ロンドン赴任が決まってロンドン日本人学校の生徒数を調べると、学校のサイトには「約300名」と書かれています。ところが、この学校には日本の学校にはない公的な記録があります。英国教育水準局(Ofsted)の査察報告書です。英国の私立学校として登録されているため、査察のたびに「Number of pupils on the school roll(在籍児童生徒数)」が公式文書に記載されるのです。直近の2025年4〜5月の査察報告に載っている数字は232名。2023年6月の査察時は299名でした。2年で67名、率にして22%減っています。この記事では、報告書3本の実数と、そこから読み取れることを整理します。
Ofsted報告書に載っている在籍数――299名 → 293名 → 232名
ロンドン日本人学校(The Japanese School、アクトン・Creffield Road)はイーリング区の独立系デイスクールとして登録されており、査察報告書のPDFは学校の公式サイトで公開されています。3本の報告書に記載された在籍数は次のとおりです。
| 査察日 | 種類 | 在籍児童生徒数 | 前回比 |
|---|---|---|---|
| 2023年6月6〜8日 | 標準査察 | 299名 | ― |
| 2024年10月1日 | 進捗確認査察 | 293名 | −6名 |
| 2025年4月29日〜5月1日 | 標準査察 | 232名 | −61名 |
2023年から2024年までは横ばい(299→293)でしたが、2024年10月から2025年4月までの半年で61名減っています。全校の2割にあたる人数が半年で動いた計算になります。同報告書には対象年齢が6〜15歳(小学1年〜中学3年に相当)、男女共学とも記載されています。
なお学校の公式サイトの紹介文は「約300名の児童生徒」のままです。減少の理由は公表資料からは読み取れません。査察日は年度途中(4月末・10月・6月)で、日本の学年暦(4月始まり)と査察のタイミングもそろっていないため、単純な年度比較ではない点にも注意が必要です。それでも、第三者が実地で数えた在籍数が3回ぶん公開されているのは、日本人学校としては例外的な透明性です。

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232名という規模は、他都市と比べてどうか
| 学校 | 在籍数 | 時点 |
|---|---|---|
| バンコク日本人学校(泰日協会学校) | 1,962名 | 2026年4月現在 |
| 広州日本人学校 | 321名 | 令和8年4月25日現在 |
| ロンドン日本人学校 | 232名 | 2025年4〜5月(Ofsted査察時) |
| ドバイ日本人学校 | 105名 | 令和8年2月末日現在 |
232名を9学年で割ると1学年あたり平均26名。バンコクは小学1年だけで280名います。ロンドンは「日本人が多い都市」という印象がありますが、全日制の日本人学校の規模はアジアの主要都市に遠く及びません。イギリスに在住する日本の子どもの多くは現地校やインターに通い、土曜日だけ補習授業校に通う形をとっているためです。学校ごとの規模は日本人学校の生徒数にまとめました。

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同じ報告書に載っている「教育の質」の評価
在籍数の話をするなら、同じ文書に載っている評価もあわせて見るのが公平です。2025年4〜5月の査察の判定は次のとおりでした。
| 評価項目 | 2023年6月 | 2025年4〜5月 |
|---|---|---|
| 総合評価(Overall effectiveness) | Inadequate | Good |
| 教育の質(Quality of education) | Outstanding | Outstanding |
| 行動と態度(Behaviour and attitudes) | Outstanding | Outstanding |
| 人間的成長(Personal development) | Good | Outstanding |
| 運営・管理(Leadership and management) | Inadequate | Good |
| 私立学校基準を満たしているか | No | Yes |
読み方を間違えないように補足します。2023年に総合評価がInadequateだったのは、授業の質ではなく運営手続きの問題でした。報告書には、新規職員の採用時に法定のガイダンスに従っていなかったこと、職員のリスク理解が十分でなかったことが指摘されています。一方で同じ報告書が教育の質はOutstandingと評価しており、「児童生徒は極めてよく学び、幅広い教科で詳細な知識を身につけている」と書かれています。
その後、2024年3月と10月に進捗確認査察が入り、10月の報告書は「この査察で確認した私立学校基準をすべて満たしている」と結論づけています。2025年の標準査察で総合評価はGoodに回復し、人間的成長はOutstandingに上がりました。2年で立て直した学校、というのが記録から読み取れる姿です。
同報告書には学校の性格についての記述もあります。日本の学習指導要領に英国のナショナルカリキュラムの一部を加えた課程で、授業はほぼすべて日本語。日本政府から一部資金を得ており、上級管理職と教員の多くは日本から着任して2〜3年で帰国します。学年暦は日本と同じ4月始まり・3月終わりです。スコットランドやウェールズでの宿泊学習など、英国にいるからこその体験が組み込まれていることも書かれています。

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学費の数字は、資料によって違う
同じOfsted報告書の School details 欄には「Annual fees (day pupils) £5,379」と記載されています。ただし学校が公表している「授業料金/FEES」の令和8年度の額は年7,368ポンド(学期ごとに2,456ポンドの3回払い)で、両者は一致しません。査察報告は2025年4〜5月時点で登録されていた額、学校の料金表は令和8年度の額で、そもそも時点が違います。
予算を組むときは学校が公表している最新の料金表を基準にしてください。イギリスの学費全体はイギリスの日本人学校の学費に、全寮制の立教英国学院・帝京ロンドン学園との比較も含めてまとめています。
1学年26名の学校で、9年間クラス替えなしという可能性
232名を9学年に割ると平均26名。これは日本の公立校の1クラスとほぼ同じ人数です。学年に1学級しか置けない年が出るということでもあります。その場合、クラス替えは起きません。
教育の質がOutstandingであることと、同学年に何人いるかは別の問題です。先生がどれだけ優れていても、同級生の数だけは学校が用意できません。そして人数が減っている局面では、上の学年ほど人数が少ないという状態も起こります。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと同じクラスで学ぶオンラインの日本語スクールです。イギリスと日本の時差は8時間(夏時間)。日本の平日夕方はロンドンの昼にあたるため、日本の週末午前=ロンドンの土日の早朝〜午前が確実に成立する枠になります。ここは正直に書きます。平日の放課後にそのまま、とはいきません。
それでも、日本語で関わる同世代の人数は、学校の在籍数とは別に家庭の側で足せます。1学年26名の学校を選ぶご家庭ほど、ここが効きます。
よくある質問(ロンドン日本人学校 生徒数)
ロンドン日本人学校の生徒数は何人ですか?
英国教育水準局(Ofsted)の直近の査察報告書(2025年4月29日〜5月1日)に、在籍児童生徒数232名と記載されています。学校の公式サイトの紹介文は「約300名」ですが、第三者が実地で確認した最新の公式記録は232名です。対象年齢は6〜15歳、男女共学です。
生徒数は増えていますか、減っていますか?
減っています。Ofsted報告書の在籍数は2023年6月が299名、2024年10月が293名、2025年4〜5月が232名。2年で67名、率にして22%の減少です。とくに2024年10月から2025年4月までの半年で61名減っています。減少の理由は公表資料からは読み取れません。査察日は年度途中なので、日本の年度単位の比較ではない点にも注意してください。
1学年あたり何人ですか? クラス替えはありますか?
232名を小学1年〜中学3年の9学年で割ると平均26名です。学年によって偏りがあるため、1学年1学級になる学年ではクラス替えが起きません。実際の学年別の人数は公表されていないため、検討中の学年については学校に直接確認するのが確実です。
ロンドン日本人学校の評価はどうですか?
2025年4〜5月のOfsted査察では、総合評価Good、教育の質Outstanding、行動と態度Outstanding、人間的成長Outstanding、運営・管理Good、私立学校基準は「満たしている(Yes)」でした。2023年6月の査察では総合評価がInadequateでしたが、これは職員採用の手続きと安全管理体制に関する指摘で、教育の質はそのときもOutstandingでした。2024年の2回の進捗確認査察を経て基準を満たすに至っています。
ロンドン日本人学校に高等部はありますか?
ありません。対象年齢は6〜15歳=小学1年から中学3年までです。イギリスには全寮制の立教英国学院と帝京ロンドン学園高等部があり、高校段階はそちらか日本への帰国が選択肢になります。詳しくはロンドン日本人学校と高校進学をご覧ください。
補習授業校とは違うのですか?
違います。ロンドン日本人学校は平日に通う全日制で、授業はほぼすべて日本語、日本の学習指導要領に英国のナショナルカリキュラムの一部を加えた課程です。一方ロンドン補習授業校は土曜日に国語などを学ぶ形で、平日は現地校やインターに通います。イギリス在住の日本の子どもは後者のほうが多数派です。
ロンドンでの学校選び全体はロンドンの日本人学校とインターの比較、通学はロンドン日本人学校のスクールバス、費用は日本人学校の学費、世界の学校は日本人学校 一覧にまとめています。




