ロンドン赴任が決まって住まいを探すとき、多くの家庭が後回しにするのが「ロンドン日本人学校のスクールバス」です。ところが2026年度は、ここが住むエリアを決めてしまいます。学校が公式サイトで案内している内容は、はっきりしています。2026年(令和8年度)2学期から、運行しているバス停は「Finchley Central(Regents Park Rd.)」の1か所だけ。ほかの7つのバス停は運休中です。そしてバス代は月1,100ポンド。学校の授業料(年7,368ポンド)より、バス代のほうが高くなります。
2026年2学期から、運行中のバス停は1か所だけ
ロンドン日本人学校の通学バスは、学校が運行しているのではなく、バスを利用している児童生徒の保護者で組織される「通学バス委員会」が、学校の全面的な協力のもとで運行しています。その通学バス案内に、次のように明記されています。
- 「利用者減少により、2026年2学期から下記運行中バス停の1バス停(Finchley Central)の新ルートにて運行となります」
- 「運行中のバス停からのご利用は随時募集を行っておりますが、その他のバス停(運休中バス停)からのご利用は、運行中のバス停からの距離及び利用人数を総合的に勘案の上バス停の利用再開を判断することとなります」
| 区分 | バス停 | エリアの目安 |
|---|---|---|
| 運行中 | Finchley Central(Regents Park Rd.) | ロンドン北部・N3周辺 |
| 運休中 | Woodside Park(Southover) | N12・さらに北 |
| 運休中 | East Finchley(East End Rd.) | N2 |
| 運休中 | Hendon Central(Queens Rd.) | NW4 |
| 運休中 | Golders Green(Golders Green Rd.) | NW11・日本人家庭に人気の地区 |
| 運休中 | Hampstead(Fitzjohn’s Ave.) | NW3 |
| 運休中 | Swiss Cottage(Avenue Rd / Finchley Rd.) | NW3・NW8 |
| 運休中 | St. Johns Wood(Wellington Rd.) | NW8 |
日本人家庭がよく検討するGolders Green、St. Johns Wood、Swiss Cottage、Hampstead といったロンドン北西部のエリアは、いずれも現時点で運休中です。学校はイーリング区アクトンの87 Creffield Road, London W3 9PUにあり、西ロンドンの落ち着いた住宅地です。つまり選択肢は事実上「Finchley Central 沿線に住む」か「アクトン周辺に住んで自力で通う」かの二択に絞られている、というのが2026年度の実態です。
バス代は月1,100ポンド――授業料より高い
金額も学校が公表しています。令和8年度2学期より、バス代金は月額1,100ポンド。支払いは各学期初めの一括納入です。
| 項目 | 金額(ポンド) | 円の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 通学バス 1学期 | 3,600 | 約70万円 | 月900ポンド×4か月 |
| 通学バス 2学期 | 4,400 | 約86万円 | 月1,100ポンド×4か月(改定後) |
| 通学バス 3学期 | 未定 | ― | 学校サイトに「3学期は未定」と明記 |
| 授業料(年間) | 7,368 | 約144万円 | 学期ごと2,456ポンド・VAT込 |
| 入学金 | 1,684 | 約33万円 | 転入学の児童生徒のみ・VAT込 |
ここで気づいてほしいのは金額の順序です。1学期と2学期のバス代を足すと8,000ポンドで、これは年間授業料7,368ポンドを上回ります。3学期分を加えれば差はさらに開きます。海外赴任の教育費というと授業料に目が行きますが、ロンドンでは「学校に通わせる費用」より「学校まで運ぶ費用」のほうが大きいという逆転が起きています。会社の教育費補助がバス代を対象にしているかどうかは、赴任前に必ず確認したい項目です。

なぜバス停が1つになったのか――在籍数の減少
学校自身が理由を「利用者減少により」と書いています。その背景は、同校の沿革ページにある在籍数を並べるとはっきりします。
- 日本語版の沿革(現在)=4月15日現在、児童173名、生徒89名、計262名、全教職員数36名。あわせて「通学バス1ルートを運行している」と記載
- 英語版の沿革(2023年4月20日時点)=初等部204名、中等部92名の計296名。こちらには「two school bus routes(2ルート)」と書かれています
つまり在籍数が296名から262名へ、約1割減る間に、バスは2ルートから1ルートへ、停留所は8か所から1か所へ縮小したことになります。バスは学校の設備ではなく保護者組織の共同運行なので、利用者が減れば1人あたりの負担が上がり、負担が上がるとさらに利用者が減るという構造です。月900ポンドから月1,100ポンドへの改定も、この流れの中にあります。


意外と柔軟――臨時乗車、保護者は無料、小1から添乗者なし
縮小の話が続きましたが、運用そのものは日本の学校バスより柔軟です。学校の案内から拾うと、こうなります。
- 月極めの経常利用のほかに、1回ごとの臨時乗車ができる(有料)。体験入学のときはもちろん、放課後に友達の家へ遊びに行く、病院に通うといった使い方も想定されています
- 経常的な利用者の保護者は無料で乗車できる。朝早く学校へ行くとき、行事後の帰りなどに使えます
- 小学部1・2年生も、ほかの学年と同じように添乗者なしで乗車できる
- 一家庭で3名以上が利用する場合、3人目以降は割引。兄弟姉妹が在籍する場合などは分割払いも相談できます
「小1でも添乗者なし」は、日本の感覚だと不安に思うかもしれません。裏を返せば停留所が1か所に集約されたぶん、ルートが単純で乗り間違えが起きにくいということでもあります。臨時乗車ができるのも、実務的にはかなり効きます。入学前の体験入学だけバスを試す、という使い方ができるからです。
申込と時間の実務――1週間前・8時20分到着・5分前集合
申込は事務局(電話 020-8993-7145/admin@thejapaneseschool.ltd.uk)へ。学校は次のように案内しています。
- 手続きが必要なため、乗車1週間前までに申し込む
- 利用当日から緊急連絡が必要になる場合があるため、緊急時に連絡のつく保護者の携帯番号を必ず用意する
- 学校到着予定時刻は8時20分。発車時刻の5分前までにバス停に集合。下校時は登校時と逆の道順
- 通学バス申込書と誓約書の提出が必要
学校の開門時間は夏季8:15〜16:05、冬季8:15〜15:50。2026年度の学期は1学期が4月13日〜7月17日、2学期が8月25日〜12月18日、3学期が1月5日〜3月12日です。2学期が8月下旬に始まるのは、英国の学年暦に合わせているためで、日本の学校の夏休みが終わる前に、ロンドンではもう2学期が始まっています。一時帰国の日程を組むときに効いてくる差です。
なお転入学については、学校は「令和8年度、中学部1年生につきましては、受け入れ可能人数が上限となる可能性がありますので、願書は出願期間内にお早めに提出してください」と告知しており、受け入れ可能人数の上限を超えた学年では、願書を受領した日ごとに抽選で入学可能な順番を決めると明記しています。バス停の心配をする前に、席の確保が先という学年もあるということです。
バスに乗れないエリアに住むという選択
現実には、勤務先のオフィスや家賃、配偶者の生活圏の都合で、Finchley Central 沿線にもアクトン周辺にも住めない家庭があります。その場合の選択肢は3つです。
| 選択 | 実際のところ | 気をつける点 |
|---|---|---|
| Finchley Central 沿線に住む | バスが確実に使える唯一のルート | 家賃と勤務地の折り合い。月1,100ポンドの負担は残る |
| 学校の近く(アクトン周辺)に住む | 徒歩・自転車・自家用車で通える | W3周辺の物件事情。送迎の時間が毎日かかる |
| 現地校・インターに通わせる | 通学の制約から解放される | 日本語と日本の教科をどう続けるかが丸ごと課題になる |
3つ目を選んだ家庭がぶつかるのが、「英語は伸びたけれど、日本語が学年相当から離れていく」という問題です。ロンドンには土曜日のロンドン補習授業校がありますが、週1回で日本の学習内容をすべて追うのは簡単ではありません。しかも学校規模が縮んでいるということは、同学年に日本語で話せる子どもの数そのものが減っているということでもあります。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任するオンラインの日本語スクールです。日本にいる同世代の子どもたちと同じクラスで学ぶので、日本語を「勉強する」のではなく「使う」時間になります。ロンドンと日本の時差は8時間(夏時間)。日本の夕方のクラスが、ロンドンの朝や昼に入ります。通学バスに乗れないエリアに住むことになっても、日本語で話す相手がいる状態は保てます。
よくある質問(ロンドン日本人学校のスクールバス)
ロンドン日本人学校のスクールバス代はいくらですか?
令和8年度2学期より月額1,100ポンドです。支払いは学期初めの一括納入で、1学期は3,600ポンド(月900ポンド×4か月)、2学期は4,400ポンド(月1,100ポンド×4か月)。3学期は学校サイトに「未定」と記載されています。一旦支払った料金の払戻しはありません。兄弟姉妹が在籍する場合などは分割払いを相談できます。
バス停はどこにありますか?
2026年2学期以降、運行しているのは Finchley Central(Regents Park Rd.)の1か所のみです。Woodside Park、East Finchley、Hendon Central、Golders Green、Hampstead、Swiss Cottage、St. Johns Wood の7か所は運休中です。バス停の正確な位置は別資料で案内されるため、利用を検討する場合は事前に事務局へ問い合わせます。
運休中のバス停は再開しますか?
学校は「運行中のバス停からの距離及び利用人数を総合的に勘案の上バス停の利用再開を判断する」と案内しています。つまり再開の可否は、その地域に住む利用希望者が何人集まるかで決まります。住まいを決める前に、事務局へ現在の見通しを確認するのが確実です。
小学1年生でも一人でバスに乗れますか?
乗れます。学校は「小学部1・2年生も他の学年と同じように添乗者なしのバス乗車が可能です」と明記しています。学校到着予定時刻は8時20分で、発車時刻の5分前までにバス停に集合します。下校時は登校時と逆の道順です。
毎日でなく、たまに使うことはできますか?
できます。1回ごとの臨時乗車(有料)が可能で、体験入学時の利用のほか、放課後に友達の家へ行く、病院に通うといった使い方も学校が例として挙げています。経常的な利用者の保護者の乗車は無料です。申込は手続きの都合で乗車1週間前までに行います。

ロンドンでの学校選び全体はロンドン日本人学校とインターの比較、費用の全体像はイギリスの日本人学校の学費にまとめています。世界の学校は日本人学校 一覧、費用の相場は日本人学校の学費、通学バス全般は日本人学校のスクールバスもあわせてどうぞ。学校規模で迷ったときは日本人学校の生徒数が参考になります。
通学の次に来るのが中学部卒業後の進路です。ロンドン日本人学校に高校がないことと、その先に取れる3つの道を別の記事にまとめています。

