「2027年に日本の中学を受験させたい。でも要項がまだ出ていないから、今は動きようがない」――「帰国子女 中学受験 2027」で検索する海外のご家庭がぶつかるのは、情報の少なさより「動き出す口実がない」ことです。中学入試の要項は年度ごとに作り直され、多くの学校は前年の夏から秋にならないと出しません。けれど要項が出そろってから動くと、ほぼ確実に一手遅れます。この記事では2026年7月の今から2027年の入試日までを月単位で並べ、「いつ何が公表されるか」と「待たずに今日から確定できること」を切り分けます。
まず「2027年の入試」が何月なのかを固定する
逆算の前にゴールの日付を固定します。中学入試で言う「2027年度入試」とは2027年4月に入学するための入試で、試験は前年の冬から2027年2月にかけて行われます。東京都が公表した令和8年度(2026年4月入学)の都内私立中学校入学者選抜実施要項では、入学願書受付が令和8年1月10日以降、入学者選抜期日が令和8年2月1日以降でした。例年この形が踏襲されるため、東京・神奈川の一般入試は2027年も2月1日以降と見ておくのが自然です。
ここで学年を確認してください。2027年2月に受験するのは、2026年7月の時点で小学6年生のお子さんです。今が小5なら対象は2028年入試になります。月の並びは毎年ほぼ同じなので、1年ずらせばそのまま小5のご家庭のカレンダーとして使えます。
そして帰国生入試はさらに前倒しです。首都圏の帰国生入試日程をまとめた日能研グローバル・サービスのカレンダーは、掲載範囲が10月から翌1月まで。実際、大妻中学高等学校は12月上旬、三田国際科学学園中学校は11月下旬と12月上旬に実施しています(いずれも2026年度入試の要項)。2027年入試の残り時間は「約7か月」ではなく実質4か月ほどと考えたほうが安全です。帰国枠の仕組みそのものは帰国子女 中学受験の条件・日程・選考型で扱っています。

何がいつ公表されるか――待てるものと、待てないもの
「要項待ち」で止まる原因は、公表の主体が三層に分かれていることにあります。一番早いのは都道府県・私学協会レベルの解禁日。大阪私立中学校高等学校連合会は2026年7月の時点で、すでに令和9年度(2027年度)の入試情報として「中学校 令和9年1月16日(土)以降」を掲載しています。関西2府4県は1月中旬の統一解禁日で足並みをそろえるため、この一行だけで関西の日程の骨格は先に組めます。関西の事情は関西の帰国枠と関東との違いに。
次に来るのが自治体がまとめる私立中学校の募集要項です。千葉県は令和7年度分を令和6年9月10日に報道発表し、東京都は令和8年度の実施要項を令和7年10月8日に発表しています。9月から10月にかけて県単位の全体像が出ると見ておけば、おおむね合います。首都圏1月入試の位置づけは千葉の1月入試と都内併願、東京の受入校は東京の出願条件と主な受入校で扱っています。
最後が学校ごとの帰国生入試要項で、ここは学校差が大きい部分です。ただし「秋まで何も出ない」は誤解で、2026年7月時点ですでに2027年度へ動き出している学校があります。三田国際科学学園中学校は2027年度中学帰国生入試の事前登録を7月上旬に開始し、広尾学園中学校も2027年度の募集要項を公開しています。事前登録や出願資格認定を先に済ませないと出願できない学校があるため、待てるのは「科目・配点」だけ。解禁日と締切は、取りに行く側の情報です。

要項を待たずに今日から確定できる4つ
要項が出ていなくても、出願の可否を決める変数の大半はすでにご家庭の側にあります。在外年数、帰国予定日、海外側でしか取れない書類、そして国語の土台。この4つは今日から動かせます。
まず在外年数と帰国日。出願資格は学校ごとに別物です。大妻中学高等学校は「本人が継続して1年以上海外に在留し、かつ帰国後3年以内」、広尾学園中学校も「海外在住経験が1年以上あり、帰国後3年以内」。一方で海城中学高等学校は、一定期間内に通算2年以上在住し、指定された基準日以降に帰国した者という書き方です。
効いてくるのが「継続」と「通算」の違いです。転勤の途中で日本に戻った期間があると、「継続1年以上」ではリセットされ、「通算2年以上」なら足し合わせられます。同じご家庭がA校では資格を満たし、B校では満たさない――が普通に起こります。渡航日・一時帰国日・帰国予定日を一枚の表にして年数を数えておく。要項が出た瞬間に照合できれば、9月以降の判断が一気に速くなります。条件差は帰国枠の条件は学校ごとに別物も。
次に海外側でしか取れない書類です。在学証明書、成績証明書、海外在留を示す書類。広尾学園中学校は「海外在留証明書」の様式を自校サイトで公開しており、こうした学校指定の様式に現地校のサインをもらう書類は、現地の長期休暇や時差をまたぐと数週間かかります。11月出願・12月試験を視野に入れるなら、9月には現地校へ依頼が現実的な線です。逆算の考え方は海外で先に取るもの・逆算表に。

| 時期 | 公表・確定すること | 家庭でやること | 海外側で手配すること | 国語の土台 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年7〜8月 | 協会・連合会の解禁日。一部の学校は事前登録を開始 | 渡航日と一時帰国を年表化。志望校候補を10校程度に絞る | 現地校の年間予定を確認し、書類発行の担当者を特定 | 学年相当のどこに穴があるかを把握 |
| 2026年9〜10月 | 県単位の募集要項(千葉は例年9月、東京は例年10月) | オンライン・海外開催の説明会に参加。事前登録の締切を管理 | 在学証明書・成績証明書・在留証明書を正式に依頼 | 読解と記述を週単位で継続。漢字を学年配当で棚卸し |
| 2026年11〜12月 | 帰国生入試の出願・実施が本格化(10月〜1月が中心) | 出願。受験地(日本・海外会場)と渡航手配を確定 | 書類の受領と原本の携行。追加様式の有無を再確認 | 過去問形式で時間内に書き切る練習へ |
| 2027年1月 | 埼玉・千葉の1月入試、関西の統一解禁日(令和9年1月16日以降) | 併願を最終確定。発表と手続き締切を一元管理 | 帰国日程・住居・在留手続きの段取り | 受験校の傾向に合わせた記述の型を固める |
| 2027年2月以降 | 東京・神奈川の一般入試(例年2月1日以降)、入学手続 | 入学手続。編入や公立への切替判断 | 現地校の退学手続きと最終成績の受領 | 授業についていくための読み書きへ移行 |
出願資格が確定しないときの、併願の組み方
帰国枠でいちばん多いつまずきは、学力ではなく資格です。よくあるのは3つ。①在外年数がわずかに足りない、②帰国後年数の期限が受験年に切れる、③保護者の帰任時期が確定しない(辞令待ちで、帰国が受験前か後か読めない)。
このとき有効なのは、志望校を偏差値の帯ではなく「資格が確実/条件付き/資格不要」の3層で並べ直すことです。第1層は今の在外年数でも確実に満たす学校。第2層は帰国日や年数の解釈しだいの学校で、必ず事前に学校へ直接照会します。第3層は帰国枠を使わない一般入試・編入・公立中学。第1層をひとつも持たずに出願期を迎えるのが、いちばん危ない形です。
照会は早いほど有利です。事前登録・出願資格認定を置く学校が多く、認定に2週間前後かかる例もあります。「たぶん大丈夫」で待たず、夏のうちに聞いてしまうのが、いま最も費用対効果の高い行動です。海外からの説明会は海外から参加する3つの型と予約の壁、判定の見方は海外からの模試の受け方と判定の読み方、偏差値表がそのまま使えない理由は一般入試の表が使えない理由にまとめました。
2027年2月まで、国語だけは止めない
逆算表の右端に「国語の土台」を置いたのには理由があります。日程も書類も、締切を守れば片づく作業です。ところが国語だけは、締切前に一気に取り返せません。帰国枠の選考は国語・算数、国語・算数・英語、作文と面接など形が違いますが、日本語で読み取って日本語で書く力はほぼ全型に共通して要求されます。英語で受験できる型を選んでも、合格後の授業は日本語で進みます。
海外にいると、国語は「今週は忙しいから飛ばそう」の対象になりがちです。飛ばした週は学年相当の語彙と読解量がそのまま抜け、半年後の模試で初めて穴に気づきます。この7か月は、量を増やすより止めないことを目標に。中学受験の国語はいつから始めるか、国語「できない」を4つの層に分けるもどうぞ。
正直に申し上げると、ともだちじゃぱんは中学受験の志望校対策塾ではありません。過去問分析や面接指導は、帰国生入試の蓄積を持つ受験塾の領域です。私たちが担うのはその手前――学年相当の日本語を、受験期を通して切らさないこと。運営は国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を持つ株式会社NIJIN、講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った現役水準の日本の教員で、8人の少人数クラス・担任制です。クラスには日本に住む同世代の仲間がいるので、「受験だから」ではなく「友達と話したいから」続きます。料金は通い放題で月額定額。日本人学校は有利か不利かもご覧ください。

よくある質問
「2027年度入試」とは、いつ受ける入試のことですか?
2027年4月に入学するための入試です。試験は前年の秋から2027年2月にかけて行われ、東京・神奈川の一般入試は例年2月1日以降(東京都の令和8年度実施要項では選抜期日が令和8年2月1日以降)。受験するのは2026年7月時点で小学6年生のお子さんです。現在小5なら対象は2028年入試ですが、月の並びは毎年ほぼ同じなので1年ずらしてお使いいただけます。
2027年度の募集要項は、いつ公表されますか?
公表の主体で時期が違います。協会レベルの解禁日は早く、大阪私立中学校高等学校連合会は2026年7月時点で令和9年度の中学校入試を「令和9年1月16日(土)以降」と掲載。県単位の募集要項は、千葉県が令和7年度分を令和6年9月10日、東京都が令和8年度分を令和7年10月8日に発表しており、例年9月から10月ごろが目安です。学校個別の帰国生入試要項は差が大きく、7月時点で事前登録を始めた学校もあります。必ず志望校の最新版で確認してください。
在外年数があと数か月足りません。どうすればよいですか?
学校によって数え方が違うことを、まず確認してください。「継続して1年以上」とする学校(大妻中学高等学校、広尾学園中学校など)と、一定期間内の「通算2年以上」とする学校(海城中学高等学校など)があり、一時帰国を挟んだご家庭では結論が変わります。基準日が出願時か翌年3月末かも学校ごとに異なります。数か月の不足なら基準日しだいで満たす場合があるため、自己判断せず学校へ直接照会を。並行して、資格を確実に満たす学校を1校以上確保しておくと安全です。
帰任の時期が会社の都合で決まりません。何から手を付けますか?
帰任時期に左右されない項目から着手します。渡航日と一時帰国の記録の整理、現地校からの書類手配、国語の継続の3つで、どのシナリオでも無駄になりません。そのうえで帰国が受験前になる場合と後になる場合の2本立てで志望校リストを作り、それぞれ出願資格を学校に確認します。受験後にずれ込む見込みが強いなら、公立中学へ一度編入して高校入試で仕切り直す設計も現実的です。
今から始めて、2027年入試に間に合いますか?
帰国生入試が10月から1月に集中する以上、「志望校の出題に合わせた仕上げ」を今から積む時間は十分ではありません。ただし間に合うかどうかを決めるのは、多くの場合は学力ではなく手続きです。事前登録の締切、書類の発行、受験会場と渡航の手配を落とさなければ、受験そのものは成立します。限られた時間の投資先としては国語の読解と記述が最も効率的で、合格後も同じ力が授業でそのまま必要になります。
月別の逆算カレンダーを見るときは、帰国の日付そのものが出願資格を左右する点もあわせて確認しておくと安心です。帰国時期で出願できる学校が変わる話もご覧ください。
逆算の途中で「英語だけで受けられる学校を探す」という選択肢が浮かぶことがあります。英語のみの入試をどう見分けるかもあわせて確認しておくと、志望校選びで迷いにくくなります。
月別の逆算カレンダーどおりに動いていても、途中でつまずく型はいくつか決まっています。中学受験でつまずく5つの型もあわせてどうぞ。

