タイへの赴任が決まってバンコク日本人学校の偏差値を調べても、数字は一つも出てきません。塾のサイトにも、口コミサイトにも載っていない。情報が隠されているからではなく、そもそも算出されるしくみが無いからです。泰日協会学校(バンコク日本人学校)は入学に学力試験を課さず、公式のよくあるご質問に「受け入れ制限を伴う定員はありません」と明記しています。選抜がなければ、合格ラインも偏差値も生まれません。ではお子さんの学力の行き先は何で決まるのか。この記事では、学校が公表している入学の条件と、中学部を出たあとの4つの進路、そして偏差値の代わりに確かめられる数字を整理します。

偏差値が存在しない理由――選抜が無い
同校の就学規程第3条は、入学・編入学の要件を7つ挙げています。学力に関する項目は1つもありません。
- 児童生徒本人が日本国籍を有すること。または日本国籍に準じると学校理事会が認めること
- 本人および保護者が、ツーリストビザ以外でタイ国に適法に滞在していること
- 保護者が学費を納付期限までに全額納入すること
- 本人が、本校の教育体制に対応できる日本語能力・適応力を有すると本校が認めること
- 特別な支援や配慮を要する場合、本校の施設・体制での受入れが可能であると本校が認めること
- 帯同する保護者が、本校の運営体制に対応できる日本語能力を有すること
- 保護者が運営方針を理解し、学校運営に協力する旨を誓約すること
見てのとおり、問われているのは国籍・在留資格・日本語・家庭の協力であって、学力ではありません。同校は「本校は日本語補習校ではありませんので、お子様には日本語での通常の授業についていける日本語能力が求められます」とも書いています。入試がないので合否のボーダーが無く、ボーダーが無いので偏差値も出ない――これが検索しても数字が見つからない理由です。なおタイ国籍しか保持していないお子さんは受け入れられません。二重国籍は要件上の問題はなく、日本国籍を持たない場合も「タイ滞在の前後で日本の教育を受ける必要がある」と理事会が認めれば特別承認の道があります。
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中学部を出たあと、進路は4つに分かれる
同校は高等部を併設していません。だから中学部3年生は全員が、外の学校へ出ていきます。学校が「主な進学先」として公表しているのは次の4つです。
| 進学先 | 中身 | 準備で効いてくるもの |
|---|---|---|
| 日本国内の国・公立高校 | 帰国後に受験する、または海外から出願する | 都道府県ごとの帰国生枠の条件。滞在年数と帰国時期 |
| 日本国内の私立高校 | 帰国生入試・一般入試 | 学校ごとに条件が大きく違う。出願は前年秋から |
| 海外にある日本の高校 | 在外の日本人学校高等部など | 全日制の高等部がある学校は世界でごく少数 |
| タイ国内のインター校 | そのままタイに残る選択 | 英語力。学校ごとの入学審査 |
つまりこの学校で問われるのは、校内の順位ではなく「どこの入試を受けるか」です。日本の公立高校を狙うなら都道府県の帰国生枠の条件、私立なら学校ごとの帰国生入試の条件、インターなら英語力――と、ものさし自体が進路ごとに違います。偏差値という一本の数直線に乗らないのは、そのためです。
学校が用意している進路のしくみ
選抜が無い代わりに、出口の支援は具体的に用意されています。
- 進路相談室がバンコク校内に置かれ、各都道府県の公立高校の入試情報、帰国子女を受け入れる学校、主な私立小・中・高、タイ国内外のインター校の情報がファイルされています
- 『進路通信』で進路情報が定期的に配られます
- 進路説明会――バンコク校は中学部3年生を対象に年2回。シラチャ校は中3が年1回、中1・中2も年1回
- 例年5月ごろ、海外子女教育振興財団が帰国子女受入校の担当者とともに「帰国生のための海外学校説明会・相談会」を両校で開催
- 中学部では進路啓発講演会や職場訪問学習など、キャリア教育の場も設けられています

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偏差値の代わりに確かめられる4つ
数字が欲しいのなら、公表されている次の4つを見るほうが実際の判断に効きます。
| 確かめるもの | 公表されている内容 | 読み方 |
|---|---|---|
| 1. 中学部の規模 | 中学部428名(全校1,962名・89学級/令和8年度) | 在外の日本人学校としては最大級。同学年の人数が多く、模擬テストの母集団も校内にできる |
| 2. 英語の授業時数 | 中学部は全学年で通常の英語が週3時間。加えて「グローバル・イングリッシュ」をNET(ネイティブ教員)指導のコース別少人数で週2時間。2年生からコース別少人数 | インター校を進路に入れるなら、ここが土台になる |
| 3. 習熟度別の運用 | 英会話は小学部5年〜中学部3年で習熟度別。国語・算数以外は教科担任制(シラチャ校は社会科も除く) | 「学校の平均」より、どの層にどう指導が届くかが分かる |
| 4. タイ語の必修 | タイ教育省の義務により、小学部1年から週1時間。日本語が堪能なタイ人教員がカタカナ表記の教科書で会話中心に指導 | 日本の中学校には無い科目。時間割の中の位置を知っておく |

受験学年の家庭が先に知っておきたい2つの締切
偏差値より、実務のほうが先に効きます。
ひとつめ。中学部3年生については、3学期の編入学を受け付けていません。学期途中の編入も原則できず、入学・編入学は各学期の開始時に限られます。年明けに赴任が決まった家庭は、中3のお子さんだけ入れない可能性がある、ということです。
ふたつめ。帰国子女の扱いは学校ごとに違います。同校のよくあるご質問はこう書いています。「帰国子女の扱いは学校によって千差万別です。入試に関する帰国生としての出願資格・条件は、海外滞在年数が2年以上で、日本帰国後1年以内とするケースが多いようですが、海外滞在年数が1年以上とする学校もあります。学校によって条件が違いますので、必ず志望校に確認してください」。「何年住んだか」と「いつ帰国したか」の2つが、偏差値より先に受験資格を決めます。赴任の期間が読めるうちに、志望校の要項を取り寄せておくのが安全です。
偏差値の話が終わったあとに残るもの
バンコク日本人学校は、日本の学習指導要領に沿って、日本の教員免許を持つ教員が、日本語で、日本の教科書を使って授業をする学校です。学校自身が運営方針に「在校生の日本帰国時や受験時にハンディを生じさせないようにする」と掲げています。教科としての学力については、心配の必要はほとんどありません。
そのうえで正直に書くと、学校が引き受けてくれるのは教科としての国語までです。友達同士のふざけた言い方、少し失礼な言い方とそうでない言い方の差、いま日本の同世代が使っている言葉――こうした部分は、授業では埋めにくい領域として残ります。中学部428名という規模でも、話し相手は「タイで暮らす日本人の同級生」に限られるからです。帰国後の面接や、帰国してからの教室で効いてくるのは、実はここです。

ともだちじゃぱんは、そこを補うためのオンラインの学校です。日本の現役水準の教員が担任につき、8人の少人数クラスで、日本にいる同世代の子どもたちと話します。バンコクと日本の時差は2時間。放課後の時間が、そのまま日本の夕方と重なります。
よくある質問(バンコク日本人学校 偏差値)
バンコク日本人学校の偏差値はいくつですか?
偏差値はありません。入学に学力試験が無く、学校のよくあるご質問にも「受け入れ制限を伴う定員はありません」と明記されています。合否のボーダーが存在しないため、偏差値も算出されません。
入学に試験はありますか?
学力試験はありません。就学規程第3条が定める要件は、日本国籍(または理事会が準じると認めること)、ツーリストビザ以外での適法な滞在、学費の納入、日本語での授業についていける日本語能力と適応力、特別な配慮が必要な場合の受入可否、保護者の日本語能力と協力の誓約の7つです。なお国際結婚のご家庭や特別な配慮を要するお子さんの場合、事前面談を依頼されることがあります。
中学部を卒業したあとはどこへ進学しますか?
同校は高等部を併設していません。公表されている主な進学先は日本国内の国・公立高校/日本国内の私立高校/海外にある日本の高校/タイ国内のインター校の4つです。バンコク校では中学部3年生を対象に年2回の進路説明会が開かれ、校内の進路相談室に各都道府県の入試情報や帰国子女受入校の資料が置かれています。
中学3年で赴任が決まっても編入できますか?
時期によります。入学・編入学は各学期の開始時に限られ、学期途中の編入は原則できません。さらに中学部3年生は3学期の編入学を受け付けていません。年明けの赴任が見込まれる場合は、早い段階で学校に相談しておくのが安全です。
帰国後、帰国子女枠は使えますか?
学校によります。同校は「帰国子女の扱いは学校によって千差万別」としたうえで、出願資格を海外滞在2年以上・帰国後1年以内とする学校が多いが、滞在1年以上とする学校もある、と説明しています。志望校の募集要項で必ず確認してください。
学力面で日本の中学校より遅れませんか?
同校は日本の文部科学省が定める学習指導要領に準じて教育課程を編成することをタイ教育省から認められており、日本の教員免許を持つ教員が日本の教科書で授業を行います。国語・算数以外は教科担任制で、英会話は小学部5年から習熟度別です。加えてタイ語が小1から週1時間必修になる点だけ、日本の時間割との違いとして押さえておくとよいでしょう。
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