$283.40/月、中学部 S$305.20/月(令和8年度・教材費等込) | シンガポール |
| ロンドン補習授業校(英国) | £312(入学時のみ) | 各学期 £399〜421(校舎により異なる・令和8年度) | ロンドン |
| ミュンヘン日本語補習授業校(ドイツ) | €100(1回のみ) | 月額 €95(2026年4月〜2027年3月は財務調整で月額€85) | ミュンヘン |
| ニューヨーク補習授業校(米国) | $450 | 初等部 年間 $2,373(授業料$750×3期+教材費)/中等部 年間$3,892 | アメリカ |
| サンフランシスコ日本語補習校(米国) | $258 | 月額 $249〜319(学年により異なる・令和8年度) | アメリカ |
| デンバー日本語補習学校(米国) | $200(小・中学部) | 小学部 年額 $2,147(年間38日分)+運営負担金$330ほか | 米西部の例 |
| 上海(中国) | ― | 小学部 年6,050元/中学部 年6,600元 | 上海 |
| 香港 | HK$2,000 | 月 HK$1,600〜2,000 | 香港 |
| シドニー日本語土曜学校(豪州) | 記載なし | 各学期 A$160 | シドニー |
| あさひ学園(ロサンゼルス)・シカゴ ほか | 概要ページに金額の掲載がなく、要問い合わせ | アメリカ | |
見落とされがちなのが返金の規定です。シンガポールは「退学の場合には、過払い期間分授業料を1か月単位で計算して返金します」としていますが、ロンドンは「編入・退学の時期にかかわらず、在学学期中の授業料は、一律にかかります。長期欠席中も同様に授業料…はかかります」と明記しています。「合わなければやめればいい」が、費用面でそのとおりになるとは限りません。
「土曜だけ・週1回」ではない――曜日と授業時数のリアル
補習授業校は土曜の午前という印象が強いのですが、全校が土曜というわけではありません。文部科学省が教師を派遣している補習授業校のうち、米国のプリンストン日本語学校は「毎週日曜日」、デンバー日本語補習学校も「毎週日曜日午前9時から午後3時まで」と公式に案内しています。現地校の行事や習い事との兼ね合いで、そもそも選べる曜日が1つしかない地域が大半です。
そして最も大事なのが授業時数です。日本の小学校で6年間に受ける国語の標準授業時数は1,461時間(学校教育法施行規則 別表第一)。これに対し文部科学省の調査(平成18年・小学部136校の回答)では、補習授業校の年間授業時間は「100〜150時間未満」が36.0%で最多、100時間未満も9.6%ありました。年間授業日数の最頻値は40日です。単純に6年分に直すと、日本の小学校の国語の半分にも届かない計算になります。補習校が手を抜いているのではなく、「週1回・年40日」という設計上、それ以上は物理的に入らないということです。

先生の体制にも触れておきます。文部科学大臣と外務大臣が決定した「在外教育施設における教育の振興に関する基本方針」(令和5年4月)は、現地採用教師について「日本の教員免許状を有していない者も多く、とりわけ補習授業校の児童生徒等に対する教師・講師の多くは他の仕事と兼職している」と率直に記しています。保護者が当番や運営を担う学校も多く、限られた資源のなかで地域が支えているのが補習授業校だと理解しておくと、期待値のズレが起きにくくなります。
教科書は無償? 「帰国前提」の学校?――よくある2つの誤解
誤解①:教科書は法律で海外でも無償。正確には違います。文部科学省の説明は「憲法に定める義務教育の無償の精神に鑑み」、海外に在留する義務教育段階相当年齢の子どもへ教科書を無償給与するという予算措置です(参議院の調査資料も、憲法第26条は在留邦人の子に直接には適用されず、予算措置により支援していると整理しています)。教科書は在外公館から給与され、令和5年度は約13万7千人に配付されました。送付にかかる費用は申請者の負担です。永住権を持つ場合の扱いなど条件があるため、詳細は在外公館の案内をご確認ください。
誤解②:補習校は帰国する子のための学校。かつて旧文部省は補習授業校に「やがて帰国し国内の学校に編入学する際の基礎学力を補う」役割を求めていましたが、いまは前提が変わりました。前出の基本方針(令和5年4月)は、「永住者や国際結婚家庭の子供の増加に伴い、将来的に外国で進学・就職することを希望する子供のニーズと将来的な帰国を前提とする長期滞在者の子供のニーズとの間にかい離が生じており、こうした多様性をどのように包摂していくかが課題となっている」と明記しています。同じ教室に、まったく違うゴールの子が座っている――これが今の補習授業校です。
「入れない・続かない」は珍しくない
補習授業校はよい選択肢です。ただし、入学のハードルは学校によって決して低くありません。たとえばロンドン補習授業校の入学案内は、出願資格として「国語学習への意欲があり、一定の日本語力と学年相応の国語力があると認められる」こと、「家庭での日本語環境が整い、国語および日本語学習の支援が得られる者」、「学校支援活動(安全管理や学校行事等への協力)が必ずできるご家庭」を挙げ、面談では教科書の音読・漢字10問程度・日本語での受け答えを見ると明記しています。そのうえで「日本語力、国語力が当該学年の学習水準に達していない場合は、入学を許可できないことがあります」とし、入学後も「学習面や行動面等で問題があると判断された児童については、停学または退学の対象になる場合があります」と書かれています。
つまり、日本語が弱い子ほど入りにくいという構造があります。実際に多くの家庭がぶつかるのは、①そもそも近くにない(都市に1校もない・片道1時間以上)、②満席や学年編成の都合で入れない、③日本語力が学年水準に届かず入学を見送られた、④土曜が全部つぶれて家族の予定が回らない、⑤週1回では学年相当の国語に追いつかない、のいずれかです。

そこで「補習校の代わり」あるいは「補習校+α」として選ばれているのが、オンライン日本語スクールともだちじゃぱんです。私たちは現役水準の日本の先生が学年相当の国語を8人制の少人数クラスで教えます。入学時に日本語力で線を引くことはしません。平日夜のオンラインなので送迎はゼロ、土曜日は家族の時間として残せます。料金は月24,800円(税込・通い放題/1日あたり約1,240円)。そして何より、日本の同世代のクラスメイトと日本語で話し、友達になれる――週1回の授業だけでは生まれにくい「日本語を使いたい理由」が、ここにあります。

まずは今の学年とのギャップを確認したい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめました。
よくある質問(日本語補習校)
日本語補習校とは何ですか?
現地校やインターナショナルスクールに通う日本人の子どもが、土曜日や放課後などを利用して、国内の小学校・中学校の一部の教科を日本語で学ぶ教育施設です(文部科学省の定義)。正式には補習授業校といい、外務省告示に基づき外務大臣が指定します。文部科学大臣が認定するのは日本人学校と私立在外教育施設で、所管が異なります。世界51カ国1地域に242校、在籍は約2万1千人です。
アメリカの日本語補習校はどこにありますか?
ニューヨーク、サンフランシスコ、シカゴ(双葉会)、ロサンゼルス(あさひ学園)、ヒューストン、ダラス、ボストン、シアトル、デトロイト(りんご会)、デンバー、プリンストンなど、日本人が多い都市を中心に多数あります。ただし州によっては1校もなく、片道数時間という地域もあります。都市ごとの学校名・費用はアメリカの日本語補習校まとめで整理しています。
日本語補習校の費用はいくらですか?
学校によってまったく違い、月額・学期ごと・年額と単位もそろっていません。公表例では、シンガポールが小学部S$283.40/月(入学金は会員S$272.50・非会員S$545.00)、ロンドンが各学期£399〜421(入学金£312)、ミュンヘンが月額€95(入学金€100)、ニューヨーク初等部が年間$2,373(入学金$450)です。金額を公表していない学校もあり、その場合は問い合わせが必要です。返金規定も学校ごとに違うので、入学前に必ず確認してください。
補習校の教科書は無料でもらえますか?
日本国内の無償措置がそのまま海外に適用されるのではなく、「憲法に定める義務教育の無償の精神に鑑み」て行われる予算措置という位置づけです。教科書は在外公館から給与され、令和5年度は約13万7千人に配付されました。送付にかかる費用は申請者の負担で、永住権を持つ場合の扱いなど条件があります。手続きの詳細は在外公館の案内をご確認ください。
日本語補習校と日本人学校の違いは?
日本人学校は全日制で全教科を日本語で学び、文部科学大臣の認定を受けた学校(世界94校・約1万6千人)。補習授業校は現地校に通いながら、週末などに国語を中心に学ぶ施設(242校・約2万1千人)で、外務大臣の指定です。詳しくは日本人学校と補習校の違い、学費は日本人学校の学費、一覧は日本人学校 一覧(世界94校)にまとめています。
オンラインの日本語補習校という選択肢はありますか?
あります。近くに補習校がない、満席や日本語力の基準で入れない、土曜を家族の時間にしたい――そうした家庭がオンラインを選んでいます。選び方は補習校の代わりになるオンラインの選び方、インターに通う子の日本語はインターと日本語、漢字の遅れは帰国子女の漢字、帰国後の国語は駐在中の国語、帰国後に間に合う?もあわせてどうぞ。

