海外 教科書 無償で検索してこのページにたどり着いた方は、たいてい次のどれかの状況にいます。来春から駐在が決まって「日本の教科書って、持っていけるの? 現地で買うの?」と調べている。すでに海外に住んでいて、上の子のときは学校からもらえたのに、下の子の分が来ない。あるいは、まわりの日本人家庭から「教科書は無料でもらえるよ」と聞いたけれど、誰にどう申し込むのかが誰に聞いてもはっきりしない。
先に結論をお伝えします。日本の教科書は、海外に住んでいる義務教育学齢の日本人の子どもにも、無償で配られます。これは善意のサービスではなく、国が昭和42年度からずっと続けている施策です。文部科学省が小・中学校用の教科書を購入し、世界各地の大使館・総領事館(在外公館)に送り、そこから子どもたちに渡す。令和5年度には約13万7千人の児童生徒に教科書が給与されています(文部科学省「在外日本人子女等への教科書の無償給与」)。
では、なぜこれだけの規模の制度があるのに「もらえなかった」という家庭が出るのか。理由はほぼ一つで、受け取りの窓口が、子どもの在籍状況によって変わるからです。この記事では、制度の解説よりも「あなたはどこに、いつまでに言えばいいのか」を整理します。

制度の建て付けと、誰が対象になるのか
日本国内で教科書が無償になる根拠は、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律です。ただ海外にいる子どもへの給与は、この法律の枠内で自動的に回っているというより、国が別途予算をつけて続けてきた施策として動いています。文部科学省の説明も、昭和42年度から国が教科書を購入して在外公館に送付し、日本人学校・補習授業校の児童生徒をはじめ広く海外に在留する児童生徒に無償で給与している、という書き方です。
建て付けの違いは保護者にはあまり関係ありません。ただ一点、国内と決定的に違います。国内は学校が勝手に配ってくれるが、海外は誰かが手を挙げないと届かない。各在外公館が「管轄に対象の子が何人いる」と文科省に報告し、文科省がその人数分を発行者から買って在外公館に送り、そこから子どもに渡す。つまり報告に乗らなかった子の分は、そもそも印刷も発送もされていません。
年度の途中で日本を出る子には別ルートがあります。昭和47年度から公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)が配布業務を担っており、年度途中に出国する子は渡航の際にJOESに申請して受け取ります(海外子女教育振興財団「日本の教科書の無償配付」)。4月の一斉配付に乗れなかった家庭の受け皿が、ここにあります。
対象は、ざっくり言えば日本国籍を持っていて、義務教育の学齢(小学1年生から中学3年生)にあたり、海外に在留している子どもです。日本人学校や補習授業校に通っているかどうかは条件ではありません。現地校やインターナショナルスクールだけに通っていて、日本語の学校にはどこにも在籍していない子も含まれます。ここを誤解して申請しないまま過ごす家庭が、実際にかなりあります。
一方、判断が分かれる領域もあります。二重国籍の扱い、その国の永住権を持っている場合の扱い、駐在ではなく現地就職や国際結婚で長く住んでいる場合の扱いなどです。事情によって結論が変わるところなので、該当しそうだと感じたら自己判断で諦めず、管轄の在外公館かJOESにそのまま聞いてください。勝手に線を引いて数年分を逃すのが、いちばんもったいないパターンです。なお義務教育の学齢を過ぎた高校生は対象外です。
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どこで受け取るのか——在籍状況別の窓口
ここがこの記事の本題です。同じ制度なのに、家庭によって手続きの相手が違います。整理すると次のようになります。
| 在籍状況 | 窓口 | 申請の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 日本人学校に在籍 | 学校(事務室・担任経由) | 学校が案内する校内の締め切りに従う。保護者が個別に在外公館へ出す必要は基本的にない | 学校がまとめて人数を出すため、転入・転出のタイミングでは抜けが起きやすい。年度途中の入学は必ず自分から申し出る |
| 補習授業校に在籍 | 学校(事務局経由)が一般的 | 学校からの配付案内の締め切り。学校によっては保護者が在外公館へ直接申請する運用のところもある | 補習授業校は国語などに絞って通うケースが多い。受け取れるのは通っている教科の分だけではなく、学年の全教科分なので、要否を確認して申し込む |
| どこにも在籍していない(現地校・インター・ホームスクール) | 管轄の在外公館(大使館・総領事館)に直接申請。出国前・出国直後はJOES | 在外公館が案内する前期用・後期用それぞれの申請期間。締め切りは配付月よりかなり前に設定される | 誰も代わりに手を挙げてくれない。管轄の在外公館のサイトで自分の年の案内を確認し、自分で申請書を出す |
表にすると単純ですが、現場でつまずくのは境界にいる家庭です。「4月から補習授業校に入る予定だが手続きが終わっていない」「日本人学校を年度途中でやめて現地校に移った」「別の国から引っ越してきたばかり」。こういうとき、学校も在外公館も「向こうがやっているはず」と思っていて、結果として誰もやっていない、ということが起こります。移動が絡む年は、面倒でも両方に確認するのが確実です。
また、制度の細部と申請の締め切りは年度ごとに変わります。この記事に書いた流れは骨格として使っていただき、実際の日付と提出先は必ず、管轄の在外公館のウェブサイトかJOESの最新の案内でご確認ください。同じ国でも、管轄する総領事館が違えば締め切りも申請方法も違います。
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肝は「いつ申し込むか」——前期・後期のサイクル
教科書の配付は、年に1回まとめて、ではありません。日本の学校の教科書が上下巻に分かれているのと同じで、前期用と後期用の2回に分けて配られるのが基本です。おおまかには、前期用が春に、後期用が秋に手元に届くイメージです。
ここで効いてくるのが、申請の締め切りは配付月よりずっと前に来るという点です。人数の報告、発注、印刷、日本から現地への輸送。この時間があるので、秋に届く後期用の申請が夏より前に締め切られていることも珍しくありません。「新学期が始まってから学校で聞けばいい」と構えていると、半年分まるごと落とします。
実務としておすすめしたいのは3つです。ひとつ、赴任が決まった時点で出国前にJOESへ相談しておくこと。在外公館に新しく来た子のための予備が置いてあるわけではないので、着いてから探すより確実です。ふたつ、着任したら管轄の在外公館の「教科書配付」のページをブックマークし、前期用・後期用それぞれの申請期間をカレンダーに入れること。みっつ、進級の年と国をまたぐ引っ越しの年は、締め切りを二重に確認すること。これで取りこぼしのほとんどは防げます。

ちなみに、日本人学校は文部科学大臣が認定するもので世界に90校、補習授業校は外務大臣が指定するもので246校あります。名前は似ていますが所管も性格も別で、配付の運用も学校ごとに違います。「隣の国の友達はこうだった」がそのまま通じるとは限りません。
教科書が届いてからが本番——正直に書きます
まず、期待値の調整を一つ。無償で配られるのは検定教科書であって、ワークやドリル、副教材ではありません。日本の教室で当たり前に配られている漢字ドリルや計算ドリル、テスト、ワークブックの類は、この制度には含まれません。JOESでも、副教材にあたるものは在庫がなく出版社から購入する扱いになる、と案内されています。日本の学校と同じ厚みを海外で再現しようとすると、この部分は別途、自分で買い足すことになります。
そしてもっと大事なのが、その先です。教科書が届いた家庭からいちばんよく聞くのは、「もらえたのは嬉しいけれど、開かないまま次の巻が届いた」という話です。国語の教科書は、一人で読み進めるのがかなり難しい教材です。日本の教室では、読んで、意見を言って、他の子の読み方を聞いて、書き直す、というやりとりの中で理解が立ち上がる設計になっている。黙って文章を追うだけでは、書いてあることの半分も動きません。海外の家庭でその相手を担うのは、たいてい保護者ひとりです。仕事の後に日本語で説明文の要旨を扱うのは、率直に言って重労働です。
ここに、海外で育つ子の日本語がつまずく典型的な形があります。会話は2〜3年で流暢になるのに、学習で使う言語は5〜7年かかる(カミンズのBICS/CALPの考え方)。そして中学年で内容が抽象的になる、いわゆる9歳の壁が来る。教育漢字だけでも小学6年間で1,026字。教科書という「読むべきもの」は無償で手に入るのに、読み進める相手がいないと、家に積まれるだけというのが、多くの家庭で起きていることです。
私たちともだちじゃぱんが用意しているのは、その「相手」の部分です。教材で読み書きを積むのは、Z会でも進研ゼミでも公文でも、配付された教科書でもいい。どれも長年かけて磨かれた、よくできた教材です。足りないのは、読んだものについて日本語で言葉を交わす場のほうです。ともだちじゃぱんでは、①日本の同世代の子と毎日話せること、②日本の現役水準の先生が教えること、③8人の少人数クラスで一人ひとりが必ず発言すること、この3つで「使う相手」をつくります(2026年12月開校のパイロット)。通い放題の月額定額制で、時差に合わせて時間帯を選べます。併用でいい、というのが私たちの立場です。届いた教科書を、積まずに読み切るための場所だと思ってください。
よくある質問
現地校にしか通っていません。それでも教科書はもらえますか。
はい、日本語の学校に在籍していなくても対象になります。この制度は「日本人学校・補習授業校の児童生徒をはじめ広く海外に在留する児童生徒」を対象にしています。ただし、学校が代わりに人数を報告してくれないので、管轄の在外公館に自分で申請する必要があります。まずは管轄の大使館・総領事館のサイトで「教科書配付」の案内を探してください。
来月から駐在です。出国前にやっておくことはありますか。
出国前にJOESへ教科書の相談をしておくことをおすすめします。年度途中に出国する子の教科書は、昭和47年度からJOESが配布業務を担当しており、渡航の際に申請して受け取る仕組みです。在外公館には新しく到着した子のための在庫が常備されているわけではないので、着いてから探すより確実です。
申請の締め切りに間に合いませんでした。次はいつですか。
配付は前期用・後期用の2回に分かれているので、前期用に間に合わなくても後期用の申請期間があります。ただし空いた期間の分は自動では埋まりません。どうしても必要な巻がある場合は、追加送付が可能かどうかを管轄の在外公館かJOESに問い合わせてください。送料などの実費負担が生じる場合があります。締め切りも取扱いも年度と管轄で変わるので、必ず最新の案内を公式で確認してください。
教科書は届いたのに、子どもが開きません。
とてもよくある相談です。教科書は「一人で読む本」として設計されていません。まずは1日10分、音読を聞いてひとこと感想を返す、から始めてみてください。そのうえで家庭以外に日本語で話す相手を用意できると、続き方がまったく変わります。
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