香港赴任が決まって「香港の日本人学校の学費」を調べると、2026年度から前提そのものが変わっていることに気づきます。香港校(ハッピーバレー)と大埔校が統合し、2026年度からは「香港日本人学校(Japanese International School:JIS)」の1校として動き出しました。学費も大埔校の納付金一覧に一本化されています。金額は日本語セクションの小学部が年67,200香港ドル、中学部が年79,680香港ドル。そして香港には、他の国の日本人学校にはない特徴があります――入学金という費目がなく、そのかわり毎年かかる「Annual Capital Levy」が15,960香港ドルあります。この記事では、学校が公開している令和8年度の納付金をそのまま並べ、統合で何が変わったのか、ESFやHKISとの差はどれくらいかまで整理します。
香港日本人学校の令和8年度(2026年度)納付金【公表額そのまま】
以下は同校が公開している令和8年度納付金一覧の記載どおりの金額です。円換算は1香港ドル=19円で計算した目安で、レートは変動します。なお学校は「2026-2027年度の日本語セクションの授業料は現時点で未確定のため、2025年度実績分を記載している」「教育局(EDB)の承認により今後変更となる場合がある」と明記しています。
| 費目 | 金額(年額) | 納入方法・備考 |
|---|---|---|
| 授業料 小学部(日本語セクション) | 67,200香港ドル(約128万円) | 2026年4月・8月・12月に22,400ドルずつ |
| 授業料 中学部(日本語セクション) | 79,680香港ドル(約151万円) | 26,560ドル×3回 |
| 授業料 グローバルクラス 小学部 | 117,360香港ドル(約223万円) | 39,120ドル×3回 |
| Annual Capital Levy | 15,960香港ドル(約30万円) | 年度始めに一括。返金不可・譲渡不可・換金不可 |
| 入学金 | 納付金一覧に費目なし | ― |
| 通学バス会費(2026年度) | 小学部 香港島2,350/九龍・新界2,132、中学部2,613香港ドル | 授業料と一緒に年3回(4か月ずつ)納入 |

香港には入学金がない。かわりに「毎年」払うAnnual Capital Levyがある
他の国の日本人学校を調べたことがある方ほど、香港の納付金一覧には戸惑うはずです。入学金という費目がありません。台北は入学金40,000元、ソウルは入園入学金650,000ウォン、マニラは26,000ペソ、マドリッドは700ユーロ――どこも「入学時に1回だけ」の一時金があります。香港にはそれがないかわりに、Annual Capital Levyが毎年15,960香港ドル(約30万円)かかります。
ここを読み違えると、見積もりが大きくずれます。小学部の6年間で計算すると、Levyだけで95,760香港ドル(約182万円)。入学金が1回で終わる国の感覚のまま「初年度だけ高い」と見積もると、2年目以降に毎年30万円ずつ足りなくなります。学校は用途を「大規模修繕・建築工事・各種開発プロジェクト」と説明したうえで、「入学優先権やその他の権利を付与するものではなく、資産や財産とみなされるものでもない」とはっきり書いています。年度途中の編入でも、入学許可時に納金が必要です。
| 学年 | 授業料 | Annual Capital Levy | 年間合計(バス代・PTA会費を除く) |
|---|---|---|---|
| 小学部 | 67,200香港ドル | 15,960香港ドル | 83,160香港ドル(約158万円) |
| 中学部 | 79,680香港ドル | 15,960香港ドル | 95,640香港ドル(約182万円) |
| グローバルクラス 小学部 | 117,360香港ドル | 15,960香港ドル | 133,320香港ドル(約253万円) |
2026年度から1校に――香港校と大埔校の統合で変わったこと
2025年2月19日、香港日本人学校経営理事会は「2026年4月までに香港校(ハッピーバレー)と大埔校(タイポ)の統合を実施する」と発表しました。学校の公式説明では、教育局との協議を経て統合計画はすでに正式な承認を得ています。そして現在、学校サイトには「本校は、2026年度から旧香港校と旧大埔校が統合し、香港日本人学校(JIS)として新たな歩みを始めました」と記載されています。つまり、いま香港に赴任する家庭が検討する校舎は大埔(タイポ)です。
もうひとつ、進行中の変更があります。小学部グローバルクラスは2016年から香港校(ハッピーバレー)で実施されてきましたが、大埔校での小学部グローバルクラスは2027年4月に開始される予定で、準備は2025年初頭から進められています(教育局の承認が条件)。中学部にも2027年度から1年・2年、2028年度から3年にグローバルクラスを新設し、小4から中3までの一貫したグローバル教育にする計画が公表されています。渡航年度によって選べるコースが違うということです。「来年からどうなるか」を学校に直接確認する価値が、いまの香港はとくに高いと言えます。
グローバルクラスと通常学級の差は年50,160香港ドル
日本語セクションの小学部には、通常学級とグローバルクラス(GC)があります。通常学級でも全学年で週5時間以上の習熟度別英語授業があり、図画工作(小2〜小6)と水泳は英語で行うイマージョン教育を導入しています。グローバルクラスは小学4年から6年に設置され、週5時間の英語に加えて算数と理科もイマージョン、さらに探究学習「Global Studies」と「Student Action Project」が入ります。
金額の差は年50,160香港ドル(約95万円)。小4から小6の3年間なら約285万円の差です。中学部の通常学級も全学年で週6時間の習熟度別英語がありますから、「英語を伸ばしたいからGC」と即断せず、通常学級の英語量で足りるかを先に確認するほうが合理的です。

ESFは年145,000香港ドル――香港は「日本人学校が圧倒的に安い」国ではない
香港のインターナショナルスクールと並べてみます。ESF(English Schools Foundation)の2026/27年度は、小学部(Years 1–6)が年145,000香港ドル、中学部(Years 7–11)が年188,300香港ドル。加えて出願料2,800ドル、授業料2か月分のデポジット、Year 1入学時で38,000ドルからのNon-refundable Capital Levyがかかります。Discovery Collegeは小学部169,900ドル、Renaissance Collegeは154,200ドル。HKIS(Hong Kong International School)はさらに上で、年211,400〜243,400ドルの水準です。

日本人学校の小学部67,200ドルと比べると、ESFは約2.2倍、HKISは約3.1倍。マニラやジャカルタのように日本人学校とインターが6〜8倍ひらく国とは、判断の土俵が違います。香港は、会社の子女教育手当の水準しだいでインターが現実の選択肢に入る国です。国別の相場はインターナショナルスクールの学費にまとめています。
見落とされがちな実務――ビザがないと編入できない
学費と同じくらい効くのに見落とされるのが、ビザです。学校は「香港で学校入学の際にお子さんの家族居住ビザ(Dependent Visa)は必須(香港の教育条例による)」「取得されていないお子さんは編入学できません」と明記しています。さらに「香港に到着してからの申請では遅すぎ、通学を開始できません」とまで書かれています。日本を出る前に、保護者の就労ビザとあわせて余裕をもって申請してください。ここでつまずくと、学費の話にたどり着く前に数週間の空白ができます。
学費を払ったあとに残るもの――「日本の同世代と話す時間」
香港日本人学校を選べば、教育課程は日本の学習指導要領に基づき、教科書も国内で使われているものです。文部科学大臣から国内の学校と同等の教育課程を有する旨の認定も受けています。国語の心配は小さい。そのかわり、統合で校舎が大埔になったぶん通学時間は伸びます。そして規模です。1990年代には3校舎あわせて最大およそ2,100人だった在籍数が、2025年6月時点では399人(日本語版ウィキペディアの記載)。学年に何クラスもあった時代とは、子どもの人間関係の広さがまるで違います。
インターやESFを選べば英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域で、家庭の会話だけでは維持できません。そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本にいる同学年の子と日常的に話す機会がゼロ」という点です。帰国したときに子どもが戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、ESF・インターの日本語のピンポイント補強としても使えます。香港と日本の時差は1時間なので、日本の夕方のクラスがそのまま香港の夕方です。大埔から離れた場所に住んでいても、通学時間はかかりません。
よくある質問(香港で学校を選ぶ方から)
香港日本人学校の学費はいくらですか?
令和8年度は、日本語セクションの小学部が年67,200香港ドル、中学部が年79,680香港ドル(いずれも2025年度実績分として学校が掲載)。これにAnnual Capital Levy 15,960香港ドルが毎年加わるので、実質は小学部83,160ドル・中学部95,640ドルで見るのが正確です。バス代とPTA会費は別途です。
入学金はかかりますか?
納付金一覧に入学金という費目はありません。そのかわりAnnual Capital Levyが毎年15,960香港ドルかかります。返金不可・譲渡不可・換金不可で、年度途中の編入でも入学許可時に納めます。「入学金がないから安い」ではなく「入学金が毎年ある」と考えたほうが実態に合います。
グローバルクラスの学費はいくらですか?
小学部グローバルクラスは年117,360香港ドルで、通常学級より年50,160ドル高くなります。算数・理科までイマージョンで行い、探究学習も入ります。大埔校での小学部グローバルクラスは2027年4月開始予定、中学部は2027年度から1・2年に新設される計画です(いずれも教育局の承認が条件)。
香港校と大埔校が統合したと聞きました。どうなったのですか?
2025年2月19日の理事会決議で、2026年4月までに両校を統合することが決まり、学校サイトには「2026年度から旧香港校と旧大埔校が統合し、香港日本人学校(JIS)として新たな歩みを始めました」と記載されています。校舎は大埔(タイポ)です。ハッピーバレー校舎の在校生がいたご家庭は通学ルートが変わります。
日本人学校とインター、香港ではどちらを選ぶべきですか?
香港は差が2〜3倍しかないため、費用だけでは決まりません。滞在年数(3年で帰国するのか)と、帰国後に受ける入試の形式で決めるのが現実的です。判断材料は香港の日本人学校とインターの比較に整理しています。

世界の学校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、近隣の国レベルの記事として中国・台湾・韓国、中学部の選び方は日本人学校の中学部もあわせてどうぞ。

