「赴任先に日本人学校と補習校の両方があるらしいけれど、違いがよく分からない」「そもそも、うちの街には補習校しかない」――海外赴任が決まったご家庭が、最初につまずくのがここです。実際、「日本人学校 補習校 違い」と検索する保護者はとても多く、しかも制度の説明は役所のことばで書かれていて読みにくい。この記事では、文部科学省・外務省の一次情報にもとづいて、日本人学校と補習校の違いを、保護者の判断に必要な形に整理します。結論から言えば、両者は「レベルの違い」ではなく役割そのものが別で、選ぶ順番も決まっています。そして、どちらも選べない/合わないご家庭が実はいちばん多いという事実まで、正直にお伝えします。
日本人学校と補習校の違いは「全日制か、週末の一部教科か」
まず制度の話から。海外で日本の子どもが学ぶ「在外教育施設」は、文部科学省の定義で3種類に分かれます。
- 日本人学校=「国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする、全日制の教育施設」。1956年のバンコクが最初です。
- 補習授業校(補習校)=「現地の学校や国際学校等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設」。1958年の米国ワシントンが最初です。
- 私立在外教育施設=国内の学校法人等が海外に設置した全日制(立教英国学院、帝京ロンドン学園など6校)。
つまり日本人学校は「平日ずっと通う、そこが本体の学校」、補習校は「平日は現地校やインターに通っている子が、土曜などに国語を中心に補う場所」です。定義そのものに「現地の学校や国際学校等に通学している」と書かれているとおり、補習校は現地校・インターとの併用が制度の前提。逆に日本人学校は全日制なので、現地校との併用はできません。ここが最大の違いです。
日本人学校と補習校の違いを、公式データで一覧にする
数字と制度を、出典のある事実だけで並べます。あわせて、平日の夜に自宅から通えるオンライン(ともだちじゃぱん)も比較に加えます。
| 日本人学校(全日制) | 補習授業校(週末) | ともだちじゃぱん(オンライン) | |
|---|---|---|---|
| 学校数 | 94校・49カ国1地域(在籍 約1万6千人) | 242校・51カ国1地域(在籍 約2万1千人) | オンラインのため地域の制約なし |
| 通う頻度 | 平日毎日(全日制) | 週1回(土曜が主流・年40日前後) | 平日の夜=放課後に自宅から毎日 |
| 教える範囲 | 日本の学習指導要領に準拠した全教科 | 国語を中心に一部の教科(校により算数・数学等) | 学年相当の国語を中心に |
| 現地校・インターとの併用 | できない(そこが唯一の通学先) | 前提(現地校に通う子が対象) | できる(放課後の時間帯) |
| 国の関与 | 文部科学大臣が認定 | 外務大臣が指定(政府支援の対象) | ― |
| 卒業資格 | 中学部卒業=日本の高校の入学資格/高等部卒業=大学の入学資格 | 同等の認定の対象ではない | ―(学びの補完) |
| 学費のめやす | 年 €5,640(アムステルダム日本人学校の例)+入学金€350。校により入学寄付金が別途必要 | 年 €1,750(同市の補習校の例)+入学金€250 | 通い放題で月24,800円(税込) |
| 教科書 | どちらも義務教育の教科書が無償給与(在外公館経由・令和5年度は約13万7千人に給与) | 日本の教科書に沿った学び | |
| いちばんの弱点 | そもそも街に無いことが多い(北米はわずか4校) | 週1・年40日で日本の進度を追うため家庭学習の負担が重い | ―(送迎ゼロ・毎日) |

「認定」と「指定」――同じ在外教育施設でも所管が違う
意外と知られていませんが、日本人学校と補習校は、そもそも国の関わり方が違います。日本人学校と私立在外教育施設は文部科学大臣が「認定」し、補習授業校は外務大臣が「指定」します(令和4年外務省告示第303号第1条)。よく「文科省認定の補習校」と書かれているのを見かけますが、これは正確ではありません。文部科学省の「認定した在外教育施設の一覧」に載るのは日本人学校と私立在外教育施設で、補習授業校は(派遣教師のいる一部を除いて)この一覧の対象外です。
この違いは、卒業資格にそのまま効いてきます。日本人学校は「国内の小学校、中学校、若しくは高等学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けており、中学部卒業者は国内の高等学校の入学資格を、高等部卒業者は国内の大学の入学資格をそれぞれ有します」と文科省が明記しています。一方、補習校にはこの認定はありません。ただしこれは「補習校の学びに価値がない」という意味ではまったくありません。補習校に通う子は平日、現地校やインターに在籍しているのですから、卒業資格はそちらで得るのが前提です。役割が違うだけです。
帰国後の学年は、どちらに通っていたかでは変わらない
保護者からいちばん多い誤解がここです。「補習校に通わないと、帰国したときに学年が下げられるのでは」――これは制度上、正しくありません。
文部科学省は帰国時の就学手続きについて、編入学年は「原則として、その年齢に応じ、小学校、中学校又は義務教育学校の相当学年に編入学」と定めています。つまり学年は年齢で決まるのであって、日本人学校・補習校・現地校のどれに通っていたかで変わるものではありません。例外として「日本語能力が著しく不足している場合は、適応までの間、一時的に下級学年への編入も可能」とされています。
ここが、実は本当に怖いところです。学年は自動的に年齢どおりに戻る。でも国語の中身は戻らない。5年生で帰国すれば5年生の教室に座りますが、そこで配られるのは5年生の漢字と、5年生の記述問題です。だからこそ「日本人学校か、補習校か」よりも、学年相当の国語を、どんな形であれ積み上げ続けられているかのほうが、帰国後の実感に直結します。国語の遅れが心配な方は駐在中の国語、帰国後に間に合う?もあわせてご覧ください。
実は、いちばん多いのは「どちらも選べない」家庭
ここまで違いを整理してきましたが、多くのご家庭にとってそもそも選択肢が並んでいません。
- 日本人学校は、あなたの街にない可能性が高い:世界で94校しかありません。たとえば北米の日本人学校はわずか4校(シカゴ、ニューヨーク、ニュージャージー、グアム)。ロサンゼルス、サンフランシスコ、シアトル、ボストン、ヒューストンといった主要都市に日本人学校はありません。あるのは補習校だけです。
- 補習校も、無い街のほうが多い:242校が51カ国1地域に散らばっているだけで、それ以外の国には日本人学校も補習校もありません。米国でも補習校があるのは37州ほどで、1校も無い州が13以上あります。
- そもそも「通える距離に無い」:補習校の設置には在籍見込みが一定数必要なため、日本人が集住していない地域には制度上そもそも置かれません。
これは印象論ではなく、国自身が認めている構造です。文部科学省の統計要覧で確認できる義務教育段階の在外学齢児童生徒は82,571人(平成29年。以降は未公表)で、同じ年に日本人学校・補習授業校に在籍していたのは合わせて41,217人。文部科学省「在外教育施設未来戦略2030」も、在外教育施設の在籍者は「平成の初頭から現在に至るまで各々約2万人前後に留まったままであり、この間、いずれの在外教育施設にも通わない子供が増加してきたと考えられる」と記しています。海外にいる学齢期の子のおよそ半数が、日本人学校にも補習校にも在籍していない。これが実態です。

「補習校=帰国前提の子のもの」も、もう古い
もうひとつ、公式に確認できる大事な事実があります。同じ「在外教育施設未来戦略2030」は、補習校について「近年、永住者や国際結婚家庭の子供の増加に伴い、将来的に外国で進学・就職することを希望する子供の増加が顕著であり、こうした子供のニーズと将来的な帰国を前提とする長期滞在者の子供のニーズとの間にかい離が生じている」と述べ、脚注で「アメリカの補習授業校に在籍する子供の半数以上が日本への帰国を前提としていない」と明記しています。
つまり「日本に帰らないなら補習校は関係ない」わけではないし、逆に補習校の教室のなかでも、帰国する子と永住の子でニーズが割れている、ということです。同戦略はさらに、補習校の担い手についても「補習授業校の児童生徒等に対する授業を担当する学校採用教師・講師の多くは他の仕事と兼職しており、日本の教員免許状を有していない者も多い」と率直に記しています。補習校の先生方の熱意には頭が下がりますが、週1回・年40日・兼職の体制で、日本の学年相当の国語を追い切るのは構造的に厳しいのもまた事実です。
第三の選択肢:ともだちじゃぱんという受け皿
ともだちじゃぱんは、国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」(在籍1,000名超)を運営する株式会社NIJINのオンライン日本語スクールです。日本人学校にも補習校にも通えない・通わない・合わなかったご家庭の受け皿として、3つの点で違います。
① 街に学校が無くても関係ない
日本人学校94校・補習校242校という地理の制約から自由です。自宅からオンラインなので送迎がゼロで、現地校やインターに通いながら、平日の夕方〜夜に受けられます。土曜も家族に返せます。
② 学年相当の国語を、現役水準の先生が通い放題で
講師は採用合格率およそ2%の選抜。今の日本の教室を知る先生が、漢字・語彙・記述を学年のペースで進めます。週1回・年40日ではなく通い放題の定額(月24,800円・税込/約$165・約€150)なので、毎日でも続けられます。帰国後に「年齢どおりの学年」へ戻ったとき、国語の中身もそこに追いついている状態を目指せます。
③ 日本の同世代と毎日つながるから、続く
8人制の少人数クラスに担任の先生。日本に住む同世代の子どもたち(NIJINアカデミーの仲間)と毎日交流します。補習校をやめた家庭がいちばん惜しむ「友達」がここにあり、「友達と話したいから」日本語が続きます。永住予定でも、帰国予定でも、どちらでも歓迎です。1期生は入会金無料で、在籍中はこの価格のままです。

よくある質問
日本人学校と補習校は、どちらがレベルが高いのですか?
レベルの上下ではなく役割が違います。日本人学校は全日制で日本の学習指導要領に準拠した全教科を学ぶ「本体の学校」、補習校は現地校やインターに通う子が土曜などに国語を中心に一部の教科を補う場所です。そもそも併用できるものでもありません(日本人学校は全日制のため)。比べるとすれば「現地校+補習校」と「日本人学校」という組み合わせ同士になります。
補習校を卒業すると、日本の小学校・中学校を卒業したことになりますか?
補習授業校は文部科学大臣の認定の対象ではないため、日本の学校の卒業資格が生じるのは日本人学校(中学部・高等部)と私立在外教育施設です。ただし補習校に通う子は平日に現地校やインターに在籍しているため、卒業資格はそちらで得るのが前提であり、実務上ここで困ることは通常ありません。
日本人学校も補習校も無い街に住んでいます。どうすればいいですか?
それが最も多いケースです。文部科学省の統計で確認できる直近の年(平成29年)では、海外にいる義務教育段階の子ども82,571人のうち、日本人学校・補習授業校に在籍していたのは41,217人=およそ半数にとどまります。オンラインで学年相当の国語を続ける方法は補習校に通えない・続かない子へで詳しく整理しています。国・都市別ではアメリカの日本語補習校まとめやロンドンの日本語補習校まとめもご覧ください。
帰国したら、日本語が弱いと学年を下げられますか?
原則は年齢に応じた相当学年への編入です。「日本語能力が著しく不足している場合」に「一時的に」下級学年へ編入することがある、というのが文部科学省の示す扱いです。つまり学年は年齢で戻る一方、国語の中身は自動的には戻りません。海外駐在中の子どもの国語全体については海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。

