マレーシアへの赴任が決まって「マレーシアの日本人学校」を調べると、クアラルンプールの情報ばかりが出てきます。実際には全日制の日本人学校はマレーシアに4校あり、赴任先の州によって通う学校が変わります。そしてその4校は、同じ「日本人学校」という名前なのに規模がまったく違います。この記事では、文部科学省の一覧と各校が公表している数字だけを使って、4校を横並びにします。結論を先に書くと、4校の在籍合計は約700名。そのうち544名がクアラルンプール1校で、全体の約78%を占めます。
マレーシアの日本人学校は4校――文部科学省の一覧で確認する
出典は文部科学省「認定した在外教育施設一覧 日本人学校(90校:47ヶ国1地域)」(令和8年4月1日時点)です。マレーシアの欄には4校が並んでいます。
| 学校名 | 設置者 | 所在する州 |
|---|---|---|
| クアラルンプール日本人学校 | クアラルンプール日本人会 | セランゴール州(シャアラム) |
| ジョホール日本人学校 | ジョホール日本人学校運営委員会 | ジョホール州(マサイ) |
| コタキナバル日本人学校 | コタキナバル日本人会 | サバ州(ボルネオ島) |
| ペナン日本人学校 | ペナン日本人会 | ペナン州(ジョージタウン) |
ここで最初に押さえておきたいのが設置者が4つとも別の団体だという点です。3校は各地の日本人会、ジョホールだけが「ジョホール日本人学校運営委員会」。マレーシア国内で転勤して州をまたぐと、同じ国の中でも入学手続きは別の学校への編入になります。世界の日本人学校の全体像は日本人学校 一覧にまとめています。

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在籍数を並べると、規模は26倍違う
各校が公表している最新の在籍数です。4校とも令和8年(2026年)の数字を公開しています。基準日の表記は各校のものをそのまま添えます。
| 学校 | 幼稚部 | 小学部 | 中学部 | 合計 | 基準日 |
|---|---|---|---|---|---|
| クアラルンプール | 66名 | 367名 | 111名 | 544名 | 令和8年4月13日現在 |
| ジョホール | ― | 52名 | 18名 | 70名 | 令和8年4月現在 |
| ペナン | ― | 47名 | 18名 | 65名 | 令和8年4月現在 |
| コタキナバル | ― | 小中あわせて | 21名 | 同校サイトの掲載値 | |
| 4校合計 | 66名 | ― | 約700名 | ― | |
クアラルンプールの544名に対して、コタキナバルは21名。同じ国の同じ「日本人学校」で約26倍の開きがあります。学年で考えると差はもっと実感しやすくなります。クアラルンプールは小学部15学級なので1学年におおむね2〜3学級。一方コタキナバルは全校で21名ですから、複数学年をまとめた学級編制になります。
なお、日本人学校の1学級の上限は40人以下です(在外教育施設の認定等に関する規程が小学校設置基準・中学校設置基準に準ずるとしているため)。国内の公立小学校の35人より1つゆるい基準です。他都市の学級規模は日本人学校の生徒数で扱っています。

幼稚部があるのはクアラルンプールだけ
見落とされやすい違いです。4校のうち幼稚部を持つのはクアラルンプール日本人学校だけで、しかも学部として独立した規模があります。
- 幼稚部66名=年少9名・年中21名・年長36名(3クラス)
- 小学部367名(15クラス/なかよし学級2名を含む)
- 中学部111名(6クラス/なかよし学級2名を含む)
年少9名・年中21名・年長36名という学年が上がるほど増える形も特徴的です。就学前の子どもを連れてマレーシアへ赴任する家庭にとって、「幼稚部から入れるのはクアラルンプールだけ」というのは住まいを決める段階で効いてくる条件です。日本人学校の幼稚部全体の事情はクアラルンプールの学校選びとあわせてご覧ください。
4校とも高等部はない
これも全国共通です。マレーシアの4校はすべて中学部までで、高等部はありません。世界の日本人学校90校のうち高等部を持つのは上海日本人学校のみです。
加えて、マレーシアには私立在外教育施設もありません。文部科学省が認定している私立在外教育施設は世界で6校(立教英国学院、帝京ロンドン学園、スイス公文学園、早稲田渋谷シンガポール校、西大和学園カリフォルニア校、慶應義塾ニューヨーク学院)で、マレーシアはそのいずれの所在地でもありません。中学3年生は全員が、卒業時に日本の高校・現地のインター校・シンガポールなどを含めて進路を選び直すことになります。詳しくは日本人学校の高校にまとめました。

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4校それぞれの顔――開校年と、いま起きていること
クアラルンプール日本人学校(544名)
昭和41年(1966年)にキアペンで開校し、平成5年(1993年)に現在のスバンへ移転しました。敷地は約75,000㎡。校庭2面、体育館2施設、そして50mプールと25mプールの2つを持ちます。所在地はSaujana Resort Seksyen U2, 40150 Shah Alam, Selangor。幼稚部・小学部・中学部の3学部構成で、マレーシアの日本人学校としては例外的な規模です。
ジョホール日本人学校(70名)
1997年4月に73名(小68名・中5名)で開校した、4校でいちばん新しい学校です。同校は沿革ページで在籍数の推移を公開しており、これが非常に率直です。
| 年 | 児童生徒数 |
|---|---|
| 1997年(開校) | 73名(小68・中5) |
| 1998年 | 134名(小115・中19)※新校舎完成 |
| 2000年 | 146名(小118・中28) |
| 2001年 | 150名(小122・中28) |
| 2016年 | 81名(創立20周年) |
| 2020年 | 51名(コロナ禍) |
| 2024年 | 62名(小48・中14) |
| 令和8年4月 | 70名(小52・中18) |
2001年の150名をピークに減り、2020年に51名まで落ちてから、いまは70名まで戻しています。敷地は20,238㎡で、校舎・体育館・プール・運動場を備えます。マレーシア教育省に登録された私立学校(登録証書番号 JVSJ 001)であり、かつ日本の文部科学省が認定する在外教育施設でもある、という二重の位置づけです。三重大学と協定を結び、インターンシップと教員育成プログラムを行っている点も、小規模校としては珍しい取り組みです。
ペナン日本人学校(65名)――2025年夏に世界遺産地区へ移転
4校のなかで、いま最も大きく環境が変わったのがペナンです。昭和49年(1974年)設立で今年が開校52年目。そして校長あいさつにはこう書かれています。
昨年夏に、半世紀にわたって慣れ親しんできた校舎と校庭に別れを告げ、世界遺産地区:ジョージタウンの街中に移転して来ました。学校周辺には多くの歴史的な建造物が建ち並び、観光客やトライショー(人力三輪車)が行き交って、歴史の息づかいを日々肌で感じとることが出来ます。
つまり2025年の夏に、50年以上使ってきた校舎から世界遺産地区の街中へ移ったということです。ペナン日本人学校を調べていて出てくる写真や住所が古い可能性があるので、ここは必ず学校へ確認してください。在籍は小学部47名・中学部18名の計65名(令和8年4月現在)。同校は少人数を前提に「国語力の向上」と「グローバル人材の育成」を令和8年度の重点に挙げています。
コタキナバル日本人学校(21名)
ボルネオ島サバ州にある学校で、1978年に寺子屋式の補習校として始まり、1983年に日本人学校として開校しました。今年で創立44年目、在籍は21名。小学部と中学部があります。設置者はコタキナバル日本人会です。
なお、同校の情報を探すときは注意が必要です。以前の公式ドメイン(sabah.edu.my/kjs)は本稿執筆時点でアクセスできず、現在の公式サイトは別ドメインで公開されています。検索結果の上位に古いURLが残っているため、たどり着けないことがあります。

赴任先が地方だと、同学年に何人いるか
ここまでの数字を、生活の言葉に置き換えます。ジョホール70名、ペナン65名を9学年で割ると1学年あたり7〜8名。コタキナバルは全校21名です。日本の学校から転入する子どもにとって、これは「クラス替えが6年間ない」「同学年が数人しかいない」という環境を意味します。
小規模校には、教員が一人ひとりを見られるという確かな良さがあります。ペナン日本人学校の校長も「この少人数の良さを生かし、教職員が児童生徒一人一人の特性や良さをしっかりと見とり伸ばしていきます」と書いています。一方で、同世代の日本語の話し相手が数人しかいないという現実も同時にあります。日本語は、聞く相手と話す相手の数で伸び方が変わります。
学校の規模は選べなくても、話す相手は足せる
赴任先の州は会社が決めるものです。544名の学校になるか21名の学校になるかを、家庭の側で選ぶことはできません。けれど、子どもが日本語で関わる同世代の人数は、学校の外で足すことができます。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと同じクラスで学ぶオンラインの日本語スクールです。マレーシアと日本の時差は1時間。学校から帰ったあとの時間が、そのまま日本のクラスの時間になります。
よくある質問(マレーシア 日本人学校 一覧)
マレーシアに日本人学校は何校ありますか?
全日制の日本人学校は4校です。クアラルンプール(セランゴール州シャアラム)、ジョホール(ジョホール州マサイ)、ペナン(ペナン州ジョージタウン)、コタキナバル(サバ州)。文部科学省「認定した在外教育施設一覧」(令和8年4月1日時点)に記載されています。
それぞれ何人くらいいますか?
各校の公表値では、クアラルンプール544名(令和8年4月13日現在)、ジョホール70名、ペナン65名(いずれも令和8年4月現在)、コタキナバル21名です。4校の合計は約700名で、そのうち約78%がクアラルンプールに集中しています。
幼稚部(幼稚園)はありますか?
クアラルンプール日本人学校だけにあります。幼稚部66名(年少9名・年中21名・年長36名)の3クラス編制です。ほかの3校は小学部と中学部のみです。
マレーシアの日本人学校に高校はありますか?
ありません。4校すべて中学部までです。世界の日本人学校90校で高等部を持つのは上海日本人学校のみ。またマレーシアには文部科学省認定の私立在外教育施設(立教英国学院や慶應義塾ニューヨーク学院のような高校段階の学校)もありません。
クアラルンプール以外の学校は小さすぎませんか?
ジョホールとペナンは1学年あたり7〜8名、コタキナバルは全校21名です。クラス替えのない環境になりますが、教職員が一人ひとりを見られるという良さもあります。ペナン日本人学校の校長も「この少人数の良さを生かし」と書いています。判断材料は人数だけでなく、家庭の側で日本語の関わりを補えるかどうかです。
州をまたいで転勤したら、学校はそのまま続けられますか?
4校はそれぞれ設置者が異なる別の学校です(クアラルンプール日本人会/ジョホール日本人学校運営委員会/コタキナバル日本人会/ペナン日本人会)。同じマレーシア国内でも編入手続きが必要になります。学費や入学金の扱いも学校ごとに異なるため、マレーシアの日本人学校の学費もあわせてご確認ください。
学費はマレーシアの日本人学校の学費、クアラルンプールの学校選びはクアラルンプールの学校選びにまとめています。世界の学校は日本人学校 一覧、規模の比較は日本人学校の生徒数、費用の全体像は日本人学校の学費をどうぞ。



