メキシコ赴任が決まって「メキシコの日本人学校の学費」を調べても、はっきりした金額表がなかなか出てきません。理由は単純で、メキシコの3校のうち、公式サイトに費用を公表しているのはグアナファト日本人学校だけだからです。そのグアナファトの令和8年度(2026年度)の公表額は、入学時に賛助会員登録料30,000ペソ、毎月月額会費9,300ペソ、さらに企業援助金が駐在員子女1名あたり年62,000ペソ――この「企業援助金」という費目が、メキシコの日本人学校を理解する鍵になります。この記事では3校それぞれの実態と、日本メキシコ学院という世界的にも珍しい学校の仕組み、そして小規模校ほど1人あたりの負担が重くなる構造を整理します。
メキシコにある日本人学校は3校
文部科学省が認定している全日制の日本人学校は、メキシコに3校あります。日本メキシコ学院 日本コース(メキシコシティ)、アグアスカリエンテス日本人学校、グアナファト日本人学校(イラプアト)です。3校とも小学部と中学部で、高等部はありません(日本メキシコ学院には幼稚部があります)。
| 学校 | 所在地 | 学部 | 開校 | 費用の公表 |
|---|---|---|---|---|
| 日本メキシコ学院 日本コース | メキシコシティ | 幼稚部・小学部・中学部 | 1977年 | 現行額は非公表 |
| アグアスカリエンテス日本人学校 | アグアスカリエンテス | 小学部・中学部 | 1982年開校/1997年認定 | 配布書類のみ |
| グアナファト日本人学校 | イラプアト(グアナファト州) | 小学部・中学部 | 2019年4月 | 公式サイトに掲載 |
グアナファト日本人学校の費用【令和8年度の公表額】
グアナファト日本人学校は、公式サイトの「入学金・学費」ページに費用を明記しています。円換算は1メキシコペソ=8.5円で計算した目安です。
| 項目 | 金額 | 納入 |
|---|---|---|
| 賛助会員登録料 | 30,000ペソ(約25万5千円) | 入学時 |
| 月額会費(通学者1名あたり) | 9,300ペソ(約7万9千円) | 毎月 |
| 企業援助金(駐在員子女1名あたり) | 年62,000ペソ(約52万7千円) | 年額 |
| 年間の月額会費合計 | 111,600ペソ(約95万円) | ― |

「企業援助金」――家庭の負担ではなく、会社が払う費目
メキシコの日本人学校を理解するうえで最も重要なのが、この企業援助金という費目です。グアナファト日本人学校の場合、駐在員子女1名あたり年62,000ペソを、保護者の勤務先企業が拠出します。家庭が払う月額会費9,300ペソ(年111,600ペソ)とは別枠です。
つまり1人の子どもが1年間通うために、学校の側から見ると年間173,600ペソ(約147万円)が集まる設計になっています。日本人学校は日本国内の学校のような公費運営ではなく、現地の日本人会や企業の拠出で成り立っている在外教育施設です。児童生徒数が44名という小規模校では、1人あたりの固定費負担がどうしても重くなる――その差額を企業が引き受けている、というのがこの費目の意味です。
実務上のポイントは「会社が拠出者になっているか」を赴任前に確認することです。企業援助金は保護者個人ではなく企業が納めるものとして設計されているため、個人事業主・現地採用・すでに退職している家庭などは、この枠組みにそのまま乗れない可能性があります。学校側の運用は個別ですので、勤務形態が一般的な駐在と異なる場合は、学校と会社の双方に先に確認してください。着任してから相談すると、選択肢がなくなります。
日本メキシコ学院――世界でも珍しい「2つのコースが同居する学校」
メキシコシティにある日本メキシコ学院(Liceo Mexicano Japonés)は、日本人学校としては世界的にも例のない構造をしています。同じ敷地・同じ校舎のなかに、日本人向けの日本コースと、メキシコの子どもが日本文化をベースにした教育を受けるメキシココースが並存しているのです。1974年の田中総理(当時)のメキシコ訪問時の共同声明を出発点として設立された経緯があり、単なる在外教育施設ではなく、日墨の教育交流機関としての性格を持っています。
特筆すべきは幼稚部が日本コースとメキシココースの合同で運営されていることです。就学前の段階から日本の子どもとメキシコの子どもが同じ教室で過ごすという環境は、他の日本人学校にはありません。「日本人学校=日本人だけの閉じた環境」というイメージとはかなり違う学校です。
学費については、同校は現行の金額を公式サイトで公表していません。2022年度時点で公表されていた数字として、入学金が小学部6,520ペソ・中学部6,560ペソ、月額授業料が小学部3,260ペソ・中学部3,280ペソ、スクールバス代が月1,110ペソという値が伝えられています。これは4年前の数字であり、インフレ率の高いメキシコでそのまま現在に当てはめるのは危険です。見積もりを作る段階では必ず学校へ直接お問い合わせください。

アグアスカリエンテス日本人学校は書類配布方式
アグアスカリエンテス日本人学校は、1982年9月に開校し、1997年12月に文部省(当時)認定の全日制日本人学校となった歴史のある学校です。中央高原の自動車産業集積地にあり、日系メーカーの駐在家庭が主な対象になります。
同校は編入学案内や学校要覧をGoogle Driveの配布書類として提供する方式をとっており、本稿執筆時点で公式サイトの閲覧ページ上に学費表を確認できませんでした。費用については学校(agsjaponesa@escuelajaponesa.net/+52-449-913-3959)へ直接お問い合わせください。
インターとの比較――メキシコは「日本人学校が高い」側に寄る
アジアの赴任先では、日本人学校とインターナショナルスクールの授業料に4〜8倍の差が開くのが普通です。ところがメキシコでは、この差がかなり小さくなります。グアナファト日本人学校の家庭負担は年111,600ペソ。メキシコシティの主要インターは学年により年20万〜40万ペソ台のレンジで、地方都市のバイリンガル校であれば年10万ペソ前後から選択肢があります。

価格差が小さいということは、「学費で決まらない」ということです。アジアの赴任先では「インターは高すぎて選べなかった」で議論が終わることが多いのですが、メキシコではその逃げ道がありません。日本語で日本の教育課程を受け続けるのか、スペイン語・英語の環境に飛び込むのかを、家庭の方針として正面から決めることになります。しかも日本人学校がある都市は3か所に限られており、モンテレイ、ケレタロ、レオン、ティファナといった日系企業の多い都市に赴任する家庭には、そもそも日本人学校という選択肢がありません。
日本人学校がない都市に赴任したら
メキシコには補習授業校(土曜日に日本語で国語などを学ぶ学校)もありますが、こちらも都市が限られます。日本人学校も補習校もない街に赴任した家庭は、平日は現地校かインターに通い、日本語は家庭で維持するという形になります。
正直に言えば、家庭内の会話だけで学年相当の国語を維持するのは大変です。スペイン語と英語はぐんぐん伸びるのに、漢字が学年から遅れ、作文が書けなくなり、やがて日本語で話すこと自体を面倒がるようになる――これは駐在家庭で最も多い相談です。漢字・読解・作文は量が要る領域なので、週に数時間の親子学習では追いつきません。
ともだちじゃぱんは、日本の現役水準の教員が8人の少人数クラスを担任し、日本にいる同世代の子どもたちと一緒に学ぶオンライン日本語スクールです。メキシコと日本の時差は15時間で、日本の土曜午前は、メキシコの金曜の夕方にあたります。学校から帰ってきた時間にそのまま参加できる、という点でメキシコは意外と条件が悪くありません。月額定額の通い放題で、日本人学校に通いながらの補完としても、現地校・インターの日本語のピンポイント補強としても使えます。
よくある質問(メキシコで学校を選ぶ方から)
メキシコに日本人学校はいくつありますか?
全日制の日本人学校は3校です。日本メキシコ学院 日本コース(メキシコシティ)、アグアスカリエンテス日本人学校、グアナファト日本人学校(イラプアト)。いずれも中学部までで、高等部はありません。
グアナファト日本人学校の学費は月いくらですか?
通学者1名あたり月額会費9,300ペソ(約7万9千円)です。入学時に賛助会員登録料30,000ペソ、そして保護者の勤務先企業が駐在員子女1名あたり年62,000ペソの企業援助金を拠出します(令和8年度)。月額会費は、その月に1日でも在籍すれば全額が必要です。
日本メキシコ学院の学費はいくらですか?
現行の金額は公表されていません。2022年度時点で伝えられていた値は、入学金が小学部6,520ペソ・中学部6,560ペソ、月額授業料が小学部3,260ペソ・中学部3,280ペソ、スクールバス代が月1,110ペソです。メキシコはインフレ率が高いため、この数字をそのまま現在の見積もりに使わないでください。学校へ直接お問い合わせください。
企業援助金は家庭が払うのですか?
グアナファト日本人学校の場合、企業援助金は駐在員子女1名あたり年62,000ペソを企業が拠出する設計です。家庭が納める月額会費とは別枠になります。個人事業主や現地採用など、勤務形態が一般的な駐在と異なる場合の扱いは学校ごとの運用になりますので、赴任前に学校と会社の双方へご確認ください。
モンテレイやケレタロには日本人学校はありますか?
全日制の日本人学校はありません。日系企業が多い都市でも、日本人学校があるのはメキシコシティ・アグアスカリエンテス・イラプアトの3か所だけです。それ以外の都市に赴任した場合は、現地校またはインターに通いながら日本語をどう維持するかを考えることになります。

世界の学校をまとめた日本人学校 一覧と日本人学校の学費相場、日本人学校に高校はあるのかもあわせてどうぞ。国レベルで学費を並べた記事はアメリカ・中国・韓国もあります。

