「バンコク 日本人学校 給食」「シンガポール 日本人学校 給食」のように、赴任先の都市名をつけて調べる人がとても多い質問です。知りたいことははっきりしています。毎日お弁当を作ることになるのか、それとも給食があるのか。今回、日本人学校10校の公式サイト・学校要覧・入学案内を実際に確認しました。結論から書きます。「給食がある」と公式に確認できた学校は、10校中0校でした。そして「給食はありません」と公式に明記していたのが4校、「お弁当を食べます」と学校生活の説明に書いていたのが2校、残る4校は公式には確認できませんでした。この記事では、その内訳と、なぜそうなるのかという制度の理由、そしてお弁当にも3つのかたちがあることを整理します。
10校を調べた結果|「給食あり」はゼロだった
サジェストに出てくる都市(バンコク・シンガポール・ジャカルタ・マニラ・ロンドン・ニューヨーク・台北・ホーチミン・マレーシア・上海)に対応する10校を、公式サイトで確認した結果です。
| 学校 | 昼食のかたち | 公式サイトの記述 |
|---|---|---|
| バンコク日本人学校 (泰日協会学校) | 弁当持参(必須) | FAQに「本校には給食はありませんので、必ずお子様にお弁当を持たせてください。校内では食品の販売は行ってはおらず、昼食を購入するために校外に出ることもできません」 |
| シンガポール 日本人学校 | 持参弁当+注文弁当 | 1日の流れに「児童はお弁当や注文弁当を学級のみんなと美味しくいただきます」。3校とも注文サイトあり |
| クアラルンプール 日本人学校 | 弁当持参+校内で買える『買い弁』 | 「本校には給食制度はございませんが、保護者の皆様の利便性向上のため、PTAが外部業者と調整を行い、校内でお弁当をご購入いただける【買い弁】の体制を整えております」 |
| 上海日本人学校 (虹橋校・浦東校) | 弁当と水筒を持参(出前も不可) | FAQに「給食は提供しておりません」「本校児童生徒への飲食物の出前も…お断りしています」 |
| ジャカルタ 日本人学校 | 弁当持参 | 一日の流れに「友達や先生と一緒に弁当を食べます」。小1説明会資料の準備物にも「お弁当の用意」 |
| ホーチミン 日本人学校 | 弁当持参 | 学校生活のページに「おうちの方が作ってくれたお弁当を、教室で先生やお友達といっしょに食べます」 |
| 台北日本人学校 | 公式に確認できず | 校納金規定(2026年4月)に給食費の項目はないが、昼食のかたち自体の記載は見つからなかった |
| ニューヨーク 日本人学校 | 公式に確認できず | 年間必要経費の内訳に給食費の項目はない。PTOのお弁当申込の案内はタイトルのみ公開で本文はパスワード保護 |
| マニラ日本人学校 | 公式に確認できず | 時程表に「昼食 11:30〜11:55」の時間帯があるのみ |
| ロンドン日本人学校 | 公式に確認できず | 学校生活を紹介するページ自体が公開されていない状態だった |
ここまで揃うと、「日本人学校=日本と同じで給食がある」という前提は、いったん外したほうがよいということが見えてきます。実際、給食がないことを明記している4校は、いずれもアジアの大規模校です。

なぜ給食がないのか|学校給食法が日本人学校に届いていない
これは学校の努力不足ではなく、制度の建て付けの問題です。条文をたどると理由がはっきりします。
日本の学校給食は学校給食法(昭和29年法律第160号)に支えられています。同法第3条第1項は「学校給食」を「義務教育諸学校において、その児童又は生徒に対し実施される給食」と定義し、第3条第2項がその「義務教育諸学校」を「学校教育法……に規定する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部」と定義しています。
一方の日本人学校は、文部科学省の説明では「一般に現地の日本人会等が主体となって設立され」る海外の教育施設で、文部科学大臣から国内の小中高と「同等の教育課程を有する旨の認定」を受けているものです。学校教育法第1条が定める学校(いわゆる一条校)ではありません。したがって学校給食法の「義務教育諸学校」の定義に、そもそも含まれていません。
ここは書き方に注意が必要なところです。学校給食法に「在外教育施設を除く」という除外規定があるわけではありません。最初から定義に入っていないので、給食実施の努力義務(第4条)も、学校給食栄養管理者(第7条)も、実施基準・衛生管理基準(第8条・第9条)も、国庫補助(第12条)も、日本人学校には及びません。給食をやるかどうか、やるとしてどんな仕組みにするかは、各校の判断に委ねられているということです。だから学校ごとにバラバラになります。
ちなみに、文部科学省が在外教育施設について示している中長期の方針「在外教育施設未来戦略2030」(令和3年6月)にも、「給食」「昼食」「食育」「栄養」という語は一度も出てきません。国の関心は教育課程・教師・ICTなどに向いており、昼食は論点になっていない、というのが現状です。日本人学校という仕組み自体については日本人学校と補習校の違い、学校数と所在地は日本人学校の一覧にまとめています。
「お弁当」といっても3つある
給食がない=毎日手作り、とは限りません。今回の10校で確認できた昼食のかたちは、大きく3種類でした。
- ①持参弁当のみ=家庭で用意して持たせる。バンコク日本人学校は校内での食品販売も、昼食を買いに外へ出ることも認めていないと明記しています(病気などで用意できない場合はPTA・育友会のページを参照するよう案内)
- ②持参弁当+注文弁当=シンガポール日本人学校は3校ともお弁当の注文サイトを持ち、献立表・成分表・引換券まで公開しています。費用は1食ごとの課金で、公式PDFにはオンライン注文で「現$6→$6.25、現$8→$7.5」に変わること、システム利用料が別途$0.80加算されることが書かれています(シンガポールドル・2026年度)
- ③持参弁当+校内購入(買い弁)=クアラルンプール日本人学校はPTAが外部業者と調整して校内で購入できる体制をとっており、業者は2社。メニュー表には品目ごとの金額欄があり、注文は前日12時から当日朝8時15分までのオンライン受付です
つまり「毎朝お弁当を作り続ける生活になるかどうか」は、赴任先の学校によって変わります。学校選びの段階で確認しておくと、現地に着いてからの生活設計がかなり変わる部分です。

アレルギー対応は、学校によってまったく違う
ここは食物アレルギーのあるお子さんにとって、学校選びの核心になる部分です。統一ルールがないので、対応も本当にバラバラでした。
- シンガポール日本人学校=注文弁当について「保護者様の責任において購入するお弁当を決定してください。アレルギー対応はしておりません」と明記。そのうえでお弁当成分表を学期ごとに公開しています
- バンコク日本人学校=FAQでエピペンの預かりについて質問を立て、「可能です」としたうえで、入学・編入学を検討する早い段階での相談と、養護教諭との面談を案内しています
- クアラルンプール日本人学校=買い弁の成分表に「アレルギー表示の対象である特定原材料」欄を設け、品目ごとに小麦・卵・乳などを明示。業者の衛生検査の受検状況まで公表しています
- 上海日本人学校=給食を提供しない理由そのものとして「飲食物を提供する場合、一番の課題は児童生徒個々のアレルギーへの対処や、食の安全確保にかかわる部分です」と説明しています
同じ「日本人学校」でも、成分表を出す学校、対応しないと明言する学校、面談で個別に相談を受ける学校があるということです。アレルギーのあるお子さんは、学費や通学より先に、ここを問い合わせる価値があります。入学時に提出する書類でアレルギーやエピペンの有無を申告する仕組みは各校にありますので、入学手続きの全体像は日本人学校の入学条件と手続きもあわせてご覧ください。
日本の給食と比べると、何が変わるのか
比較のために、日本国内の数字を置いておきます。文部科学省の「学校給食実施状況等調査」(令和5年5月1日現在)によれば、完全給食の実施率は小学校98.8%(児童数ベースで99.2%)、中学校89.8%(生徒数ベースで90.0%)。学校給食費の平均月額は小学校4,688円(年間192回)、中学校5,367円(年間188回)です。ただしこの月額は「年間の食材費相当額を11か月で除した額」であり、調査対象も完全給食を実施する公立学校に限られます。1食ごとに課金される海外の注文弁当と単純に比べられる数字ではありません。
それでも、生活の設計としては次の3つが実際に変わります。
- 朝の時間が変わる=日本にいたときは給食だった家庭ほど、毎朝の弁当づくりという新しい作業が増えます。特に小学部と中学部で登校時間が違うご家庭は影響が大きくなります
- 食材の調達が変わる=赴任先によっては、日本で当たり前だった食材が高価だったり手に入らなかったりします
- 栄養と衛生の責任が家庭に移る=日本では学校給食法が実施基準や衛生管理基準を定めていますが、日本人学校ではその枠組みが働きません。実際、注文弁当について「商品の内容・品質・衛生管理に関する一切の責任は当該業者に帰属します」と明記している学校もあります
なお、日本国内でも食材費は保護者負担と法律に書かれています(学校給食法第11条第2項)。「給食がなくなって費用が増える」というより、費用のかたちと手間のかかり方が変わると考えるほうが実態に近いはずです。学費全体の目安は日本人学校の学費にまとめています。
昼食より大きい差は、別のところにある
ここまで調べておいて言うのも変ですが、給食の有無は、赴任先の学校選びでいちばん重要な論点ではありません。お弁当は、慣れます。
本当に効いてくるのは日本語で学ぶ時間がどれだけ確保できるかのほうです。日本人学校に通えるなら、教育課程は日本の学習指導要領に基づき、国語の授業時数も日本と同じだけ確保されます。この点では日本人学校はとても強い選択肢です。学年の規模や中学部の様子は日本人学校の中学部にまとめました。
問題は、赴任先に日本人学校がない場合と、あっても通えない・合わない場合です。そのときの選択肢は日本語補習校(世界51カ国1地域に246校)か、家庭での学習になります。補習授業校は文部科学省の定義でも「土曜日等を利用して国語、算数(数学)等の授業を行う教育施設」で、日本の学校の代わりとして設計されたものではありません。
ともだちじゃぱんは、その空白のためのオンライン日本語スクールです。日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、学年相当の国語を日本の同世代と一緒に読んで・書いて・話します。授業はメタバース上なので送迎はゼロ、3つの時間帯+時差調整があるのでどの国からでも組み込めます。費用は月額定額(通い放題)です。日本人学校に通えているご家庭には必要ありません。近くに日本人学校がない、補習校が遠い、合わない――そういうご家庭のための選択肢です。
よくある質問(日本人学校の給食)
日本人学校に給食はありますか?
10校の公式サイトを確認した範囲では、「給食がある」と確認できた学校はありませんでした。バンコク・シンガポール・クアラルンプール・上海の4校は給食がないことを公式に明記しており、ジャカルタ・ホーチミンは学校生活の説明で「お弁当を食べます」としています。台北・ニューヨーク・マニラ・ロンドンの4校は公式に確認できませんでした。「日本人学校ならどこでも給食がない」と一般化はできないので、志望校に直接ご確認ください。
なぜ日本人学校には給食がないのですか?
学校給食法が適用されないからです。同法第3条第2項は「義務教育諸学校」を学校教育法に規定する小学校・中学校等と定義しており、日本人学校はいわゆる一条校ではないため、この定義に含まれません。「在外教育施設を除く」という除外規定があるのではなく、最初から対象に入っていないという構造です。そのため実施の努力義務も、栄養管理者の配置も、衛生管理基準も、国庫補助も及ばず、昼食の形は各校の判断に委ねられています。
毎日お弁当を作らないといけませんか?
学校によります。持参弁当のみの学校(バンコク日本人学校は校内での食品販売も、買いに外へ出ることも認めていません)、注文弁当が使える学校(シンガポール日本人学校は3校とも注文サイトと献立表・成分表を公開)、校内で買える「買い弁」がある学校(クアラルンプール日本人学校はPTAが外部業者2社と調整)があります。赴任先が決まったら、学校の公式サイトでお弁当の仕組みを確認しておくと生活設計が立てやすくなります。
お弁当代はいくらくらいかかりますか?
注文弁当は1食ごとの課金で、年額・月額の「給食費」という考え方ではありません。公式に金額を公表している例として、シンガポール日本人学校の2026年度の案内にはオンライン注文で「現$6→$6.25、現$8→$7.5」となり、システム利用料が別途$0.80加算されると書かれています(シンガポールドル)。持参弁当の場合の食材費は各家庭によるため、公表されている数字はありません。参考までに日本国内の学校給食費は小学校で平均月額4,688円、中学校で5,367円(令和5年5月1日現在。完全給食を実施する公立学校が対象で、年間食材費相当額を11か月で除した額)です。
食物アレルギーがあります。日本人学校では対応してもらえますか?
学校によって対応がまったく違います。シンガポール日本人学校は注文弁当について「アレルギー対応はしておりません」と明記したうえで成分表を公開しています。バンコク日本人学校はエピペンの預かりについて「可能です」とし、早い段階での相談と養護教諭との面談を案内しています。クアラルンプール日本人学校は買い弁の成分表に特定原材料の欄を設けています。上海日本人学校はアレルギーへの対処と食の安全確保を、給食を提供しない理由として挙げています。学費や通学より先に問い合わせるべき項目です。
給食がないと、栄養面が心配です
日本国内では学校給食法が実施基準(第8条)や衛生管理基準(第9条)を定めていますが、日本人学校ではその枠組みが働きません。注文弁当について「商品の内容・品質・衛生管理に関する一切の責任は当該業者に帰属します」と明記している学校もあります。一方で、成分表を公開したり、業者の衛生検査の受検状況まで公表したりしている学校もあります。公表されている情報の量そのものが、学校ごとの姿勢の差として表れています。
この記事で取り上げた都市のある国は、その国にある日本人学校の校数と学費を国単位でも整理しています。タイの日本人学校の学費/マレーシアの日本人学校の学費/ベトナムの日本人学校の学費/インドネシアの日本人学校の学費/フィリピンの日本人学校の学費/中国の日本人学校の学費/台湾の日本人学校の学費/アメリカの日本人学校の学費/イギリスの日本人学校の学費。
昼食と同じで、制服も学校ごとに答えが違います。日本人学校の制服|10校で確認した有無と持ち物では、制服があるかどうかに加えて、指定品や上履き・体操服をどこまで日本で買っておく必要があるかを学校別に整理しています。

