ロンドン赴任が決まってロンドン日本人学校の評判を調べると、出てくるのは個人のブログや掲示板の書き込みばかりです。ところがこの学校は英国の私立学校として登録されているため、Ofsted(英国教育水準局)が実地で査察し、その判定を報告書で公開しています。直近は2025年4月29日〜5月1日の査察で、総合評価はGood(良好)。教育の質・行動と態度・人間的成長の3領域は最高評価のOutstandingでした。一方、前回2023年6月の査察では総合評価がInadequate(不十分)だったことも同じ報告書に書かれています。この記事では、口コミではなく公開されている判定表と改善勧告から、この学校の評判を読み解きます。
2025年5月の判定――総合Good、3領域がOutstanding
Ofstedの報告書は1ページ目に判定表を置きます。2025年の報告書に載っている7行は次のとおりです。
| 項目 | 2025年5月の判定 |
|---|---|
| 総合評価(Overall effectiveness) | Good |
| 教育の質(The quality of education) | Outstanding |
| 行動と態度(Behaviour and attitudes) | Outstanding |
| 人間的成長(Personal development) | Outstanding |
| リーダーシップと運営(Leadership and management) | Good |
| 前回査察時の総合評価 | Inadequate |
| 独立学校基準を満たしているか | Yes |

読み方のコツは、総合評価と領域別評価を分けて見ることです。子どもに直接かかる3領域(授業の質・行動・人間的成長)はすべて最高評価で、下がっているのは大人の側の体制(リーダーシップと運営)だけです。総合がOutstandingにならなかったのは、この1領域が引き下げているからで、「授業が普通だった」という意味ではありません。
なお、この報告書には日本人学校としてはめずらしく学校の基礎データが第三者の実測として載っています。在籍児童生徒数232名、対象年齢6〜15歳、パートタイム在籍0名、年間授業料(通学生)5,379ポンド、設置者はThe Japanese School Limited、理事長は中村聡氏、校長は信田清氏。在籍数の推移についてはロンドン日本人学校の生徒数は232名で3回ぶんの査察値を並べています。

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評価された点――「安心して通える学校」だと書かれている
報告書の本文で、査察官は次のような点を評価しています(要約)。
- 子どもたちは安全であり、本人たちも安全だと感じている。心配ごとがあれば自分から話せている。
- 休み時間に、子どもが自発的に互いを助けている。行動は非常に成熟している。
- 教科どうしのつながりを意識した教育課程が組まれており、既習事項の振り返りが定着に効いている。
- 入学時に英語の話す力・読む力を丁寧に測り、段階に合わせた指導をしている。
- スコットランドやウェールズでの宿泊行事を通じて、英国各地を訪れ、粘り強さを育てている。
- 英国の価値観や制度を教え、日本文化との重なりを説明している。多様な宗教・伝統を尊重するよう指導している。
- 年長の生徒(Year 8・9)が運動会や文化祭で下級生の行事を主導し、手本になっている。
- セーフガーディング(子どもの保護)の体制は「有効」と判定されている。
日本の学校らしい取り組みもそのまま評価対象になっています。年長の子どもが率先して毎日の清掃を担うことが、集中力を育てる場として肯定的に書かれているのは、英国の査察報告としては特徴的です。

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改善が求められた点――勧告は1つだけ
2025年の報告書で学校に求められている改善は1点のみです。要約すると、「設置者(proprietor)が独立学校基準の充足を確認する仕組みが十分に堅固でない。査察開始時点で、満たされていない基準のいくつかを学校側が把握していなかった。基準の未達を早期に見つけ、速やかに手を打つ確実な確認体制を整えること」というものです。
補足として、報告書はその未達は査察期間中に学校が対応し、査察終了までに解消されたと明記しています。だからこそ判定表の最終行が「独立学校基準を満たしているか=Yes」になっています。また、理事の任期が短く入れ替わりやすいという構造的な弱点についても、学校が一部の理事を常任にするなどの手当てをしていることが評価されています。
この「理事の入れ替わり」は、実は海外の日本人学校に共通する構造です。報告書自身が、多くの管理職・教員が日本から来て2〜3年で帰任すること、学校が日本政府から一部補助を受けていることを説明しています。仕組みの違いは日本人学校と補習校の違いにまとめています。
前回がInadequateだった――ここを飛ばして読まない
評判を判断するうえで避けて通れないのが、2023年6月6〜8日の査察で総合評価がInadequateだったという事実です。学校の公式サイトには2021年7月以降の報告書が7本並んでいます。
| 公表年月 | 位置づけ |
|---|---|
| 2021年7月/2022年4月/2022年8月 | 査察報告 |
| 2023年7月(査察は6月6〜8日) | この査察の総合評価がInadequate |
| 2024年3月/2024年10月 | その後の確認査察 |
| 2025年5月(査察は4月29日〜5月1日) | 総合Good・3領域Outstanding |
4年で7回という査察の多さ自体が、一度低い評価を受けた学校が確認を重ねられていることの表れです。そして2年後の2025年に、子どもに関わる3領域を最高評価まで戻しています。「前が悪かった」でも「今がいい」でもなく、その両方が同じ資料に書いてあるというのが、この学校について公開されている事実です。
なお、英国の日本人学校の学費全体はイギリスの日本人学校の学費、現地校・インターとの比較はロンドンの学校選びにまとめています。
査察が測らないもの――日本語で話す相手の数
Ofstedが測るのは、英国の学校としての教育の質です。日本語で同世代とどれだけ話せているかは、査察項目にありません。在籍232名・6〜15歳という規模は、学年によっては同学年が20名台になる計算です。日本の公立小学校であれば当たり前にいた「同じ話題で盛り上がれる同学年の友達」が、人数の面で細くなります。
ロンドンと日本の時差は8時間(夏時間)。日本の夕方が現地の午前です。学校の評価が高くても、日本語で笑い合う相手の数までは学校の外の設計になります。日本の同世代と日本語で関わる時間を持っておくと、帰国したときの入り直しが軽くなります。帰国後の接続は日本人学校から日本へ帰国するときにまとめました。
よくある質問(ロンドン日本人学校 評判)
ロンドン日本人学校の評判は良いのですか?
第三者の公的な査察という意味では、2025年5月の判定は総合Goodです。教育の質・行動と態度・人間的成長の3領域は最高評価のOutstanding、リーダーシップと運営がGoodでした。セーフガーディングも「有効」と判定されています。口コミではなくこの判定表を出発点にするのが確実です。
前回の評価がInadequateだったと聞きましたが本当ですか?
本当です。2025年の報告書の判定表に「前回査察時の総合評価=Inadequate」と明記されています。前回査察は2023年6月6〜8日です。その後2024年3月・10月の確認査察を経て、2025年に総合Goodまで戻っています。
いま何か問題を指摘されているのですか?
2025年の報告書の改善勧告は1点だけで、内容は「設置者が独立学校基準の充足を確認する仕組みを堅固にすること」です。査察開始時に未達だった基準は査察期間中に学校が対応して解消しており、判定表の「独立学校基準を満たしているか」はYesになっています。
Ofstedの報告書はどこで読めますか?
ロンドン日本人学校の公式サイトに「OFSTED」のページがあり、2021年7月から2025年5月までの報告書7本がPDFで公開されています。学校のURNは101958、DfE登録番号は307/6070、所管はイーリング区です。Ofstedのサイトからも同じ番号で検索できます。
学費や生徒数はどれくらいですか?
2025年の報告書には年間授業料(通学生)5,379ポンド、在籍児童生徒数232名、対象年齢6〜15歳と記載されています。在籍数は2023年6月が299名、2024年10月が293名で、半年で61名減った直近の動きはロンドン日本人学校の生徒数で整理しています。
世界の日本人学校の一覧は日本人学校 一覧、費用の全体像は日本人学校の学費にまとめています。




