デュッセルドルフへの赴任が決まって学校を調べると、必ず出てくるのが「北米・欧州地域でも最大級の日本人学校」という表現です。では実際に何人いるのか。同校が公表しているのは「約430名の児童生徒が学ぶ」という1行だけで、基準日はありません。この記事では、その1行を学校自身が書いた沿革の数字の並びに重ねて読みます。結論を先に書きます。1971年に43名で開校し、1992年に998名でピークを迎え、いまは約430名。ピークからおよそ57%減った学校が、それでもなお欧州最大級だというのが実態です。
デュッセルドルフ日本人学校の人数は「約430名」
まず学校が公表している数字です。同校の学校長挨拶にはこう書かれています。
- 「約430名の児童生徒が学ぶ」
- 「北米・欧州地域でも最大級の日本人学校へと発展」
ここで正直に書いておきたいことがあります。この430名という数字には基準日が書かれていません。バンコク(2026年4月現在で1,962名)やジャカルタ(2026年4月20日現在で677名)のように基準日つきで公表する学校もあれば、デュッセルドルフのように概数だけの学校もあります。日本人学校の在籍数を比べるときは、数字の大きさより先に基準日を見るのが実務的です。他都市の公表状況は日本人学校の生徒数にまとめました。

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43名から998名へ――増え続けた22年
同校の「本校について」と沿革概要には、年ごとの児童生徒数が具体的に書かれています。日本人学校でここまで人数の系列を公開している学校はほとんどありません。そのまま並べます。
| 時期 | 児童生徒数 | そのとき起きたこと |
|---|---|---|
| 1971年4月21日 | 43名 | 小学部5年〜中学部3年で開校。仮校舎はオーバーカッセル区のカニジウスハウス |
| 1972年5月3日 | 小1〜4年で90名 | ドン・ボスコ・シューレを借りて午後だけの授業を開始 |
| 1974年5月上旬 | 334名 | 前年比100名増。校舎の収容能力が限界に |
| 1975年1月 | ― | 増築完成。普通教室16教室・500名収容可能に |
| 1977年4月上旬 | 500名突破 | 視聴覚室を一般教室に転用して17学級を維持 |
| 1979年3月末 | ― | 再増築完成。21教室・収容700名に |
| 1982年5月 | 783名 | ― |
| 1983年8月 | ― | 中学部6学級175名がランカー通りのドイツ人学校へ移転 |
| 1987年5月 | 900名超 | ― |
| 1992年 | 998名 | 新校舎増築工事を開始(地上3階地下1階・3,515㎡・12教室480名分) |
| 1993年5月25日 | ― | 増築校舎完成。旧校舎と合わせて25教室・1,000名収容体制 |
22年で43名から998名へ。23倍です。校舎は3回にわたって増築され、1993年にようやく1,000名を収容できる体制が整いました。
学校自身が「年々減少傾向にありました」と書いている
この記事でいちばん大事なのは、次の1文です。1,000名収容の校舎が完成した1993年の記述に続けて、同校はこう書いています。
しかし、児童・生徒数は年々減少傾向にありました。
校舎が1,000名分そろった年が、増加の終わりでもあったということです。実際、1983年に手狭になって借りたランカー校舎は、2001年7月に返上され、中学部は小学部の校舎に戻っています。人数が減ったから1つの校舎に収まるようになった、という順番です。
998名から約430名へ。減少はおよそ57%。一方で校舎の収容力は25教室・1,000名のまま変わっていません。1学年あたり平均48名前後という計算になり、各学年に複数学級がある規模は保たれています。

減っても「最大級」――欧州の日本人学校の縮尺
ここで誤解しないでほしいのは、約430名という数字は、欧州では依然として大きいということです。同じヨーロッパの全日制日本人学校を並べると縮尺が分かります。
| 学校 | 規模の手がかり |
|---|---|
| デュッセルドルフ日本人学校 | 約430名(基準日の記載なし)/「北米・欧州地域でも最大級」 |
| ロンドン日本人学校 | 児童173名・生徒89名の計262名(4月15日現在、同校日本語版サイト) |
| 日仏文化学院 パリ日本人学校 | 在籍数は非公表。学校だよりの教職員組織から小1〜中3の全9学年が各1学級 |
| ベルリン日本人国際学校 | 自校サイトに「在学する児童生徒数は少ない状態が続いている」と明記 |
パリが全学年1学級、ロンドンが262名という縮尺のなかで、デュッセルドルフの約430名は突出しています。ドイツ国内の5校の内訳や設置者はドイツの日本人学校の学費で扱っています。

人数を左右してきた仕組み――共益法人と、州の「補充校」認可
同校が公開している法人定款と学校説明から、規模を支えている枠組みも読み取れます。
- 設置者は共益法人 Japanische Internationale Schule e.V.(文部科学省の一覧では「共益法人日本国際学校」と記載され、学校名と設置者名が一致しません)
- ドイツ側のステータスはノルトライン・ヴェストファーレン州により私立学校の「補充校」として認可
- 運営費は建設寄付金・授業料・入学金・日本政府からの補助金で賄われる
- 1972年2月10日に文部省告示第10号で在外教育施設に指定(中学部卒業でドイツから日本の高校を受験できるようになった)
- 1992年12月18日に小中同等の課程を有する在外教育施設として認定(平成5年文部省告示2号)
- 定款には「生徒の25%にあっては保護者の財産状況による如何なる分け隔ても行われてはならない」という条項がある(2000年11月17日 臨時会員総会決議)
つまり入学の前提に会員資格がある学校です。ドイツの日本人学校5校のうち4校は共益法人(e.V.)が設置者で、保護者本人か勤務先が会員であることが入学条件に関わってきます。家庭の側で動かせない条件なので、赴任前に勤務先へ確認しておく価値があります。
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1971年から変わったこと、変わらなかったこと
最後に、人数以外で押さえておきたい変化を挙げます。
- 2016年4月から小学部・中学部ともに50分授業を開始
- 1981年からツェツィーリエン・ギムナジウムと姉妹校提携(2006年に25周年、2011年に30周年)
- 1979年に「日本語教室」を開設(のちの日本語補習教室・日本語補習校)。全日制に通わない学齢児童への日本語指導が定款に明記されている
- 2021年10月29日に創立50周年記念式典
- 2005年から校門の常時閉扉化、2004年からチップ認識による開扉システム
注目したいのは併設の日本語補習校です。全日制に通わない子どものための日本語指導は、1979年から同じ法人が担ってきました。「デュッセルドルフには全日制と補習校の両方がある」というのは、この学校の歴史そのものです。

430名の学校でも、日本の同世代は近くにいない
約430名は欧州最大級です。それでも、そこにいるのは「デュッセルドルフにいる日本の子ども」であって、「いま日本にいる同世代」ではありません。帰国して差が出るのは、語彙の量よりも、同じ話題に同じ速さで乗れるかどうかです。
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よくある質問(デュッセルドルフ日本人学校 人数)
デュッセルドルフ日本人学校の人数は何人ですか?
同校の学校長挨拶に「約430名の児童生徒が学ぶ」と記載されています。ただし基準日は公表されていません。学年別の内訳や学級数、教職員数も公表されていないため、正確な最新値は学校へご確認ください。
いちばん多かったときは何人でしたか?
1992年の998名です。同校の沿革によると、1971年4月に43名で開校し、1974年5月334名、1977年4月に500名突破、1982年5月783名、1987年5月に900名超と増え続けました。1993年5月に増築校舎が完成し、25教室・1,000名収容の体制が整っています。
なぜ人数が減ったのですか?
学校は理由を明記していませんが、沿革に「しかし、児童・生徒数は年々減少傾向にありました」と1993年以降の記述として書いています。1983年に中学部が借りていたランカー校舎は2001年7月に返上され、小学部の校舎へ統合されました。人数の減少が、校舎の使い方の変化として記録されています。
それでも「最大級」というのは本当ですか?
欧州のほかの全日制と比べると妥当な表現です。ロンドン日本人学校は262名(同校日本語版サイト、4月15日現在)、パリ日本人学校は在籍数非公表ですが全9学年が各1学級、ベルリン日本人国際学校は自校サイトで「在学する児童生徒数は少ない状態が続いている」と書いています。
デュッセルドルフ日本人学校の設置者はどこですか?
共益法人 Japanische Internationale Schule e.V. です。文部科学省「認定した在外教育施設一覧」(令和8年4月1日時点)には設置者「共益法人日本国際学校」と記載され、学校名と設置者名が一致しない数少ない例になっています。ドイツ側ではノルトライン・ヴェストファーレン州から私立学校の「補充校」として認可されています。
日本語補習校もありますか?
あります。同じ法人が運営しており、起点は1979年4月に全日校内に開設された「日本語教室」(当初は小学部5年のみ・週日の夕方)です。1988年に「日本語補習教室」と改称、1990年に授業日を土曜日へ変更しています。定款にも「全日制日本人学校に通学しない学齢児童に対する日本語指導の実施」が目的として明記されています。
学費はドイツの日本人学校の学費、学校選び全体はデュッセルドルフの学校選びにまとめています。近隣のフランクフルトの学校選び、他都市との比較は日本人学校の生徒数、世界の学校は日本人学校 一覧をどうぞ。



