「日本の勉強が遅れないように、海外からオンライン塾を使いたい」――駐在・国際結婚・永住など、海外で子育てをするご家庭からよくいただく相談です。ただ、いざ探し始めると、時差で授業に入れない、体験は良かったのに続かない、そもそも何を学ばせたいのか分からなくなる、という壁にぶつかります。この記事では、海外から使えるオンライン学習を4つのタイプに整理し、日本時間の授業が自分の街で何時になるのかを一覧にし、小学生・中学生・高校生それぞれで何を優先すべきかを、公的データを踏まえて落ち着いてまとめます。
海外でオンライン塾を探す家庭が増えている理由【2026】
まず、数字で状況を確かめておきます。文部科学省の統計要覧で確認できる義務教育段階の在外学齢児童生徒数は82,571人(平成29年)で、これが最後の公表値です。同じ年、日本人学校と補習授業校に在籍していたのは合わせて41,217人。つまり海外にいる学齢期の子のおよそ半数は、日本人学校にも補習授業校にも在籍していません。文部科学省の「在外教育施設未来戦略2030」(令和3年6月)も、「いずれの在外教育施設にも通わない子供が増加してきたと考えられる」と明記しています。海外でオンラインを探す家庭が増えているのは、意識が高いからではなく、近くに通える場所がそもそも無いからです。

もうひとつ、見落とされがちな事実があります。文部科学省の「在外教育施設未来戦略2030」は、補習授業校の授業を担当する学校採用教師・講師の多くが他の仕事と兼職しており、日本の教員免許状を持たない人も多いと明記しています。近くに補習授業校があっても、「日本の学校と同じ水準の授業」がいつも受けられるとは限らないのが現実です。だからこそ、誰が教えるのかは、オンラインを選ぶときにも最初に確かめたいポイントになります。
海外から使えるオンライン学習は、大きく4タイプ
「オンライン塾」とひとくくりに呼ばれますが、中身はまったく違います。海外から使う前提で整理すると、次の4タイプに分かれます。

| タイプ | 向いている家庭 | 海外で起きやすいつまずき |
|---|---|---|
| ① 映像・教材型 (録画授業・タブレット教材) | 時差が大きい地域/自分のペースで進めたい | 誰も待っていないので続かない。分からない所で止まる |
| ② 1対1の個別・家庭教師 | 受験対策など目的がはっきりしている | 費用が高くなりやすい。同世代とのつながりは生まれない |
| ③ 集団ライブ授業 | 日本時間の夜に無理なく入れる地域 | 時差が合わないと参加自体ができない。人数が多く発言しにくい |
| ④ 少人数クラス+担任 | 「続けること」自体が課題の家庭 | 定員がある。時間割が決まっている |
日本国内なら①や②で十分うまくいく家庭も、海外だと「日本語で話す相手が家族しかいない」という条件が加わります。学びが止まる原因が学力ではなく孤独であることは、海外ではとても多いのです。
申し込む前に確認したい「海外だと使えない」の落とし穴
意外に知られていませんが、国内向けの人気サービスほど、海外では機能が制限されます。しかもこれは各社が公式に明記している事実です。たとえば進研ゼミは、「オンラインやデジタルでのコンテンツ/サービスの提供は国内に居住されるかたを対象としております」とし、海外受講は紙教材のみ、高校講座は海外の取り扱いなしと案内しています。Z会も海外受講に対応する一方、専用タブレットの端末は海外では利用できません。「タブレットで手軽に」と考えていた家庭ほど、申し込んでから気づくことになります。
もうひとつ、公的支援についての大事な事実があります。海外子女教育振興財団(JOES)の通信教育は文部科学省の補助を受けていますが、「国語・算数/数学コース」は2023年度で終了し、現在の対象は理科・社会コース(小3〜中3・年額19,680円)と幼児・児童書の配本のみです。つまり国が補助する海外子女向け通信教育で、いま「国語」を扱うものはひとつもありません。海外で日本語の読み書きを続ける手立ては、各家庭が自分で用意するしかない――これが2026年時点の現実です。
日本時間の授業は、あなたの街では何時?(時差早見表)
オンライン塾選びで最初に確かめるべきは時差です。日本の塾の多くは、日本の子どもに合わせて平日の夕方〜夜に授業を組んでいます。その時間が現地で何時になるかを、標準時で換算したのが次の表です。

表のとおり、アジア・オセアニアにお住まいなら、日本の平日夜の授業はそのまま使えます。シンガポール・香港・上海・台北は18時、バンコクやジャカルタは17時、シドニーはむしろ20時と、生活時間にきれいに収まります(都市別の選択肢はシンガポールの子ども向け日本語スクールやバンコクで国語を補う塾・オンラインにまとめています)。
問題は欧州と北米です。日本の19時はロンドンで午前10時、ニューヨークで朝5時、ロサンゼルスでは深夜2時。日本の平日夜の授業は、北米からは事実上受けられません。この地域では発想を逆にして、「日本時間の午前=現地の夕方」の枠を探すのが正解です。たとえば日本時間の土曜午前9時は、ニューヨークで金曜の夜8時前後、ロサンゼルスで金曜の夕方5時前後にあたります。時間帯を用意している学校かどうかを、申し込む前に必ず確認してください。
小学生・中学生・高校生――「何を学ぶか」は年齢で変わる
次に決めるのが科目です。海外の家庭は「英語は現地で伸びるから、日本の勉強は数学を」と考えがちですが、実際に帰国後つまずくのは国語であることが圧倒的に多い、というのが現場の実感です。理由ははっきりしています。算数・数学は現地校でも記号と数で学べるのに対し、日本語の読み書きだけは、日本語で学ぶ場がないと止まるからです。

小学生は、漢字と読解が学年から離れやすい時期です。小学校で学ぶ漢字は6年間で1,026字。ここに空白ができると、教科書そのものが読めなくなり、理科や社会にも波及します(詳しくは帰国子女の漢字|読めない・書けないの正体)。中学生は、高校受験・帰国生入試を意識し始める学年。ただし帰国生入試は学校ごとに条件も科目もまったく違います。海外在留年数ひとつ取っても「1年以上」(広尾学園中)「2年以上」(渋谷教育学園渋谷中・都立国際高)と分かれ、帰国後の経過年数の条件も別です。そして重要なのは、「帰国枠=英語だけで受けられる」も「国語がないと詰む」も、どちらも正しくないということ。広尾学園のインターナショナルAGは英語重視ですがJapanese(50点)があり、渋谷教育学園渋谷は英語型でも国語100点が必須。一方、都立国際高は日本人学校出身者は国語(作文を含む)を含む3教科ですが、現地校出身者は作文と面接のみで、日本語か英語かを選べます。志望校の募集要項を必ず一次情報で確認してください(駐在中の国語、帰国後に間に合う?/帰国子女が国語を苦手にする理由)。高校生は、現地カリキュラムと日本の大学受験の両立が課題になり、目的別に個別指導を足すのが現実的です。
「日本語で学び続ける場」としてのともだちじゃぱん

受験科目を鍛えるオンライン塾は、目的がはっきりしている家庭にとって確かな選択肢です。私たちともだちじゃぱんが担っているのは、そこではありません。学年相当の国語・日本語を、日本の同世代と一緒に続ける場です。授業を担当するのは約2%の選考を通過した現役水準の日本の先生。8人制の少人数クラスに担任がつき、月100コマ・3つの時間帯+時差調整で、アジアからも欧米からも通えるようにしています。何より、同じクラスに日本の同世代の友達ができるので、「今日は面倒だな」という日にも待っている人がいる。送迎はゼロ、料金は月24,800円(税込・通い放題)です。
「うちの子、今の学年からどれくらい離れているんだろう」と思ったら。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で目安が分かります。海外での日本語・国語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。
よくある質問(海外 オンライン塾)
海外からでも日本のオンライン塾は受講できますか?
多くのサービスが海外からの受講に対応していますが、「受講できる」ことと「続けられる」ことは別です。確認すべきは、①その授業が現地で何時になるか、②教材や請求が海外の住所・クレジットカードで通るか、③質問や相談を日本語でできる相手がいるかの3点。特に北米・欧州は、日本の平日夜の授業が現地の早朝・午前にあたるため、時間帯の選択肢がある学校を選んでください。
オンライン塾は小学生でも続きますか?
続くかどうかは、教材の質よりも「一人で画面に向かうのか、仲間と向かうのか」で大きく変わります。録画教材は時差に強い一方、低学年ほど誰も待っていない環境では続きにくいのが実情です。小学生には、決まった時間に、同じ先生・同じ仲間と会える少人数クラスのほうが定着しやすい傾向があります。
海外で中学受験を目指す場合、オンライン塾だけで足りますか?
帰国生入試は学校ごとに出願条件(海外在留年数・帰国後年数)も試験科目もまったく異なります。英語重視で受けられる学校もあれば、国語や作文が課される学校もあるため、まず志望校の募集要項を公式サイトで確認することが出発点です。そのうえで、受験対策は個別指導、土台となる日本語の読み書きは継続的な国語の授業、と役割を分けると無理がありません。
オンライン塾と補習授業校は、どちらを選ぶべきですか?
近くに補習授業校があり、土曜に通えて、お子さんが楽しく通えているなら、補習授業校は素晴らしい選択肢です。判断が必要になるのは、通える距離に無い・土曜がつぶれる・レベルが合わない・本人が行きたがらないとき。詳しくは補習校の代わりになるオンラインの選び方と、日本人学校と補習校の違いをご覧ください。全日制の日本人学校を探している方は世界94校の一覧もどうぞ。
日本の教科書は海外でももらえますか?
はい。文部科学省は「国内の義務教育教科書無償給与制度の趣旨に沿って」海外の日本人学齢児童生徒に教科書を給与しています(法律が海外に直接適用されるわけではありません)。在外教育施設に在籍していない子どもには、在外公館から給与されますので、日本人学校や補習授業校に通っていなくても受け取れます。ただし永住権を取得している場合は原則対象外(帰国して進学する意思がある場合などは対象)、送料・梱包手数料は自己負担です。出国前に受け取る場合は海外子女教育振興財団への申請が必要なので、渡航が決まった時点で確認してください。
費用の相場はどのくらいですか?
形式によって大きく異なり、映像・教材型は比較的安く、1対1の個別指導は高くなるのが一般的です。金額はサービスごとに改定されるため、必ず各社の公式サイトで最新の料金を確認してください。海外の教育費全体の考え方は海外駐在の日本語、結局いくら?にまとめています。ともだちじゃぱんは月24,800円(税込・通い放題)で、コマ数による追加料金はありません。
海外に住みながら日本の中学受験に挑む具体的な進め方は、海外からの中学受験で解説しています。
帰国枠での中学受験を検討する場合は、帰国子女の中学受験もあわせてご覧ください。

