「4月から日本の中学校。でも、うちの子を受け入れてくれる中学はどこにあるのか」――「帰国子女 受け入れ 中学」で検索して、答えが噛み合わないと感じた方は多いはずです。あるページは「入試はありません、住所で決まります」と書き、別のページは「12月から入試が始まります」と書く。どちらも本当です。中学は受け入れの入口が4通りに分かれていて、窓口も時期も条件もまったく別物だからです。この記事は入試対策も出願資格の細目も扱いません。自分の家庭がどの入口に当たるかを判定し、どこを、どの順に見るかだけを公表資料から整理します。段階を横断した全体像は受け入れ校の探し方の総論へ。
中学の「受け入れ」は、4つの入口に分かれている
混乱の原因はひとつです。同じ「受け入れてくれる中学」という言葉が、家庭の状況によって4つの別々の制度を指しています。
- 入口① 公立中学校――入試がなく、住所地で就学する学校が決まります。そもそも「選ぶ」対象ではありません。ただし日本語指導の体制は学校・自治体で差があり、そこは事前に確認できます。
- 入口② 私立・国立の帰国生入試――受験して入る道。年度替わり(4月入学)向けで、実施は11月から1月が中心です。
- 入口③ 私立の欠員募集による転・編入――年度途中に入る道。空きが出た学校にだけ入れます。
- 入口④ 公立中高一貫校の特別枠――自治体が独自に設けている枠。東京都には海外帰国・在京外国人生徒枠があります。
この4つを分けているのは2つの質問だけです。公立か、私立・国立か。そして年度替わりか、年度途中か。この2軸で①②③が分かれ、そこへ「住む自治体が独自の枠を持っているか」という④が乗ります。入口が違えば、見に行く先も締切も聞くべき相手も入れ替わります。

入口① 公立中学校――探す対象ではない。ただし体制は先に聞ける
いちばん多い家庭がここに当たり、そしてここでは「受け入れ校を探す」という行為自体が成立しません。文部科学省の就学事務Q&A「外国から帰国した学齢児童生徒の就学手続について」は、日本国民である学齢児童生徒が帰国した場合、その時点からその保護者には就学義務がかかり、教育委員会は住民基本台帳に基づいて学齢簿を編製し、就学すべき学校の指定・編入学期日を通知すると整理しています。学年は原則として年齢に応じた相当学年に編入学。学力試験も日本語の判定もありません。学校が家庭を選ぶのではなく、住所が学校を決めるのです。
同Q&Aには、日本語能力が著しく欠如している場合などに一時的に下級の学年に編入する措置も書かれています。ただしこれは学年の置き方の話で、可否の話ではありません。公立中学校で心配すべきなのは、可否ではなく中身です。

ではその中身はどこで分かるのか。自治体は「帰国子女受け入れ校」ではなく、「日本語指導」「日本語学級」「日本語教室」という名前で体制を公表しています。東京都教育委員会は毎年の「公立学校統計調査報告書(学校調査編)」に日本語学級の一覧(中学校・義務教育学校を含む)を掲載しています。検索語を「(自治体名)+日本語指導」に変えるだけで、見つかる情報量が変わります。支援の中身と限界は公立の日本語指導の整理、帰国の手続きは在学証明書・教科書・住民票の順番、公立中への編入の実務は中学編入の手続きの流れへ。
入口②と④――年度替わりに「受験して入る」2つの道
ここからは受け入れている学校と、していない学校が実在する領域です。まず入口②、私立・国立の帰国生入試。実施は各校の判断なので全国一覧はありませんが、実施校は公式サイトで募集要項を公開しています。2026年8月時点で2027年度入学分を確認できる例を、時期の幅が分かるように3校だけ挙げます。
- 山脇学園中学校(東京)――2027年度の帰国生入試はⅠ期が11月実施。国語・算数にエッセイ(英語・日本語)が加わります。別に「帰国生編入試験」も設けています。
- 広尾学園中学校(東京)――2027年度入学の帰国生入試は2026年12月実施。出願資格は海外在住経験が1年以上あり、帰国後3年以内です。
- 海城中学校(東京)――2027年度の帰国生入試は2027年1月7日、出願は2026年12月1日から15日、募集30名。A方式は国語・算数と面接、B方式は国語・算数・英語と面接の二本立てです。
3校並べただけで11月・12月・1月とばらけます。「帰国生入試は冬」と覚えていると、11月実施の学校は準備が間に合いません。しかも出願資格の線引きも学校ごとに違います。広尾学園は「海外在住1年以上・帰国後3年以内」、海城中学校は「通算2年以上」かつ「2024年7月1日以降に帰国」と、期間の数え方そのものが別です。資格の考え方は出願資格を4つの軸で分解した記事、選考型や日程は中学受験の条件・日程・選考型、候補校リストの読み方は帰国枠のある中学一覧の見る順番へ。
そして入口④、公立中高一貫校の特別枠です。住む自治体によっては、公立で帰国生向けの枠に出願できます。東京都には「海外帰国・在京外国人生徒枠募集」があり、東京都教育委員会が公表する令和8年度の応募状況・入学手続状況で対象になっているのは都立白鷗高等学校附属中学校と都立立川国際中等教育学校の2校。検査と合格発表はいずれも1月中に行われました。見落とされがちなのが「事前相談」で、出願前に学校で応募資格の確認を受ける必要があります。立川国際中等教育学校は2026年7月1日、白鷗高等学校附属中学校は2026年7月31日に、令和9年度の事前相談の案内を掲載しました。出願の締切だけを見ていると、その手前の相談期間を丸ごと逃します。
正直に書きます。この種の特別枠を全国どこの自治体が持っているかを一覧にした公的資料は、2026年8月時点で確認できません。都県ごとに有無も名称も違います。確かめ方は一つ、住む予定の都道府県教育委員会が出す中学校・中等教育学校の入学者決定に関する実施要綱を直接見ることです。
入口③ 年度途中の転・編入――一覧は都県ごと・学期ごとに出て、消える
帰国が4月に間に合わない家庭は、ここが本命です。私立中学校の転・編入は欠員が出た学校だけが募集するので、「行きたい学校に入る」ではなく「募集が出ている学校から選ぶ」に発想が変わります。そしてその一覧は、都県ごとに別の団体が、学期末ごとに出します。
- 東京都――東京私立中学高等学校協会が各私立学校に調査を行い、東京都生活文化局がとりまとめて各学期末に発表します。一覧には応募資格の区分が付き、①=転勤・転居、②=海外帰国、③=条件なしの3つ。帰国家庭が見るのは②です。令和8年度は1学期末が2026年6月11日に発表され、2学期末は令和8年11月中旬頃、3学期末は令和9年2月中旬頃に発表予定と案内されています。
- 神奈川県――県(私学振興課)が実施計画を発表します。令和8年度第2学期(後期)受入れ分は2026年6月11日公表で、中学校28校を含む計71校。応募できる者の条件に「県外からの一家転住者」「海外帰国生徒」などの区分があります。
- 千葉県――千葉県私立中学高等学校協会が学期末ごとに実施予定を掲載(令和8年度1学期末分の更新は2026年6月25日)。受験条件は原則として県外からの転勤転居、海外からの帰国等です。
- 大阪府――大阪私立中学校高等学校連合会が「編入・転入受け入れ情報」として令和8年度分をPDFで公開しています。
4つの都府県に共通するのは発表元がばらばらで、情報が学期末ごとに出ては入れ替わることです。つまり「見た時期が悪かっただけ」で募集ゼロに見えることがある。次の発表がいつかを先に押さえれば、待つべきか動くべきかが判断できます。

| 入口 | 決めるのは誰か(窓口) | 時期 | どこを見るか | ともだちじゃぱん |
|---|---|---|---|---|
| ①公立中学校 | 住所地の市区町村教育委員会 | 帰国日が決まれば随時。年度途中も可 | 教育委員会の就学・転入学の案内と、日本語指導の担当課 | 日本語指導が届きにくい学年相当の国語を、海外にいるうちから積む |
| ②私立・国立の帰国生入試 | 各学校 | 11月〜1月が中心。学校ごとにずれる | 各校の募集要項。候補出しはJOESの国内学校情報検索サイト | 日本語で考えて書く力を、現役水準の日本の教員と8人の少人数で |
| ③私立の欠員募集(転・編入) | 各学校(一覧は都県・私学協会) | 学期末ごとに公表。東京は6月・11月・2月頃 | 都県または私学協会が出す転・編入試験の実施校一覧 | 編入までの待ち時間に、教科の言葉と日本の同世代との縁を切らさない |
| ④公立中高一貫校の特別枠 | 都道府県教育委員会・各校 | 年度替わり。東京は1月に検査、夏に事前相談 | 都県教委の入学者決定実施要綱と、各校の事前相談の案内 | 作文や面接の土台になる話す・書く日本語を、会話量で慣らす |

探す順番――4つの質問に答えるだけで、見る場所が決まる
- ①住所地はもう決まっているか――決まっているなら市区町村教育委員会に連絡します(入口①)。就学手続きと日本語指導の体制を一度に聞けます。
- ②年度替わりか、年度途中か――4月入学なら入口②と④、年度途中なら③と①。この一問で見る資料が半分に減ります。
- ③帰国枠の資格を満たすか――在外年数と帰国後の経過年数で線が引かれます。満たさないなら②は一般入試に切り替え、③と①へ重心を移します。
- ④どの窓口を見るか――①は市区町村教育委員会、②は各校の募集要項、③は都県または私学協会の転・編入一覧、④は都道府県教育委員会の実施要綱。これ以外は参考情報です。
都県をまたいで当たりを付けたいときの補助線が、海外子女教育振興財団(JOES)の国内学校情報検索サイトです。学校種別・所在地・帰国生向け入試の有無といった条件で受け入れ校を検索できる仕組みがあるのが利点で、利用にはJOESマイポータルへのログインが必要です。転・編入で何が問われるかは編入試験で出るものと時期の整理、都内で動くなら公立の手続きと私立の欠員枠(東京)、1都6県で比べるなら関東の欠員募集の探し方、誰に何を聞くかは相談先を4つの窓口に分けた記事へ。
最後に、どの入口に乗っても共通して効くもの。学年相当の日本語と国語です。①なら日本語指導の順番待ちの間も授業は日本語で進み、②と④なら作文・面接・国語の試験がそのまま日本語力を測り、③でも編入試験の中心は国語と数学です。ともだちじゃぱんは株式会社NIJINが母体のオンライン日本語スクールで、学校教育法上の一条校ではなく、在籍する中学校の代わりにはなりません。できるのは学校の外側で言葉を足すことだけです。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った今の日本の教室を知る現役水準の教員。8人の少人数クラスには日本に住む同世代がいて、1対1の指導と違い「友達と話したいから続く」のが特徴です。料金は通い放題で月額定額。国語の詰まりどころは苦手の理由と学年別の続け方で切り分けられます。
よくある質問
公立中学校は、帰国したら必ず受け入れてもらえますか?
はい。文部科学省の就学事務Q&Aは、日本国民である学齢児童生徒が帰国した場合、その時点から保護者に就学義務がかかり、教育委員会が学齢簿を編製して就学すべき学校の指定・編入学期日を通知すると整理しています。学年も原則として年齢に応じた相当学年で、入学試験も日本語の判定もありません。日本語能力が著しく欠如する場合に一時的に下級学年へ編入する措置はありますが、それは学年の置き方の話です。心配すべきは可否ではなく、入学後の支援の有無です。
私立中学の帰国生入試は、いつ行われますか?
学校ごとに1〜2か月ずれます。2027年度入学でいえば、山脇学園中学校の帰国生入試Ⅰ期は11月実施、広尾学園中学校は2026年12月実施、海城中学校は2027年1月7日実施(出願は2026年12月1日から15日)です。「冬にまとめて」と考えていると11月実施の学校を取りこぼします。いずれも年度ごとに変わるため、志望校の最新の募集要項で必ずご確認ください。
帰国が4月に間に合いません。年度途中でも私立中学に入れますか?
可能性はありますが、空きが出た学校に限られます。私立の転・編入は欠員募集が前提で、実施校の一覧は都県ごと・学期末ごとに公表されます。東京都は東京私立中学高等学校協会の調査を東京都生活文化局がとりまとめ、令和8年度は1学期末が2026年6月11日、2学期末は令和8年11月中旬頃、3学期末は令和9年2月中旬頃の発表予定です。「今は無い」は「この学期は無い」という意味かもしれません。次の発表時期を先に確認してください。
公立の中高一貫校にも、帰国子女の枠はありますか?
自治体によります。東京都には「海外帰国・在京外国人生徒枠募集」があり、令和8年度の応募状況・入学手続状況(東京都教育委員会)で対象になっているのは都立白鷗高等学校附属中学校と都立立川国際中等教育学校の2校です。出願前に応募資格を確認する事前相談が必要で、両校とも2026年7月に令和9年度の案内を掲載しています。ただし、こうした枠を全国どの自治体が設けているかの一覧は公表されていません。住む予定の都道府県教育委員会の実施要綱をご確認ください。
住む場所がまだ決まっていません。何から調べればいいですか?
先に決めるのは学校ではなく入口です。年度替わりか年度途中か、公立か私立・国立か。この2問で見るべき資料が4分の1に絞れます。住む場所に選択肢が残っているなら、候補の自治体について公立中高一貫校の帰国枠があるかと日本語指導の体制があるかの2点だけ先に比べてください。どちらも市区町村で差が大きく、住所を確定させた後では動かせない条件です。小学校段階は受け入れ体制の見分け方、高校段階は4つの型と探す順番、制度全体は帰国子女枠とは何かの整理にまとめてあります。

