帰国の日程が決まって、「世田谷区 一時帰国」と検索する。実家やマンションが世田谷区にあって、その数週間だけ子どもを近くの区立小学校に通わせたい。区のページは見つかったけれど、読み進めるうちに「で、いつ申し込めばいいの?」が分からなくなる。そういう家庭は確実にいます。
先に結論を書きます。世田谷区では、子どもが日本に帰国する前には申請できません。出発前にやるのは「学校への一報」だけで、正式な申請は帰国後、しかも窓口なら条件がそろえば許可書をその場で受け取れます。逆に、海外から電子申請で済ませようとすると、結果の郵送に10日ほどかかります。この記事では、2026年9月13日時点の世田谷区の公式ページを原文で読み、手続きの順番と、他の区と違うところを整理しました。

世田谷区の一時帰国は「体験入学」ではなく、正式な編入学
世田谷区の一時帰国向けのページは、最初にこう書いています。
世田谷区教育委員会へ就学の申請をおこなうことにより、入学を認めております。なお、体験入学ではありません。正式な編入学での受入れとなります。
世田谷区「一時帰国中の区立小中学校への就学について」
「体験入学ではありません」と書かれているので、断られたように読めてしまう人がいます。実際は逆で、正式な編入学として受け入れるという意味です。同じページの注意事項にも「体験入学という制度ではありませんので、在籍している子どもたちと同様に、学校生活を送っていただきます」とあります。お客さん扱いではなく、その期間はクラスの一員として過ごす、ということです。
受け入れの要件は4つです。「世田谷区に居住していること」「就学年齢であること」「日本国籍を有しない場合は、日本語が理解でき、学校運営に支障がないこと」「就学する学校の決まりを守ること」。要件は「居住」で、「住民登録」ではありません。ここが世田谷区を理解するいちばん大事なポイントなので、後で詳しく書きます。
一時帰国のあとも、日本語を続ける方法をお探しの方へ
ともだちじゃぱんは、海外で育つ子どものためのオンラインの日本語スクールです。日本の同世代と毎日話せて、日本の現役水準の先生が担任につく8人の少人数クラス。
🎁 ご登録の方に「学校案内」と「海外で育つ子の日本語 続け方ガイド」のPDFを、自動返信でその場でお届けします。学費・奨学金・開校日程もいちばんにお知らせします。
30秒・無料。ご質問は返信メールにそのままご返信ください。
手続きの順番は3段階。出発前にできるのは「学校への一報」だけ
区のページに書かれている流れを、そのまま順番に並べます。
- 帰国の約2週間前までに、滞在先の通学区域の学校へ、保護者が一報する。
- 帰国後に、必要書類を持って教育委員会へ就学の申請をし、就学の許可書を受け取る。
- 許可書を持って、学校で入学手続きをする。
そして、申請手続きの見出しには補足として「お子さんの帰国前に手続きはできません」と書かれています。電子申請のページにも「一時帰国前の申請は受付できません。必ず帰国後に申請してください。」とあります。パスポートの帰国日の証印を確認する手続きなので、帰国していないと申請が成立しない、という作りです。
つまり、海外にいる間にやることは学校への連絡です。電子申請のページも「あらかじめ通学区域の学校に連絡してから申請してください。」と念を押しています。どの学校に連絡するかは、滞在先の住所で決まります(区の「通学区域」の住所別一覧で調べられます)。
なお、「何日前までに申し込むこと」という区の締切は、公式ページには書かれていません。書かれているのは「帰国の約2週間前までに学校へ一報」だけです。ネット上で「1か月前までに申請」といった説明を見かけても、それは他の自治体の話である可能性があります。
窓口と電子申請、短い滞在なら窓口のほうが早い
申請は、窓口と電子申請のどちらでもできます。ただし、結果が出るまでの時間がまったく違います。
- 窓口=区のページは「申請を受け、教育委員会はその場で受入先学校へ連絡を取ります。受入要件を満たしており、そのほか特段の支障等がない場合は、許可書はその場でお渡しします。」としています。
- 電子申請=「審査の結果は、申請後概ね10日以内に保護者あてに郵送します。お急ぎの場合は、申請前にお問い合わせください。」とあります。
一時帰国の滞在は3〜4週間ということも多いはずです。帰国してから10日待つと、それだけで滞在の3分の1が過ぎてしまいます。短い滞在なら、帰国の翌日以降に窓口へ行くほうが確実です。一方、電子申請は「就学期間を延長する場合も同じ画面から申請してください」とされているので、延長のときには便利です。
窓口は1か所だけで、ここも注意が要ります。
- 世田谷区教育委員会事務局 学務課就学係(世田谷区役所 第2庁舎5階 53番窓口)
- 平日 午前8時30分〜午後5時(祝日・年末年始を除く)
- 電話 03-5432-2683
区のページには「総合支所、出張所やまちづくりセンター等では受け付けできませんのでご注意ください。」とあります。実家の近くの出張所では手続きできない、ということです。

必要書類は、滞在先が「実家」「持ち家」「賃貸」で変わる
持って行くものは3点です。
- 子どものパスポート(日本への入国時に使ったもの)。帰国日の証印を確認します。自動化ゲートや顔認証ゲートを通って証印が無い場合は、飛行機の搭乗券の半券を持って行きます。
- 世田谷区に滞在していることが分かる書類(下の表)。
- 申請書。保護者以外が手続きする場合は委任状も必要です。
顔認証ゲートは証印が押されないので、搭乗券の半券は捨てずに取っておくのが、この手続きでいちばん忘れやすいところです。
滞在を証明する書類は、区のページで滞在先の種類ごとに指定されています。
| 滞在先 | 区が示している書類 |
|---|---|
| 親戚宅などに滞在 | 滞在先の世帯主による滞在証明書 など |
| 持ち家に滞在 | 滞在先に届いた郵便物や公共料金領収書など2〜3点 |
| 賃貸物件に滞在 | 滞在先の賃貸借契約書 など |
| 住民登録と滞在先が同じ | 不要 |
実家に泊まる場合の滞在証明書には、「※滞在を証明する書面は、滞在先の世帯の方が直筆でご記入下さい。」「※上記内容について、教育委員会・学校から問い合わせの連絡を行う場合があります。」と書かれています。祖父母に書いてもらう書類なので、帰国してからあわてないよう、様式を先に送っておくとスムーズです。
住民票が無くても申請できる。申請書が2種類ある理由
世田谷区の申請書は、住民登録の状況で2種類に分かれています。
- 住民登録を海外転出している方=「区域外就学申請書(一時帰国)」
- 住民登録を海外転出していない方=「就学申請書(一時帰国)」
海外転出届を出して住民票が無い家庭のために、専用の様式が最初から用意されている、ということです。一時帰国のために住民票を戻す必要はありません。ここは東京の中でも区によって正反対に分かれるところで、中央区は「中央区の住民登録がない方は受け入れができません。」、渋谷区は「渋谷区内在住であること(原則住民登録があること)」としています。
「区域外就学」は、本来は住所のある自治体とは別の自治体の学校に通うときの制度の名前です(学校教育法施行令第9条)。一時帰国の子どもは住所が海外にあるので、世田谷区はこの枠組みで受け入れている、と読むと様式の名前の意味が分かります。住民票を戻すかどうかで保険や年金まで変わる話は、一時帰国 住民票 子供|戻す・戻さないで変わることにまとめています。
OUR TEACHERS
教えるのは、日本の学校の先生です。
家庭教師でも、動画配信でもありません。日本の小中学校で子どもと向き合ってきた教員が、約2%の選抜を通って担任になります。まずは無料で、お子さまのことを相談してみてください。
無料です。お子さまがご一緒でなくても構いません。無理におすすめすることはありません。
世田谷区・港区・渋谷区・中央区を並べると
同じ東京23区でも、条件はかなり違います。滞在先を実家以外にする選択肢がある家庭は、ここで比べておくと判断が早くなります。
| 区 | 最低の就学期間 | 住民登録 | 公式ページの特徴的な記載 |
|---|---|---|---|
| 世田谷区 | 数値の記載なし | 不要(海外転出者用の「区域外就学申請書(一時帰国)」あり) | 帰国前は申請不可。窓口なら許可書をその場で交付。電子申請は結果郵送まで概ね10日 |
| 港区 | 「3週間以上継続して通学することができる児童・生徒」 | 公式FAQに記載なし | 終業式までの期間で数える |
| 渋谷区 | 「夏休みや冬休みなどの学校の休業期間を除いて、4週間以上」 | 原則必要 | 滞在先は「友人宅やホテルなどの宿泊施設はお認めできません。」 |
| 中央区 | 記載なし | 必須 | 「中央区立学校の体験入学制度はございません。短期間でも、必ず編入学の手続きが必要です。」 |
23区と多摩10市をすべて開いて比べた結果は東京23区に「体験入学」は無い。それでも15区は通えるに載せています。
学校は選べない。支援校に通えるのは学区内に泊まる場合だけ
通う学校は「滞在先の住所にもとづく指定校(通学区域校)」で、区のページは「※指定校変更は、原則として認められません。」としています。電子申請のページには「なお、通学手段は原則として徒歩です。」ともあります。
世田谷区には、帰国した子や外国人の子の受け入れに実績のある「帰国・外国人児童・生徒指導支援校」が小学校3校(上北沢小学校・千歳小学校・八幡小学校)あります。八幡小学校は「日本語教室(ゆりの木学級)」で取り出し指導をしていると公表しています。ただ、学校は滞在先の住所で決まるので、これらの学校に通えるのは、たまたま学区内に滞在する場合に限られます。一時帰国の短期就学の子が取り出し指導の対象になるかは、公式ページには書かれていませんでした。
梅丘中学校の中には「帰国・外国人教育相談室」があり、区は「外国から帰国して区立小学校・中学校に編入するお子さん」を対象に入学時の相談を受けていると案内しています(電話は日本語のみ)。子どもの日本語に不安がある場合は、学校に一報する前の相談先として覚えておくと役に立ちます。
給食・教科書・アレルギー。区のページに書いてあることと、書いていないこと
区のページの注意事項は、給食・健康診断・教科書について具体的に書いています。
- 給食=「事前に食材の発注が必要なため、学校へ連絡する際にお早めにお申し出ください。場合により、給食が提供できないことがありますので、ご了承ください。」
- 食物アレルギー=「昼食を必要とする日はすべてお弁当持参でお願いします。」
- 健康診断=「学校の指示に従って、健康診断を受診してください。」
- 教科書=「受け取りまでに日数がかかりますので、ご了承ください(登校日数が短い場合、間に合わないこともあります)。」
一方で、給食費は、区のページどうしで書いてあることが噛み合っていません。一時帰国のページ(2024年8月30日更新)は「給食費につきましては、事前に申し出のあった登校期間(喫食の有無にかかわらず、給食を用意した日)で請求させていただきます。」とし、納付書での支払いを案内しています。ところが、世田谷区は令和5年4月から区立小・中学校の給食費を無償化しており、2026年4月の単価改定のページでも「区立小・中学校の児童・生徒の給食費については無償化を継続いたします。」としています。無償化のページは一時帰国に触れていません。一時帰国で就学する子の給食費がどちらになるかは、申請のときに学務課で確認してください。私たちはどちらとも断定しません。
また、夏休みとの関係では「宿泊行事や長期休業中に実施される事業の参加のみを目的とした就学はできません。」と明記されています。移動教室や夏休みのプールだけに参加する形はできない、ということです。小学校の中で実際に起きること(教科書・持ち物・成績の扱い)は一時帰国の体験入学、小学校で実際に起きることで詳しく扱っています。
放課後のBOP、幼稚園、一時預かりはどうなるか
放課後(新BOP)。世田谷区の新BOPは、学童クラブとBOP(放課後子供教室)を合わせた区独自の事業です。BOPの対象は「区立小学校の1〜6年生」で、「※利用できるBOPは通学している区立小学校のBOPに限ります。」、利用料は「なし」、利用予定日の前日までに電子で登録します。一時帰国の就学は正式な編入学なので、文言の上では当てはまる可能性があります。ただし新BOPのページにもよくある質問にも「一時帰国」の記載はなく、使えるかどうかは確認できませんでした。学童クラブは1〜3年生で、保護者の就労などの要件と月額5,000円の利用料があります。
幼稚園。区立幼稚園は「対象は、世田谷区に住民票があり、在住している該当年齢の子どもです。」とし、申し込みから在園中まで住民票と実際の居住が続いている必要があると書いています。小中学校のような一時帰国の受け入れ枠は、区立幼稚園には見つかりませんでした。保育園のよくある質問に「一時帰国して申込み」という言葉が出てきますが、これは海外から世田谷区へ引っ越してくる家庭の入園申し込みの方法で、一時帰国中に通う制度ではありません。
一時預かり。「ほっとステイ」は「保護者の理由に関わらずにご利用いただけるお子さんの一時預かり」で、対象は「世田谷区にお住まいの0歳(4ヶ月)から未就学のお子さん」です。住民票の無い一時帰国の滞在で「お住まい」に当たるかは、公式ページからは判断できませんでした。各施設に確認してください。未就学の子の選択肢は、全国の自治体を調べた一時帰国中に幼稚園へ通わせたい|受け入れの実際と3つの道と一時帰国中に保育園・幼稚園へ通わせられる?にまとめています。
数週間の日本の学校のあとに、残るもの
世田谷区の区立小学校で過ごす数週間は、子どもにとって「日本の同い年の子と、日本語で一日を過ごす」貴重な時間です。そして、戻ったあとに多くの家庭が気づくのは、その相手が、次の一時帰国までいなくなるということです。
ともだちじゃぱんは、その「続き」をつくるためのオンラインスクールです。日本の現役水準の教員が、8人の少人数クラスで学年相当の国語を教えます。同じクラスには、同じように海外で育つ日本の同世代がいます。年に一度の数週間ではなく、毎週会って話す相手をつくることが目的です。
自分の市区町村の制度の名前が分からないときは一時帰国中に日本の学校に通うには|制度の名前が7通りに割れている、手続き全体の流れは一時帰国の「体験入学」完全ガイドをどうぞ。
よくある質問
世田谷区では、一時帰国中に区立小学校へ体験入学できますか
「体験入学」という制度はありませんが、正式な編入学として受け入れています。区のページは「なお、体験入学ではありません。正式な編入学での受入れとなります。」としています。要件は、区内に居住していること、就学年齢であること、外国籍の場合は日本語が理解でき学校運営に支障がないこと、学校の決まりを守ることの4つです。
海外にいる間に申請を済ませられますか
できません。区のページに「お子さんの帰国前に手続きはできません」、電子申請のページに「一時帰国前の申請は受付できません。必ず帰国後に申請してください。」とあります。出発前にできるのは、帰国の約2週間前までに滞在先の学区の学校へ一報することです。
住民票を世田谷区に戻さないと通えませんか
戻さなくても申請できます。住民登録を海外転出している方向けに「区域外就学申請書(一時帰国)」が用意されています。要件は「世田谷区に居住していること」で、滞在先に応じて滞在証明書・郵便物や公共料金の領収書・賃貸借契約書などで居住を示します。なお、中央区は住民登録が必須、渋谷区は原則として住民登録が必要としており、区によって扱いが違います。
申請してから、どれくらいで通い始められますか
窓口で申請した場合、要件を満たし特段の支障がなければ、許可書はその場で渡されると区は書いています。電子申請の場合は、審査結果を「申請後概ね10日以内」に郵送するとされています。滞在が短い場合は窓口での申請が早く確実です。窓口は区役所第2庁舎5階の学務課就学係のみで、総合支所や出張所では受け付けていません。
何週間以上いないと受け入れてもらえませんか
世田谷区の公式ページには、最低の就学期間の数値は書かれていません(2026年9月13日確認)。港区は「3週間以上」、渋谷区は休業期間を除いて「4週間以上」としているので、それと比べると条件は示されていない形です。ただし「短期間でも受け入れる」とも書かれていないため、滞在が短い場合は学校へ一報する段階で確認してください。
顔認証ゲートで帰国して、パスポートに証印がありません
区のページは「パスポートに帰国日の証印がない場合、帰国日を確認するために飛行機の搭乗券の半券をお持ちください。」としています。帰国日を確認するための書類なので、搭乗券の半券は申請が終わるまで捨てずに保管してください。



