検査の欄に「面接」とあるのは分かった。けれど何点なのか、何を見られるのかは書いていない――高校の帰国生入試で最も多い行き止まりです。「帰国子女 面接 質問 高校」で検索して出てくるのは質問例の羅列ばかりですが、実は高校は、面接の重みと評価の観点が公表されている数少ない段階です。配点まで公開している県もあります。この記事は2026年8月時点で東京都・千葉県・神奈川県の実施要綱と私立高校の公式募集要項を読みに行き、そこに書いてあることだけを並べます。模範解答は載せません。出願条件は高校受験の条件を公私で比べた記事で先に確定させてください。
高校の面接は「付け足し」ではない――受けなければ受検放棄になる
まず東京都です。令和8年度 海外帰国生徒等入学者選抜実施要綱の4月入学生徒の選抜には、検査教科等は「国語(作文を含む。)、数学及び外国語(英語)の3教科並びに面接」で各教科の満点は100点、そして「検査教科のうち、1教科(面接を含む。)でも受検しなかった者は、受検を放棄したものとみなす」と書かれています。面接は「行けたら行く」ものではなく、欠けた瞬間に選抜から外れる検査です。
配点も別表に出ています。3教科の学力検査を課す枠――三田・竹早・日野台と、国際の日本人学校出身者――の4月入学は、学力検査300点・調査書100点・個人面接100点とされています(国際の現地校出身者の枠は作文と面接で、学力検査そのものがありません)。つまり面接だけで調査書と同じ重さです。内申の不安が先に立ちがちですが(扱いは内申点がないとどう評価されるかの記事へ)、同じ100点分が面接に置かれていることは要綱を開かないと分かりません。
もう一つ、日程に直結する記載があります。当日の時間割は集合が午前8時30分、国語・数学・英語と続き、第4時限が午後1時10分からの面接。そこに注記が添えられています。「志願者が多い場合には、面接が2日間にわたる場合がある。」一時帰国の航空券を1日単位で組む家庭には、この一行が効きます。逆算は高校受験の日程カレンダーに譲りますが、帰国日程は「検査日+1日」で見ておくほうが安全です。

公立は都道府県ごとに設計が違う――東京・千葉・神奈川を並べる
「公立の帰国枠」とひとまとめに語られますが、面接の置き方は自治体でまったく違います。
- 東京都(4月入学)――前述のとおり3教科+面接。別表では4月入学は日本人学校出身者と現地校出身者の両方が対象で、国際高校は出身校の別で枠が分かれます。都立の全体像は東京の帰国枠と9年課程のカギへ。
- 東京都(9月入学)――ここが大きく変わります。実施校は三田・竹早・日野台・国際で、9月入学の選抜は現地校出身者が対象。検査内容は「作文及び面接」で教科の学力検査がありません。さらに要綱には「言語については、それぞれの検査において日本語又は英語のどちらかを選択することができる」と明記。作文を英語、面接を日本語という組み合わせも制度上は成り立ちます。
- 千葉県――令和8年度の「海外帰国生徒の特別入学者選抜」は一般入学者選抜の第1日(2月17日)と同じ期日で、学力検査は国語・数学・英語の3教科。これに各校が定める「学校設定検査」が加わり、その中身は面接が最も多く、面接と作文を組み合わせる学校、自己表現を課す学校があります。同じ県内の同じ日に、違う検査を受けることになります。
- 神奈川県――実施校は神奈川総合・横浜国際・新城・西湘・鶴嶺・相模原弥栄・伊志田・横浜市立東の8校。学力検査(国語・数学・外国語(英語))に加えて日本語による作文および面接を課す、と県が公表しています。東京の9月入学と違い言語が日本語に固定されている点が対照的です。併願の組み方は神奈川の帰国枠と併願の仕組み、1都6県の比較は関東の帰国枠を並べた記事へ。

神奈川県は「面接の評価の観点」を公表している――全校に入る一語
神奈川県は特別募集の選考基準を公表しており、そこに各校の面接の配点と「面接の評価の観点」が書かれています。質問例ではなく、学校が何を点数化しているかそのものです。
まず重みが学校でまるで違います。横浜国際高校の単位制普通科・国際文化コースは、学力検査3教科・面接・作文をそれぞれ100点満点に換算し、S値(1000点満点)=学力×7+面接×2+作文で選考します。面接が1000点中200点です。一方新城・西湘・鶴嶺は学力300点・面接30点・作文25点の355点満点。伊志田は学力300点・面接100点・作文100点、横浜市立東は学力300点・面接50点・作文50点、相模原弥栄は学力300点・面接20点・作文100点。同じ県の同じ枠でも、面接の比重は5%程度から2割まで開きます。併願校のどこで面接の練習に時間を使うかは、この数字で決まります。
そして観点です。横浜国際(国際文化コース)は「入学希望の理由」「本校での教科・科目等に対する学習意欲」「本校での教科・科目等以外の活動に対する意欲」「将来の展望」の4つ。新城・西湘・鶴嶺は、これに「自己の理解(長所、自己アピール)」「面接の態度」が加わる6つ。横浜国際の単位制国際科では「海外での経験を踏まえ、国際理解・国際交流に取り組もうとする意欲」が入ります。提出書類に「面接シート」を求める学校が多いのも共通点です。
並べて気づくのは、どの学校にも「将来の展望」が入っていることです。海外での経験を語れば足りる、ではない。この学校で何をして、その先どうしたいのかを点数化される項目として置いている。高校の面接が中学と違う理由が、通説ではなく公表資料の側に出ています。
私立高校――「当日の試験は面接のみ」という設計もある
私立は設計が自由なぶん、面接の重さが極端に振れます。公式の募集要項で確認できた2校を挙げます。
佼成学園女子高等学校の2027年度帰国生入試は、事前提出の自己PRシートと日本語作文が30点分、当日の面接が70点分。面接は日本語で10分程度・受験生のみ、国内在住者は対面、海外在住者はオンライン(Zoom使用予定)。試験日は11月21日・12月23日・1月13日の3回ですが受験は1回のみです。
国際基督教大学高等学校(ICU高校)の2027年度4月入学・帰国生徒推薦入試は、選考方法が「書類審査および面接」。成績・外国語検定試験結果・校長推薦書・自己PRカードなどで審査を行い、「入学試験当日は面接のみです」と要項に書かれています。面接は受験生1名に対して2名の面接担当教員が日本語で行い、試験日は2026年12月16日。会場に保護者控室は設置しないとも明記されています。
渡航の可否についても、ICU高校の書き方は具体的です。面接は対面が原則で、オンラインは特例。条件は試験当日0時(日本時間)に海外に在留していて帰国が困難であることと、事前のオンライン環境チェックを完了していることの両方で、チェック後に一時帰国が決まれば対面に戻る、とまで書かれています。桐光学園高等学校のように11月入試をオンライン面接、1月入試を対面面接と分ける学校もあり、実施方法は入試回ごとに違うと考えてください。志望校の並べ方は受け入れ校の4つの型と探す順番、当日の身なりや画面の映り方は面接当日の服装と環境の記事に分けてあります。

| 確認する項目 | 都立高校(帰国生徒対象) | 神奈川県公立(8校) | 私立高校の例 | ともだちじゃぱん |
|---|---|---|---|---|
| 面接の配点 | 4月入学は学力検査300点・調査書100点に対し面接100点 | 学校差が大きい。横浜国際 国際文化コースは1000点中200点、新城・西湘・鶴嶺は355点中30点 | 佼成学園女子は100点中70点 | 扱っていません |
| 評価の観点の公表 | 公表なし(取扱いは「別に定める」) | 公表あり。入学希望の理由・学習意欲・将来の展望など | 観点まで書く学校は少ない | 扱っていません |
| 面接の言語 | 9月入学は検査ごとに日本語か英語を選択できる | 日本語による作文および面接 | 佼成学園女子・ICU高校とも日本語 | 授業はすべて日本語 |
| 受験生以外の関与 | 個人面接 | 面接シートを事前提出する学校が多い | 佼成学園女子は受験生のみ、ICU高校は保護者控室なし | 扱っていません |
| 日本語で将来を語る練習 | 記載なし | 記載なし | 記載なし | 日本に住む同世代がいる8人のクラスで日常的に話す |
中学の面接との違いと、日本語で答えるという壁
中学入試の面接は、受験生が小学生であるぶん、海外の学校での一日や友達のことといった生活の具体に寄ります(中学入試の面接をまとめた記事へ)。高校はそこに「将来の展望」という時間軸が加わる。神奈川県の観点がそれを裏づけていますし、ICU高校のように自己PRカードを出させて当日は面接だけ、という設計も、書いたことを本人が語れるかを見る構図です。学校段階をまたいだ型の整理は面接で聞かれることの全体像にあります。
ここから先は、公表資料には書かれていないほうの話です。海外で育った中3の本当の難所は、答えの中身ではありません。英語でなら3分話せる将来の話が、日本語だと最初の一文で止まる。頭の中には答えがあるのに、日本語の文にする作業が間に合わない。初対面の大人への敬語も、現地校の生活には出番がないので育ちません。そして一度沈黙すると、戻り方が分からない。理由の整理は話し方と敬語でつまずく理由と高校段階の日本語支援の薄さを扱った記事にあります。作文が課される学校も多いですが、書く技術は面接と別なので作文のテーマの型へどうぞ。

準備としてできるのは、暗記ではなく材料をそろえることです。神奈川県が公表している観点が、そのまま材料の見出しになります。暗記した文章は伝わりますし、角度を変えて聞き返された瞬間に崩れます。そして家庭でいちばん再現しにくいのが、家族以外の日本人の大人に、日本語で自分のことを話す場面のほうです。ともだちじゃぱんは株式会社NIJINが運営する、海外で育つ子のためのオンライン日本語スクールです(2026年12月開校)。学校教育法上の一条校ではなく、在籍校の代わりにはなりませんし、面接対策の講座も行っていません。できるのは、日本語で話す時間を日常の側に戻しておくことです。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った現役水準の日本の教員、8人の少人数クラスには日本に住む同世代がいます。料金は通い放題で月額定額。帰国後の不安には逆カルチャーショックと友達の力、受験の仕組みは帰国枠の仕組みと時期の記事へ。
よくある質問
高校の帰国生入試で、面接は何点くらいですか?
幅があります。都立の帰国生徒対象4月入学は学力検査300点・調査書100点に対し面接100点。神奈川県では横浜国際高校の国際文化コースが1000点満点中200点相当、新城・西湘・鶴嶺は355点満点中30点。佼成学園女子高等学校の2027年度帰国生入試は100点満点中70点です。同じ「面接あり」でも重みは5%程度から7割まで違います。
面接で何を見られるかは、公式に出ていますか?
神奈川県は特別募集の選考基準で「面接の評価の観点」を公表しています。入学希望の理由、教科等に対する学習意欲、それ以外の活動に対する意欲、将来の展望、自己の理解、面接の態度といった項目です。東京都は面接点の取扱いを「別に定める」としており、観点は公表されていません。公式で確認できるのはここまでです。
面接は日本語ですか、英語で受けられますか?
自治体と学校によります。都立の9月入学(海外帰国生徒対象)は「言語については、それぞれの検査において日本語又は英語のどちらかを選択することができる」と要綱に明記。神奈川県は「日本語による作文および面接」で日本語に固定。佼成学園女子高等学校もICU高校も日本語です。選べる入試は例外的だと考えてください。
海外に住んだまま、高校の面接を受けられますか?
受けられる学校があります。佼成学園女子高等学校は海外在住者のオンライン受験(Zoom使用予定)を公表。ICU高校は対面が原則で、試験当日0時(日本時間)に海外在留かつ帰国困難で、事前のオンライン環境チェックを完了した場合に限る特例です。公立は来校が前提で、都立の要綱には志願者が多い場合に面接が2日間にわたるとの注記があります。
面接の準備は、何から始めればいいですか?
模範解答の暗記ではなく、材料の棚卸しからです。神奈川県が公表している観点がそのまま見出しになります。入学希望の理由/学びたい教科とそれ以外にやりたいこと/海外での経験/将来の展望。この4つを日本語で言葉にしておくだけで、質問の角度が変わっても組み立て直せます。形式の確認は要項が出てからで間に合います。
大学の帰国生入試になると、面接は単独の試験ではなく学科試問や書類審査と一体で判定されます。大学段階で面接がどう位置づけられるかもあわせてご覧ください。

