イギリス赴任が決まって「イギリスの日本人学校の学費」を調べると、年7,368ポンドという数字と、年33,000ポンドという数字が並んで出てきます。桁がひとつ違うので誤植を疑いたくなりますが、どちらも実在する公表額です。前者はロンドン日本人学校(通学)の授業料、後者は立教英国学院(全寮制)の学費です。イギリスには全日制の「日本人学校」はロンドンの1校しかなく、そのかわりに全寮制の在外教育施設が2校ある――この構造を知らないまま数字だけを見比べると、予算の立て方を間違えます。この記事では3校の2026年度(令和8年度)の公表額をそのまま並べ、2025年から始まった私立学校へのVAT課税、ロンドン日本人学校に高等部がないという事実、そして学費を払ったあとに残る「日本語」の宿題まで整理します。
イギリスの日本人学校・在外教育施設3校の学費【2026年度の公表額】
イギリスにある文部科学省認定の在外教育施設は、通学制のロンドン日本人学校(小学部・中学部)と、全寮制の立教英国学院(小学部・中学部・高等部)・帝京ロンドン学園高等部の3校です。金額はすべて各校の公式サイトの記載どおり、円換算は1ポンド=200円で計算した目安です。
| 学校 | 形態 | 年間の学費(1人あたり) | 入学時の一時金 |
|---|---|---|---|
| ロンドン日本人学校 (小・中) |
通学 | 7,368ポンド (約147万円) 学期ごと2,456ポンド |
入学金 1,684ポンド (転入学の児童生徒のみ) |
| 立教英国学院 小学部 |
全寮制 | 33,000ポンド (約660万円) 週末帰宅型は29,700ポンド |
入学金 3,970ポンド+ 施設維持費 1,985ポンド |
| 立教英国学院 中学部 |
全寮制 | 36,000ポンド (約720万円) 週末帰宅型は32,400ポンド |
同上 |
| 立教英国学院 高等部 |
全寮制 | 37,800ポンド (約756万円) 週末帰宅型は34,020ポンド |
同上 |
| 帝京ロンドン学園 高等部(寮生) |
全寮制 | 39,240ポンド (約785万円) 通学生は23,976ポンド |
入学金 4,010ポンド (上記総額に含む) |

ロンドン日本人学校は年7,368ポンド=世界の日本人学校のなかでも高い部類
ロンドン日本人学校の授業料は年7,368ポンド、学期ごとに2,456ポンドの3回払いです。約147万円ですから、月あたりにすると約12万円。ドイツの日本人学校が年5,520〜8,640ユーロ(約88〜138万円)、中国の日本人学校が年30,000〜60,000元(約60〜120万円)であることを考えると、ロンドンは世界の日本人学校のなかでも高い側にあります。
もうひとつ押さえておきたいのが入学金1,684ポンド(約34万円)は「転入学の児童生徒のみ」という条件です。つまり、赴任にともなって年度途中や学年の途中で入ってくる家庭――駐在家庭のほとんど――が支払う一時金です。初年度は授業料7,368ポンドに入学金1,684ポンドが乗るので、初年度だけで9,052ポンド(約181万円)を見ておく必要があります。会社の子女教育手当を申請するときは、初年度と2年目以降を分けて出してください。
2025年から私立学校の授業料にVAT20%がかかっている
イギリスの学費を調べていて他国と決定的に違うのが、金額の横に「VAT込」と書かれている点です。イギリスでは2025年1月から、私立学校の授業料に付加価値税(VAT)20%が課されるようになりました。立教英国学院も帝京ロンドン学園も、公表している金額を「VAT20%込」と明記しています。
これが意味するのは、2024年以前の駐在ブログや先輩の話に出てくる金額が、そのままでは使えないということです。立教英国学院は2026年度について「為替状況等を考慮し、できるだけ保護者の負荷がかからぬよう学費を減額し、前年度比5%の上昇率に抑えた」と説明しています。学校側も上げたくて上げているわけではないのですが、家計から見れば負担は確実に増えています。数年前の情報で予算を組むと、着任後に足が出ます。
ロンドン日本人学校に高等部はない――だから「全寮制」を調べる人が多い
「イギリス 日本人学校」と検索すると、候補に「高校」「全寮制」が並びます。理由ははっきりしていて、ロンドン日本人学校は中学3年生までだからです。中学を卒業したあとの選択肢は、①立教英国学院の高等部に進む ②帝京ロンドン学園高等部に進む ③現地校のシックスフォームやインターに移る ④帰国して日本の高校に進む――の4つになります。
立教英国学院はウェスト・サセックスにある全寮制で、小学部から高等部まで一貫しています。Full Boarding(毎週末も寮)とWeekly Boarding(週末は自宅等)で学費が違うのが特徴で、高等部ならFull 37,800ポンドに対しWeekly 34,020ポンド。差は年3,780ポンド(約76万円)です。ロンドン近郊に住んでいて週末は家族と過ごしたい家庭にとっては、この選択が学費にも直結します。
帝京ロンドン学園高等部は高校のみで、国際バカロレア(IB)認定校です。寮生と通学生で総額が大きく変わり、グローバルスタディーズなら寮生39,240ポンドに対し通学生23,976ポンド。サッカーコースやアートコースを選ぶと、コース授業料が1,850〜3,500ポンド上乗せされます。さらに学年費が年5,500ポンド程度、スクールバスが年2,100ポンド、IBディプロマを選択すると1,910ポンドが別途かかります。「授業料13,160ポンド」という数字だけを見て予算を組むと、実際の請求額と2〜3倍ずれます。

インターは年20,000〜38,000ポンド=日本人学校の3〜5倍
ロンドン圏の主要インターナショナルスクールの授業料は、サウスバンク・インターナショナルスクール(ケンジントン校)で年20,172〜38,613ポンド(2026/27年度)、ACSインターナショナルスクール・コブハムで年9,950〜66,780ポンド(同)と、学年によって大きく開きます。ロンドン日本人学校の年7,368ポンドと比べると、上の学年ではおおむね3〜5倍です。

さらにインターには入学時の一時金があります。サウスバンクは出願料300ポンド、返金される預り金2,000ポンド、そして返金されないCapital Development Fee 2,400ポンド。ACSコブハムは出願料330ポンド、預り金1,500ポンド、campus/development fee 1,680ポンド。兄弟2人なら、入学するだけで数千ポンドが飛びます。会社の教育手当がインターの実額まで出るかどうかで、選択肢は事実上決まると考えてください。
補習授業校という第三の選択肢
イギリスには全日制のロンドン日本人学校のほかに、土曜だけの補習授業校が各地にあります。ロンドン補習授業校のほか、マンチェスター、バーミンガム、エディンバラなどにもあり、現地校やインターに平日通いながら土曜に国語(と算数)を補う形です。学費は全日制よりずっと安く、日本人学校のない地方都市に赴任した家庭にとっては、ほぼ唯一の日本語の受け皿になります。
ただし補習校には補習校の悩みがあります。土曜の午前がまるごと埋まること、レベル別ではなく学年別なので日本語力が合わないと苦しいこと、そして地方に住んでいると通学に片道1〜2時間かかること。「補習校が合わなかった」「そもそも通える距離にない」という家庭が、イギリスにはかなりいます。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題
ロンドン日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、イギリスで暮らしているのに英語が伸びにくいという悩みが出てきます。インターや現地校を選べば英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。イギリスと日本の時差は8時間(夏時間)です。イギリスの平日の夕方は日本の深夜にあたるため使えませんが、日本の土曜午前=イギリスの土曜早朝、日本の平日夕方=イギリスの平日午前という枠があり、実際には週末の午前を使う家庭が多くなっています。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、インター・現地校の日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(イギリスで学校を選ぶ方から)
イギリスに日本人学校はいくつありますか?
通学制の全日制日本人学校はロンドン日本人学校の1校のみです。そのほかに文部科学省が認定する私立在外教育施設として、全寮制の立教英国学院(小・中・高)と帝京ロンドン学園高等部があります。土曜のみの補習授業校は各地にあります。
ロンドン日本人学校に高等部はありますか?
ありません。小学部と中学部だけです。高校は立教英国学院・帝京ロンドン学園に進む、現地校のシックスフォームやインターに移る、帰国して日本の高校に進む、のいずれかになります。世界の日本人学校で高等部があるのは上海・バンコクなど数校のみです。詳しくは日本人学校 一覧にまとめています。
全寮制の学校は途中から入れますか?
立教英国学院は小学部・中学部・高等部それぞれで受け入れがあり、学費も学部ごとに設定されています。Full BoardingとWeekly Boardingを選べるのが特徴で、後者のほうが年3,000〜3,300ポンド安くなります。帝京ロンドン学園は高等部のみで、寮生と通学生を選べます。入学時期・編入の可否は年度ごとに変わるので、必ず各校に直接確認してください。
学費のほかにどんな費用がかかりますか?
帝京ロンドン学園は学年費が年5,500ポンド程度(初年度はPC購入費を含めて6,500ポンド程度)、スクールバス年2,100ポンド、IBディプロマ選択時1,910ポンドが別途と明記しています。立教英国学院は入学時に施設維持費1,985ポンドが必要です。いずれも「授業料」の外側にある費用なので、見積もりを取るときは必ず総額で聞いてください。
現地校やインターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけで学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、現地校で英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

都市ごとの詳細はロンドンの記事をご覧ください。世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたドイツ・中国・アメリカ・タイもあわせてどうぞ。

