高校生の学年途中で本帰国が決まったとき、「帰国子女 編入 高校 東京」と検索して最初にぶつかるのが「都立高校に、年度の途中から入れるのか」という問いです。答えははっきりしています。東京都は、海外帰国生徒を対象とした都立高校の転学・編入学募集を、一般の転学・編入学とは別に行っています。ただし条件は厳格で、募集校も学年ごとの人員も毎回変わります。この記事では、東京都教育委員会が公表している内容をもとに、都立と私立の2つの入口を並べて整理します。
都立高校には「一般の転学・編入学」と「帰国生徒対象」の2本がある
まず用語です。東京都教育委員会は転学を「高校に在学している生徒が、引き続き他の高校の相当学年に入学すること」、編入学を「種類の異なる学校からの入学や、外国からの帰国者などが、第1学年当初の入学時以外の時期に高校に入学すること」と説明しています。海外の現地校に通っていた子が学年途中で都立に入るのは、多くの場合こちらの編入学にあたります。
一般の転学・編入学募集は年3回、学期ごとに実施されます。ただし内訳があり、第一学期は転学と編入学の両方、第二学期と第三学期は転学のみと案内されています。検査は各学校が定めますが「原則として、国語、数学、英語及び面接」。全日制は保護者とともに都内に住所を有すること(または入学日までの転入が確実であること)が条件です。
これとは別枠で行われるのが、海外帰国生徒対象の転学・編入学募集です。ここが「帰国生の編入」の本命になります。

応募資格は「在住2年以上」かつ「帰国後1年以内」
令和8年度第二学期の海外帰国生徒対象 転学・編入学募集で、東京都教育委員会が公表した応募資格は次のとおりです。日本国籍を有し、保護者に伴って海外に在住している者または在住していた者のうち、保護者に伴った外国における連続した在住期間が2年以上で、かつ帰国後1年以内の者。
ここで落ちるご家庭が実際にあります。「連続した」在住期間なので、途中で日本に戻った期間があると数え方が変わります。「帰国後1年以内」なので、先に母子だけ帰国して1年以上が過ぎていると対象外です。資格は対策では取り返せない種類の条件なので、帰任の日程を詰める段階で先に確認してください。同じ数え方の問題は高校受験の帰国枠でも起きます(帰国子女 高校受験 東京)。
実際の規模感も見ておきます。令和8年度第二学期の募集では、三田(普通科)が第1学年1名・第2学年4名・第3学年1名、竹早(普通科)が第2学年2名、日野台(普通科)が第2学年3名・第3学年3名、国際(国際学科)が第1学年7名でした。検査は三田・竹早・日野台が学力検査(国語・数学・英語)と面接、国際が日本語による作文と面接。日程は受付が7月1日・2日、検査が7月8日、発表が7月13日と、受付から発表まで2週間ほどで進みます。

「9月入学」という、もうひとつの入口
東京都は都立高校の9月入学生徒募集も行っており、国際バカロレアコース・海外帰国生徒・在京外国人生徒等が対象と案内されています。海外の学年暦が8月・9月始まりの国から帰国する場合、4月まで待たずに9月から第1学年に入るという選び方ができるということです。
混同しやすいので整理すると、9月入学は「入学」、帰国生徒対象の転学・編入学は「途中の学年に入る」ものです。子の学齢・現地で修了した課程・修得単位数によって、どちらが妥当かが変わります。東京都教育委員会も、海外帰国生徒の出願可否は年齢・外国学校の修了課程・修得単位数で決まるとしたうえで、「受検を希望する高校において、必ず事前の相談・確認をしてください」と強調しています。この事前相談は省略できません。
| 都立・帰国生徒対象の転学/編入学 | 都立・一般の転学/編入学 | 都立の9月入学 | 私立高校の転・編入 | |
|---|---|---|---|---|
| 主な対象 | 在住2年以上かつ帰国後1年以内の帰国生徒 | 都内に転入する在学中の高校生など | IBコース・海外帰国生徒・在京外国人生徒等 | 各校が定める(海外帰国を認める学校のみ) |
| 実施 | 都教育委員会が募集校・人員を都度公表 | 年3回(第一学期は転学・編入学、第二・第三学期は転学のみ) | 年1回(第1学年として入学) | 各学期末。実施校は協会の一覧で公表 |
| 検査 | 学力検査(国・数・英)+面接/国際は日本語作文+面接 | 原則、国語・数学・英語および面接 | 募集要項による | 学校が定める学科試験・面接・作文など |
| 入る学年 | 募集された学年(1〜3年) | 相当学年 | 第1学年 | 欠員が出た学年 |
| 先に確認すること | 連続在住2年・帰国後1年の数え方 | 保護者とともに都内に住所があるか | 現地で修了した課程と学齢 | 応募資格に「海外帰国」があるか |
私立高校は、都内でも「欠員が出たときだけ」
私立高校の転・編入試験は、在校生が抜けて欠員が生じたときに各校の判断で実施されます。都内の実施校は東京私立中学高等学校協会が調査し、東京都が取りまとめて各学期末に一覧を公表します。令和8年度は1学期末分が令和8年6月11日に公表済み、2学期末分は令和8年11月中旬頃、3学期末分は令和9年2月中旬頃の発表予定です。一覧では応募資格が「①転勤・転居/②海外帰国/③条件なし」で示され、②が付いている学校でなければ帰国生は出願できません。
必要書類は主に願書・住所確認書類・転学照会書(在学校長発行)・在学証明書(在学校長発行)・成績証明書・その他指定書類・入学考査料。高校の場合はここに修得単位の扱いが加わります。現地校のクレジットが日本の単位としてどれだけ認められるかで、入れる学年そのものが動くためです。この単位の壁については帰国子女の高校編入で詳しく扱いました。中学段階の編入と迷っている場合は帰国子女の中学編入もあわせてご覧ください。

検査が国・数・英なら、勝負は国語で決まりやすい
都立の帰国生徒対象募集で三田・竹早・日野台が課すのは国語・数学・英語+面接、国際は日本語による作文+面接です。ここに海外生活の長いお子さんの現実が現れます。英語は強い。数学は現地カリキュラムとのずれはあっても計算は動く。止まるのは国語――評論文の設問、記述、そして日本語の作文です。国際が作文と面接だけで選ぶという設計は、裏返せば日本語で考えて書けるかを正面から見るということでもあります。
そしてこれは、合格したあとにも続きます。編入した高校では、現代文も日本史も小論文も日本語です。短期の対策で通っても、入ってからの3年が長くなる――これが、私たちが編入の相談でいちばんお伝えしたいことです。「できない」の中身を層に分けた記事が帰国子女の国語、作文の詰まり方は帰国子女の作文にあります。
正直に申し上げると、ともだちじゃぱんは編入試験の対策塾ではありません。志望校別の出題対策や面接練習は帰国生向けの塾の領域で、その価値は本物です。私たちが担うのは土台――学年相当の国語です。国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJINが母体で、講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った現役水準の日本の教員。8人制の少人数クラスに日本に住む同世代の仲間がいるので、帰国前から日本語で話し、読み、書く時間が生活の中に残ります。料金は通い放題で月額定額です。
まずは今の学年とのギャップを確認したい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。

よくある質問
都立高校の帰国生徒対象の編入は、年に何回ありますか?
一般の転学・編入学は年3回(学期ごと)実施され、うち編入学が含まれるのは第一学期です。これとは別に、東京都教育委員会が海外帰国生徒を対象とした転学・編入学募集を実施しており、令和8年度は第二学期分の募集が行われました。募集校・学年別人員・日程は回ごとに公表されるため、「毎年この学校に必ず枠がある」とは考えないでください。東京都教育委員会の転学・編入学情報を定期的に確認するのが確実です。
「帰国後1年以内」は、いつを起点に数えますか?
募集要項に示された定義に従って数えます。令和8年度第二学期の募集では、応募資格は「保護者に伴った外国における連続した在住期間が2年以上で、かつ帰国後1年以内の者」と公表されていました。先に子どもだけ帰国したケース、母子だけ先に戻ったケース、一時帰国を挟んだケースは、数え方が変わる可能性があります。この判断は自己流でせず、出願前に東京都教育委員会と、受検を希望する高校の双方に確認してください。
現地校で取った単位は、そのまま認められますか?
そのまま同数が認められるとは限りません。東京都教育委員会は、海外帰国生徒の出願可否を年齢・外国学校の修了課程・修得単位数で決めるとしたうえで、受検を希望する高校への事前の相談・確認を求めています。単位の認定結果によって、入れる学年が想定より下がることも、卒業までの年数が延びることもあります。成績証明書(トランスクリプト)を早めに用意し、学校に見せて相談するのが最短です。
都立に入れなかった場合、私立の編入は狙えますか?
狙えますが、枠は欠員次第です。都内私立の実施校一覧は東京私立中学高等学校協会の調査をもとに東京都が各学期末に公表しており、令和8年度は2学期末分が令和8年11月中旬頃、3学期末分は令和9年2月中旬頃の発表予定です。応募資格が「②海外帰国」となっている学校が出願対象で、選抜日が「随時」の学校は既に終了している場合があります。都立と私立の両方を並行して見ておくのが現実的です。
編入ではなく、高校受験で入り直したほうがよいこともありますか?
あります。帰国時期に幅があるなら、4月入学に合わせて帰り、帰国枠のある高校入試を受けるほうが選択肢は広く、日程も要項で読めます。編入は募集が出るかどうかが年によって変わるうえ、受付から発表までが短期集中です。都立の帰国枠と私立の帰国生入試の全体像は帰国子女の高校受験、書類の逆算は帰国子女 高校受験 必要書類にまとめています。

