バンコクやシラチャへの赴任が決まって「タイの日本人学校の学費」を調べ始めると、出てくる金額がサイトごとにバラバラで戸惑います。年29万バーツと書いてあるページもあれば、月いくらと書いてあるページもある。結論から言うと、タイの日本人学校は2校しかなく、その2校の学費は同額です。運営しているのが同じ泰日協会だからです。2026年度の公表額は入学金160,000バーツ+授業料 年146,000バーツ。しかも寄付金は徴収せず、教材費などの別途負担金もありません。この記事では、泰日協会学校が公表している就学規程・別表の原文と在籍児童生徒数をもとに、バンコク校とシラチャ校の学費・規模・入学金の減免条件を整理し、タイのインターナショナルスクールの学費と並べて比較します。
タイの日本人学校の学費は2校とも同額【2026年度】
まず前提から。タイにある全日制の日本人学校は、泰日協会学校 バンコク日本人学校と泰日協会学校シラチャ校(シラチャ日本人学校)の2校です。どちらもタイ国認可の私立学校であり、日本の文部科学省から在外教育施設の認定を受けています。設置機関は泰日協会で、運営は泰日協会学校理事会。2校は別の学校ではなく、同じ学校法人の2つのキャンパスという位置づけです。だから学費表も1つしかありません。
泰日協会学校が公表している就学規程・別表:学費には、「2026年度の児童生徒1名あたりの学費の金額及び取扱要領は以下のとおり」として、次の額が示されています。注記には「本校とは、バンコク校・シラチャ校どちらも含む」と明記されています。
| 項目 | 金額(バーツ) | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| 入学金(入学時のみ) | 160,000 | 約74万円 |
| 授業料 1学期(4〜8月分) | 58,400 | 約27万円 |
| 授業料 2学期(9〜12月分) | 58,400 | 約27万円 |
| 授業料 3学期(1〜3月分) | 29,200 | 約13万円 |
| 授業料 年額 | 146,000 | 約67万円 |
| 初年度合計(入学金+年間授業料) | 306,000 | 約141万円 |

見落としやすいのが、この表以外の出費がほとんどないという点です。泰日協会学校は規程の中で「本校では、寄付金は徴収しない」「本校では、宿泊を伴う校外学習等の特別な場合を除いて、教材費等の別途負担金はない」と明記しています。海外の学校では入学時の寄付金・建設協力金・教材費が積み上がって当初の見積もりから大きくずれることが珍しくないので、提示された額でほぼ確定するのはタイの日本人学校の分かりやすさです。学期途中で退学しても在籍した学期分の授業料は返金されず、入学金も在籍期間にかかわらず返金されない点だけ、先に把握しておいてください。
入学金160,000バーツは減免されることがある――バンコクとシラチャの行き来
タイ駐在の家庭でよく起きるのが、バンコク勤務からシラチャ(東部経済回廊の工業地帯)へ、あるいはその逆へ異動するケースです。ここで多くの方が心配するのが「転校のたびに入学金160,000バーツを払い直すのか」という点ですが、その必要はありません。泰日協会学校は入学金の減免適用条件を公表しており、2校間の移動は原則として免除の対象です。
| 入学金の減免適用条件 | 減免後の入学金 |
|---|---|
| 小学部を卒業して中学部に入学する場合 | 60,000バーツ |
| 卒業・退学後、続けて本校に入学・編入学する場合(上記以外) | 免除 |
| 退学から2学期以内に再入学・再編入学し、前在籍時から所属学部の変更がない場合 | 免除 |
| 過去に在籍していた者が再び入学・編入学する場合(上記以外) | 60,000バーツ |
学校側が挙げている具体例が分かりやすいので引用します。「シラチャ日本人学校で小学部6年を卒業し、バンコク日本人学校中学部1年に入学する場合:60,000バーツ」「バンコク日本人学校の児童生徒が、翌学期シラチャ日本人学校の同じ学部へ編入学する場合:免除」。つまりタイ国内の異動なら実質的な追加負担はゼロか、小中の切り替わりで60,000バーツということです。逆に言えば、いったん日本やインターへ移ってから2学期を超えて戻る場合は満額に近い負担が発生します。帰任・再赴任の可能性がある家庭は、この「2学期」というラインを覚えておくと判断材料になります。
入学資格そのものの考え方(国籍・保護者のビザ・日本語で授業を受けられること・定員)は学校ごとに違います。タイ以外の都市も含めた全体像は日本人学校の入学条件と手続きに整理しました。
同じ学費でも規模はまるで違う――1,962名と399名

学費が同額だからこそ、選ぶ基準は学費以外になります。最大の違いは規模です。泰日協会学校が公表している2026年4月現在の在籍数は次のとおりです。
| バンコク校 | シラチャ校 | |
|---|---|---|
| 小学部 | 1,534名(71クラス) | 313名(16クラス) |
| 中学部 | 428名(18クラス) | 86名(4クラス) |
| 全校合計 | 1,962名(89クラス) | 399名(20クラス) |
| 開校 | 1956年 | 2009年 |
| 特別支援 | 特別支援学級(なかよし学級) | 通級指導教室(かがやき教室) |
バンコク校は1学年に10〜12クラスあり、世界の日本人学校の中でも最大級です。日本の大規模校とほぼ同じ環境で、部活動も行事も学年の枠で成立します。一方シラチャ校は1学年2〜3クラス、中学部は各学年1〜2クラス。学年全員の顔と名前が分かる規模です。どちらが良いという話ではなく、お子さんが大人数で埋もれやすいタイプか、少人数で関係が固定しやすいことを気にするタイプかで相性が変わります。
もう一つ、数字を追うと見えてくる事実があります。バンコク校の在籍数は2014年の約3,050名をピークに、2026年には1,962名まで減っています。12年で約3分の1が減った計算です。シラチャ校も2019年の約500名から399名へ緩やかに減っています。これはタイの日本人駐在員の家族帯同が減っていること、そしてインターを選ぶ家庭が増えていることの両方を反映しています。学校選びとしては、「日本人学校に行けば日本人の同世代がたくさんいる」という前提が、以前ほど自明ではなくなってきているということです。
タイのインターナショナルスクールの学費と並べると
バンコクは東南アジア屈指のインター激戦区で、駐在家庭が実際に検討する学校が多数あります。代表的な学校の学費目安は、IB校のNIST International Schoolが年約51万〜84万バーツ、英国式の名門Harrow International School Bangkokが年約70万〜110万バーツ、比較的入りやすい価格帯のBangkok Prepが年約38万〜86万バーツ。いずれも登録料・施設賦課金・スクールバス・制服等が別途かかり、総額で2〜4割上乗せになることもあります。
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安(年) | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| 泰日協会学校(バンコク校/シラチャ校) | 日本語・日本の学習指導要領(全日制) | 小1〜中3(高校なし) | 授業料 146,000バーツ+入学金160,000バーツ | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験を重視 |
| インター(NIST/Harrow/Bangkok Prep 等) | 英語・IB/英国式 | 2〜18歳 | 約38万〜110万バーツ | △ 国語は別途対策が必要 | 長期・永住/英語環境を最優先 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月額定額(通い放題) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも日本語と日本とのつながりを足したい |
数字を並べると、インターは日本人学校のおよそ3〜7倍です。日本人学校の年146,000バーツは、海外の全日制教育としてはかなり安い部類に入ります。世界の日本人学校の学費水準と比べたい方は日本人学校の学費相場、インター側の相場はインターナショナルスクールの学費にまとめています。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題

ここからが、学費表を眺めていても見えてこない部分です。年146,000バーツの日本人学校を選んでも、年80万バーツのインターを選んでも、どちらの学費にも含まれていないものがあります。それが「その子の日本語を、日本の同学年の水準で保ち続けること」と「帰国後の学校復帰・受験」です。
インターを選んだ家庭では、この宿題は分かりやすい形で現れます。英語は伸びる一方、漢字・読解・作文は家庭任せになり、学年が上がるほど日本の同学年との差が開きます。会話は保てても、書くこと・読み取ることは意識的な量を確保しないと積み上がりません。とくに小学5年生前後から国語の抽象語彙が一気に増えるため、「話せているから大丈夫」と思っていた家庭ほど、帰国が決まってから慌てることになります。
では日本人学校なら安心かというと、こちらにも別の宿題があります。泰日協会学校は中学部までで、高等部はありません。中3の段階で「バンコクのインター高校へ移る」か「日本に帰国して高校受験をする」かを選ぶ必要があります。日本人学校の中学部卒業者は日本の高等学校の入学資格を持つので帰国受験は可能ですが、受験の国語・英語は学校の授業だけでは足りないのが実情です。加えて前述のとおり在籍数が減り続けており、学年やクラスによっては日本人の同世代との関わりが以前ほど厚くない場合もあります。
その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校やインターを置き換えるものではなく、どちらを選んでも足せる「第三の選択肢」としてお使いいただく前提でつくっています。
時差の相性もお伝えします。タイは日本より2時間遅れ(−2h)。日本の平日夕方のクラスが、バンコク・シラチャの放課後の時間帯にそのまま重なります。学校から帰って着替えて一息ついたらリビングのパソコンから参加、という無理のないリズムで続けられます。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍900名超)の日本の子どもたちと、8人の少人数グループで話します。タイの教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができる、他社にない独自価値です。
- レッスン以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。
- 子ども特化だから安心:月額定額で毎日でも参加OK。学年ではなく会話レベルでクラス分けするので、「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1回では量が足りない」も解決します。
よくある質問(タイで学校を選ぶ方から)
バンコク校とシラチャ校で学費は変わりますか?
変わりません。泰日協会学校の就学規程・別表には「本校とは、バンコク校・シラチャ校どちらも含む」と明記されており、入学金160,000バーツ、授業料 年146,000バーツは2校共通です。学期ごとの内訳(1学期58,400/2学期58,400/3学期29,200バーツ)も同じです。学費で選ぶ理由はないので、通学距離・規模・お子さんとの相性で判断してください。
スクールバス代や制服代は別にかかりますか?
通学手段や学用品の費用は学費表とは別の扱いになるため、実際の月々の負担は公表額に上乗せされます。ただし学校として「寄付金は徴収しない」「宿泊を伴う校外学習等の特別な場合を除いて、教材費等の別途負担金はない」と規程で明言しているため、想定外の追加徴収は起きにくい設計です。バス・制服・給食の最新の実費は学校の入学案内でご確認ください。
年度の途中でタイに赴任します。編入できますか?
泰日協会学校は、タイ以外の国やタイのインター校などに通う児童生徒を対象に、各学期開始前に入学・編入学の受付手続きを行っています。入学・編入学の受付時には、入学金と編入する学期分の授業料の合計額を納入します。タイの幼稚園に通う年長園児は11月1日現在で別枠の申し込みがあり、それ以外の小学部新1年生は1月から申し込み・4月に受付という流れです。学期の区切りと申し込み時期がずれると1学期分待つことになるので、赴任日が決まった段階で早めに学校へ相談するのが確実です。
インターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけでインター生の学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は意識的な量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、インターで英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。
土曜だけ通う補習校という選択肢もありますか?
タイにも日本語の補習授業校はありますが、全日制の日本人学校とは目的も授業時間もまったく違います。補習校は週1回・土曜が基本で、平日は現地校やインターに通う子が日本語を補うための場です。両者の違いは日本語補習校の仕組み、バンコクの学校選び全体はバンコクの日本人学校とインター比較もあわせてご覧ください。
他の国と比べたい方は、世界90校をまとめた日本人学校 一覧もあわせてご覧ください(高等部の有無・国別の分布まで整理しています)。

