オーストラリア赴任が決まって「オーストラリアの日本人学校の学費」を調べると、年6,300豪ドルという数字と、年28,000豪ドルという数字が出てきます。都市の違いだと思われがちですが、じつは同じ学校でも保護者のビザの種類によって授業料が3倍以上変わるのがオーストラリアの特徴です。パース日本人学校は通常ビザなら月525豪ドル、留学生ビザ扱いになると月1,650豪ドル。同じ教室で同じ授業を受けても、家庭によって支払額がまるで違います。この記事では3校の2026年度(令和8年度)の公表額をそのまま並べ、ビザで学費が決まる仕組み、日本人学校だけ4月始まりで現地校は1月始まりというカレンダーのずれ、そして高等部がないという共通の宿題まで整理します。
オーストラリアの日本人学校3校の学費【2026年度の公表額】
オーストラリアの全日制日本人学校はシドニー日本人国際学校・メルボルン日本人学校・パース日本人学校の3校です。金額はすべて各校の公式サイトの記載どおりで、円換算は1豪ドル=100円で計算した目安です。
| 学校 | 年間授業料(通常ビザ) | 年間授業料(留学生扱い) | 入学時の一時金 |
|---|---|---|---|
| パース日本人学校 小1〜小4 |
月525豪ドル 年6,300豪ドル(約63万円) |
月1,650豪ドル 年19,800豪ドル |
入学金 550豪ドル |
| パース日本人学校 小5〜中3 |
月580豪ドル 年6,960豪ドル(約70万円) |
月1,700豪ドル 年20,400豪ドル |
入学金 550豪ドル |
| メルボルン日本人学校 小学部 |
年8,268〜8,412豪ドル (約83〜84万円) 授業料A 7,824+授業料B |
ビザ区分により 留学生扱い授業料あり |
入学金 800豪ドル+ 学校債 500豪ドル(転出時返金) |
| メルボルン日本人学校 中学部 |
年9,420〜9,504豪ドル (約94〜95万円) 授業料A 8,928+授業料B |
同上 | 同上 |
| シドニー日本人国際学校 Year 1〜9 |
年15,280豪ドル (約153万円) ※政府補助金対象 |
年28,000豪ドル (約280万円) |
申請料 220+入学金 1,500+ 学校債 1,500豪ドル |

パースがいちばん安く、シドニーがいちばん高い――差は2.4倍
通常ビザの家庭で比べると、パース小1〜4が年6,300豪ドル、メルボルン小学部が年8,268豪ドル前後、シドニーが年15,280豪ドル。シドニーとパースの差は年8,980豪ドル(約90万円)で、倍率にして2.4倍です。3年の赴任なら約270万円の差になります。
ここで効いているのは学校の性格の違いです。シドニー日本人国際学校は、文部科学省の課程で学ぶ日本語課程(Year 1〜9)と、NSW州のカリキュラムで学ぶインターナショナル課程(Kindergarten〜Grade 6)を同じ校舎に併設している、世界でも珍しい形の学校です。日本語課程と国際課程の子どもが同じ敷地で過ごすため、日本人学校でありながら英語環境が確保されている。その分、運営コストも学費も高くなるという構造です。学費の高さを単純に「質」と読み替えるのではなく、何にお金を払っているのかを見てください。
オーストラリア最大の特徴=ビザで学費が3倍変わる
オーストラリアの日本人学校の学費表を読むときに絶対に外せないのが、保護者のビザ区分によって授業料が別建てになっていることです。パース日本人学校は通常ビザと留学生ビザで2本の表を出しており、小1〜4で月525豪ドル対1,650豪ドル、小5〜中3で月580豪ドル対1,700豪ドル。およそ3倍です。
シドニー日本人国際学校も同じ考え方で、政府補助金の対象になる児童は年15,280豪ドル(キンダーガーテンは14,880豪ドル)、対象外の児童は年28,000豪ドル。メルボルン日本人学校も、サブクラス403・457・482・485などは普通授業料、サブクラス500〜599などは留学生扱い授業料と明記しています。
つまり、「会社の駐在ビザで来るのか、それ以外の在留資格で暮らしているのか」で、支払額が年間100万円単位で変わるということです。ワーキングホリデーや学生ビザから移行した家庭、永住権申請中の家庭、国際結婚でオーストラリアに生活基盤がある家庭は、自分がどちらに該当するのか必ず学校に確認してください。パース日本人学校も「ビザの種類によっては上記授業料と金額が異なります。留学生ビザ該当の可否について不明な場合は学校へお問い合わせください」と案内しています。ここを取り違えると、見積もりが3倍ずれます。
兄弟割引は3校とも仕組みが違う
兄弟姉妹がいる家庭への減免も、3校でまったく設計が違います。
- シドニー=2人以上在籍で、2番目以降の授業料が10%割引。年15,280豪ドルの10%は1,528豪ドルなので、金額としては最も大きい。
- メルボルン=同時に在籍する兄弟が3人以上の場合、3人目以降の授業料Aが半額。2人では割引がありません。
- パース=第2子は30豪ドル、第3子以降は50豪ドルの授業料減免。
子ども2人でシドニーに赴任する家庭は年1,528豪ドル戻ってきますが、同じ2人でメルボルンなら割引はゼロ。兄弟が多い家庭ほど、赴任先の学校で総額が大きく変わります。

日本人学校は4月始まり、現地校は1月始まり――南半球のカレンダー問題
オーストラリアで学校を選ぶときに、学費と同じくらい効いてくるのが学年暦のずれです。オーストラリアの現地校は1月下旬に新学年が始まり12月に終わる4学期制。一方、日本人学校は文部科学省の課程なので4月始まり・3月終わりです。シドニー日本人国際学校が学費を「2026年4月〜2027年3月」と表記し、メルボルン日本人学校が「令和8年度」と書いているのは、そのためです。
このずれは、赴任・帰任のタイミングで具体的な問題になります。1月に着任して現地校に入れると、日本の学年から3か月ずれた状態が生まれます。逆に日本人学校に入れれば学年は日本とそろいますが、現地校に移るときに半年分の調整が必要になります。「何月に赴任するか」が学校選びを事実上決めてしまう国だと考えておいてください。
インターや私立は年20,000〜50,000豪ドル=日本人学校の2〜6倍
シドニーの私立校・インターナショナルスクールの授業料は、学年と学校によって年18,000〜50,000豪ドルと幅があります。上位のプライベートスクールになると小学部で年42,000〜50,000豪ドル、中高で48,000豪ドル超という水準です。メルボルンはやや低めで、インターナショナル校がおおむね年20,000〜30,000豪ドル、上位私立が28,000〜47,000豪ドル。

さらにオーストラリアの私立校は、授業料の外側に建築基金(年1,000〜3,000豪ドル)やアクティビティ・キャンプ費(年500〜3,000豪ドル)といった徴収金があり、実際の年間コストは表示額の5〜15%増になるのが一般的です。なお公立校であれば、駐在ビザの区分によっては授業料が無料または低額になる場合もあります。「私立か日本人学校か」の二択で考える前に、住む地域の公立校を調べる価値があります。
3校とも高等部はない――高校は現地校でHSC/VCEへ
オーストラリアの日本人学校は、シドニーがYear 9まで、メルボルンとパースが中学3年生まで。高等部はありません。高校をどうするかは、現地校のYear 10〜12に進む、インターへ移る、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る――のいずれかを、中学のうちに決めることになります。
現地校に進む場合、オーストラリアにはNSW州のHSC(Higher School Certificate)、ビクトリア州のVCE(Victorian Certificate of Education)に日本語科目があるという利点があります。日本にルーツのある生徒向けの科目区分が用意されており、大学進学のスコアに直結します。ただし科目の選択区分(Continuers/Background Speakers など)は生徒の背景によって厳密に決まっており、どの区分で受験できるかは早い段階で確認が必要です。「日本語は得意だから有利」と単純には言えません。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題
日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、オーストラリアで暮らしているのに英語が伸びにくいという悩みが出てきます。現地校やインターを選べば英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。オーストラリア東海岸と日本の時差はわずか1〜2時間(シドニー・メルボルンは冬時間で+1時間、夏時間で+2時間、パースは−1時間)なので、日本の平日夕方=現地の夕方という、世界でも最も使いやすい時間割が組めます。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、現地校の日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(オーストラリアで学校を選ぶ方から)
オーストラリアの日本人学校でいちばん学費が安いのはどこですか?
通常ビザの家庭で比べるとパース日本人学校です。小1〜4で月525豪ドル、小5〜中3で月580豪ドル、入学金は550豪ドル。年額に直すと6,300〜6,960豪ドルで、シドニー日本人国際学校(年15,280豪ドル)の半分以下です。ただし留学生ビザ扱いになると月1,650〜1,700豪ドルへ跳ね上がるので、ビザ区分の確認が先です。
なぜビザで学費が変わるのですか?
オーストラリアの学校は、州政府の補助金の対象になるかどうかがビザ区分で決まるためです。シドニー日本人国際学校は「政府補助金対象」と「対象外」で表を分けており、メルボルン日本人学校はサブクラス403・457・482・485などを普通授業料、サブクラス500〜599などを留学生扱い授業料としています。自分のビザがどちらに入るかは、必ず学校に直接確認してください。
授業料のほかに何がかかりますか?
シドニー日本人国際学校は申請手数料220豪ドル(返金不可)、入学金1,500豪ドル(返金不可)、学校債1,500豪ドル(卒業・転出時に返金)、PTA会費年40豪ドル、テクノロジー徴収金年280豪ドル。任意の寄付として施設拡充費500豪ドル・図書充実費200豪ドルが推奨されています。メルボルン日本人学校は入学金800豪ドルと学校債500豪ドル(転出時返金)に加え、教材費にあたる「授業料B」が学年ごとに180〜588豪ドル設定されています。
日本人学校に高等部はありますか?
ありません。3校とも中学3年生(シドニーはYear 9)までです。高校は現地校でHSC/VCEに進む、インターへ移る、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る、のいずれかになります。世界の日本人学校で高等部があるのは上海・バンコクなど数校のみです。詳しくは日本人学校 一覧にまとめています。
現地校に入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけで学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。オーストラリアは日本との時差が1〜2時間しかないため、日本の放課後の時間帯にそのまま参加できるのが大きな利点です。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、現地校で英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

都市ごとの詳細はシドニー・メルボルンの記事をご覧ください。世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたアメリカ・ドイツ・中国・タイもあわせてどうぞ。

