インターナショナルスクールを調べていると、必ず「一条校」という言葉にぶつかります。学校説明会でも「うちは一条校ではありません」と最初に説明されることがあります。ところが、それが具体的に何を意味するのか――子どもの進路に何が起きて、何が起きないのか――を最後まで説明している資料は多くありません。
この記事では、学校教育法の条文と文部科学省が公表している見解だけを使って、一条校かどうかで実際に何が変わるのかを、小中学校段階・高校段階・お金の3つに分けて整理します。結論を先に書くと、いちばん重いのは義務教育段階で、逆に高校段階には制度としての道が用意されています。ここが混同されたまま語られていることが、不安の大きな原因になっています。

先に一行で答えます。一条校とは、学校教育法第1条に名前が挙がっている9種類の学校――幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校・大学・高等専門学校――のことです。大学も高等専門学校も一条校に含まれます。逆に、専修学校・各種学校・どの認可も受けていない施設は一条校ではありません。以下で、その違いが子どもの進路とお金に何をもたらすかを、条文と文部科学省の見解だけで整理します。
一条校とは――学校教育法第1条に書かれた9種類
「一条校」は法律用語ではなく通称ですが、指しているものははっきりしています。学校教育法第1条が、こう定めています。
この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。
学校教育法 第1条
この9種類が一条校です。日本の学校制度の各種のルール――教育課程の基準、教員免許、無償措置、進学資格――は、基本的にこの第1条の学校を前提に組み立てられています。逆に言えば、ここに入っていない教育施設には、これらのルールが自動的には及びません。

では、日本国内のインターナショナルスクールはどこに位置するのか。多くは各種学校(都道府県知事の認可を受けた外国人学校)か、認可を受けていない施設です。つまり一条校ではありません。国際バカロレア(IB)などを採用していても、学校としての評価が高くても、それは一条校かどうかとは別の話です。一条校であるかは、教育の質の評価ではなく、法律上の位置づけの問題です。
なお例外もあります。一条校としての認可を受けたうえで国際教育を行っている学校も存在します。学校を検討するときは「インターかどうか」ではなく、その学校が一条校の認可を受けているかどうかを個別に確認することが必要です。
一条校・専修学校・各種学校・無認可――4区分の違いを一覧で
「一条校かどうか」で迷うとき、実際に比べる相手は専修学校と各種学校、そしてどの認可も受けていない施設です。同じ「学校」と呼ばれていても、根拠になる条文が違い、就学義務の履行になるかも、大学入学資格の扱いも変わります。ここを一覧にしておくと、学校説明会で言われた一言が正確に読み取れます。
| 区分 | 根拠(学校教育法) | 認可するのは | 小中の就学義務の履行 | 大学入学資格 | 代表例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一条校 | 第1条 | 設置者により文部科学大臣・都道府県知事・市町村 | なる | 高等学校の卒業であり | 公立・私立の幼稚園/小学校/中学校/高等学校/大学/高等専門学校/特別支援学校 |
| 専修学校 | 第124条 | 都道府県知事 | ならない | 高等課程(高等専修学校)のうち文部科学大臣が指定した3年以上の課程の修了者は認められる | 専門学校・高等専修学校 |
| 各種学校 | 第134条 | 都道府県知事 | ならない | 原則なし。ただし国際的な学校評価団体の認定など別ルートで認められる場合がある | 多くのインターナショナルスクール、民族系の外国人学校 |
| 認可を受けていない施設 | ―(学校教育法上の学校ではない) | なし | ならない | 制度上はなし。国際的な学校評価団体の認定があれば別ルートで認められる場合がある | 一部のインターナショナルスクール、プリスクール、フリースクール |
よくある誤解が「インターナショナルスクール=各種学校」という一括りです。実際には、各種学校の認可を受けている学校、どの認可も受けていない施設、そして一条校の認可を受けたうえで国際教育を行っている学校の三通りがあります。しかも「一条校のインターナショナルスクール」をまとめた公的な一覧は公表されていないため、学校ごとに個別に確認するしかありません。学校説明会では「本校は学校教育法上どの区分ですか」と一言で聞くのが最短です。
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①小学校・中学校段階――ここがいちばん重い
まず前提として、保護者には就学させる義務があります。学校教育法第17条は、満6歳の翌日以後の最初の学年の初めから満12歳に達する学年の終わりまで小学校・義務教育学校の前期課程・特別支援学校の小学部に就学させる義務を、続いて満15歳に達する学年の終わりまで中学校等に就学させる義務を保護者に課しています。ここに挙がっているのは、いずれも一条校です。
では、日本国籍の子を一条校でないインターナショナルスクールに通わせた場合はどうなるのか。文部科学省が就学事務の解説の中で、明確に答えています。
保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません。
文部科学省「学齢児童生徒をいわゆるインターナショナルスクールに通わせた場合の就学義務について」
そして、より実務的に効いてくるのが次の一文です。
一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります。
同上
文部科学省は、インターナショナルスクールの中学部の途中で日本の中学校へ編入学を希望する場合も同様としています。つまり「小学校はインターに通わせて、中学から日本の公立に戻そう」という戻り方が、制度上そのままでは想定されていないということです。これは費用や英語力の話ではなく、進路の選択肢そのものに関わるので、幼稚園・小学校段階で進路を決める前に知っておく必要があります。
実務上は、住んでいる市区町村の教育委員会に相談することになります。自治体によっては、インターナショナルスクールへの就学を考えている保護者向けの案内ページを用意しているところもあります。取り扱いは市区町村の教育委員会が判断する部分があるため、必ず居住地の教育委員会に直接確認してください。この記事の内容は、確認の出発点として使っていただくためのものです。
②高校段階――こちらには、制度としての道がある
ここで多くの家庭が誤解しています。「一条校でないインターを出たら日本の大学を受けられない」というのは、正確ではありません。
大学入学資格については、国際的な評価団体の認定を受けた教育施設の12年の課程を修了し、18歳に達していれば、日本の大学への入学資格が認められます。認定団体として挙げられているのは、WASC、CIS、ACSI、NEASC、Cognia、COBISの6団体です(高等教育資格承認情報センター NIC-Japan の案内による)。これは学校の所在地が日本か外国かを問いません。
別ルートもあります。その学校が外国の高等学校相当として文部科学大臣に指定された学校であれば入学資格が認められます(課程が12年未満の場合は、指定された準備教育課程の修了が別途必要)。また、課程の修了によって国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCE Aレベルといった外国の大学入学資格を取得している場合も、入学資格が認められます。

つまり義務教育段階と高校段階では、結論の向きが逆です。小中学校段階では一条校でないことが進路の制約になりますが、高校段階では国際的な認定を受けていれば道が開かれている。だからこそ、志望する学校がどの評価団体の認定を持っているかは、入学前に必ず確認すべき項目になります。認定の有無は、その後の進路の幅に直接効きます。
③お金――無償化・就学支援金の対象になるか
3つ目が費用です。ここも段階によって違い、2026年4月に高校段階の制度が大きく変わりました。
| 段階 | 一条校の場合 | 一条校でないインターの場合 |
|---|---|---|
| 幼稚園・プリスクール | 幼児教育・保育の無償化の対象 | 条件つきで対象になりうる。認可外保育施設として都道府県に届出し国の基準を満たすこと+市区町村で「保育の必要性の認定」を受けることが必要。3〜5歳は月額3.7万円まで、0〜2歳は住民税非課税世帯で月額4.2万円まで |
| 小学校・中学校 | 授業料不徴収・教科書無償給与 | 公的な学費補助の仕組みがない。就学義務の履行にもあたらない |
| 高校 | 高等学校等就学支援金。令和8年4月から所得制限が撤廃され、私立は最大月額38,100円、公立(全日制)は月額9,900円 | 従来は指定制度により対象。令和8年4月からの新制度で国籍・在留資格等による支給対象者の見直しが行われ、扱いが変わった(在校生には経過措置、新入生には「高校生等・新修学支援」) |
| 大学入学資格 | あり | 国際的な評価団体(WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBIS)の認定を受けた12年課程の修了+18歳で認められる |
高校段階について補足します。文部科学省は従来、外国人学校のうち「高等学校の課程に類する課程」に当たるものを就学支援金の対象として指定してきました。判断のルートは2つで、(イ)大使館を通じて日本の高等学校の課程に相当する課程であることが確認できるもの(ドイツ学校・韓国学校等の民族系外国人学校)と、(ロ)国際的に実績のある学校評価団体の認証を受けていることが確認できるもの(インターナショナル・スクール)です。令和8年3月1日現在の一覧では、(イ)が17校、(ロ)の各種学校が33校指定されています。つまり「インターだから一律に対象外」だったわけではありません。
ただし令和8年4月からの新制度では、支給対象者の見直しにより外国人学校の生徒の扱いが変わっています。在校生には法令上の経過措置が、新入生には新設の「高校生等・新修学支援」が用意され、都道府県が支援を行う場合に国が補助する枠組みも設けられています。誰がいくら受け取れるかは在籍校と都道府県によって変わるため、学校と都道府県の私学担当窓口で必ず確認してください。制度の中身はインターナショナルスクールと無償化で詳しく整理しています。学費そのものの実額はインターナショナルスクールの学費にまとめました。
一条校でない学校を選ぶとき、家庭が引き受けるもの
ここまでは制度の話です。最後に、実際に通わせている家庭から相談としていちばん多く届くことを書きます。それは進学資格でも費用でもなく、日本語です。

一条校でない学校には、日本の学習指導要領にもとづく国語の授業がありません。日本語の授業があっても、多くは外国語としての日本語か、会話中心の時間です。学年相当の読み書き――説明文を読み、意見文を書き、学年配当の漢字を積み上げる時間は、カリキュラムの中に存在しません。
会話は家庭で毎日成立しているので、この不足はとても見えにくいです。しかし文部科学省は「日本語指導が必要な児童生徒」を、日常会話ができても学年相当の学習言語能力が不足している子を含む概念として定義しています。「話せているから大丈夫」は、国のほうが公式に否定している見立てだということです。
そして、この不足がいちばん重くのしかかるのは、進路を変えたくなったときです。中学で日本の学校に戻りたい、高校で帰国生入試を受けたい、日本の大学に進みたい――そう思ったときに必要になるのは、英語ではなく学年相当の日本語です。制度上の道が開いていても、日本語の準備がなければ、その道は使えません。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が学年相当の国語を8人の少人数クラスで担任制で見るオンラインスクールです。授業はオンラインなので送迎はゼロ。そして何より、日本の同世代の子どもたちと日本語で友達になれる場所です。子どもが日本語を手放す理由は、教材が足りないからではなく、日本語で話したい相手がいなくなるからだからです。費用は通い放題の月額定額制(金額は学校案内でご案内)です。
一条校でない学校を選んだ家庭が、次に読んでいる記事
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よくある質問
一条校とは何ですか?
学校教育法第1条に列挙されている学校のことです。条文は「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする」と定めています。この9種類が一条校で、日本の学校制度のルール(教育課程の基準、教員免許、無償措置、進学資格など)は、基本的にこの第1条の学校を前提に組み立てられています。「一条校」自体は法律用語ではなく通称です。
インターナショナルスクールは一条校ですか?
多くは一条校ではありません。日本国内のインターナショナルスクールの多くは各種学校(都道府県知事の認可を受けた外国人学校)か、認可を受けていない施設です。ただし一条校として認可を受けたうえで国際教育を行う学校も存在するため、「インターかどうか」ではなく、その学校が一条校の認可を受けているかを個別に確認してください。なお、一条校でないことは教育の質の評価とは別の問題です。
インターナショナルスクールに通わせると義務教育違反になりますか?
文部科学省は「保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません」と明示しています。ただし罰則や督促の扱いについて、この解説には記載がありません。実際の取り扱いは市区町村の教育委員会が判断する部分があるため、必ず居住地の教育委員会に直接確認してください。
インターの小学部を出て、中学から日本の公立中学に入れますか?
文部科学省は「一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります」としており、インターの中学部の途中で日本の中学校へ編入学を希望する場合も同様としています。つまりこの戻り方は制度上そのままでは想定されていません。進路の選択肢に直接関わるため、小学校段階で進路を決める前に教育委員会に相談することを強くおすすめします。
一条校でないインターを卒業したら、日本の大学は受けられませんか?
受けられる道があります。国際的な評価団体(WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBIS)の認定を受けた教育施設の12年の課程を修了し、18歳に達していれば、日本の大学への入学資格が認められます。学校の所在地が日本か外国かは問いません。また、外国の高等学校相当として文部科学大臣に指定された学校である場合や、国際バカロレア・アビトゥア・バカロレア・GCE Aレベルを取得している場合も入学資格が認められます。志望校がどの認定を持っているかは、入学前に必ず確認してください。
一条校でないと、高校無償化(就学支援金)は使えませんか?
従来は、外国人学校のうち「高等学校の課程に類する課程」に当たるものが指定を受けて対象になっていました。令和8年3月1日現在の一覧では、大使館ルート(民族系外国人学校)が17校、国際的な学校評価団体の認証によるルート(インターナショナル・スクール)の各種学校が33校指定されています。ただし令和8年4月からの新制度で国籍・在留資格等による支給対象者の見直しが行われ、扱いが変わりました(在校生には経過措置、新入生には「高校生等・新修学支援」)。学校と都道府県の私学担当窓口で必ず確認してください。
一条校でない学校を選ぶ場合、家庭で何を用意すればいいですか?
学年相当の国語です。一条校でない学校には日本の学習指導要領にもとづく国語の授業がなく、日本語の授業があっても外国語としての日本語や会話中心であることが多いためです。会話が成立していると不足に気づきにくいのですが、文部科学省は「日本語指導が必要な児童生徒」を日常会話ができても学年相当の学習言語能力が不足している子を含む概念として定義しています。進路を変えたくなったときに必要になるのは英語ではなく学年相当の日本語なので、早い段階から続けておくのが安全です。
一条校は何校ありますか?
「一条校の合計」という形では公表されていません。一条校は9つの学校「種類」を指す言葉で、校数は文部科学省の「学校基本調査」で学校種ごとに毎年公表されます。そのため数を調べるときは、「小学校は何校か」「高等学校は何校か」のように学校種を指定して学校基本調査を見るのが正確です。なお種類の数(9つ)と学校の数はまったく別物なので、「一条校は9つ」という説明を見かけたら、それは種類の話だと読み替えてください。
一条校に大学は含まれますか?
含まれます。学校教育法第1条には、大学と高等専門学校が明記されています。ただし実際に「一条校かどうか」が家庭の判断を左右するのは、小中学校段階(就学義務の履行になるか)と高校段階(大学入学資格・就学支援金)の2つです。大学そのものは一条校ですが、進路選択で問題になる場面はこの2段階に集中します。
一条校と専修学校・各種学校は何が違いますか?
根拠になる条文が違います。一条校は学校教育法第1条、専修学校は第124条、各種学校は第134条です。実務上の違いは3つで、①小中学校段階の就学義務の履行になるか(一条校だけがなる)②大学入学資格の扱い③公的な学費補助の対象になるか、です。区分ごとの一覧は本文の「4区分の違いを一覧で」をご覧ください。
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