「帰国枠で中学受験をするつもりだけれど、学校説明会にはどうやって参加すればいいのだろう」――海外にいるご家庭が必ずぶつかる壁です。検索すると「帰国子女 中学受験 説明会」「帰国生 学校説明会 海外」「帰国生 進学相談会」で個別のイベント告知はいくらでも出てきますが、「そもそも説明会には何種類あるのか」「どの型なら海外から参加できるのか」「いつ予約すればいいのか」という全体の地図が、一枚にまとまっていません。この記事では特定のイベントを勧めるのではなく、海外にいる家庭のための「説明会の回り方」として、型・時期・予約の実務・聞くべき質問までを整理します。
「説明会」と一口に言っても、型が3つある
まず押さえたいのは、帰国生向けの説明会がひとつの行事ではなく、性格の違う3つの型に分かれているということです。この区別がつかないまま「説明会に行かなきゃ」と焦ると、参加できない回ばかり追いかけることになります。
- ①海外の都市で開かれる現地説明会・合同進学相談会:公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)は、帰国生受入校の担当者とともに世界各地を巡回する「帰国生のための海外学校説明会・相談会」を2002年から毎年開催していると案内しています。公表資料で確認できる範囲では、開催都市としてバンコク・シラチャ(タイ)、ホーチミン(ベトナム)、ジャカルタ(インドネシア)、コロンバス(米オハイオ州)、アトランタ(米ジョージア州)、メキシコシティなどの名前が挙がっています。複数校が一日に集まる合同型なので、比較の効率がいちばん高い型です。
- ②オンライン説明会・オンライン個別相談:学校が単独でライブ配信する形と、事業者が多数校をまとめて配信する形があります。たとえばJOBA(JOL)は帰国生受入校のオンライン学校説明会を年に複数回開催しており、直近の回では42校が参加し、Zoomでの事前登録制、アーカイブ配信ありと案内されています。学校単独の例では、海城中学高等学校が帰国生対象説明会をYouTubeライブ配信で実施すると公表しています。
- ③一時帰国に合わせた学校見学・校内説明会:日本国内で行われる各校の帰国生対象説明会と、個別の校内見学・入試相談です。JOESは国内でも「帰国生のための学校説明会・相談会」を開催しており、2026年度は大阪7月27日・名古屋7月28日・東京7月31日(いずれも12時〜16時、参加費無料・事前申込制)と公表されています。対象は「海外から一時帰国または本帰国した小学・中学・高校生段階の子どもとその保護者」です。
いずれも代表例で、主催・開催都市・日程・申込方法は年度で変わります。必ず主催者および各校の公式サイトで最新情報をご確認ください。帰国枠そのものの仕組みは帰国子女枠とは?受験の仕組みに、中学受験の条件・日程・選考型は帰国子女の中学受験にまとめています。

開催時期と時差――アジアと欧米で「参加しやすい回」が違う
3つの型は、開催時期もきれいに分かれています。おおまかな目安は、海外巡回型が春(JOESの海外説明会は5月上旬〜中旬に各地で実施予定と公表)、国内の合同相談会と各校の帰国生対象説明会が夏(7〜8月)、事業者主催のオンライン説明会が夏の終わりから初秋と春という流れです。JOBAのオンライン説明会は8月下旬から9月上旬にかけての数日間で実施され、次回は翌年3月開催予定と案内されています。
ここで効いてくるのが時差です。日本の学校が主催する説明会は日本時間の平日午後や土曜午前に置かれることが多く、時差1〜2時間のシンガポール・バンコク・上海などなら、そのまま参加できる回がかなりあります。一方で欧州は日本時間の午後が現地の早朝、北米東海岸なら深夜です。つまりアジア在住なら「ライブで出る」前提、欧米在住なら「録画で見る」前提で計画を立てるのが現実的で、欧米のご家庭ほどアーカイブ配信の有無が情報量を直接左右します。海外会場での受験まで含めた日程の組み方は海外から日本の中学受験で詳しく整理しました。

つまずきの大半は、予約・定員・録画で起きる
海外にいると、内容そのものより手続きで落ちることのほうが多いのが実情です。落とし穴は大きく4つあります。
ひとつめは予約が要る、しかも開始日が決まっていること。たとえば市川中学校・高等学校の帰国生対象説明会は、公表資料ではWEB予約制で申込開始が特定の日の11時、定員300名と明記されています。海外にいると「日本時間の午前11時」が現地の深夜になることもあり、気づいたときには満席、という事態が起きます。ふたつめは締切と整理券。早稲田アカデミーとONETES(旧・首都圏模試センター)が共催しJOESが協力する帰国生対象の説明会・個別相談会では、事前申込の締切が日本時間で設定され、学校説明会の一部は当日配布の整理券が必要と案内されています。当日行けば全部聞ける、とは限りません。
みっつめは「説明会」と「校内見学」が別物であること。先ほどの例でも、説明会の回では校内施設見学と個別相談は実施しないと明記されています。校舎を見たいなら、別枠で申し込む必要があります。そして海城中学高等学校は、一時帰国者向けの個別の学校見学・入試相談について見学希望日のおよそ1か月前までに申し込むよう案内しています。よっつめは録画配信の有無。アーカイブがある場合でも、JOBAの例では公開まで約3〜4週間かかると案内されており、「後で見られるから」と油断すると出願準備に間に合いません。これらは代表例です。条件は年度で変わりますので、最新の案内で必ずご確認ください。一時帰国そのものの使い方は一時帰国の体験入学もあわせてどうぞ。
帰国枠で受けるなら、説明会で必ず聞く7つのこと
限られた時間で成果を出すには、質問を先に決めておくことです。帰国枠の受験では、パンフレットに書かれていない運用の部分が合否と入学後を左右します。次の7つは、どの型の説明会でも共通して聞く価値があります。
- 出願資格の「在住年数」はどう数えるのか。連続なのか通算なのか、一時帰国の期間は差し引かれるのか、いつの時点で満たしていればよいのか。
- 「帰国後○年以内」の起算日はいつか。転入日なのか、住民登録の日なのか、日本の学校に在籍を始めた日なのか。
- 選考科目と配点。国語・算数の2教科なのか、英語での受験は選べるのか、作文と面接の比重はどのくらいか。保護者同伴の面接があるか。
- 入学後の取り出し授業や国語の補習があるか。何年生まで、週何回か。学校差がいちばん大きい部分です。
- 英語の扱い。取り出しの上級クラスがあるか、資格による優遇があるか。
- 編入学・転入学の枠があるか。帰任が年度途中になった場合の受け皿と、欠員募集の公表時期。
- 寮や下宿は可能か。保護者が海外に残る場合の身元引受人の扱いと、通学圏の条件。

| 現地説明会・合同進学相談会 | オンライン説明会・個別相談 | 一時帰国での学校見学・校内説明会 | |
|---|---|---|---|
| 時期の目安 | 春(5月ごろ)に海外の都市を巡回 | 夏の終わり〜初秋と春に集中 | 夏(7〜8月)に国内開催が集中 |
| 会える相手 | 複数校の入試担当に一日で会える | 学校の担当者に画面越しで質問できる | 校舎・在校生・先生を直接見られる |
| 予約 | 事前登録制が基本(会員登録を求められる場合あり) | 事前登録制。アーカイブ配信がある回もある | 予約必須。定員制や整理券制、1か月前締切の例もある |
| 向いている場面 | 志望校をまだ絞り込めていない段階 | 欧米在住など時差が大きい家庭の情報収集 | 最終候補を2〜3校に絞ってから |
| 見落としやすい点 | 開催都市が年度で入れ替わる | 録画の公開まで数週間かかることがある | 説明会に校内見学が含まれない回がある |
聞いた話は、必ず募集要項と突き合わせる
最後にいちばん大事なことを。説明会で得た情報は、そのまま出願の根拠にはできません。口頭の回答は担当者の理解に基づく説明であり、年度によって運用が変わることもあります。必ずその学校が公表する募集要項(生徒募集要項・入試要項)と一行ずつ突き合わせてください。とくに出願資格の年数、帰国後の期間、提出書類の様式は、要項の文言が唯一の基準です。学校が海外に出てくるのは説明会だけではありません。芝浦工業大学附属中学高等学校は高校の帰国生入試についてシンガポール会場・バンコク会場での実施を公表しています(高校の代表例です。会場・日程は年度で変わります)。地域ごとの学校の探し方は帰国子女枠 中学受験 東京にまとめました。
そして、説明会を回れば回るほど気づくことがあります。どの学校の担当者も、必ず日本語での学習についていけるかを確かめてくるということです。受験対策そのものは、過去問と志望校別の作文・面接の蓄積を持つ帰国生に強い塾の領域で、その価値は本物です。正直に申し上げると、ともだちじゃぱんは受験専門塾ではありません。私たちが担うのはそのひとつ手前――学年相当の国語という土台と、日本の同世代とのつながりです。合格したあと、授業はすべて日本語で進みます。国語のつまずきがどの層で起きているかは帰国子女の国語「できない」の4つの層で整理しました。
ともだちじゃぱんは、国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJINが母体です。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った、今の日本の教室を知り尽くした現役水準の教員。8人制の少人数クラスには日本に住む同世代の仲間がいて、「勉強だから」ではなく「友達と話したいから」続きます。説明会で校舎を見て回るのと同じくらい、入学した日に話せる友達がすでにいることは、帰国後の安心につながります。料金は通い放題で月額定額です。
説明会に行く前に、今の学年とのギャップを確かめたい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。

よくある質問
海外に住んでいますが、日本の学校説明会に参加できますか?
できます。方法は3つです。海外子女教育振興財団(JOES)が2002年から続けている海外巡回型の説明会・相談会、学校や事業者が配信するオンライン説明会、そして一時帰国に合わせた国内の説明会・校内見学です。いずれも事前申込が必要な場合がほとんどですので、まずは主催者の公式サイトで申込開始日を確認し、カレンダーに入れておくことをおすすめします。
説明会は予約なしで行っても大丈夫ですか?
基本的には予約が必要だと考えてください。学校主催の帰国生対象説明会には定員が設定されていることがあり、公表資料には定員300名・WEB予約制・申込開始は特定日の11時、といった形で明記されている例があります。合同型の相談会でも事前申込の締切が日本時間で設定され、個別の学校説明会は当日配布の整理券が必要な場合があります。海外にいると申込開始の時刻が現地の深夜にあたることもあるため、予約開始日そのものをリマインダーに登録しておくのが確実です。
時差でライブに出られません。録画は後から見られますか?
回によります。アーカイブ配信を用意している主催者もあり、事業者主催のオンライン説明会では、参加校の講演をアーカイブで確認できると案内されています。ただし公開まで約3〜4週間かかると明記されている例もあり、出願準備の時期によっては間に合わないこともあります。学校単独のライブ配信では、当日限りで録画を残さないケースも珍しくありません。欧米在住のご家庭は、申込時点で「アーカイブの有無と公開時期」を確認しておくと計画が立てやすくなります。
一時帰国のときに校舎を見学したい。いつ申し込めばよいですか?
遅くとも1か月前を目安にしてください。一時帰国者向けの個別の学校見学・入試相談について、見学希望日のおよそ1か月前までに申し込むよう案内している学校があります。また、説明会の回に校内施設見学や個別相談が含まれていないこともあるため、「説明会に出れば校舎も見られる」と考えないほうが安全です。航空券を取る前に候補校の受付方法を調べ、帰国日程が固まった時点で複数の候補日を添えて申し込むと、日程が合わせやすくなります。
説明会に行かないと、帰国枠の中学受験では不利になりますか?
参加の有無そのものが選考に影響すると公表している学校は、一般的ではありません。ただし実務上の意味は大きく、出願資格の年数の数え方、帰国後の期間の起算日、入学後の取り出し授業の有無といった、募集要項だけでは読み取りにくい運用を確認できます。海外在住だと書類の準備と郵送に時間がかかるぶん、疑問を早く解消できること自体が有利に働きます。参加できない場合は入試担当へメールで問い合わせる方法もありますが、回答は最後に必ず募集要項と突き合わせてください。

