スイス赴任が決まって「スイスの日本人学校の学費」を調べると、驚く数字が出てきます。チューリッヒ日本人学校(全日校)の2026年度は、入学金1,000フラン・授業料が年11,000フラン。1フラン=185円で換算すると年およそ204万円で、これは世界の日本人学校のなかでも最高水準です。「日本人学校は安い」という前提でスイスの見積もりを作ると、まず足りません。しかもスイスで全日制の日本人学校があるのはチューリッヒだけで、ジュネーブ・バーゼル・ベルンには補習校しかありません。この記事では同校が公開している校納金一覧の記載どおりに金額を並べ、チューリッヒ・インターナショナル・スクールとの差、そして「全日校がない都市に住む場合どうするか」まで整理します。
チューリッヒ日本人学校の2026年度校納金【公表額そのまま】
法人チューリッヒ日本人学校は、全日校(月〜金)と補習校(土)を同じ法人が運営しています。全日校は小学部・中学部で、高等部はありません。以下は同校が公開している2026年度の校納金一覧の記載どおりの金額です。円換算は1フラン=185円で計算した目安で、レートは変動します。
| 費目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 入学金 | 1,000フラン(約18万5千円) | 入学時のみ |
| 授業料(年間) | 11,000フラン(約204万円) | 小学部・中学部 |
| 1学期 | 3,700フラン | 学期ごとに納入 |
| 2学期 | 4,700フラン | 3学期の1.8倍 |
| 3学期 | 2,600フラン | ― |
| 各種証明書 | 1通10フラン | 在学証明・成績証明など |

日本人学校としては世界最高水準――ヨーロッパの他国と並べるとよく分かる
日本人学校は一般に「インターより圧倒的に安い」存在です。マニラは月26,000ペソ(約8万円)、ソウルは月47万ウォン(約5万円)、上海は月2,500元(約5万円)。ところがチューリッヒは年11,000フラン=月あたり約917フラン(約17万円)で、水準がまるで違います。
| 学校(年度) | 年間授業料 | 円換算の目安 |
|---|---|---|
| チューリッヒ日本人学校(2026年度) | 11,000フラン | 約204万円 |
| ロッテルダム日本人学校 | 9,360ユーロ | 約159万円 |
| ベルリン日本人国際学校(2026年度) | 8,640ユーロ | 約147万円 |
| ロンドン日本人学校(令和8年度) | 7,368ポンド | 約144万円 |
| デュッセルドルフ日本人学校(2026年度) | 6,360ユーロ | 約108万円 |
| ブラッセル日本人学校(2026年度) | 6,300ユーロ | 約107万円 |
| フランクフルト日本人国際学校(2026年度) | 5,520ユーロ | 約94万円 |
チューリッヒはフランクフルトの約2.2倍です。理由ははっきりしています。スイスは人件費と賃料が欧州で突出して高く、しかも在籍する児童生徒数が少ないため、一人あたりの固定費が大きくなります。規模が大きい学校ほど一人あたりが下がるという構造は、中国の日本人学校でも同じでした(物価が最も高い上海が、学費では中国で最安)。物価が高い都市=学費が高い、とは限りません。効くのは学校の規模です。
同じ法人に、補習校・国際部・高等部がある
チューリッヒ日本人学校の特徴は、全日校のほかに土曜の部門が5つに分かれていることです。日本語を第一言語としない子ども向けの「国際部」があり、しかも学年帯で午前・午後に分けています。ここまで細かく部門を分けている在外教育施設は多くありません。
| 部門 | 年間授業料 | 入学金 |
|---|---|---|
| 全日校(小・中学部) | 11,000フラン | 1,000フラン |
| 補習校 小中部 | 2,110フラン | 400フラン |
| 補習校 幼稚部 | 1,770フラン | 400フラン |
| 国際部 中学年(午前) | 1,950フラン | 400フラン |
| 国際部 高学年(午後) | 2,050フラン | 400フラン |
| 高等部 | 2,200フラン | 400フラン |
全日校が年11,000フラン、補習校の小中部が年2,110フラン。差は5.2倍です。現地校やインターに通いながら土曜だけ日本語を学ぶ形なら、費用は5分の1になります。ただし週1日ですから、学年相当の国語をこれだけで維持するのは簡単ではありません。世界の補習校の全体像は日本語補習校とはにまとめています。
チューリッヒ・インターナショナル・スクールは年33,000〜37,000フラン
スイスのインターナショナルスクールは世界的にも最高価格帯です。チューリッヒ・インターナショナル・スクール(ZIS)の小学部は、2026/27年度でおおむね年33,000〜37,000フラン。これに加えて出願・アセスメント料250〜600フラン、入学時の一時金4,000〜8,000フラン、建設・開発基金 年1,500フラン、スクールバス 年4,000〜6,500フラン、給食 年2,500〜4,000フランなどが乗ります。表示価格より15〜25%多く払うことになるのが実態です。

日本人学校の年11,000フランと比べると、ZISは約3.0〜3.4倍。他国では6〜8倍ひらくことを考えると、スイスは日本人学校とインターの差が小さい国です。言い換えると、スイスでは「日本人学校なら安く済む」という前提が崩れているぶん、インターが現実的な選択肢に入ってきます。会社の子女教育手当がどこまで出るかを、赴任前に必ず確認してください。

ジュネーブ・バーゼル・ベルンには全日制がない
スイスで全日制の日本人学校があるのはチューリッヒだけです。国際機関が集まるジュネーブにも、製薬企業の拠点があるバーゼルにも、首都ベルンにも、全日制はありません(土曜の補習校はあります)。
ジュネーブからチューリッヒまでは鉄道でおよそ2時間45分。通える距離ではありません。つまりチューリッヒ以外に赴任した家庭は、そもそも「日本人学校か、インターか」という問いの前に立てません。現地校かインターに通わせたうえで、日本語をどう確保するかを考えることになります。この構造は、日本人学校がない多くの都市と同じです。世界の日本人学校の分布は日本人学校 一覧にまとめています。
学費を払ったあとに残るもの――「日本の同世代と話す時間」
チューリッヒ日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で、教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、スイスで暮らしているのにドイツ語も英語も伸びにくいという悩みが出てきます。インターや現地校を選べば語学は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。ここは正直にお伝えしておきます。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、しかもスイスは在籍数が少ないため、学年に数人ということも珍しくありません。日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はゼロです。帰国したときに子どもが戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、インター・現地校の日本語のピンポイント補強としても使えます。チューリッヒ以外の都市に住んでいても、日本語のクラスに毎日入れる――全日制が1校しかないスイスでは、ここが効きます。時差は7時間(夏時間)で、日本の夕方の授業はスイスの昼過ぎにあたります。
よくある質問(スイスで学校を選ぶ方から)
スイスに日本人学校はいくつありますか?
全日制はチューリッヒ日本人学校の1校だけです。小学部と中学部で、高等部はありません。同じ法人が土曜の補習校(幼稚部・小中部・国際部・高等部)も運営しています。ジュネーブ・バーゼル・ベルンには補習校があります。
チューリッヒ日本人学校の学費はいくらですか?
2026年度の全日校は年11,000フラン(1学期3,700/2学期4,700/3学期2,600)、入学金1,000フランです。1フラン=185円で換算すると年およそ204万円、月あたり約17万円になります。
なぜスイスの日本人学校はこんなに高いのですか?
人件費と賃料が欧州で突出して高いことに加え、在籍する児童生徒数が少ないため一人あたりの固定費が大きくなるためです。日本人学校の学費は、その都市の物価よりも学校の規模に強く連動します。規模と学費の関係は日本人学校の学費相場で整理しています。
補習校だけに通わせることはできますか?
できます。補習校の小中部は年2,110フラン・入学金400フランで、全日校の5分の1です。日本語を第一言語としない子ども向けの国際部(年1,950〜2,050フラン)や高等部(年2,200フラン)もあります。国際結婚のご家庭にとっては、部門が分かれていること自体が大きな利点です。
ジュネーブに住む場合、日本語はどうすればいいですか?
ジュネーブに全日制はなく、チューリッヒへの通学も現実的ではありません。土曜の補習校+家庭学習が基本になりますが、週1日では学年相当の国語を維持しきれないのが実情です。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題で、住んでいる都市に関係なく日本の同世代と毎日つながれます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

世界の学校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたドイツ・イギリス・オーストラリアもあわせてどうぞ。

