出願書類をそろえ終えて、最後に残るのが面接です。海外にいると過去問も出回らず、何を聞かれるか分からないまま日だけが近づく――そこで「帰国子女 面接 質問」と検索した方が多いはずです。ところが出てくるのは質問例の羅列と模範解答ばかりで、それが本当に学校の見ている点なのかは分かりません。この記事は逆から進みます。まず教育委員会と各校の公表資料で面接がどう位置づけられているかを確かめ、質問を6つの型に整理し、準備の材料をどこからそろえるかまでを扱います。模範解答は載せません。暗記した答えは、実際の面接でいちばん評価されないからです。制度そのものの整理は帰国子女枠の仕組みをまとめた記事へ。
面接は「おまけ」ではない――配点の中心に置かれる例もある
最初に思い込みを一つ外します。帰国生入試の面接は、多くの場合学力を測り直す場ではありません。学力は検査と書類で見たうえで、面接は出願資格と志望の整合、海外で何をしてきたかを本人の口から確かめる場として置かれています。だから質問は成績より「なぜ日本に戻るのか」「なぜこの学校か」に寄ります。
公表資料ではこうです。東京都教育委員会の海外帰国生徒等入学者選抜実施要綱では、4月入学生徒の選抜における検査は「国語(作文を含む。)、数学及び外国語(英語)の3教科並びに面接」とされ、各教科の満点は100点。しかも面接を含めて1つでも受検しなかった者は受検を放棄したものとみなすと書かれています。面接は付け足しではなく、検査の一部として明記されています。
さらに極端なのが9月入学のルートです。東京都が公表した令和8年度の9月入学生徒募集(海外帰国生徒・在京外国人生徒等対象)では、海外帰国生徒対象の実施校は三田・竹早・日野台・国際で、検査は「日本語又は英語による作文及び面接」。教科の学力検査がなく、作文と面接だけで選抜されます。千葉県も同じ方向で、令和8年度の公立高校「海外帰国生徒の特別入学者選抜」は19校が指定され、学校ごとに設定する検査は大多数が「面接」、一部が「面接、作文」と県のページに並びます。私立でも、佼成学園女子高等学校の2027年度帰国生入試は事前提出の自己PRシートと日本語作文が30点、入試当日の面接が70点です。

質問は6つの型に整理できる――ただし「公式」と「通説」は分けて読む
ここが本題です。ただし前置きを一つ。ネット上の質問例の多くは受験者の体験談で、学校が公表したものではありません。以下は「公式に記載がある事項」と「よく挙げられる型」を分けて並べます。
- ①海外でのこと――住んでいた国、通っていた学校、印象に残っていること。ここには公式の裏づけがあります。海城中学校の2027年度帰国生入試は「面接(10分程度・受験生のみ)」で、「生活していた国や地域と日本との違い」について日本語による2分程度のスピーチを行うと明記され、メモや資料の使用は不可とされています。
- ②帰国と日本での生活のこと――いつ帰国したか、日本の生活で何が違うと感じるか。よく挙げられる型ですが、在外年数や帰国後の経過年数は出願資格そのものなので、書類と食い違わないかを確かめる意味は構造上あります。
- ③志望理由と学校理解――なぜこの学校か、説明会やサイトで何を見たか。よく挙げられる型。学校が公表しているのは志望理由書等の提出書類のほうで、面接はその内容を本人に確かめる場になりやすい構図です。
- ④日本語そのものを見る質問――内容ではなく、日本語で受け答えできるかを見る部分。これも公式に読み取れます(次の見出しで詳述)。
- ⑤入学後にやりたいこと――部活動、学びたい分野、海外経験をどう生かすか。よく挙げられる型。大学では学問的関心そのものが問われます。
- ⑥保護者への質問――教育方針や帰国後の見通し。ここは学校差がいちばん大きい部分です。頌栄女子学院の2027年度帰国生募集要項は選考方法に「面接(保護者同伴)」と明記する一方、海城中学校は「受験生のみ」。同伴の有無は要項で個別に確かめるしかありません(後述)。

①〜⑤に共通するのは、正解のある問いが一つもないことです。だから模範解答は効きません。効くのは、聞かれる範囲が分かっていることと、その範囲に自分の言葉が用意できていることです。出願資格の条件は受験資格を4つの軸で分解した記事と高校受験の条件を公私で比べた記事で先に固めておくと、話がぶれません。
本当の壁は「何を答えるか」より「日本語で答えられるか」
ここが本記事の核心です。学校は、話の中身とは別に「日本語で話せるか」を見ています。推測ではなく、要項の書き方に表れています。
聖学院中学校の帰国生入試は、英語圏の現地校出身者向けのA方式が英語面接(約20分)に加えて日本語面接(約10分)、日本人学校出身者向けのB方式が日本語による面接(約20分)と公表されています。A方式でわざわざ日本語面接を別立てにしているのは、英語で語れることと日本語で語れることが別物だからです。渋谷教育学園渋谷中学校の2027年度帰国生入学試験も、英語を課すパターンAは「英語面接」、作文を課すパターンBは「面接」と、入試の型によって面接の言語が変わる設計。いずれも個人面接で、受験生のみと記載されています。
大学でも同じです。国際基督教大学(ICU)の総合型選抜〈4月入学〉帰国生は、第一次選考が書類選考、第二次選考が「オンライン個人面接(日本語)」と明記されています。出願にはIELTS等の英語資格が必須なのに、面接は日本語。英語力は書類で確認済みで、面接で確かめたいのは別のものだ、という設計が透けます。
ここで起きるのが、帰国生に固有のつまずきです。英語でなら3分話せる内容が、日本語だと最初の一文で止まる。初対面の大人に対する敬語が出てこない。沈黙を「えーと」で埋めるしかなくなる。海城の「メモなしで2分間、日本語でスピーチ」という条件は、この壁を正面から突いてきます。発音や敬語の仕組みは日本語の話し方でつまずく理由、日本語力の見立ては「日本語ができない」を3タイプに分けた記事へ。作文は面接と別の技術なので作文のテーマの型を扱った記事へどうぞ。
中学・高校・大学で、面接の形はここまで変わる
中学――ここは学校ごとに真っ二つに割れます。海城中学校と渋谷教育学園渋谷中学校は「受験生のみ」の個人面接、一方で頌栄女子学院は選考方法に「面接(保護者同伴)」と明記。清泉女学院や光英VERITASのように、受験生と保護者を別々に面接する設計もあります。「中学入試の面接は保護者同伴が多い」と一般化もできませんし、「同伴はない」とも言えません。同伴の有無は志望校の要項で個別に確かめてください。時間は10分前後の例が目立ちます。中学の面接だけを詳しく見るなら中学入試の面接で保護者が聞かれることもあわせてどうぞ。
高校――公立は自治体の要綱がそのまま答えです。都立は学力検査3教科と面接、千葉県は各校が定める「学校設定検査」として面接(一部は面接と作文)。私立では佼成学園女子高等学校のように面接が70点配点で、海外在住者はZoom、国内在住者は対面と実施方法まで公表する例があります。この一行が日程と旅費を左右します。
大学――ここは学問的関心を問う場に変わります。上智大学の2027年度海外就学経験者(帰国生)入学試験は「学科試問」「面接」「書類審査」で総合的に判定と公表され、面接は学科試問と一体です(国際教養学部を除く全学部・全学科)。ICUは書類選考の通過者だけがオンライン個人面接に進む二段構え。大学は学部単位で分かれるので、実施学部の探し方を扱った記事を先に見ておくと無駄がありません。

| 面接の準備で必要になること | 募集要項・教育委員会 | 帰国生向けの塾・家庭教師 | 家庭でできること | ともだちじゃぱん |
|---|---|---|---|---|
| 面接の有無・形式・時間・言語を知る | 唯一の一次資料。ここにしか書いていない | 併願校をまたいだ傾向を教えてもらえる | 「選考方法」欄の読み落としが起きやすい | 扱わない領域 |
| 志望理由や海外での経験を整理する | 求める観点は要項・説明会に出る | 出願書類とあわせた対策の中心 | 親子で話せば材料自体は出てくる | 授業内で自分のことを日本語で説明する機会がある |
| 日本語で言い切る・沈黙しない | 記載はない | 面接練習を実施する塾もある | 相手が親だと甘えが出て練習になりにくい | 日本に住む同世代を含む8人のクラスで毎回話す |
| 敬語や初対面の言葉づかい | 記載はない | 直前対策として扱われることが多い | 家庭内では使う場面がほとんどない | 日本の現役水準の教員が日常的に直す |
| 直前期まで続けられるか | 費用はかからない | 料金は各社の公表範囲で確認(非公表の社もある) | 費用はかからないが継続が難しい | 定額の月謝で回数制限なし・担任制 |
準備の材料は、募集要項の「選考方法」欄で全部そろう
質問例を集める前に、志望校の要項を開いてください。読む順番は次の5つです。
- ①面接があるか――「選考方法」「検査の内容」「試験科目」のいずれかの欄にあります。公立高校は自治体の入学者選抜実施要綱・実施要項が原典です。
- ②誰が受けるか――「受験生のみ」「個人面接」「グループ」の別。保護者同伴の記載の有無を、ここで確定させます。
- ③何分か――10分か20分かで話す量が変わります。海城のように「2分間のスピーチ」と中身まで書いてある学校もあります。
- ④何語か――日本語か英語か、選べるのか。聖学院のように両方を別立てで課す例も、ICUのように日本語と明記する例もあります。
- ⑤対面かオンラインか――海外在住者はオンライン、国内在住者は対面と分ける学校があります(佼成学園女子高等学校)。渡航の要否はここで決まります。当日の身なりや画面の映り方、顔写真の規格といった実務は面接当日の服装と環境をまとめた記事に分けました。

なお、要項が公開される時期は学校段階で違います。逆算は高校受験の日程を逆算した記事、志望校の探し方は受け入れ校の探す順番に譲ります。英語資格は面接ではなく出願資格の側で効く場合があるので英検が資格になる入試とならない入試を、学年途中の編入は入試と別物なので編入試験で何が出るかの記事をどうぞ。
最後に一つだけ。面接の準備でいちばん再現しにくいのは、初対面の日本人の大人に、日本語で、自分のことを話す場面です。家庭では相手が親なので敬語が要らず、練習になりません。ともだちじゃぱんは株式会社NIJINが母体のオンライン日本語スクールで、学校教育法上の一条校ではなく、在籍校の代わりにはなりません。面接対策の塾でもありません。できるのは、日本語で話す場を日常の側に置くことです。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った現役水準の日本の教員、8人の少人数クラスには日本に住む同世代がいます。料金は通い放題で月額定額。帰国後の適応にも同じ力が効くので帰国後になじめないときの記事もどうぞ。
よくある質問
帰国子女の面接では、必ず志望理由を聞かれますか?
志望理由は一般によく挙げられる型で、志望理由書等の提出を求める学校が多い以上、面接で本人に確かめる流れは自然です。ただし「必ず聞かれる」と学校が公表しているわけではありません。質問内容まで公式に書いてある例はむしろ少なく、海城中学校の「生活していた国や地域と日本との違い」を日本語で2分程度のスピーチ、という記載が例外的です。
面接は日本語ですか、英語ですか?
学校と入試の型によります。聖学院中学校はA方式が英語面接(約20分)と日本語面接(約10分)の両方、B方式は日本語面接(約20分)。渋谷教育学園渋谷中学校は英語を課す型が「英語面接」、作文を課す型が「面接」です。ICUは「オンライン個人面接(日本語)」、都立の9月入学は「日本語又は英語による作文及び面接」。要項の言語表記を必ず確認してください。
保護者も面接に同席しますか?
学校によって割れます。2026年8月時点で確認できた募集要項では、海城中学校が「受験生のみ」、渋谷教育学園渋谷中学校が「個人面接(受験生のみ)」、佼成学園女子高等学校も受験生のみ。一方で頌栄女子学院は「面接(保護者同伴)」と明記し、清泉女学院や光英VERITASは受験生と保護者を別枠で面接します。高校・大学では受験生のみが基本ですが、中学は同伴の有無が学校ごとに違うと考えてください。体験談ではなく志望校の要項で確定させてください。
面接の配点はどれくらいですか?
公表例は多くありませんが、佼成学園女子高等学校の2027年度帰国生入試は事前提出の自己PRシートと日本語作文が30点、当日の面接が70点です。都立の海外帰国生徒対象(4月入学)は3教科各100点と面接で構成され、面接を含め1つでも受検しないと受検放棄とされます。「面接は形式的」と決めつけないほうが安全です。
海外にいても面接は受けられますか?
オンラインで実施する学校があります。佼成学園女子高等学校は海外在住者がZoom、国内在住者が対面と公表し、ICUは第二次選考そのものがオンライン個人面接です。一方で対面のみの学校もあり、その場合は一時帰国の日程が要ります。渡航の要否は面接の実施方法で決まるので、日程を組む前に要項を読んでください。
高校は公立と私立で受ける機関そのものが違い、面接の配点も学校ごとに大きく変わります。高校の帰国枠面接で実際に聞かれることもあわせてご覧ください。
大学の帰国生入試では、面接は単独ではなく学科試問や書類審査と一体で判定されます。大学の帰国生入試で面接がどう位置づけられるかもあわせてご覧ください。

