「模試を受けさせたいけれど、そもそも海外からどうやって受けるのか」――中学受験を意識しはじめたご家庭がまず検索するのが「帰国子女 中学受験 模試」「海外 中学受験 模試」「帰国生 模試 自宅受験」です。ところが出てくるのは国内向けの模試日程か、各塾の申込ページばかりで、「海外からはどんな受け方があるのか」「一般模試と帰国生模試のどちらを受けるのか」「返ってきた判定をどう読むのか」という順番で並んだ一枚の地図がありません。この記事ではどの塾がおすすめかには踏み込まず、受け方の型・測っているものの違い・結果の読み方の三つだけを整理します。
海外から模試を受けるには、三つの型がある
受け方は大きく三つに分かれます。海外会場で受ける/自宅で受ける/一時帰国して日本の会場で受けるです。まず海外会場方式。四谷大塚の全国統一小学生テストは公式のQ&Aで「海外での会場はお申込みフォームに掲載されている場所のみ実施」と案内されており、住んでいる都市に会場があるかどうかで受けられるかが決まります。早稲田アカデミーは海外に校舎網を持ち、時差で日本国内の実施日時に受験できない場合はロンドン校・ニューヨーク校で同じ模試を実施すると案内しています。会場方式の利点は、机・時間・緊張感が本番に近いことです。

次に自宅受験方式。早稲田アカデミーには海外生向けの「オープン模試の自宅受験サービス」があり、対象は小1〜中3、模試によってはZoomで試験監督を行い、答案は期限内に提出する形と案内されています。有料模試は受験料に加えて地域別の送料が必要とされています。SAPIX INTERNATIONAL TOKYOも海外の自宅で受験できる「海外通信テスト」を設けています。さらにJOBA(海外・帰国子女教育専門機関)の「海外・帰国子女センター試験 志望校判定」は、問題のダウンロードと答案のアップロードで完結し、送料や初回登録料はかからないと案内されています。三つめが一時帰国方式で、早稲田アカデミーは春・夏・冬の講習会について一時帰国しての参加も可能としています。
ここで効いてくるのがリードタイムです。問題や答案が国際郵便を往復する方式では、申込・問題の到着・受験・答案の返送・成績表の順に進むため、国内の感覚より数週間余分に見ておく必要があります。反対にオンライン完結型は速い代わりに、申込期間も受験期間も日本時間で区切られるのが落とし穴です。JOBAの例では申込受付が前月中、受験期間が翌月上旬の十日間といった具合に月単位で区切られていました。いずれも料金・日程・実施の有無は年度で変わりますので、必ず各社の公式ページで最新の情報をご確認ください。
一般模試と帰国生模試は、測っているものが違う
同じ「模試」でも、いちばん大きな違いは母集団です。全国統一小学生テストや各塾のオープン模試のような一般模試は、日本国内で日本の教育課程をずっと受けてきた子が大多数を占めます。海外で育った子がそこに入ると、算数は取れるのに国語で沈む――という形になりやすく、出た偏差値は「日本の同学年の中での位置」を示します。
一方、帰国生を対象にした模試は、受けている相手も帰国生です。早稲田アカデミーのLOGOSテスト(帰国生実力判定模試)は小5・小6が対象で、英語・算数・国語の3科目または算数・国語の2科目、帰国生入試における現在の立ち位置を相対的・客観的に把握するためのものと説明されており、会場受験に加えて自宅での別日受験も案内されています。JOBAの前掲の試験も帰国枠受験を前提に作られ、小6は英語1教科型・国算2教科型・国算英3教科型から選べます。いずれも代表例です。対象学年・科目・日程は最新の実施要項で必ずご確認ください。つまり志望が帰国枠中心なら帰国生模試、一般入試も視野に入るなら両方、という選び方になります。帰国枠の仕組みは帰国子女枠とは?受験の仕組み、中学受験の条件と日程は帰国子女の中学受験、入試そのものの海外会場については海外から日本の中学受験にまとめています。

| 海外会場方式 | 自宅受験(オンライン完結) | 自宅受験(郵送あり) | 一時帰国方式 | |
|---|---|---|---|---|
| 向いている家庭 | 会場のある都市に住んでいる | 時差の大きい地域・会場のない都市 | 紙の答案で採点してほしい | 夏冬に帰国の予定がある |
| 準備のリードタイム | 申込から当日まで/会場の有無を先に確認 | 短い。ただし申込・受験期間が日本時間で区切られる | 長い。問題と答案の国際郵便が往復する | 航空券を押さえる時期から逆算が必要 |
| 本番との近さ | 机・時間・緊張感が本番に近い | 監督つきでも自宅環境の影響を受ける | 同上 | 日本の会場そのもので受けられる |
| つまずきやすい点 | 住む都市に会場がない | 時差で締切の最終日を逃す | 郵便の遅延・答案の返送期限 | 帰国日程と実施日が合わない |
判定を鵜呑みにしない――偏差値より科目別の中身
判定は、母集団と志望校の設定が変われば動きます。ですから返却された成績表で最初に見るべきは合否判定の記号ではなく、科目別の素点と平均点との差、設問形式ごとの正答率、そして最後の大問が白紙になっていないかの三つです。とくに三つめは重要で、終盤がまるごと空欄なら、それは学力ではなく処理速度と時間配分の問題です。日本語を読む速度が国内の子より遅いことは海外で育つ子にはごく普通に起こるので、ここを学力不足と読み違えると、まったく違う対策に一年を使ってしまいます。

そのうえで、国語の失点は三つの層に切り分けます。ひとつめは語彙・漢字。選択肢の言葉の意味がわからない、書き取りで落ちる、というタイプで、出題形式に関係なく一律に点が減るのが目印です(帰国子女の漢字)。ふたつめは読解。短い文なら取れるのに本文が長くなると崩れる、記号は合うのに時間が足りない、という現れ方をします。みっつめが記述の型で、内容はわかっているのに部分点しか来ない、字数が埋まらない、という場合です。見分け方は単純で、答案を一問ずつ見ながら「何を答えるかがわかっていない」のか「わかっているのに書けない」のかを仕分けるだけです。前者は読解、後者は記述の型で、語彙・漢字はそのどちらにも先に効きます。層の全体像は帰国子女の国語「できない」の4つの層で詳しく整理しています。
模試のあと、家庭で最初の一週間にすること
返却直後にやることは三つに絞ります。ひとつめ、解き直しは間違い全部ではなく「あと少しで取れた問題」だけ。全問やり直すと最後まで届かず、何も残りません。ふたつめ、国語の記述を一問だけ、模範解答と自分の答案を並べて足りない要素を数える。三つ、四つと数えられるようになると、記述は急に安定します。みっつめ、次の模試までのテーマを一つだけ決める。漢字か、記述か、読む量か。三つ同時に変えると、どれが効いたのかわからなくなります。
言い換えれば、判定は結論ではなく次の模試までの仮説です。ひとつだけ変えて次を受ける。それを二、三回くり返すと、お子さんに効く手が家庭の側にたまっていきます。なお一時帰国の予定があるなら、一時帰国の体験入学と模試を同じ帰国に重ねると、点数だけでなく日本の教室の温度も同時に確かめられます。
受験対策は帰国生塾、土台の国語はともだちじゃぱん
正直に申し上げると、ともだちじゃぱんは受験専門塾ではありません。模試の運営、志望校別の過去問対策、判定に基づく併願設計は、蓄積を持つ帰国生に強い塾の領域であり、その価値は本物です。私たちが担うのはそのひとつ手前――学年相当の国語という土台と、日本の同世代とのつながりです。ここまで見てきたとおり、模試で崩れる場所はたいてい国語であり、しかもその中身は語彙・読解・記述の型に分かれます。ここは短期の対策ではなく、日々読んで書いて話す量でしか動きません。受験期は帰国生塾と併用し、志望校対策は塾で、土台の国語はうちで、という分担が現実的だと考えています。

ともだちじゃぱんは、国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」(在籍1,000名超)を運営する株式会社NIJINが母体です。講師は採用合格率およそ2%の選抜で、今の日本の教室を知り尽くした現役水準の教員が、8人制の少人数クラスで教えます。1対1の家庭教師と違い、クラスには日本に住む同世代の仲間がいるのが特徴で、「勉強だから」ではなく「友達と話したいから」続く。だから語彙も読解も記述も、日常のなかで積み上がります。そして模試の判定がどう出ようとも、すでに日本に友達がいる状態で帰国後の教室に入れることは、受験そのものとは別の大きな安心になります。料金は通い放題で月額定額です。
模試の前に、今の学年とのギャップを確認したい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。
よくある質問
海外に住んでいますが、日本の中学受験の模試は受けられますか?
受けられます。受け方は大きく三つで、海外の会場で受ける方式、自宅で受ける方式、一時帰国して日本の会場で受ける方式です。四谷大塚の全国統一小学生テストは公式のQ&Aで海外の会場は申込フォームに掲載された場所のみと案内されており、早稲田アカデミーは海外生向けにオープン模試の自宅受験サービスを、SAPIX INTERNATIONAL TOKYOは海外通信テストを設けています。JOBAの海外・帰国子女センター試験のように、問題のダウンロードと答案のアップロードで完結するものもあります。いずれも実施内容と日程は年度で変わるため、必ず各主催団体の公式ページでご確認ください。
一般模試と帰国生対象の模試、どちらを受けるべきですか?
測っているものが違うので、志望の形で決めます。一般模試は日本国内で学んできた子が母集団なので、出るのは「日本の同学年の中での位置」です。帰国生対象の模試は受験者も帰国生で、帰国枠の中での立ち位置がわかります。帰国枠中心の受験なら帰国生模試を軸にし、一般入試も視野に入るなら年に一度は一般模試も受けて、国内基準での差を把握しておくと判断がぶれません。どちらか一方だけを見て「うちの子はできない/できる」と結論を出さないことが大切です。
時差があって日本の実施日時に受けられません。どうしますか?
まず自宅受験サービスを持つ模試を探すのが早道です。早稲田アカデミーは、時差により日本国内の実施日時での受験が難しい場合にロンドン校・ニューヨーク校で同じ模試を実施すると案内しており、加えて海外の自宅で受けられるオープン模試のサービスも用意しています。帰国生実力判定模試のように、会場受験日とは別の日に自宅で受けられる仕組みを持つ模試もあります。注意点は、申込期間も受験期間も日本時間で区切られることです。カレンダーには現地時間に直した締切を書き込んでおいてください。
模試はいつから、どのくらいの頻度で受ければいいですか?
頻度より「間隔」で考えるのがおすすめです。受けたあとに一つだけ手を変え、その結果を次で確かめる、という往復ができる程度の間隔――多くのご家庭では二、三か月に一度――が現実的です。毎月受けても、あいだに変えるものがなければ同じ結果が並ぶだけになります。学年については、帰国生対象の模試は小5・小6を対象にするものが中心ですが、対象学年は模試ごとに異なります。低学年のうちは、判定を取ることより日本語で読む量を確保することのほうが結局は近道です。
判定が悪かったとき、何から手をつければいいですか?
判定の記号はいったん置いて、科目別の素点と平均点の差、設問形式ごとの正答率、そして最後の大問が白紙かどうかを見てください。終盤が空欄なら学力ではなく時間配分の問題です。国語で落ちているなら、答案を一問ずつ「何を答えるかがわかっていない」のか「わかっているのに書けない」のかに仕分けます。前者なら読む量、後者なら記述の型、どちらにも効かないほど基礎が薄いなら語彙と漢字から。手をつける場所を一つに決めて、次の模試までそこだけを続けるのがいちばん速い進み方です。

