赴任地が香港に決まった、あるいは駐在中のご家庭が最初にぶつかる二択が「日本人学校か、現地校・インターナショナルスクールか」です。香港は日本人学校が大埔(タイポー)校への統合を進めている最中で、キャンパスの立地・通学経路が変わりつつあること、そしてESFやHKISといった一流インターの選択肢が非常に豊富なことが、他都市と違う判断ポイントになります。結論を先に言えば――3〜5年で帰国し帰国後の受験を重視するご家庭は日本人学校、香港に長く住む・英語環境を最優先するご家庭はインター、そして「どちらを選んでも日本語だけは学年相当で切らしたくない」ご家庭は両者に”第三の選択肢”を足す、という整理になります。
相場感を先に共有します。香港日本人学校の日本語セクションは年間およそHK$67,000(月額換算で約HK$5,600)と、香港の物価にしては良心的。一方でインターは年間HK$145,000〜260,000が中心帯で、さらに学校によっては数十万〜数百万HK$のデベンチャー(学校債)や資本徴収金が上乗せされ、桁が一つ違います。そして忘れてはいけないのが、”どちらを選んでも残る宿題”――国語の学年相当と、帰国後の学校復帰・受験(帰国子女入試の国語・作文)です。この記事では費用から帰国後まで、公平に比較していきます。
香港の学校選び 3タイプ比較一覧
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安 | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| 香港日本人学校(日本人学校) | 日本語・日本の学習指導要領 | 小1〜中3 | 年 約HK$67,000(日本語セクション) | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験重視 |
| 現地校・インター(ESF / HKIS / CDNIS 等) | 英語・IB/米国式 | 3〜18歳 | 年 約HK$145,000〜260,000+債券・資本金 | △ 国語は別途対策要 | 長期/永住・英語環境を重視 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月21,483円(約HK$1,100) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも”日本語と日本とのつながり”を足したい |
日本人学校という選択肢 ――香港の実情
香港の日本人学校は、正式名称を香港日本人学校(Japanese International School)といい、香港日本人学校協会が運営する全日制校です。従来はハッピーバレーの「香港校」(小学部・中学部)と、大埔(タイポー)の「大埔校」(小学部・大埔校に併設の国際学級=International Section)に分かれていましたが、2025年2月に統合が発表され、2026年4月までに小学部・中学部・国際学級をすべて大埔校キャンパスに集約し、香港校は閉鎖される見込みです。生徒数は駐在員の減少を映して、かつての約2,100人から399人(2025年6月時点)まで縮小しており、通学バスの経路や所要時間が統合で変わる点は、住まい選びと合わせて必ず最新情報を確認してください。
費用面のメリットは大きく、日本語セクションの授業料は2025年度実績で年3回(各HK$22,400)の分納=年間約HK$67,000。香港政府の指示により入学金は徴収されていません(2026年度分は改定の可能性があるため公式の納付金一覧でご確認を)。カリキュラムは日本の学習指導要領そのままで、教科書・給食・運動会などの行事も日本流。帰国後の学校復帰は最もスムーズです。一方デメリットは、英語や現地社会とのつながりが伸びにくいこと、そして中学部までしかないため高校進学時に必ず進路の再設計が必要になること。なお同じ大埔校内の国際学級(IB PYP・英語、4〜11歳)は年間HK$134,000〜156,500と、日本語セクションとは費用も性格も別物です。
現地校・インターという選択肢 ――主な検討先
香港は世界有数のインター激戦区で、駐在家庭が実際に検討する筆頭がESF(English Schools Foundation)です。全校IBで英語による探究型学習が中心。2026/27年度の授業料はPrimary(Y1-6)が年HK$145,000、Secondary(Y7-11)が年HK$188,300。優先入学枠の個別指名権(INR)を使う場合はHK$450,000+資本徴収金HK$38,000などが別途かかります。米国式ならHong Kong International School(HKIS)で、AP科目が充実し年HK$231,600〜258,550、新入生入学金HK$15,000、デベンチャーは家族・法人ともHK$3,000,000(保有者は入学優先)。IB系の人気校Canadian International School(CDNIS)は2026/27年度が年HK$156,300〜254,300+資本徴収金HK$43,000。いずれも英語力・国際性・長期/永住に強い反面、学費が高く、帰国後に国語や日本の教科が空きやすいこと、人気校はウェイトリストや面接があり枠の確保に時間がかかることが共通のデメリットです。日本語サポートの有無・レベルは学校差が大きいので、必ず各校に確認してください。
結局どっち? 迷ったときの3つの判断軸

- ①帰国予定:3〜5年で帰国か、長期・永住か 数年で帰国する見通しなら、国語の連続性が効く日本人学校(+日本語の補完)が有利。香港に長く住む・永住も視野なら、英語環境で伸ばせるインターが合います。香港は駐在期間が読みにくい市場でもあるので、途中で方針転換できる”保険”を持っておくと安心です。
- ②子の年齢・学年:いま何年生か(5年生の壁) 低学年は言語の切り替えが効きやすい一方、高学年になると国語の抽象語彙・読解が一気に難しくなり、ここで空白が出ると帰国後に致命傷になりがち。中学部までしかない香港では、この学年設計が特に重要です。
- ③帰国後の受験:帰国子女入試・中学受験の国語 帰国受験で国語や作文が必要になるご家庭ほど、日本語を学年相当で切らさない設計が要ります。インターで英語を伸ばしても、国語だけは別ルートで確保しておく――これが香港駐在の定番の備えです。

どちらを選んでも残る”宿題”――第三の選択肢
日本人学校を選べば英語や現地とのつながりが、インターを選べば日本語の学年相当と帰国後の国語・日本の同世代とのつながりが、それぞれ”宿題”として残ります。その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。大切なのは、これは日本人学校やインターの置き換えではなく、併用が前提だということ。今の学校生活はそのままに、足りない一枚だけを足すイメージです。
時差の相性も香港は抜群です。香港は日本より1時間遅いだけ(-1h)。日本の平日夕方のクラスが、香港の放課後の時間帯とそのまま重なるので、学校や習い事から帰ってきて、リビングからそのまま参加できます。特別に夜更かしさせたり、早朝に起こしたりする必要がありません。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍800名超)の日本の子どもたちと少人数グループで話す。香港の教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができる。
- “レッスン”以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値。
- 子ども特化だから安心:月21,483円(約HK$1,100)で毎日でも参加OK。学年でなく会話レベルでクラス分けするので「5年生の漢字の壁」で取り残されない。通い放題で「週1では量が足りない」も解決。


よくある質問(香港で学校を選ぶ方から)
日本人学校は中学部までしかありません。高校はどうすればいいですか?
香港日本人学校は小学部・中学部までのため、高校は①インターや現地校の高校へ進む、②日本の高校へ進学(帰国生入試や寮のある学校)、③香港のインターでIB Diplomaを取り海外大学を目指す、の主に3ルートです。中学のうちから英語力と日本語(国語)の両方を切らさず持っておくと、どのルートにも進めます。日本語だけは早めに”学年相当の貯金”を作っておくのが安全です。
インターに入れると日本語が心配です。どうすれば?
正直に言うと、家庭での会話だけで学年相当の読み書き(漢字・作文・読解)を維持するのはかなり大変です。日本語サポートのあるインターでも、あくまで英語が主で国語の教科学習までは担えません。だからこそ、家庭の日本語量に、学年相当の国語を扱える補完手段を一つ足すのが現実的。ともだちじゃぱんは会話レベルでクラス分けし通い放題なので、インターとの併用で無理なく続けられます。
香港から帰国後の受験、国語はどのくらい重要ですか?
帰国子女入試でも、英語だけで受けられる学校は一部で、多くは国語や作文・面接が課されます。特に中学受験の国語は抽象語彙と読解量が勝負どころ。香港でインターに通い英語が伸びていても、国語が学年から遅れていると選べる学校が一気に狭まります。逆に言えば、国語を切らさないだけで進路の選択肢が大きく広がります。滞在中こそ、学年相当の日本語を計画的に積んでおきましょう。
香港からだと時差は問題になりませんか?
問題ありません。香港は日本より1時間遅いだけなので、日本の平日夕方のクラスが香港の放課後にちょうど重なります。学校や塾から帰宅した後、そのままリビングから参加できる、駐在先としては最も相性の良い時差です。週末を使う必要すらなく、平日の生活リズムに自然に組み込めます。
他都市と比べたい方は、世界94校をまとめた日本人学校 一覧もあわせてご覧ください(高等部の有無・国別の分布まで整理しています)。

