帰国枠の受験準備を始めると、多くの家庭が最初に手を止めるのが作文です。帰国子女入試の作文テーマで検索しても出てくるのは塾の対策記事ばかりで、実際に出た課題そのものはなかなか見つかりません。ところが、学校側が公式サイトで過去のテーマを公開している例はあります。この記事では、東京都立国際高等学校が公開している9回分の作文課題と、佼成学園中学高等学校が公開している出題内容を並べて、そこから見えてくる「1つの型」を整理します。結論を先に言うと、テーマは無数にあるのではありません。ほぼ全部が同じ構造をしています。

公開されている9回分を並べる(東京都立国際高等学校)
同校は、現地校・インターナショナルスクール出身者を対象とした入試の作文過去問題を年度ごとに公開しています。条件はどの回も共通で、50分・540〜600字です。
| 年度・回 | 課題の要旨(原文は同校公開のPDF) | 条件 |
|---|---|---|
| 2026年度 9月 | 私たちが世界で抱えている課題について、将来自分がどのように関わりたいか | いずれも 50分/540〜600字 |
| 2025年度 4月 | 異文化社会で困難を乗り越えるために最も大切なこと | |
| 2025年度 9月 | 海外の学校生活で主体的に取り組んだことと、高校での活かし方 | |
| 2024年度 4月 | 主体的に考え個性を伸長させるための、高校での行動 | |
| 2024年度 9月 | 文化の異なる海外で情報伝達に工夫したことと、高校での活かし方 | |
| 2023年度 4月 | 海外で身に付けた国際感覚の、高校での活かし方 | |
| 2023年度 9月 | 他者とのコミュニケーション力の、高校での活かし方 | |
| 2022年度 4月 | 海外生活で成長させた出来事と、高校での活かし方 | |
| 2022年度 9月 | 国際社会で役立てたい、海外生活での習得力 |
並べてみると型が見えます。9回のうち6回が「海外で◯◯した経験」+「それを高校でどう活かすか」という二部構成そのもの(2025年度9月・2024年度9月・2023年度4月・2023年度9月・2022年度4月・2022年度9月)です。残る3回も、2024年度4月は後半の「高校でどう行動するか」だけを、2025年度4月は前半の「異文化での経験」だけを取り出した形で、2026年度9月は世界の課題という外向きの問いに「将来自分がどのように関わりたいか」を接続させています。問い方の重心は動いても、聞かれているのは一貫して「あなたの経験」と「これからどうするか」の2つです。

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別の学校でも、聞かれているのは同じこと

これは1校だけの傾向ではありません。佼成学園中学高等学校は、帰国生入学試験・帰国生編入学試験の作文について、出題そのものを自校サイトで公開しています。
| 学校 | 公開されている内容 | 字数 |
|---|---|---|
| 佼成学園中学高等学校 | 「あなたが今まで経験した中で最も困難だったことについて教えてください。また、それをどのように乗り越えましたか? 誰かに協力してもらったり、誰かと助け合ったりした様子なども含めて具体的に書きなさい」という趣旨の出題文を公開 | 600字以内 |
| 東京都立国際高等学校 | 年度ごとの作文課題を9回分公開 | 540〜600字(50分) |
| 山脇学園中学校・高等学校 | 帰国生Ⅱ期でエッセイA・エッセイBを実施。英語と日本語の問題がある | 110〜130 word(2025年度入試で変更) |
佼成学園の問いは「困難だったこと」と「どう乗り越えたか」、そして「誰と助け合ったか」の3点を求めています。都立国際の「海外で◯◯した経験」と表面の言葉は違いますが、子ども自身が海外で何を経験し、そこから何を持ち帰ったのかを見ようとしているという点で完全に一致します。
一方で、山脇学園のように英語のエッセイが中心で、字数の単位がwordという学校もあります。「作文」という同じ言葉が、学校によって日本語の原稿用紙を指したり英語のエッセイを指したりするので、志望校が決まったら真っ先に確認すべきはテーマではなく「何語で、何字(何ワード)で、何分か」です。
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テーマ対策より先に効く、3つの準備
型が1つなら、やるべきことも絞れます。テーマを何十個も想定するより、次の3つのほうが先です。
| 準備すること | なぜ効くか | いつ始めるか |
|---|---|---|
| ①「海外での出来事」を5つ書き出す | どのテーマが来ても、この5つのどれかを当てはめる形になる。困ったこと・驚いたこと・助けてもらったこと・工夫したこと・続けたこと、の5系統で用意する | 受験学年に入る前でよい |
| ②「それを日本でどう活かすか」を1文で言えるようにする | 公開されている課題の大半が後半でこれを求めている。ここが空白だと、経験を書いただけで終わる | ①とセットで |
| ③志望校の字数・時間・言語で、実際に一度書く | 540〜600字を50分は、書き慣れていないと構成を考える時間が残らない。600字以内と540字以上では、削る作業と足す作業で必要な力が違う | 出願要項が出たらすぐ |
とくに①は、親が横で聞き取ってメモにするだけでも価値があります。子ども本人は「ふつうの毎日」だと思っている出来事が、日本の読み手にとっては十分に具体的な経験だからです。
本当の壁は、テーマではなく「日本語で書ける語彙」
ここまで整理すると、作文で問われているのは特別な受験テクニックではなく、経験を日本語で説明する力だと分かります。そして、そここそが海外で育つ子のいちばん薄くなりやすい部分です。
日常の会話は家族と回るので不自由がありません。ところが「困難だった」「主体的に」「工夫した」といった、経験を説明するための語彙は、家庭の会話にはあまり出てきません。学年が上がるほど、日本にいる同学年の子との差はここで開きます。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の先生が学年相当の国語を見て、日本にいる同世代と少人数で毎日話すオンラインの学校です。作文の型を教える前に、書くための言葉が増えていく。作文対策としてではなく、日常としてそれをつくることを目指しています。
よくある質問(帰国子女入試の作文テーマ)
作文のテーマは事前に分かりますか?
当日の課題そのものは分かりませんが、過去のテーマを公開している学校があります。たとえば東京都立国際高等学校は、現地校・インターナショナルスクール出身者対象の作文過去問題を年度ごとに公開しています。志望校の公式サイトに「過去問題」「入試情報」のページがないか、まず確認してください。
字数と時間はどれくらいですか?
学校によります。東京都立国際高等学校は50分・540〜600字、佼成学園中学高等学校は600字以内と公開しています。一方、山脇学園中学校・高等学校のように110〜130 wordという英語エッセイ形式の学校もあります。500〜600字が一つの目安ですが、志望校の要項で必ず確認してください。
どんな内容を書けばよいですか?
公開されている課題を並べると、大半が「海外で経験したこと」+「それを進学先でどう活かすか」の二部構成です。海外経験を書くだけでも、抱負を書くだけでも足りません。具体的な出来事を1つ選び、そこから何を学び、進学後にどう使うかまでをつなげるのが基本の形です。
英語で書く学校と日本語で書く学校がありますか?
あります。山脇学園中学校・高等学校の帰国生Ⅱ期では、エッセイA・エッセイBのそれぞれに英語と日本語の問題が設定されています。「作文」という言葉だけでは何語で書くのか分からないので、志望校ごとに言語・字数・時間の3点を先に押さえてください。
いつから準備を始めればよいですか?
テーマ対策そのものは出願要項が出てからで間に合いますが、「海外で何を経験したか」の棚卸しは早いほど有利です。時間が経つと本人が細部を忘れてしまい、具体的に書けなくなります。困ったこと・驚いたこと・助けてもらったこと・工夫したこと・続けたことの5系統で、思い出したときにメモしておくのがおすすめです。
作文が苦手でも帰国枠は受けられますか?
作文は多くの学校で課されますが、形式も比重も学校によって違います。英語のエッセイが中心の学校、面接の比重が大きい学校もあります。苦手だから諦めるのではなく、志望校ごとの配点と形式を見てから判断するのが現実的です。あわせて帰国生入試の小論文対策もご覧ください。
面接で聞かれることは帰国子女入試の面接の質問、中学受験の全体像は帰国子女中学受験の過去問、帰国後の国語でつまずく理由は帰国子女が日本語ができないと言われるときをご覧ください。




