ウィーン赴任が決まって「ウィーンの日本人学校の学費」を調べると、思っていたより高い数字が出てきます。ウィーン日本人国際学校は、授業料が小学部で月805ユーロ・中学部で月864ユーロ。年額にすると小学部9,660ユーロ(約164万円)、中学部10,368ユーロ(約176万円)で、ヨーロッパの日本人学校ではチューリッヒに次ぐ高さです。これに入学金500ユーロと施設費634ユーロが初年度に乗ります。しかも同校のサイトには、「小学部1年生は7月18日より閉級のため、今後しばらく体験入学を受け付けることができません」という一文があります。学費の話と、この一文は無関係ではありません。この記事では公表額をそのまま並べ、そのうえで「なぜこの金額になるのか」まで整理します。
ウィーン日本人国際学校の諸費用【公表額そのまま】
以下は同校が「入学・編入学のご案内」で公開している金額の記載どおりです。円換算は1ユーロ=170円で計算した目安で、レートは変動します。
| 費目 | 金額 | 単位・備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 500ユーロ(約8万5千円) | 編入学時/1人 |
| 施設費 | 634ユーロ(約10万8千円) | 編入学時/1家庭 |
| 学校協会入会金 | 8ユーロ | 編入学時/1家庭 |
| 授業料(小学部) | 月805ユーロ=年9,660ユーロ(約164万円) | 1人。その月の5日までに納入 |
| 授業料(中学部) | 月864ユーロ=年10,368ユーロ(約176万円) | 1人 |
| 学校協会費 | 月2ユーロ | 1家庭 |
| PTA会費 | 月3ユーロ | 1家庭 |
| 教材費 | 学年ごとに連絡 | 学期ごと・長期休業明け・宿泊行事後 |
小学部の子ども1人で入学した場合の初年度の合計は、入学金500+施設費634+学校協会入会金8+授業料9,660+学校協会費24+PTA会費36=10,862ユーロ(約185万円)。2年目以降は9,720ユーロ(約165万円)です。教材費と宿泊行事費は別途かかります。

ヨーロッパで2番目に高い。理由は物価ではなく規模
| 学校(年度) | 年間授業料 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| チューリッヒ日本人学校(2026年度) | 11,000フラン | 約204万円 |
| ウィーン日本人国際学校(小学部) | 9,660ユーロ(月805) | 約164万円 |
| ロッテルダム日本人学校 | 9,360ユーロ | 約159万円 |
| ベルリン日本人国際学校(2026年度) | 8,640ユーロ | 約147万円 |
| ロンドン日本人学校(令和8年度) | 7,368ポンド | 約144万円 |
| パリ日本人学校(令和8年度) | 6,600ユーロ | 約112万円 |
| デュッセルドルフ日本人学校(2026年度) | 6,360ユーロ | 約108万円 |
| フランクフルト日本人国際学校(2026年度) | 5,520ユーロ | 約94万円 |
ウィーンはフランクフルトの約1.75倍です。ウィーンの物価はフランクフルトと大きく変わりません。効いているのは在籍する児童生徒数です。日本人学校の学費は、教員の人件費と校舎の維持費という固定費を在籍数で割ったものなので、小さい学校ほど1人あたりが高くなります。チューリッヒが世界最高水準なのも同じ理由でした。「物価が高い都市=学費が高い」ではありません。
「小学部1年生は閉級」――規模の縮小が学費に直結している
同校の体験入学ページには、「小学部1年生は7月18日より閉級のため、今後しばらく体験入学を受け付けることができません。再開しましたら、ホームページにてお知らせいたします」と掲載されています。学年がひとつ閉じるというのは、その学年に在籍する子どもがいなくなったということです。
これは学校の質の問題ではありません。ウィーンの日本人駐在家庭そのものが減っているという構造の話です。そして先ほどの計算どおり、在籍が減れば1人あたりの学費は上がります。同校は2018年に「ウィーン日本人学校」から「ウィーン日本人国際学校」へ校名を変更し、日本国籍以外の子どもの受け入れを打ち出しました。教育目的にも「オーストリアに在住する日本人子弟および他国籍者であっても、本校に就学を希望するものに対して」と明記されています。規模を保つための現実的な選択です。
検討する側としては、金額と同じくらい「その学年に何人いるか」を必ず学校に確認してください。学年に子どもが2〜3人という状況は、費用の問題ではなく、子どもの学校生活の問題になります。

ウィーン・インターナショナル・スクールは年23,675ユーロ
ウィーンのインターの代表格、ウィーン・インターナショナル・スクール(VIS)の2026/27年度は、Primary(Grade Primary〜Grade 5)が年23,675ユーロ。8月30日・10月30日・1月30日・3月30日の4回払いです。これとは別に出願料670ユーロ、入学金5,760ユーロ、Capital Fee 5,040ユーロ、デポジット620ユーロという一時金がかかります。初年度は35,000ユーロを超える計算です。

日本人学校の年9,660ユーロと比べると、VISは約2.5倍。他の国で6〜8倍ひらくことを考えると、ウィーンも日本人学校とインターの差が小さい都市です。ウィーンには他にもDanube International School、Amadeus International School、AIS Viennaなどがあり、価格帯は幅があります。会社の子女教育手当がどこまで出るかで、選択肢は大きく変わります。相場の全体像はインターナショナルスクールの学費にまとめました。
オーストリアで日本人学校はウィーンだけ
オーストリアで全日制の日本人学校はウィーン日本人国際学校(Prandaugasse 2, 1220 Wien)の1校だけです。小学部と中学部で、高等部はありません。ザルツブルク、グラーツ、リンツに赴任した家庭は、そもそも「日本人学校か、インターか」という問いの前に立てません。現地校かインターに通わせたうえで、日本語をどう確保するかを考えることになります。世界の分布は日本人学校 一覧にまとめています。
学費を払ったあとに残るもの――「日本の同世代と話す時間」
ウィーン日本人国際学校を選べば、授業は日本語で、教科書も日本と同じです。学校は三つの特色として「日本語による思考力、判断力の育成」「英語教育の重視」「ウィーンの地を生かした教育」を挙げており、シェーンブルン宮殿やドナウ川を題材にした学習、国連見学など、この街でしかできない行事が年間カリキュラムに組み込まれています。国語の心配は小さい。
残る課題は、やはり人数です。学年に数人という規模では、意見が分かれる話し合いも、気の合わない子との折り合いも、経験の機会そのものが足りません。インターを選べば人数は増えますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域で、家庭内の会話だけでは維持できません。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、インター・現地校の日本語のピンポイント補強としても使えます。学年に何人いるかを心配しなくていい――在籍数が減っている学校を検討しているご家庭ほど、ここが効きます。時差は7時間(夏時間)で、日本の夕方の授業はウィーンの昼過ぎにあたります。
よくある質問(ウィーンで学校を選ぶ方から)
ウィーン日本人学校の学費はいくらですか?
授業料は小学部が月805ユーロ、中学部が月864ユーロ。年額では小学部9,660ユーロ(約164万円)、中学部10,368ユーロ(約176万円)です。これに入学金500ユーロ(1人)と施設費634ユーロ(1家庭)が初年度に加わります。学校名は2018年から「ウィーン日本人国際学校」です。
兄弟割引はありますか?
授業料そのものの兄弟割引の記載は公表資料にありません。ただし施設費634ユーロ・学校協会入会金8ユーロ・学校協会費月2ユーロ・PTA会費月3ユーロは「1家庭あたり」なので、兄弟姉妹が同時に在籍する場合、この分は1人分で済みます。
体験入学はできますか?
できます。同校はオーストリア国内だけでなく日本国内および諸外国からの体験入学も受け入れており、令和8年度は2026年4月7日から申込受付、4月20日から受入開始です。ただし小学部1年生は7月18日より閉級のため受付を停止中と掲載されています。学校行事や休業日は受け付けられない日があるので、申込前に一覧の確認が必要です。教科書はウィーンの日本大使館に申請して給付を受けられます。
高等部はありますか?
ありません。小学部と中学部のみです。中学卒業後は、日本国内の高校、ヨーロッパの在欧高校、インターナショナルスクールなどへ進むことになります。中学卒業のタイミングで必ず一度、進路を選び直す前提で計画してください。
日本語が第一言語でなくても入学できますか?
同校は2018年に「ウィーン日本人国際学校」へ校名を変更し、教育目的にも「他国籍者であっても、本校に就学を希望するものに対して」と明記しています。児童生徒の英語力に応じた英語授業も実施されています。ただし授業そのものは日本語で行われるため、日本語の土台をどこで作るかは別途考える必要があります。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

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