インド赴任が決まって「インドの日本人学校の学費」を検索すると、月31,000ルピーという数字と月80,000ルピーという数字が並んで出てきます。どちらも正しい金額です。インドの全日制日本人学校はニューデリーとムンバイの2校しかなく、その2校で授業料が2.6倍違うからです。しかも入学金の決まり方まで正反対で、ムンバイは日本人会の法人会員のほうが個人会員より20万ルピー安いという仕組みになっています。この記事では両校が公表している令和8年度(2026年度)の学費案内をそのまま並べ、入学金・スクールバス代を含めた初年度の総額と、バンガロールやチェンナイに赴任する場合の選択肢まで整理します。
インドの日本人学校は2校だけ【2026年度の公表額】
まず大前提です。インドにある全日制の日本人学校は、ニューデリー日本人学校とムンバイ日本人学校の2校だけです。バンガロール、チェンナイ、プネ、グジャラートなど日系企業の集積が進んだ都市にも、全日制の日本人学校はありません。チェンナイ日本人会も案内で「チェンナイには日本人学校こそありませんが」と明記しています。この点を最初に押さえておかないと、赴任地によっては学校選びの前提そのものが変わります。
| 項目(1人あたり) | ニューデリー日本人学校 | ムンバイ日本人学校 |
|---|---|---|
| 授業料(月額) | 31,000ルピー | 80,000ルピー |
| 授業料 年額換算 | 372,000ルピー | 960,000ルピー |
| 入学金(入学時のみ) | 300,000ルピー (附属幼稚園からの入学は150,000ルピー) |
日本人会法人会員 200,000ルピー 日本人会個人会員 400,000ルピー |
| スクールバス | 月9,500ルピー | 学校の案内でご確認ください |
| 納付の方法 | 編入学時に案内 | 1回払い(4月に1年分)または2回払い(4月・10月に半年分) |
| 対象 | 小1〜中3+附属幼稚園 | 小1〜中3 |
| 在籍 | ― | 29名(2026年4月現在) |

日本円の感覚に直すと、ニューデリーは月およそ5万6,000円、ムンバイは月およそ14万円です(1ルピー=約1.8円で換算。為替で変わります)。ニューデリーの水準は世界の日本人学校の相場のなかでは標準的ですが、ムンバイは世界でも高い部類に入ります。
なぜムンバイは2.6倍なのか――全校29名という規模

理由は学校の規模です。ムンバイ日本人学校は小学1年生から中学3年生まで全校で29名(2026年4月現在)。学校自身が「少人数なので、雰囲気はとても家庭的で、中学生と小学生が一緒に、学んだり遊んだりする」と説明しているとおり、9学年で29名という規模です。校舎・教員・運営の固定費は児童生徒数に比例して減らせないので、1人あたりの単価がそのまま上がります。
対するニューデリー日本人学校は、校地総面積12,000㎡、校庭6,000㎡、校舎6,822㎡、屋内体育館706㎡に加えて25m×15m(6コース)の屋内プールを備えた学校です。1964年9月に設立され、1994年1月に日本人学校として文部科学大臣の認定を受けています。設置主体はデリー日本人会、運営主体は学校文化教育ソサエティ(GAKKO BUNKA EDUCATION SOCIETY)。附属幼稚園も併設しており、規模の面ではムンバイと比較になりません。
これは「ムンバイの学校が高すぎる」という話ではなく、学費の額だけで学校の良し悪しは測れないという話です。29名の学校には29名の学校にしかない手厚さがあり、実際にムンバイ日本人学校は「少人数を生かし、個に寄り添った指導を重視しています」と説明しています。一方で、「日本人学校に入れれば日本人の同世代がたくさんいる」という前提は、ムンバイでは成り立ちません。これは学費表からは絶対に読み取れない、しかし子どもの毎日を大きく左右する情報です。都市別の詳しい比較はニューデリーの日本人学校とインター比較、ムンバイの日本人学校とインター比較をご覧ください。
入学金は「会社の会員区分」で20万ルピー変わる
インド特有の論点がここです。ムンバイ日本人学校の入学金は、日本人会の法人会員か個人会員かで二段階になっています。
| ムンバイ日本人学校 入学金(令和8年度) | 金額 | 該当するケース |
|---|---|---|
| 日本人会 法人会員 | 200,000ルピー | 会社が日本人会に法人会員として加入している駐在員家庭 |
| 日本人会 個人会員 | 400,000ルピー | 個人で加入している場合(現地採用・自営など) |
つまり会社が法人会員かどうかで、入学時の負担が半分になります。ベトナムのホーチミン日本人学校にも似た仕組みがありますが、差額はUS$250。ムンバイの200,000ルピーは桁が違います。赴任の内示が出た段階で、人事に「ムンバイ日本人会の法人会員か」を確認する――これだけで手続きと支出が大きく変わります。渡印してから調べ始めると、入学手続きと重なって慌てることになります。
ニューデリー日本人学校の入学金は一律300,000ルピーで会員区分による差はありませんが、こちらには別の割引があります。附属幼稚園から小学部へ進む場合は150,000ルピーと半額です。未就学のお子さんを連れて赴任し、任期が長くなる見込みなら、幼稚園から入れておくと入学時の負担が軽くなる計算になります。入学の条件や必要書類の一般論は日本人学校の入学条件と手続きにまとめています。
スクールバスは「住まいを決める前」に確認する
ニューデリー日本人学校のスクールバスは1人1か月9,500ルピー。年額に直すと114,000ルピーで、授業料年額372,000ルピーの約3割にあたります。運行地区はバス運営委員会が決めており、2024年度時点でVasant Vihar地区・Defence Colony地区・Gurgaon地区の3つ。Defence Colony地区は最寄りのランドマークでのピック&ドロップ、Gurgaon地区は広範囲のため固定ステーション(駅)方式で、Belaire/Icon/Palm Springs/Park Heights/Park Tower/Pinnacle/Westend Heights/Crest/Ibisの9か所が設定されています。
路線は「午前8時15分までに学校に到着できる範囲」「児童生徒1人の乗車時間が概ね60分以内」という条件でつくられています。この2条件を満たさない場所に住むと、そもそもバスが使えないということです。指定9ステーション以外のアパートに住む場合は個別相談になります。インドの通勤事情を考えると住まいの選択肢は限られますが、物件を決める前に学校のバス運営委員会に運行地区を確認するのが唯一の対策です。
バンガロール・チェンナイに赴任する場合はどうするか
冒頭のとおり、この2都市には全日制の日本人学校がありません。ではどうしているかというと、現地のインターナショナルスクールに平日通い、土曜に補習授業校で日本語・国語を補うという組み合わせが主流です。
| 都市 | 全日制の日本人学校 | 補習授業校 | 実際の選択肢 |
|---|---|---|---|
| ニューデリー(グルガオン含む) | あり(小1〜中3+附属幼稚園) | ― | 日本人学校/インター |
| ムンバイ | あり(小1〜中3・全校29名) | ― | 日本人学校/インター |
| チェンナイ | なし | チェンナイ補習授業校(約90名) | インター+土曜の補習校 |
| バンガロール | なし | バンガロール補習授業校 | インター・現地校+土曜の補習校 |
補習授業校は「日本の学校の代わり」ではありません。週1回・数時間で、学年相当の国語をすべて維持するのは現実的に難しい――これは補習校の質の問題ではなく、単純に時間の量の問題です。両者の違いは日本人学校と補習校の違い、補習校の仕組みは日本語補習校とはで詳しく扱っています。日本人学校のない都市に赴任する家庭ほど、平日の日本語をどう確保するかを早めに設計しておく必要があります。
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安(年) | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本人学校(2校) | 日本語・日本の学習指導要領(全日制) | 小1〜中3(高校なし) | 授業料 372,000〜960,000ルピー+入学金200,000〜400,000ルピー | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験を重視 |
| インター(デリー/ムンバイ/バンガロール等) | 英語・IB/英国式/米国式 | 3〜18歳 | 学校差が非常に大きいため各校要確認 | △ 国語は別途対策が必要 | 長期・永住/英語環境を最優先/日本人学校のない都市 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月額定額(通い放題) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも日本語と日本とのつながりを足したい |
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題

ここからは、学費案内をどれだけ読み込んでも書いていない部分です。年37万ルピーの日本人学校を選んでも、年96万ルピーの日本人学校を選んでも、インターを選んでも、どの学費にも含まれていないものがあります。それが「その子の日本語を、日本の同学年の水準で保ち続けること」と「帰国後の学校復帰・受験」です。
インターを選んだ家庭では、この宿題は分かりやすい形で現れます。英語は伸びる一方、漢字・読解・作文は家庭任せになり、学年が上がるほど日本の同学年との差が開きます。会話は保てても、書くこと・読み取ることは意識的な量を確保しないと積み上がりません。とくに小学5年生前後から国語の抽象語彙が一気に増えるため、「話せているから大丈夫」と思っていた家庭ほど、帰国が決まってから慌てます。
では日本人学校なら安心か。インドには、他の国にはあまりない事情があります。2校とも中学部までで高等部がなく、しかもムンバイは全校29名。同学年に日本人が2〜3人という学年も出てきます。日本語で授業を受けられることと、日本語で同世代とやりとりする量が確保できることは別の話です。「日本人学校にいるから日本語は大丈夫」が成り立たないのが、インドの学校選びの難しさです。
その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校やインターを置き換えるものではなく、どちらを選んでも足せる「第三の選択肢」としてお使いいただく前提でつくっています。
時差の相性もお伝えします。インド標準時は日本より3時間30分遅れ(−3.5h)。日本の夜19時〜20時台のクラスが、インドの夕方15時30分〜17時前後にあたります。学校から帰ってすぐの時間帯に参加でき、夜が遅くなりません。デリーの渋滞で帰宅が遅れても、日本側の複数の時間帯から選べます。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍900名超)の日本の子どもたちと、8人の少人数グループで話します。全校29名の学校では得にくい「同学年の日本のリアルな友達」ができる、他社にない独自価値です。
- レッスン以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。
- 子ども特化だから安心:月額定額で毎日でも参加OK。学年ではなく会話レベルでクラス分けするので、「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1回では量が足りない」も解決します。
よくある質問(インドで学校を選ぶ方から)
ニューデリーとムンバイで、学費はどれくらい違いますか?
授業料はニューデリーが月31,000ルピー、ムンバイが月80,000ルピー。年額換算では372,000ルピー対960,000ルピーで、2.6倍の差です。入学金はニューデリーが一律300,000ルピー、ムンバイが日本人会法人会員200,000ルピー・個人会員400,000ルピー。初年度の総額(授業料+入学金+ニューデリーはバス代)で比べると、ニューデリー約786,000ルピー、ムンバイ約1,160,000ルピー(法人会員の場合)でおよそ1.5倍です。
年度の途中でインドに赴任します。編入できますか?
両校とも編入学を受け付けています。ニューデリー日本人学校は編入学案内を公開しており、中学3年生(G9)の編転入は4月中に在籍できる生徒に限るという条件があります。ムンバイ日本人学校は「転入された日の属する月からの授業料」を1回払いまたは2回払いで納入する方式です。必要書類は前籍校からの指導要録(写)または抄本と健康診断票(原本)で、国際校・ローカル校からの編入で日本の教育課程校の経歴がない場合は不要とされています。赴任日が決まった段階で早めに学校へ相談してください。
途中で帰国することになったら、授業料は返ってきますか?
ムンバイ日本人学校は「転出された日の属する月の翌月分から返却」と定めており、振込手数料を差し引いた金額が返金されます。ただし学校の休業期間や一時帰国の期間も全額徴収され、転出入で授業日数が1か月に満たない場合も1か月として計算されます(同校財務規定第3「収入」第11条)。ニューデリー日本人学校のスクールバス料金も、大幅な利用者数の増減などの特別な事情がない限り当該年度内は変更されません。
バンガロールやチェンナイに日本人学校はありますか?
ありません。全日制の日本人学校はニューデリーとムンバイの2校のみです。チェンナイ日本人会も「チェンナイには日本人学校こそありませんが」と案内しています。両都市には土曜の補習授業校(チェンナイは約90名)があり、平日はインターナショナルスクールや現地校に通い、土曜に日本語・国語を補うのが一般的な組み合わせです。平日の日本語の量をどう確保するかが、この2都市に赴任する家庭の最大の課題になります。
インターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけでインター生の学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、インターで英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。
他の国と比べたい方は、世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、同じく国レベルで学費を並べたタイ・マレーシア・ベトナム・アメリカもあわせてご覧ください。

