「日本の学校の資格は残したい。でも英語漬けの環境で育てたい」――一条校とインターナショナルスクールを両にらみで調べているかたが、最後に行き着くのがこの願いです。そしてそれを実際にやっている一条校が、日本に確かに存在します。
ただし、各校の公式サイトを読んでいくと、まったく同じ場所で例外なく線が引かれていることに気づきます。この記事では、英語イマージョンを実施している一条校の実際と、学校教育法施行規則が定める授業時数の数字を並べて、一条校で英語漬けはどこまで可能で、どこで必ず止まるのかを整理します。一条校という区分そのものは一条校とは|インターとの違いと3つの分かれ道で解説しています。

実例①ぐんま国際アカデミー――「日本語を除く全科目を英語で」
群馬県太田市のぐんま国際アカデミー(GKA)は、プレスクール・初等部・中高等部からなる12年一貫の一条校です。公式サイトによれば全体の約7割を英語で授業展開しており、さらにこう書かれています。
日本語を除く全ての科目を英語で学ぶ一条校は、日本で唯一本校のみです
ぐんま国際アカデミー 公式サイト
2011年10月20日に国際バカロレア校として正式に認定されており、文部科学省IB教育推進コンソーシアムのIB認定校一覧でも、ぐんま国際アカデミー中等部(MYP)・高等部(DP)が一条校の欄に掲載されています(令和8年3月31日時点)。
注目していただきたいのは表現です。「全科目を英語で」ではなく「日本語を除く全ての科目を英語で」。日本でいちばん英語に振り切った一条校でさえ、この但し書きが付きます。
実例②加藤学園暁秀――日本のイマージョン教育の出発点
静岡県沼津市の加藤学園暁秀は、1992年に日本で初めて英語イマージョンプログラムを導入した学校です。日本のイマージョン教育はここから始まったとされています。さらに2000年には、一条校としては日本で初めて国際バカロレア認定校になりました。
バイリンガルコースの英語による授業の割合は――
| 段階 | 英語で行う授業 |
|---|---|
| 初等学校 | 1学年が「日本語サイト」「英語サイト」「算数サイト」などに分かれて授業 |
| 中学校(バイリンガルコース) | 45〜50% |
| 高等学校(バイリンガルコース) | 国語と体育を除く全ての授業 |
高校段階で「国語と体育を除く全ての授業」。GKAは「日本語を除く全ての科目」。2校とも、英語化の上限がまったく同じ場所にあります。偶然ではありません。

なぜ全員が国語で止まるのか
理由は制度にあります。文部科学省IB教育推進コンソーシアムは、一条校が国際バカロレアの認定校になる際の留意事項としてこう書いています。
学校教育法第1条で規定する学校が国際バカロレアの認定校になるためには、学校教育法等関係法令と国際バカロレア機構の定める教育課程の双方を満たす必要があります。
文部科学省IB教育推進コンソーシアム
一条校である以上、学習指導要領が定める国語の課程を実施しなければなりません。学校教育法施行規則の別表第一は、小学校の国語の標準授業時数をこう定めています。
| 学年 | 国語 | 外国語活動/外国語 |
|---|---|---|
| 1年 | 306時間 | – |
| 2年 | 315時間 | – |
| 3年 | 245時間 | 外国語活動 35時間 |
| 4年 | 245時間 | 外国語活動 35時間 |
| 5年 | 175時間 | 外国語 70時間 |
| 6年 | 175時間 | 外国語 70時間 |
| 6年間の合計 | 1,461時間 | 210時間 |
国語1,461時間に対して、外国語は210時間。約7倍の開きがあります。これが一条校の標準的な姿です。イマージョン校はほかの教科を英語で行うことで英語の接触時間を大きく増やしていますが、国語のこの1,461時間そのものを削っているわけではありません。「日本語を除く」「国語と体育を除く」という但し書きは、ここから来ています。
言い方を変えると――一条校で英語漬けを選ぶことは、国語を手放すことを意味しません。むしろ一条校を選んだ時点で、学年相当の国語は制度として確保されます。これは一条校の弱点ではなく、強みです。

逆に、一条校でない学校を選んだときに起きること
構造が分かると、裏側も見えてきます。一条校でないインターナショナルスクールには、この1,461時間の課程がありません。日本語の授業があっても、外国語としての日本語や会話中心であることが多いのが実際です。
やっかいなのは、家庭で日本語を話していると、不足していることに気づけないことです。文部科学省は「日本語指導が必要な児童生徒」を、日常会話ができても学年相当の学習言語能力が不足し、学習活動への参加に支障が生じている子を含む概念として定義しています。日常会話は完璧なのに、教科書の説明文が読めない・作文が学年相当にならない――これが実際に起きます。詳しくは「インター育ちの日本語」が会話止まりになる理由と、学齢相当に伸ばす方法をご覧ください。
さらに義務教育段階では制度上の重さも加わります。文部科学省は、日本国籍の子を一条校でないインターナショナルスクールに就学させても就学義務を履行したことにはならないとし、「一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります」ともしています。ただし罰則や督促の扱いには記載がなく、実際の運用は市区町村の教育委員会が判断する部分があります。必ず居住地の教育委員会に直接確認してください。

英語環境を選ぶときの現実的な組み立て方
- 一条校のイマージョン校が通える範囲にあるなら、まずそこを見る。国語が制度として確保されたうえで英語の接触時間を最大化できる、いちばん無理のない形です。ただし数は極めて限られます。
- 一条校でない学校を選ぶなら、国語を別に確保する前提で組む。学校が用意してくれない以上、家庭側の設計事項になります。後から足すより、入学と同時に始めるほうが結果的にずっと軽く済みます。
- 「英語ができれば進路は開ける」で止めない。日本の高校や大学に戻る選択肢を残すなら、必要になるのは英語ではなく学年相当の日本語です。英語は選択肢を増やしますが、日本語は選択肢を減らさないために要ります。
ともだちじゃぱんは一条校ではありません
先に正直に書きます。ともだちじゃぱんは学校教育法第1条に規定する学校(一条校)ではありません。通っても就学義務が履行されるわけではなく、日本の小中学校の卒業資格も出ません。
当校が引き受けるのは2番目――英語環境を選んだご家庭の国語です。授業を担当するのは日本の教員採用を経た現役水準の教員で、日本最大級の教員コミュニティ「授業てらす」の研修を受けています。8人の少人数クラスで、日本の学年に対応した教科としての国語を続けます。英語環境は学校で、学年相当の国語はこちらで――英語漬けを選んだご家庭が実際に取っている形です。料金は月額定額(通い放題)、月100コマから3つの時間帯を選べます。
よくある質問
一条校で英語イマージョン教育は受けられますか?
受けられます。代表例がぐんま国際アカデミー(群馬県太田市)で、公式サイトによれば全体の約7割を英語で授業展開し、「日本語を除く全ての科目を英語で学ぶ一条校は、日本で唯一本校のみです」としています。ほかに加藤学園暁秀(静岡県沼津市)が1992年に日本初の英語イマージョンプログラムを導入しており、高等学校バイリンガルコースでは国語と体育を除く全ての授業を英語で行っています。ただしこうした学校は数が極めて限られます。
一条校で全科目を英語にすることはできますか?
できません。一条校である以上、学習指導要領が定める国語の課程を実施する必要があるためです。日本で最も英語に振り切っている一条校でも表現は「日本語を除く全ての科目」「国語と体育を除く全ての授業」となっており、国語だけは必ず日本語で残ります。文部科学省IB教育推進コンソーシアムも、一条校がIB認定校になるには学校教育法等関係法令とIB機構の定める教育課程の双方を満たす必要があると明記しています。
小学校で英語は何時間学びますか?
学校教育法施行規則の別表第一では、3年生・4年生が外国語活動 各35時間、5年生・6年生が外国語 各70時間で、6年間の合計は210時間です。これに対して国語は6年間で合計1,461時間(1年306・2年315・3年245・4年245・5年175・6年175)で、約7倍の差があります。イマージョン校は他教科を英語で行うことで英語の接触時間を大きく増やしていますが、国語の時数そのものを削っているわけではありません。
英語イマージョンの一条校に通えば、日本語も英語も両方伸びますか?
一条校である以上、学年相当の国語は制度として確保されます。これは一条校でないインターナショナルスクールとの決定的な違いです。ただし個々の子の伸び方を保証するものではないため、志望校の実際の時間割と国語の指導体制は必ず個別に確認してください。逆に一条校でない学校を選ぶ場合は、この1,461時間ぶんの課程が学校には無いという前提で、家庭側の設計が必要になります。
英語ができれば日本語は後からでも間に合いますか?
後から追いつくのは想像以上に大変です。文部科学省は「日本語指導が必要な児童生徒」を、日常会話ができても学年相当の学習言語能力が不足し、学習活動への参加に支障が生じている子を含む概念として定義しています。会話が流暢なために不足が見えにくく、気づいたときには学年との差が開いていることが多いためです。日本の高校や大学に戻る選択肢を残したいなら、必要になるのは英語ではなく学年相当の日本語です。早い段階から続けておくのが安全です。
ぐんま国際アカデミーと加藤学園暁秀は国際バカロレア認定校ですか?
どちらも認定校です。文部科学省IB教育推進コンソーシアムのIB認定校一覧(令和8年3月31日時点)の一条校の欄に、ぐんま国際アカデミー中等部(MYP)・高等部(DP)、加藤学園暁秀中学校(MYP)・加藤学園暁秀高等学校(DP)がいずれも掲載されています。加藤学園暁秀は2000年に、一条校としては日本で初めて国際バカロレア認定校になった学校です。

