中国赴任が決まって「中国の日本人学校の学費」を検索すると、月2,500元という数字と月5,000元という数字が並んで出てきます。どちらも正しい金額です。同じ中国、同じ文部科学省の学習指導要領で、学校によって授業料が2倍ひらくからです。しかも「施設金」の扱いは学校ごとに正反対で、広州は「施設充実金や寄付金の徴収もありません」と公式に明記している一方、深圳は「保護者在籍企業より納付していただく必要があります」としています。この記事では、各校が2026年度として公表している金額をそのまま並べ、入学金・施設金・スクールバス代を含めた実際の負担と、中国特有の「入学できる/できない」の条件まで整理します。
中国の日本人学校の学費一覧【2026年度の公表額】
まず全体像です。中国本土の全日制日本人学校は北京・天津・大連・青島・上海(虹橋校/浦東校)・蘇州・杭州・広州・深圳にあります。このうち公式サイトで金額まで公表しているのが下の7校(上海は2校ぶん)です。金額はすべて各校の公式サイトの記載どおりで、円換算は1元=20円で計算した目安です。
| 学校(1人あたり) | 授業料(月額) | 入学金 | 施設金など |
|---|---|---|---|
| 上海日本人学校 虹橋校(小学部) | 2,500元 | 10,000元 (第2子以降5,000元) | 施設金 10,000元/一家庭 |
| 上海日本人学校 浦東校(小学部) | 2,500元 | 10,000元 (第2子以降5,000元) | 施設金 10,000元/一家庭 |
| 上海日本人学校 浦東校(中学部) | 2,700元 | 内部進学は5,000元 | 同上 |
| 北京日本人学校 | 3,300元 (年39,600元) | 15,000元 (一家庭2人目以降9,000元) | 保護者委員会会費が別途 |
| 蘇州日本人学校 | 3,500元 | 10,000元 | 施設金 10,000元/人 (寄付金拠出時は免除) |
| 広州日本人学校 | 3,700元 (年44,400元) | 10,000元 | 施設充実金・寄付金の徴収なし |
| 深圳日本人学校 | 4,560元 (年54,720元) | 10,000元 | 教材費 小1,400元/中1,150元(年) 施設充実基金は在籍企業が納付 |
| 天津日本人学校 | 5,000元 (年60,000元) | 15,000元 | ― |
| 大連・青島・杭州 | 公式サイトに金額の記載なし(各校へ問い合わせ) | ||

上海がいちばん安く、天津がいちばん高い――その差は年30,000元
月額でいちばん安いのが上海(小学部 月2,500元)、いちばん高いのが天津(月5,000元)です。年額にすると上海が30,000元、天津が60,000元。1年で30,000元(約60万円)の差がつきます。3年の赴任なら90,000元(約180万円)です。
意外に思われるかもしれませんが、物価がいちばん高い上海が、学費ではいちばん安いという逆転が起きています。理由は規模です。上海日本人学校は虹橋校と浦東校の2キャンパスに加えて高等部まで持つ、世界最大級の日本人学校。児童生徒が多いほど、一人あたりに乗る固定費(校舎・教員・バス)は下がります。反対に、天津や深圳のように規模が小さい学校ほど、一人あたりの負担は上がりやすい。学費の高さは学校の質ではなく、その都市の日本人コミュニティの厚みを映していると考えたほうが実態に近いです。
なお深圳は、以前の公表額(授業料 年42,000元)から2026年度は年54,720元へ大きく上がっています。数年前の駐在経験者やブログの数字がそのまま残っているケースが多いので、会社の教育手当の交渉に使う数字は必ず学校の最新の案内で確認してください。
学費・奨学金・開校日程は、学校案内(無料)でお届けします。
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「施設金」の扱いが、学校ごとに正反対
中国の日本人学校でいちばん分かりにくいのが、授業料とは別に発生する施設金(施設充実基金)です。ここは学校によって考え方がまったく違います。
- 広州=「基本的な物は授業料に含まれます。施設充実金や寄付金の徴収もありません」と公式に明記。上乗せがない。
- 上海=施設金10,000元を一家庭あたり。在籍30日以内で退学した場合は全額返金、31日以上は理由を問わず返金なし。2006年4月以降に兄弟姉妹が納付済みなら免除申請ができる。
- 蘇州=施設金10,000元を1人あたり(上海は一家庭、蘇州は1人。ここが違う)。ただし寄付金を拠出している場合は免除。
- 深圳=施設充実基金は「保護者在籍企業より納付していただく必要があります」。家庭ではなく会社が払う前提の設計で、金額は学校に問い合わせる形。
つまり子ども2人で赴任する場合、上海なら施設金は10,000元で済み、蘇州なら20,000元になるということです。同じ「施設金10,000元」という表記でも、負担は倍違います。会社に申請する前に、「一家庭あたりか、1人あたりか」を必ず確認してください。
スクールバス代は学費に入っていない
中国は日本人学校が郊外にあることが多く、ほぼすべての家庭がスクールバスを使います。そしてバス代は授業料とは別です。
| 学校 | 通学バス(月額・1人) | 備考 |
|---|---|---|
| 上海日本人学校 浦東校 | 浦東地区 1,000元/浦西地区 1,100元 | 2026年4月〜。住む地区で変わる |
| 蘇州日本人学校 | 新区 820元/園区 1,370元 | 地区差が550元 |
| 広州日本人学校 | 1,200元 | バス会社へ直接支払い |
| 深圳日本人学校 | 1,200元(人数により変動) | 保護者ボランティアの通学安全委員会が運営 |
注目してほしいのは住む地区でバス代が変わる点です。蘇州は新区820元と園区1,370元で年間6,600元(約13万円)の差、上海浦東校も浦東と浦西で月100元違います。住居を決めてからでは動かせない費用なので、赴任前の住まい探しの段階でバス路線と料金区分を学校に確認しておくと、あとで効いてきます。青島日本人学校は安全上の理由からバス路線をサイトに掲載しておらず、メールでの問い合わせが必要だと明記しています。
お金の前に――「入学できるか」の条件が厳しい
中国の日本人学校を検討するとき、学費より先に確認すべきなのが入学資格です。他国の日本人学校よりも条件が具体的で、しかも厳格に運用されています。上海日本人学校の学則は、児童本人が日本国籍を有すること、上海市の外国人居留許可を取得していること、保護者が上海市で就労し工作許可証を持つこと、本人と保護者が同居していること、日本語で学校生活を送れること――を挙げたうえで、こう書いています。
満たすことのできない入学資格がある、入学を希望する児童本人が二重国籍である、家族に日本以外の国籍(帰化日本籍含む)がいる場合もお申し込みの前に事前の問い合わせが必要です。
上海日本人学校 2026年度 編入学要項
蘇州日本人学校も「中国籍離脱申請中のお子様については、編入・入学希望日の半年くらい前を目安に個別にご相談ください」としています。青島日本人学校にいたっては、規則第8条で「青島日本人会会員の子女であること」を入学条件に含めています。国際結婚の家庭や、配偶者が現地採用の家庭は、学費を調べる前にまず入学資格の相談から始めたほうが確実です。中国渡航ビザ(Zビザ・S1ビザ)だけでは足りず、居留許可の実物が必要という点も、説明会の日程から逆算して早めに動く必要があります。

学費を公開していない学校もある
中国本土の日本人学校のうち、大連・青島・杭州は公式サイトに金額を掲載していません。青島日本人学校は規則に「入学金及び授業料を納入すること」と条件を書いているものの、金額そのものは載せていません。第三者サイトには「入学金は約22万円」「授業料は年約91万円」といった数字が出回っていますが、多くは2023年前後の情報で、深圳のように数年で3割上がった例を見ると、そのまま会社への申請に使うのは危険です。
この3校を検討する場合は、各校へメールで直接問い合わせるのが唯一確実な方法です(青島=qingdaojs-hp@qingdaojs.org、大連=jsdalian@japanda.cn)。当サイトでも実額が確認でき次第この記事を更新します。ネット上の数字を鵜呑みにせず、学校が出している最新版に当たる――これは中国に限らず、駐在の学校選び全体に言えることです。
インターは「桁」が違う
上海の主要インターナショナルスクール(SAS、Concordia、Dulwich など)の授業料は年20万〜39万元。日本人学校の年30,000〜60,000元と比べると、おおむね5〜10倍です。北京・広州・深圳でも構図は変わりません。会社の教育手当がインターの実額まで出るかどうかで、選択肢は事実上決まります。

もうひとつ、中国に赴任する家庭がよく見落とすのが高校の問題です。中国本土の日本人学校で高等部があるのは上海日本人学校だけで、北京・天津・広州・深圳・蘇州などはすべて中学3年生までです。中3で赴任期間が残っている場合、上海に高等部の入学試験を受けに行く、インターに移る、帰国して日本の高校に進む、日本の高校の寮に入る、のいずれかを選ぶことになります。高校の選択肢は、赴任のタイミングによっては小学校のうちから逆算しておく話です。各国の高等部の有無は日本人学校 一覧にまとめています。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題
日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で、教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、中国で暮らしているのに中国語も英語も伸びにくい、という悩みが出てきます。インターを選べば英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。中国からは時差1時間なので、放課後の時間帯にそのまま参加できます。通い放題の月額定額制(金額は学校案内でご案内)で、日本人学校に通いながらの補完としても、インターに通いながらの日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(中国で学校を選ぶ方から)
中国の日本人学校で、いちばん学費が安いのはどこですか?
公表額でみると上海日本人学校(小学部 月2,500元)です。次いで北京(月3,300元)、蘇州(月3,500元)、広州(月3,700元)、深圳(月4,560元)、天津(月5,000元)の順。ただし上海は施設金10,000元が別途かかり、広州は施設充実金・寄付金の徴収がありません。授業料だけでなく、入学金・施設金・バス代を足した初年度総額で比べてください。
兄弟で通う場合、割引はありますか?
あります。上海日本人学校は入学金が第2子以降5,000元(半額)、施設金は一家庭あたりなので2人目以降は不要です。北京日本人学校も一家庭2人目以降の在籍者は入学金9,000元に減額されます。一方、蘇州は施設金が1人あたりなので、兄弟だと2人分かかります。兄弟割の設計が学校ごとに違うので、2人以上で赴任する場合はここで数万元動きます。
年度の途中で赴任します。授業料は日割りになりますか?
日割りにはなりません。深圳日本人学校は15日を基準に「1〜15日の編入は全額、16〜31日は半額」と定めています。広州日本人学校は「日割り不可」と明記し、学期ごとのまとめ払い(5月に4か月分、9月に5か月分、1月に3か月分)です。上海日本人学校は「授業・登校の有無にかかわらず在籍日から発生」とし、編入後の在籍開始日で請求書を発行します。赴任日と登校開始日の設定しだいで1か月分が動くので、辞令が出たら早めに学校へ相談してください。
国際結婚の家庭でも入学できますか?
「必ず事前に問い合わせてください」というのが各校の共通した回答です。上海日本人学校は、児童本人が二重国籍である場合や、家族に日本以外の国籍(帰化日本籍を含む)がいる場合は申し込み前の事前問い合わせが必要としています。蘇州日本人学校も中国籍離脱申請中の場合は半年前を目安に個別相談を求めています。断られるとは限りませんが、手続きに時間がかかる前提で動いてください。
インターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけでインター生の学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、インターで英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

都市ごとの詳細は上海・北京・広州・深圳・大連・香港の記事をご覧ください。世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたタイ・マレーシア・ベトナム・アメリカもあわせてどうぞ。

