赴任地がハノイに決まった、あるいは駐在中のご家庭が最初にぶつかる二択が「日本人学校か、現地校・インターナショナルスクールか」です。ハノイはベトナム北部で唯一の全日制日本人学校があり、選択肢としては恵まれた都市です。一方で、UNIS Hanoiをはじめとする有力インターも揃い、学費水準は日本人学校の数倍から十倍近くになります。結論を先に言えば、3〜5年で帰国し帰国後の受験を重視するご家庭は日本人学校、長期・永住や英語環境を最優先するご家庭はインター、というのが基本の軸。ただし、どちらを選んでも「日本語の学年相当」という宿題は残ります。
相場感を先に共有します。ハノイ日本人学校は授業料が月US$500(学校施設費 月US$50を含む・2026年度の学校公表額。年額換算 約US$6,000)。対してインターは年間US$18,000〜37,000(約270万〜550万円)と、そもそも桁が違います。そして費用の多寡にかかわらず、どちらを選んでも残るのが「国語を学年相当で切らさないこと」と「帰国後の学校復帰・受験(帰国子女入試の作文・国語)」という論点です。本記事ではハノイの実情に沿って、この宿題まで含めて比較します。
ハノイの学校選び 3タイプ比較一覧
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安 | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| ハノイ日本人学校(日本人学校) | 日本語・日本の学習指導要領 | 小1〜中3 | 授業料 月US$500(年 約US$6,000)+入学金US$800 | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験重視 |
| 現地校・インター(UNIS Hanoi / BIS Hanoi / Concordia 等) | 英語・IB/英国式/米国式 | 幼児〜G12/Y13 | 年 約US$18,000〜37,000(約270〜550万円) | △ 国語は別途対策要 | 長期/永住・英語環境を重視 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月額定額 | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも”日本語と日本とのつながり”を足したい |
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日本人学校という選択肢 ――ハノイの実情
ハノイ日本人学校(The Japanese School of Hanoi)は、在ベトナム日本国大使館の付属校として1996年に開校した、ベトナム北部で唯一の全日制日本人学校です。2019年に市西部のミーディン(Mỹ Đình)地区の新校舎へ移転し、小学部430名・中学部131名の計561名が在籍(令和8年4月・同校公表)。文部科学省の学習指導要領に準拠した教育課程を日本語で受けられます。2026年度の学校公表額は、入学金US$800、授業料 月US$500(学校施設費 月US$50を含む)、登下校バス費 月US$140(8月分は不要)、PTA会費 年500,000VND(児童生徒2人以上の世帯は700,000VND)。ホーチミン校と並べた学費の比較はベトナムの日本人学校2校の学費比較にまとめました。メリットは、日本のカリキュラムそのままで教科書・行事・給食まで日本と同じ環境が整い、帰国後にそのまま学年復帰しやすいこと。日本語での学校生活で国語や日本の教科の空白が生まれにくいのも強みです。デメリットは、英語や現地語が自然には伸びにくいこと、通学は基本スクールバス(郊外エリアからは通学時間がかかる)こと、そして対象が小1〜中3までで、高校(後期中等教育)が無いこと。高校進学のタイミングで帰国か、インター・現地校への切り替えを検討する必要があります。
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「施設費が別建てではない」のが、他校と比べるときの落とし穴
他校の学費表と並べるときに間違えやすいのがここです。ハノイの授業料US$500は、学校施設費US$50/月を含んだ金額だと明記されています。授業だけの部分はUS$450で、施設費が上乗せされてUS$500になっている、という書き方です。一方でシンガポール日本人学校は校納金一覧で授業料と施設費を別々の行に分けて示しており、毎月かかる額を出すには2つを足す必要があります。「授業料」という同じ言葉が、学校によって中身の違う数字を指しているということです。
| 比べ方 | ハノイの表記 | やってはいけない読み方 |
|---|---|---|
| 月にかかる総額 | US$500(施設費込み) | US$500に施設費を足して「US$550」と見積もる |
| 授業だけの部分 | US$450(差し引き) | US$500を他校の「授業料のみ」の数字と横並びで比べる |
| バスを使う場合 | US$500+US$140=US$640/月 | 8月分のバス代も足してしまう |
もう一つの特徴は、小学部と中学部で授業料が分かれていないことです。多くの日本人学校は小学部と中学部で月額に差をつけますが、ハノイは全学年一律のUS$500。学年が上がっても月額が変わらないので、在籍中の見積もりが立てやすいタイプです。
バス代だけ8月分が要らない。日割りはない
登下校バス費はUS$140/月ですが、「ただし8月分は不要」と明記されています。長期休業に合わせた措置で、授業料のほうにはこの注記がありません。つまり授業料は12か月分、バス代は11か月分という計算になります。また、授業料と登下校バス費については「月の途中の入学または利用開始であっても月単位でのお支払いをお願いしております」と書かれており、日割りはありません。着任が月の後半でも、その月は1か月分かかる前提で見ておいてください。
1年でいくらになるか(公表値からの試算)
学校は年額を公表していないため、公表されている月額から素直に積み上げると次のようになります。あくまで当サイトの試算です。
| 区分 | 計算 | 年額の目安 |
|---|---|---|
| 授業料(施設費込み) | US$500 × 12か月 | US$6,000 |
| 登下校バス費 | US$140 × 11か月(8月分は不要) | US$1,540 |
| バスを使う場合の年額 | 6,000+1,540 | US$7,540 |
| 初年度に上乗せされる一時金 | 入学金 US$800(一人当たり・入学時のみ) | US$800 |
払い方は「学期ごとの払込書」。ドン払いは学校所定のレート
授業料等(登下校バス費を含む)の払込書が学期ごとにメールで配信され、それに基づいて指定口座へ振り込みます。振込手数料は各家庭の負担です。ここで見落としやすいのが為替で、現地通貨ベトナムドンで支払う場合は、払込書に記載された「本校所定の為替レート」が適用されます。市中や銀行のレートとは別物なので、ドン建てで用意していると想定額とずれることがあります。学校のレートは払込書が来るまで分かりません。なおPTA会費は授業料とは別の払込書・別の口座で入学時に発行され、授業料の口座に一緒に振り込まないよう学校が注意喚起しています。
ハノイ日本人学校について、さらに詳しく
学費・生徒数・制服・スクールバスといった具体的な数字は、それぞれ1本ずつ最新の一次情報でまとめています。気になるものからご覧ください。
- ハノイ日本人学校の生徒数は561名 小学部430名・中学部131名の内訳と30周年
ベトナム全体で見る
- ベトナムの日本人学校2校の学費比較2026 ハノイ・ホーチミン
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現地校・インターという選択肢 ――主な検討先
ハノイで駐在家庭が実際に検討する代表校を挙げます。UNIS Hanoi(国連国際学校)は世界に2校しかない国連系インターの一つで、幼児〜G12まで一貫してIB(3プログラム)を提供。2026-27年度の授業料は年 約US$17,450(幼児)〜約US$38,000(G11・12)で、別途出願料US$600・デポジットUS$1,500が必要です。British International School (BIS) HanoiはNord Anglia系の英国式で、Y10・11はIGCSE、Y12・13はIBディプロマ。授業料は学年により年 約US$18,000〜28,000が目安です。Concordia International School Hanoiは米国式(AP・デュアルクレジット)で、授業料は年 約US$19,900〜37,000。メリットは英語力・国際性が伸び、長期・永住や海外大学進学に強いこと。デメリットは学費が高額なこと、帰国後に国語・日本の教科(社会・理科の日本固有内容)が空きやすいこと、そして人気校は入学枠・ウェイトリストがあり編入時期によっては入れないことです(日本語サポートの有無や日本人比率は学校差が大きいため要確認)。
結局どっち? 迷ったときの3つの判断軸

- ①帰国予定:3〜5年で帰国か、長期・永住か 短期で帰国する見込みなら、国語や日本の教科の連続性が効く日本人学校(+補完)が有利。ハノイは全日制の日本人学校があるので、この選択が取りやすい都市です。長期・永住や海外大学まで見据えるなら英語環境のインターが軸になります。
- ②子の年齢・学年:いま何年生か(5年生の壁) 低学年は言語の切り替えが効きやすい一方、高学年は国語の抽象語彙・説明文が急に難しくなり、日本語の空白が後で致命傷になりがち。特にインターを選ぶ場合、高学年ほど日本語の学年相当をどう維持するかが重要です。
- ③帰国後の受験:帰国子女入試・中学受験の国語 帰国受験では作文・国語・面接が課される学校が多く、日本語の読み書きを学年相当で切らさない設計が要ります。日本人学校の中学部までで日本を離れる場合、高校段階の日本語をどう続けるかも早めに考えておくと安心です。

どちらを選んでも残る”宿題”――第三の選択肢
日本人学校を選べば英語や現地とのつながりが、インターを選べば日本語の学年相当と帰国後の国語・日本の同世代とのつながりが、それぞれ”宿題”として残ります。この宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校やインターを置き換えるものではなく、併用して足りない部分を補うのが前提。どちらの道を選んでも、日本語と日本とのつながりだけは切らさずに持ち運べます。
時差の面でもハノイは好条件です。ハノイは日本より2時間遅れ(-2h)。日本の平日夕方に行われるクラスが、ハノイではちょうど放課後の時間帯にあたります。学校やインターから帰ってきて、着替えて一息ついたそのままリビングから参加できる――塾のように送迎で夜が潰れることもありません。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍800名超)の日本の子どもたちと少人数グループで話します。ハノイの教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができます。
- “レッスン”以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。
- 子ども特化だから安心:月額定額で毎日でも参加OK。学年でなく会話レベルでクラス分けするので「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1では量が足りない」も解決します。


よくある質問(ハノイで学校を選ぶ方から)
ハノイ日本人学校は中学までしかありません。高校はどうすれば?
ハノイ日本人学校は小1〜中3までで、高校(後期中等教育)はありません。実際の選択肢は、(1)中学卒業のタイミングで帰国して日本の高校へ、(2)ハノイのインターの高校課程(IB/IGCSE/AP)へ切り替える、(3)日本の通信制・海外校と連携した進路、のいずれかが一般的です。いずれの道でも、日本語の力を中学卒業段階で止めないことが将来の選択肢を広げます。ともだちじゃぱんは高校生年代(〜18歳)まで対応するので、進路が固まるまで日本語を継続する受け皿として使えます。
インターに入れると日本語が心配です。どうすれば?
正直に言うと、インターは英語漬けの環境なので、家庭内の会話だけでは読み書きと学年相当の語彙が追いつかなくなりがちです。家庭で日本語の本や会話を増やすのが土台ですが、それだけで漢字・作文・説明文までカバーするのは負担が大きい。そこで、会話レベル別・通い放題のともだちじゃぱんを併用すると、無理なく学年相当の日本語を維持できます。インターを選ぶご家庭ほど、この補完が効きます。
帰国後の中学受験・帰国子女入試の国語が不安です。
帰国子女入試では作文・国語・面接が課されることが多く、日常会話だけでは対応しきれません。特にハノイでインター中心の生活を送っていると、日本語の読解・記述が空きやすいのが実情です。日本の同世代と日本語で話し、読み書きを学年相当で続けておくことが、帰国後の受験でそのまま効きます。ともだちじゃぱんは会話レベルでクラス分けするので、今の到達度から無理なく積み上げられます。
ハノイからだと時差は問題になりませんか?
問題になりません。ハノイは日本より2時間遅れ(-2h)で、日本の平日夕方のクラスがハノイの放課後にあたります。学校やインターから帰ってきた流れで、そのままリビングから参加できる、SEAの中でも最も参加しやすい時間帯です。送迎や夜更かしの心配がないのも、駐在家庭にとって大きな利点です。
インターナショナルスクールそのものを詳しく
- インターナショナルスクールの学費――都市をまたいだ相場と、入学金・スクールバス・寄付金まで含めた総額の見方。
- インターナショナルスクールと無償化――高等学校等就学支援金などの制度が海外のインターにどこまで及ばないのか。
▼ 同じベトナムでも都市によって学費と選択肢は変わります → ホーチミンの日本人学校・インターを比べる
ハノイで学校を決めるとき、学費の次に効いてくるのは「毎日どう回るか」と「中学のあとどうするか」です。昼食はお弁当なのか、中学部まであるのか、英語は週に何時間あるのか——これらに全校共通のルールはなく、学校ごとに公式サイトの書き方が違います。各校の公表内容をそのまま横断して調べました=日本人学校と高校、日本人学校の給食、日本人学校の中学部、日本人学校の英語。一時帰国の航空券を取る前に確かめておきたいのが学年暦です。10校分の日程を校暦から拾った日本人学校の夏休みにまとめています。



