フィリピン赴任が決まって「フィリピンの日本人学校の学費」を調べると、「授業料は月18,000ペソ」という数字にたどり着きます。ところが実際にマニラ日本人学校の入学案内を読むと、授業料18,000ペソのほかに施設費が月8,000ペソあり、さらに入学時には入学金26,000ペソとは別に「寄付金」の納付が入学の条件だと書かれています。個人(自営業者等)なら1世帯2,000米ドル。この寄付金の存在を知らないまま予算を組むと、着任直後に30万円近い想定外の出費が出ます。この記事ではマニラ日本人学校が公表している2026年度の金額をそのまま並べ、フィリピンには全日制の日本人学校が事実上1校しかないという事実、インターとの価格差が他国ほど大きくないという意外な特徴、そしてインター在籍者が編入できなくなる期限まで整理します。
マニラ日本人学校の校納金【2026年度の公表額】
フィリピンにある全日制の日本人学校は、在フィリピン日本国大使館附属マニラ日本人学校(MJS)の実質1校です。所在地はマニラ首都圏タギッグ市のボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)地区。小学部と中学部があります。以下は同校の「2026年度 保護者用ハンドブック」(2026年2月5日改訂)の記載どおりの金額で、円換算は1ペソ=2.6円で計算した目安です。
| 項目 | 金額 | 頻度 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 入学金 | 26,000ペソ (約6万8千円) |
入学時一時金 | ― |
| 授業料 | 18,000ペソ | 月額 | 小学部・中学部とも同額 |
| 施設費 | 8,000ペソ | 月額 | 授業料とは別建て |
| 毎月の合計 | 26,000ペソ (約6万8千円) |
月額 | 年額 312,000ペソ(約81万円) |
| 教材費 | 各学年ごとの設定 | 年額 | ― |
| 傷害保険金 | 500ペソ | 年額 | ― |
| PTA会費 | 500ペソ | 年額(1世帯) | 令和6年度。5月のPTA総会で決定 |
| 寄付金(個人/自営業者等) | 2,000米ドル (1世帯) |
入学時一時金 | 入学・編入学時の納付が条件 |
| 寄付金(政府・国際関係機関) | 第1子 500米ドル 第2子 250米ドル 第3子以降 250米ドル |
入学時一時金 | |
| 寄付金(企業勤務の方) | 企業寄付金 (金額は事務室へ照会) |
入学時一時金 | |
| スクールバス | バス会社へ直接支払い | ― | 学校敷地内にバスオフィスあり |

最大の落とし穴は「寄付金」――自営業者は1世帯2,000米ドル
マニラ日本人学校は私立学校で、運営費は寄付金・入学金・授業料・施設費に加え、日本国政府の援助金と海外子女教育振興財団の補助金でまかなわれています。だからこそ、ハンドブックには「ご入学・編入学時には、入学金とは別に寄付金を納付いただくことが条件となります」とはっきり書かれています。任意の寄付ではありません。
そして金額は保護者の立場で大きく変わります。
- 個人(自営業者等)=1世帯 2,000米ドル(約30万円)
- 政府・国際関係機関=第1子 500米ドル、第2子 250米ドル、第3子以降 250米ドル
- 企業勤務の方=企業寄付金(金額は学校事務室へ照会)
つまり、フィリピンで独立して事業をしている家庭、現地採用で働いている家庭、国際結婚でフィリピンに生活基盤がある家庭が、最も重い負担を負う構造です。企業駐在なら会社が企業寄付金を負担するのが通例ですが、それ以外の立場の方は、入学金26,000ペソ+寄付金2,000米ドルで、入学するだけで約37万円を見ておく必要があります。子ども2人ならさらに増えます。学費の見積もりを取るときは、必ず「わが家はどの区分か」を学校に確認してください。
支払いは3か月前払い・遅延には月3%の金利
マニラ日本人学校の授業料と施設費は、3か月分を前払いで納めます。3月に4〜6月分、6月に7〜9月分、9月に10〜12月分、12月に翌年1〜3月分。納入期限はそれぞれの月末(12月分のみ12月28日まで)で、期限を過ぎると月3%の遅延金利が加算されると明記されています。
3か月分をまとめて払うということは、1回あたり78,000ペソ(約20万円)の出金が年4回あるということです。月々の引き落としを前提に家計を組んでいると、赴任直後の3月にいきなり大きな支払いが来ます。支払いは学校事務室での現金・小切手か、指定銀行口座への振込。フィリピンでの銀行口座開設が学費の支払いスケジュールに直結するので、渡航前に会社の総務へ段取りを確認しておくと安心です。なお学期途中で退学する場合は、翌月以降の授業料・施設費が月割(日割なし)で返金されます。

インターとの差が他国ほど大きくない――フィリピン特有の事情
マニラ日本人学校の年額は26,000ペソ×12か月=312,000ペソ(約81万円)。ここでフィリピンの特徴が出ます。マニラのインターナショナルスクールを見ると、ブリティッシュ・スクール・マニラ(BSM)の小学部が年350,000〜550,000ペソ。つまり日本人学校とBSM小学部の差は1.1〜1.8倍しかありません。

一方で最上位のインターナショナル・スクール・マニラ(ISM)は、小学部で年650,000〜950,000ペソ、中高やIBディプロマになると年800,000〜1,500,000ペソ超。さらに入学時にマトリキュレーション費4,500米ドル、施設拡充費4,500米ドル、出願料700米ドルが必要とされています。ISMなら日本人学校の2〜5倍ですが、BSMクラスなら「あと年20万〜60万円出せば英語環境」という判断が現実的に成り立つ――これが、ドイツ(3〜4倍)や中国(6〜13倍)と大きく違う点です。
だからこそフィリピンでは、インターを選ぶ駐在家庭の比率が他国より高くなりがちです。そしてインターを選んだ瞬間、日本語をどう維持するかという宿題が家庭に丸ごと返ってきます。
インターから日本人学校へ戻れなくなる日がある
ここは、フィリピンで学校を選ぶうえで最も見落とされやすい実務情報です。マニラ日本人学校のハンドブックには、中学部3年生と小学部6年生については、1学期終業式以降、学校教育法第一条に定められた学校(一条校)以外からの編入は認めないと明記されています。そして注意書きとして「インターナショナル校等に通学している中学3年生および小学6年生は、原則として1学期終業式以降の編入はできません」とあります。
つまり、「とりあえずインターに入れて、受験が近づいたら日本人学校に戻す」という戦略は、最終学年では使えません(小学6年生が同校の中学部へ進学する場合は例外とされています)。帰国して日本の高校を受験する予定がある家庭は、中学2年生のうちに進路を決める必要があります。この一文を知らずにインターを選び、中3の秋に戻ろうとして断られる――というのは、避けられる失敗です。
学費を払ったあとに残る「日本語」――どちらを選んでも残る宿題
マニラ日本人学校を選べば、授業はすべて日本語で教科書も日本と同じです。国語の心配はほとんどありません。そのかわり、フィリピンという英語環境にいながら英語が伸びにくいという悩みが出てきます。インターを選べば英語は伸びますが、今度は日本語の学年相当が確実に落ちます。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、家庭内の会話だけでは維持できません。
そしてどちらを選んでも共通して残るのが、「日本の同世代と話す時間」です。日本人学校でもクラスは同じ駐在家庭の子どもたちで、日本にいる同学年の子と日常的に話す機会はありません。帰国したときに戸惑うのは、じつは漢字よりもここです。ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。フィリピンと日本の時差は1時間だけなので、日本の平日夕方17時=マニラの16時、日本の土曜午前=マニラの土曜早朝と、ほぼ日本と同じ感覚で時間割を組めます。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、インターの日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(フィリピンで学校を選ぶ方から)
フィリピンに日本人学校はいくつありますか?
全日制の日本人学校はマニラ日本人学校の実質1校です。セブなど他地域には土曜の補習授業校がありますが、平日通う全日制の日本人学校はマニラのみと考えてください。マニラ以外の地域に赴任する場合は、現地校・インター+日本語の補完という組み立てになります。
マニラ日本人学校の学費は月いくらですか?
授業料18,000ペソ+施設費8,000ペソで月26,000ペソ(約6万8千円)、小学部・中学部とも同額です。年額では312,000ペソ(約81万円)。このほかに入学金26,000ペソ、教材費(学年ごと)、傷害保険金年500ペソ、PTA会費年500ペソ、そして入学時の寄付金がかかります。
日本国籍がないと入学できませんか?
原則として日本国籍が必要ですが、学校規則の国籍条項を満たす場合は例外があります。条件は「すでに日本の学校または在外教育施設などで日本語での保幼小中の教育課程を通算2年以上経験している」「入学または編入試験に合格する」「保護者はPTA会員となる」「保護者のどちらかは日本語を理解でき、常に学校と連絡できる手段を確保している」の4点です。あわせて保護者は原則としてマニラ日本人会の会員である必要があります。
スクールバス代はいくらですか?
マニラ日本人学校のスクールバスは、学校ではなくバス会社へ直接支払う方式です。学校敷地内にバスオフィスがあり、そこで手続きと支払いを行います。金額は「MJSスクールバス利用の手引き」で確認してください。校納金の請求書には含まれないので、家計の見積もりから漏れやすい費目です。
インターに入れた場合、日本語はどうすればいいですか?
正直に言えば、家庭内の会話だけで学年相当の国語を維持するのは大変です。漢字・読解・作文は量が要ります。しかもフィリピンでは、最終学年で日本人学校へ戻る道が制度上ふさがれています。ともだちじゃぱんは会話レベル別のクラス+通い放題なので、インターで英語を伸ばしながら日本語の「抜け」だけをピンポイントで補う併用が効きます。帰国後の国語の考え方は帰国子女の国語にまとめています。

都市ごとの詳細はマニラの記事をご覧ください。世界90校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、国レベルで学費を並べたタイ・マレーシア・インドネシア・ベトナムもあわせてどうぞ。

