赴任地がホーチミンに決まった、あるいは駐在中のご家庭が最初にぶつかる二択が「日本人学校か、現地校・インターナショナルスクールか」です。ホーチミンは日本人学校が全日制(小1〜中3)で7区フーミーフン近くにあり、インターの選択肢も豊富——という比較的恵まれた環境ですが、その分だけ「わが家はどちらか」で迷いやすい街でもあります。3〜5年で帰国し帰国後の受験を見据える家庭なら日本人学校が堅実、長期・永住や英語環境を最優先するならインター、というのが大枠の結論です。ただし、どちらを選んでも残る”宿題”があります。
まず相場感を先に。ホーチミン日本人学校は授業料が月額およそ400米ドル(年間で約53万円相当)なのに対し、主要インターは年間で日本円換算200万〜400万円超と、そもそも桁が違います。そして費用の大小に関わらず、日本人学校を選べば「英語」が、インターを選べば「国語の学年相当」と「帰国後の学校復帰・受験」が宿題として残ります。この記事では、ホーチミンの実情に沿って両者を公平に比較したうえで、その宿題を軽くする”第三の選択肢”までを整理します。
ホーチミンの学校選び 3タイプ比較一覧
| 選択肢 | 言語・カリキュラム | 対象 | 学費目安 | 帰国後 | こんな家庭に |
|---|---|---|---|---|---|
| ホーチミン日本人学校 | 日本語・日本の学習指導要領 | 小1〜中3 | 授業料 月約400米ドル(年約53万円相当)+入学金・バス代別 | ◎ そのまま復帰しやすい | 3〜5年で帰国・帰国後の受験重視 |
| インター(ISHCMC / BIS HCMC / AIS等) | 英語・IB/英国式(IGCSE)等 | 幼〜18歳(G12) | 年 約2.9億〜10億VND(日本円で約170万〜600万円) | △ 国語は別途対策要 | 長期・永住/英語環境を重視 |
| ともだちじゃぱん | オンライン・日本語会話/国語・友達 | 5〜18歳 | 月21,483円(約340万ドン/US$140) | ◎ 学年相当の国語と日本の友達を維持 | どちらを選んでも”日本語と日本とのつながり”を足したい |
日本人学校という選択肢 ――ホーチミンの実情
ホーチミンには全日制のホーチミン日本人学校があります。正式には在ホーチミン日本商工会議所が運営する日本人学校で、1997年設立、市南部フーミーフン(7区)エリアのサイゴンサウス地区に立地。対象は小学部(1〜6年)と中学部(1〜3年)で、日本の学習指導要領に沿った授業・給食・行事があり、教科書も日本と同じです。学費は2026年度で授業料が月額およそ1,040万VND(約400米ドル)、スクールバスが月額およそ390万VND(約150米ドル)。入学金は日本商工会議所(JCCH)会員で1,300万VND(約500米ドル)、非会員で1,950万VND(約750米ドル)が目安です(四半期ごとの納付。最新額は必ず学校へご確認ください)。
メリットは、日本のカリキュラムをそのまま継続でき帰国後の学校復帰がスムーズな点、日本語で安心して学べる環境、そして駐在家庭同士のコミュニティです。一方でデメリットは、英語や現地語が自然には伸びにくいこと、送迎・スクールバス圏の制約、そして最大の論点が中学部までしかないことです。中3卒業後は日本に帰国して高校進学するか、市内のインターへ編入するかの二択になり、その設計を早めにしておかないと子どもが進路で困りやすい、という声が多く聞かれます。
現地校・インターという選択肢 ――主な検討先
ホーチミンは駐在家庭に人気のインターが揃う街です。代表的なのが、IB一貫で全人教育に定評のあるInternational School Ho Chi Minh City(ISHCMC)(年間およそ2.87億〜9.88億VND)、Nord Anglia系で英国式(IGCSE)とIBを提供するBritish International School HCMC(BIS)(年間およそ3.33億〜9.99億VND)、タオディエンにありIB/IGCSE/HSCの進路を持つAustralian International School(AIS)Saigon(年間およそ2.85億〜8.16億VND)などです。いずれも幼児から18歳(G12)まで一貫で通え、高校卒業まで見通せる点が日本人学校との大きな違いです。
メリットは、高い英語力と国際性、そして高校まで転校せず通える連続性で、長期・永住の家庭に強いこと。デメリットは、まず学費が日本人学校の数倍〜10倍規模になること、入学金・施設費・デポジット等の初年度一時金が別途かかること、人気校ではウェイトリストが出ること。そして教育内容の面では、帰国後に効く国語(漢字・読解・作文)と日本の社会・理科の学びが空きやすい点です。英語は伸びても、日本語の学年相当が止まってしまうと、帰国受験や日本の学校復帰でつまずきやすくなります。
結局どっち? 迷ったときの3つの判断軸

- ①帰国予定:3〜5年で帰国か、長期・永住か——数年で帰国するなら、国語の連続性が効く日本人学校(+補完)が有利。長期・永住なら、高校まで一貫で通える英語環境のインターが視野に入ります。ホーチミンは日本人学校が中学までなので、帰国時期が中学以降にかかる家庭は特に早めの設計が必要です。
- ②子の年齢・学年:いま何年生か(5年生の壁)——低学年は言語の切り替えが効きやすい一方、高学年になると国語の抽象語彙が急に難しくなり、ここで日本語が空くと帰国後の空白が致命傷になりやすい。学年が上の子ほど、日本語を切らさない工夫が要ります。
- ③帰国後の受験:帰国子女入試・中学受験の国語——帰国受験で国語や作文が課される家庭ほど、日本語の学年相当を維持する設計が不可欠。インターに通いながらでも、日本語の”貯金”を切らさないことが合否を分けます。

どちらを選んでも残る”宿題”――第三の選択肢
日本人学校を選べば英語や現地とのつながりが、インターを選べば日本語の学年相当と帰国後の国語・日本の同世代とのつながりが、それぞれ”宿題”として残ります。その宿題を軽くするのが、2026年12月開校のオンライン日本語スクール「ともだちじゃぱん」です。日本人学校やインターを置き換えるものではなく、併用して足りない一辺を補う使い方を前提にしています。「日本人学校を選ぶな」「インターをやめろ」という話ではありません。
時差の面でもホーチミンは好条件です。日本より2時間遅いだけなので、日本の平日夕方のクラスが、ホーチミンの放課後そのままの時間帯に届きます。学校やインターから帰宅したあと、リビングから無理なく参加できる——北米や欧州のように「現地の深夜になってしまう」といった問題がありません。習い事のように生活に組み込みやすいのが、東南アジア駐在の強みです。
- 相手は日本在住の同世代:姉妹校NIJINアカデミー(在籍800名超)の日本の子どもたちと少人数グループで話します。ホーチミンの教室では得にくい「日本のリアルな友達」ができるのが、他にはない価値です。
- “レッスン”以上の、日本とのつながり:アイデンティティやルーツとのつながりが、帰国後もその先も効く長期価値になります。日本語は”教科”であると同時に、子どもが日本と自分をつなぐ糸でもあります。
- 子ども特化だから安心:月21,483円(約340万ドン/US$140)で毎日でも参加OK。学年でなく会話レベルでクラス分けするので「5年生の漢字の壁」で取り残されません。通い放題なので「週1では量が足りない」も解決します。


よくある質問(ホーチミンで学校を選ぶ方から)
日本人学校は中学までしかありません。高校はどうすれば?
ホーチミン日本人学校は中学部(中3)までで、高校部はありません。中学卒業後は、日本に帰国して高校へ進学するか、市内のインターへ編入するかが一般的な流れです。どちらを選ぶにせよ、日本語の国語力を中学のあいだに切らさないことが、帰国受験でも編入後の両立でも効いてきます。母子だけ先に帰国するケースも多いため、進路は中学入学時から逆算して設計しておくと安心です。
インターに入れると日本語が心配です。どうすれば?
正直に言うと、インターの英語環境だけでは日本語の学年相当は自然には維持できません。家庭での読書や会話の量に加え、学年でなく会話レベルでクラス分けし通い放題で量を確保できる「ともだちじゃぱん」のような補完手段を併用すると、英語を伸ばしながら日本語の”貯金”も切らさずに済みます。置き換えではなく、インターに一辺を足すイメージです。
帰国後の中学受験・帰国子女入試の国語が不安です。
帰国受験では国語(読解・作文・語彙)が合否を大きく左右します。海外にいる期間が長いほど、日本の同学年が積む漢字や抽象語彙との差が開きやすいので、学年相当の日本語を”止めない”設計が重要です。日本在住の同世代と日本語で話す機会を続けることは、語彙・表現・時事感覚を生きたまま保つうえでも役立ちます。
ホーチミンからだと時差は問題になりませんか?
問題になりません。ホーチミンは日本より2時間遅いだけなので、日本の平日夕方のクラスが、ちょうどホーチミンの放課後の時間帯に届きます。学校やインターから帰ってきたあと、夕食前後にリビングから参加できるので、生活リズムを崩さずに続けられます。東南アジア駐在は、オンライン日本語との相性が最も良い地域のひとつです。

