志望理由書を書き上げて、残るは面接だけ――そう思って要項の「選考方法」欄を開いた瞬間に、手が止まります。そこに書かれているのは「面接」の二文字ではなく、「学科試問」「面接」および「書類審査」によって総合的に判断しという一文だったりするからです。学科試問とは何なのか。面接とどう違うのか。「帰国子女 面接 大学」で検索しても、出てくるのは中学入試や高校入試の面接記事か、出典のない質問例の羅列ばかりです。大学の帰国生入試の面接は、中学・高校のそれとは設計そのものが違います。この記事は2026年8月時点で各大学が公表している入試要項に当たり、面接が選考のどこに置かれ、何と一体で、何語で行われるかだけを扱います。制度全体の流れは大学の帰国生入試の仕組みを整理した記事へ。
大学の面接は「人柄を見る場」ではない――学科試問と一体になっている
先に結論を書きます。大学の帰国生入試では、面接が単独の試験として置かれていない例が珍しくありません。学科試問や口述試験と同じ日、同じ判定の枠の中にある。ここが中学・高校との最大の違いです。
上智大学の2027年度海外就学経験者(帰国生)入学試験は、選考方法を「学科試問」「面接」および「書類審査」によって総合的に判断し、合否判定を行いますと公表しています。試験日は2026年9月20日(日)の一日。国際教養学部を除く全ての学部・学科での募集で、出願できるのは1学科のみです。面接は独立した加点項目ではなく、学科試問と書類審査と並んで総合判定の材料に置かれている、という書きぶりになっています。
国立大学でも同じ構図が読み取れます。筑波大学は入試の全体像のページで、海外教育プログラム特別入試は「書類審査、面接・口述試験等」により合格者を決定、外国学校経験者特別入試(第1種・第2種)は「書類審査、小論文、面接、適性試験等」により合格者を決定と説明しています。「面接・口述試験」と中黒でつないで並記されている点に注目してください。話し方や人柄を見る面接と、学問的な内容を問う口述試験が、地続きのものとして書かれています。国公立の特別選抜そのものの仕組みは国公立の帰国生特別選抜を扱った記事に譲ります。

つまり、面接で問われるのは「あなたはどんな人か」だけではありません。その学科で何を学ぶつもりで、そのために何を読み、何を考えてきたのかという内容の側に踏み込まれうる。中学入試の面接が海外での生活を本人の口から確かめる場なのに対し、大学は志望する学問領域の話に入ります。学校段階をまたいだ全体像は面接で何が問われるかを6つの型に整理した記事へ。
一日で終わる大学と、二段階の大学がある
次に押さえるのは段階です。ここを取り違えると、準備の順番そのものが狂います。
国際基督教大学(ICU)の総合型選抜〈4月入学〉帰国生は、はっきり二段階です。第一次選考は「書類選考(出願時に提出された書類によって選考)」で結果通知が2026年9月4日、第二次選考は「オンライン個人面接(日本語)(第一次選考の合格者のみに実施)」で選考日が2026年9月12日、合格発表が9月18日と公表されています。一次を通らなければ、面接は行われません。
早稲田大学政治経済学部のグローバル(海外就学経験者)入学試験も二段階で、しかも二次のなかで日程が割れています。同学部が公表する2027年度の入試情報によれば、第一次選考は書類審査と英語能力審査(TOEFL iBTまたはIELTS Academic)、第二次選考は筆記試験と面接試験。日本語の筆記試験は120分で「長文の日本語文資料に基づき思考力・表現力を見る」ものとされています。日程は筆記試験が2026年9月6日、面接試験が2026年9月27日、合格発表が10月1日。筆記と面接が3週間離れ、しかも面接試験は早稲田キャンパスで実施、「面接方法については、審査当日に発表します」と案内されています。海外から受けるなら、渡航をどう組むかがここで決まります。

東京大学の外国学校卒業学生特別選考も段階制です。大学が公表する学部入学者選抜方法等の概要では、第2種(帰国生徒)は11月に出願と第1次書類審査、1月に第1次合格発表、2月に学力試験、3月に面接と合格発表という流れ。面接はいちばん最後に置かれているということです。
ここから導かれる結論は、少し身も蓋もありません。二次に進めなければ、面接の準備は使われません。一次で見られるのは書類と英語資格です。想定問答を先に作り込むより、書類と資格を先に固めるほうが順番として正しい(月ごとの組み立ては高2秋から逆算する月別計画へ)。一方で上智大学のように一日で完結する型なら、その日は書類審査も学科試問も面接もまとめて来ます。志望校がどちらの型かで、夏の使い方が変わります。
面接は何語か――英語で出願資格を満たしても、面接は日本語
ここでいちばん誤解が起きます。英語の資格で出願する入試だから面接も英語だろう、という推測は当たりません。
ICUの総合型選抜〈4月入学〉帰国生は、出願にIELTS(Academic Module)、TOEFL iBT、Cambridge English Qualifications(合格したものに限る)のいずれかの提出を求めています。それでいて第二次選考は「オンライン個人面接(日本語)」と明記されている。英語力は書類の段階で確認済みで、面接で確かめたいのは別のものだ、という設計です。早稲田大学政治経済学部も、英語能力審査は第一次、二次の筆記は日本語で120分。英語資格は出願の門であって、面接の言語ではありません。英語資格がどの入試で何に効くかは英検などが出願資格になる入試とならない入試で整理しています。
逆の設計もあります。上智大学の国際教養学部は、そもそも帰国生入試の募集対象から外れています。同学部はすべての授業が英語で行われ、独自の国際教養学部入学試験は「出願書類に基づき、書類選考により合否を決定します」――つまり面接そのものが無い入試です。英語で学ぶ課程は別の入口になっている、ということが起こります。入試名のゆれは実施学部の探し方と入試名のゆれが担当です。
なお、面接の言語を要項ページ上に書いていない大学も多数あります。上智大学の帰国生入試も、公開されている要項ページからは面接の使用言語を読み取れませんでした。公式で確認できるのはここまでです。体験談で埋めず、要項本体か入学センターに直接あたってください。
面接は、志望理由書の続きから始まる
段階を確かめると、もうひとつ見えてくることがあります。ICUのように一次が書類選考の大学では、面接官の手元にあるのは自分が出した書類です。初対面の相手が、こちらの書いた志望理由書を読み込んだ状態で座っている。だから面接は、白紙からではなく書類に書いたことの確認から始まりやすい構図になります。
ここに帰国生固有の壁があります。志望理由書は書けます。時間をかけて推敲でき、辞書も使え、誰かに読んでもらえる。ところが面接では、その全部が無い状態で、同じ内容を日本語で言い直すことになります。英語でなら5分話せる関心事が、日本語だと最初の一文で止まる。書く技術は作文・小論文のテーマの型を扱った記事に譲りますが、書いたものを口で再現できるかは、書く力とは別の力です。
大学の面接では、そこに学問の語彙が乗ります。現地校で3年かけて学んだ分野を日本語で説明したことが一度もない、という状態は普通に起こります。専門語だけの問題でもありません。「〜だと考えます」「〜という点に関心があります」といった、大人に向けて自分の考えを述べる日本語の型が、海外の家庭生活のなかでは育ちにくい。この詰まりの正体は日本語の話し方と敬語でつまずく理由に整理しました。

| 大学の面接で必要になること | 大学公式の入試要項 | 帰国生向けの予備校・塾 | 家庭でできること | ともだちじゃぱん |
|---|---|---|---|---|
| 面接が選考の何段階目にあるか | 唯一の一次資料。一次通過者のみか、一日完結かが書いてある | 併願校をまたいだ日程の組み方を相談できる | 要項の「選考方法」欄を家族で読み合わせる | 扱わない領域 |
| 面接の言語と実施方法 | ICUは「オンライン個人面接(日本語)」と明記。記載がない大学もある | 過去の実施状況を蓄積している場合がある | 記載がなければ入学センターに直接問い合わせる | 扱わない領域 |
| 学科試問に耐える専門の関心を持つ | 求める学生像として要項や学部案内に出る | 学部別の対策の中心。個別指導で深める | 関心の芽は家庭の会話から出てくる | 扱わない領域(受験指導は行いません) |
| 志望理由書の内容を日本語で言い直す | 記載はない | 直前期の面接練習として扱われる | 相手が親だと甘えが出て練習になりにくい | 自分の考えを日本語で説明する場面が毎回ある |
| 初対面の大人に敬語で話し続ける | 記載はない | 型として教わる。回数は限られる | 家庭内では使う場面がほとんどない | 日本の現役水準の教員が日常的に直す |

要項の読む順番と、募集そのものが止まることがあるという話
質問例を集める前に、志望校の要項を次の順で読んでください。①面接があるか――「選考方法」「選考内容」の欄です。上智大学のように学科試問と並記されている場合、面接だけを切り出して考えないこと。②選考の何段階目か――一次通過者のみか、一日で全部か。③何語か――ICUのように明記される例と、書いていない例があります。④実施方法と場所――オンラインか、キャンパスに来るのか。早稲田大学政治経済学部は面接試験を早稲田キャンパスで実施し、面接方法は当日発表としています。⑤日程が二次のなかで割れていないか――筆記と面接が別日なら、渡航と滞在の設計が変わります。当日の身なりや通信環境といった実務は面接当日の服装と環境をまとめた記事に分けました。
そして⑥変更の予告があるか。上智大学は「2028年度より、一部の特別入試において、募集学科・出願要件・入試日程・実施方法等が変更となります」と告知しています。実施方法が変わるなら、面接の形も変わりうるということです。
もっと大きな変更もあります。慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の公式ページには、「帰国生対象入学試験および外国人留学生対象入試は2025年度の実施をもって終了しました」と書かれています。入学センター側にも「2026/2027年度以降 総合政策学部・環境情報学部『帰国生対象入学試験』の募集停止について」という告知が置かれています。同大学の帰国生対象入学試験は現在、経済学部・法学部・医学部・理工学部が対象です。募集停止の噂と事実の見分け方は「帰国生入試がなくなる?」の出どころを確かめた記事へ。なお同大学の学部ごとの選考の中身は、Webページ上では読み取れず募集要項PDFの中にあります。公式で確認できるのはここまでで、ネット上の「慶應の面接はこう聞かれる」は大学の公表資料ではありません。
最後に、準備の方向について正直に書きます。面接の模範解答を作って暗記させる準備は、大学の帰国生入試ではとくに効きません。学科試問と一体なら、少し角度を変えて聞き返された瞬間に暗記は崩れます。やるべきは、自分の関心を日本語で言葉にしておくことです。ともだちじゃぱんは株式会社NIJINが運営する、海外で育つ子のためのオンライン日本語スクールです(2026年12月開校)。学校教育法上の一条校ではなく、在籍校の代わりにはなりませんし、受験指導も面接対策も行っていません(予備校の役割は予備校と塾の違いの記事へ)。できるのは、日本語で自分の考えを説明する時間を日常の側に置くことです。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った現役水準の日本の教員、8人の少人数クラスには日本に住む同世代がいます。料金は通い放題で月額定額。帰国後の適応にも同じ力が効くので逆カルチャーショックと友達の力もどうぞ。
よくある質問
大学の帰国生入試の面接では、志望理由を聞かれるだけですか?
そう考えないほうが安全です。上智大学の2027年度海外就学経験者(帰国生)入学試験は「学科試問」「面接」「書類審査」で総合的に判断すると公表し、筑波大学も海外教育プログラム特別入試を「書類審査、面接・口述試験等」と説明しています。学問的な内容に踏み込まれうると考えて準備してください。
英語の資格で出願するので、面接も英語ですか?
そうとは限りません。ICUの総合型選抜〈4月入学〉帰国生は出願に英語資格を求めますが、第二次選考は「オンライン個人面接(日本語)」と明記されています。英語資格は出願の要件、面接の言語は別の項目と切り分けてください。
面接のために日本へ行く必要がありますか?
大学によります。ICUの第二次選考はオンライン個人面接です。一方で早稲田大学政治経済学部は2027年度の入試情報で面接試験を早稲田キャンパスで実施するとし、筆記(2026年9月6日)と面接(9月27日)が別日です。渡航の要否と回数は、実施方法と日程の欄で決まります。
一次で落ちたら、面接の準備は無駄になりますか?
二段階の大学では、一次を通過しないと面接は行われません。ICUは第二次を「第一次選考の合格者のみに実施」と明記しています。ただし準備の中身――自分の関心を日本語で説明できるようにすること――は志望理由書の作成と重なるので、無駄にはなりません。順番として、書類と英語資格が先です。
慶應義塾大学のSFCは、帰国生入試で受けられますか?
受けられません。慶應義塾大学SFCの公式ページは「帰国生対象入学試験および外国人留学生対象入試は2025年度の実施をもって終了しました」と明記し、代わりに春AO・夏秋AO、条件により冬AO(GIGA)や一般選抜を案内しています。同大学の帰国生対象入学試験の対象は経済学部・法学部・医学部・理工学部です。入試が続いているかは毎年度、大学公式で確認を。
高校の帰国枠では、面接の配点も評価の観点も自治体や学校ごとに公表されています。高校の帰国枠面接で実際に聞かれることもあわせてご覧ください。

