シンガポール日本人学校の中学部を調べ始めると、小学部の情報ばかりが出てきて、肝心のことが分かりません。中学部はどこにあるのか、学費は小学部といくら違うのか、そして「グローバルクラス」に入ると費用はどうなるのか。結論から書くと、中学部の月額は通常クラスでS$893.80、グローバルクラスでS$1,199.00(いずれも2026年度・GST9%込)。年間でS$3,662.40――日本円で約42万円の差です。さらに見落とされやすいのが、同じシンガポール日本人学校の小学部から中学部へ上がるときにも、入学時一時金がもう一度必要になるという点。この記事では2026年度の公表額をそのまま並べ、グローバルクラスの中身と選考、そして中学3年生で必ず来る「高校がない」という分岐まで整理します。
まず場所――シンガポール日本人学校は3つの校舎に分かれている
シンガポール日本人学校は、小学部がクレメンティ校とチャンギ校の2校、中学部がウエストコースト校という3校舎の体制です。「クレメンティに通っていた子が、中学から同じ場所に通う」わけではないので、通学経路が中学進学のタイミングで変わる家庭が出ます。住まいを決めるときに小学部だけを見ていると、3年後や6年後に通学時間が大きく変わることになります。
なお同校には幼稚部はありません。就学前のお子さんがいる家庭は、現地のプリスクールやインターナショナルスクールのキンダーガーテンを別途探すことになります(幼稚部がある学校・ない学校は日本人学校の幼稚園にまとめています)。
中学部の校納金【2026年度・GST9%込の公表額】
以下はシンガポール日本人学校が公表している「2026年度 新・編入学時校納金一覧」(Apr 2026)の記載どおりの金額です。円換算はS$1=115円で計算した目安です。
| 項目 | 小学部 | 中学部(通常) | 中学部(グローバルクラス) |
|---|---|---|---|
| 授業料(月額) | S$675.80 | S$752.10 | S$1,057.30 |
| 施設費(月額) | S$141.70 | S$141.70 | S$141.70 |
| 毎月の合計 | S$817.50 (約9万4千円) |
S$893.80 (約10万3千円) |
S$1,199.00 (約13万8千円) |
| 年額 | S$9,810 (約113万円) |
S$10,725.60 (約123万円) |
S$14,388 (約165万円) |

小学部から中学部へ上がるときも一時金が必要
これが最も見落とされやすい項目です。校納金一覧には「新・編入学時一時金は、本校の小学部から中学部へ進学する場合も必要となります」とはっきり書かれています。つまり、シンガポール日本人学校の小学部を卒業してそのまま中学部に上がる家庭も、中1で入学金と施設費をもう一度払うことになります。
| 入学時一時金(一人当たり) | 金額 |
|---|---|
| 入学金/日系企業で勤務先が日本人会法人会員の登録あり | S$1,090(約12万5千円) |
| 入学金/日系企業で勤務先が日本人会法人会員の登録なし | S$3,924(約45万円) |
| 入学金/日系企業以外の勤務先や個人の場合 | S$1,090(約12万5千円) |
| 施設費(全員) | S$2,725(約31万3千円) |
| 寄付金 | 新・編入学時に企業寄付金または個人寄付金の納付が必要(既納付の場合は不要) |
注目すべきは入学金が3段階になっていることです。日系企業に勤めていても、勤務先が日本人会の法人会員として登録されていなければS$3,924――登録がある場合のS$1,090の約3.6倍になります。差額はS$2,834(約32万6千円)。これは会社の総務に確認すれば分かることで、確認するだけで消える差額です。日系企業以外の勤務先や個人の場合はS$1,090なので、「日系企業だが法人会員未登録」という組み合わせだけが突出して高くなる設計になっています。赴任前に必ず勤務先の登録状況を確認してください。
法人会員登録があるケースで計算すると、中1入学時に必要な一時金は入学金S$1,090+施設費S$2,725=S$3,815(約44万円)。ここに寄付金と初回の前納分(2〜4か月分)が乗ります。
グローバルクラスとは――英語で学ぶが「インター化」ではない
シンガポール日本人学校の中学部には、通常のメインストリームクラスとは別にグローバルクラスが置かれています。各学年1クラス、定員は約30名です。
特徴はW担任制。英語担当と日本語担当の2人が担任につき、学級活動や日常のやりとりの大半が英語で行われます。授業では英語・音楽・美術・家庭科・体育を英語で実施し、これに加えて数学と理科に週3時間の英語授業と、理解を深めるための週1時間の日本語での復習が組まれています。学年ごとの取り組みとして、1年でSDGs学習、2年で探究学習、3年で現地校との交流が設定されています。
ここは正確に押さえておきたい点です。グローバルクラスは「日本人学校の中にあるインター」ではありません。国語・社会は日本語で、日本の教育課程に沿って学びます。中学3年生を修了すれば日本の高校の入学資格を得られる点も通常クラスと同じです。英語の環境を増やしながら、日本の学籍と学年相当の国語を落とさない――これがこのクラスの設計思想です。
一方でトレードオフもあります。グローバルクラスの生徒は1〜2年生で選択教科を選べません。バイリンガルの統合と国際的な資質を優先してカリキュラムが固定されるためです。

グローバルクラスに入るには――英語資格と編入試験
グローバルクラスは希望すれば入れるクラスではありません。手順は個別相談 → 編入試験で、他校からの応募者にも、校内からの移籍希望者にも、英検などの英語資格が求められます。申込みは希望する編入日の6週間前から受け付けられ(学校の長期休業期間を除く)、長期休業中には試験が実施されません。
実務上の注意は2つです。ひとつは6週間前という受付開始のタイミング。赴任日が決まった時点で逆算して動かないと、希望の編入月に間に合いません。もうひとつは英語資格の準備。日本にいるうちに英検を受けておくかどうかで、着任後に取れる選択肢が変わります。「現地に着いてから考える」では遅い部分です。
インターとの比較――中学部はインターの4分の1前後
シンガポールのインターナショナルスクールは、主要校で年S$39,000〜50,000のレンジです(GST込みの概算年額。入学金・施設費・バス代・制服代などは別途で、初年度はさらにS$10,000〜15,000程度が上乗せされるのが一般的です)。

中学部の通常クラスは年S$10,725.60ですから、インターとは約3.6〜4.7倍の差。グローバルクラスの年S$14,388で比べても、まだ2.7〜3.5倍の開きがあります。「英語環境がほしいが、インターの学費は出ない」という家庭にとって、グローバルクラスは現実的な中間解になります。年S$3,662.40の追加でインターとの差額の大部分を回避できる、という見方もできます。
中3で必ず来る分岐――シンガポールに日本人学校の高等部はない
中学部を選ぶときに、最初から視野に入れておくべきことがあります。シンガポール日本人学校は中学3年生までです。高等部はありません。高校をどうするかは、シンガポールにある日本の高校(早稲田渋谷シンガポール校)に進む、インターへ移る、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る――のいずれかを、中学のうちに決めることになります。
シンガポールは日本の高校が現地にあるという点で、他の赴任先より恵まれています。それでも入試は必要ですし、定員もあります。中1・中2の段階で「高校はどうするか」を家庭の議題に載せておかないと、中3の秋に一気に選択肢が狭まります。世界の日本人学校で高等部を持つ学校がどれだけ少ないかは日本人学校に高校はあるのかにまとめています。
学費を払ったあとに残るもの――「日本の同世代と話す時間」
中学部を選べば、国語も社会も日本語で、教科書は日本と同じです。学年相当の国語という点では心配はほとんどありません。グローバルクラスを選べば英語の時間も増えます。制度としてはよくできています。
そのうえで、どちらを選んでも共通して残るのが「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校のクラスメイトは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。中学生は、ことばの使い分けが一気に育つ時期です。友だち同士のことば、先生への敬語、初対面の相手への言い方――この幅は、同世代とのやりとりの量でしか育ちません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。シンガポールと日本の時差は1時間なので、平日の放課後も土曜の午前も、時差の計算はほとんど要りません。月額定額の通い放題で、日本人学校の中学部に通いながらの補完としても、インターに移った家庭の日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(シンガポールで中学を選ぶ方から)
シンガポール日本人学校の中学部はどこにありますか?
ウエストコースト校です。小学部はクレメンティ校とチャンギ校の2校で、中学部だけが別の校舎になります。小学部から中学部へ進むときに通学経路が変わる家庭があるため、住まいを決める段階で確認しておくことをおすすめします。
中学部の学費は月いくらですか?
通常クラスが月S$893.80(授業料S$752.10+施設費S$141.70/約10万3千円)、グローバルクラスが月S$1,199.00(授業料S$1,057.30+施設費S$141.70/約13万8千円)です。いずれも2026年度・GST9%込み。年額では通常S$10,725.60、グローバルS$14,388です。
グローバルクラスは通常クラスといくら違いますか?
月S$305.20、年S$3,662.40(約42万円)の差です。これはクラスの追加料金という位置づけではなく、授業料そのものが別建てで設定されています。
小学部から中学部に上がるときも入学金は必要ですか?
必要です。校納金一覧に「新・編入学時一時金は、本校の小学部から中学部へ進学する場合も必要となります」と明記されています。法人会員登録がある場合で入学金S$1,090+施設費S$2,725=S$3,815(約44万円)です。
入学金が3段階あるのはなぜですか?
勤務先と日本人会の関係で分かれています。日系企業で勤務先が日本人会法人会員の登録ありならS$1,090、登録なしならS$3,924、日系企業以外の勤務先や個人の場合はS$1,090。「日系企業だが法人会員未登録」だけが約3.6倍になるため、赴任前に会社の総務へ登録状況を確認してください。
グローバルクラスに入るのに英語資格は必要ですか?
必要です。他校からの応募者にも校内からの移籍希望者にも、英検などの英語資格が求められます。手順は個別相談のうえ編入試験で、申込みは希望する編入日の6週間前から(学校の長期休業期間を除く)です。長期休業中は試験が実施されません。

シンガポールの学校選び全体はシンガポール日本人学校の学費・インター比較をご覧ください。あわせて日本人学校の中学部、日本人学校 一覧、日本人学校の学費相場もどうぞ。
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