神奈川への本帰国が決まると、まず気になるのは「横浜や川崎の公立小学校で、帰国した子はどれくらい受け入れられているのか」です。そこで「帰国子女 小学校 神奈川」「横浜 帰国子女 小学校」「川崎市 帰国子女 小学校」と検索する保護者は確実にいます。ところが検索結果に並ぶのは口コミや私立の帰国生入試の一覧が中心で、公立小のことを数字で答えているページはほとんど見当たりません。
じつは神奈川県は、市町村ごと、さらに横浜・川崎・相模原は区ごとに「1年間に海外から帰国して公立小学校に入った子どもの数」を毎年公表しています。この記事では、その最新の統計(令和7年度 神奈川県学校基本統計)を使って帰国子女が多い区市をランキングにし、横浜市・川崎市の受け入れ体制、学校の決まり方、帰国児童の枠がある国立小までを整理します。先に結論を書くと、公立小で多いのは横浜市青葉区(74人)・港北区(71人)・川崎市宮前区(68人)です。

数字の読み方を先にお伝えします。統計に載っているのは「海外勤務者等の子どもで、1年を超えて海外に住み、前年度のあいだに帰国した子の数」(県の表の定義)です。区内に在籍している帰国子女の総数ではありません。毎年どれくらいの帰国家庭がその区市を選んでいるか、という流入の目安として読んでください。
先に結論――神奈川の帰国子女は横浜北部と川崎の宮前・中原に集まる
- 令和6年度のあいだに帰国して神奈川の公立小学校に入った子は852人。神奈川は国公私立あわせて887人で、東京都に次いで全国2位です。
- 多いのは青葉区・港北区・宮前区・都筑区・中原区。この5区だけで308人、県全体の約36%です。
- 中学校になると、帰国した生徒の3人に1人が私立へ進みます(小学校は96%が公立)。
- 学校ごとの帰国児童数は、県も横浜市・川崎市も公表していません。公立は住所で通う学校が決まるので、選ぶのは「学校」より先に「住む区」です。
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帰国子女が多い区市ランキング――公立小は青葉区・港北区・宮前区が上位
県の統計では、政令指定都市の横浜市・川崎市・相模原市は区ごとに数字が出ています。区と市を同じ表に並べると、上位は次のとおりです。
| 順位 | 区市 | 帰国児童数 | 公立在籍児童数 | 在籍1,000人あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 横浜市青葉区 | 74人 | 14,551人 | 5.1人 |
| 2 | 横浜市港北区 | 71人 | 17,422人 | 4.1人 |
| 3 | 川崎市宮前区 | 68人 | 12,156人 | 5.6人 |
| 4 | 藤沢市 | 58人 | 22,660人 | 2.6人 |
| 5 | 横浜市都筑区 | 53人 | 12,079人 | 4.4人 |
| 6 | 横浜市中区 | 48人 | 4,324人 | 11.1人 |
| 7 | 川崎市中原区 | 42人 | 13,145人 | 3.2人 |
| 8 | 横浜市神奈川区 | 27人 | 10,033人 | 2.7人 |
| 9 | 川崎市高津区 | 25人 | 11,446人 | 2.2人 |
| 9 | 川崎市麻生区 | 25人 | 8,752人 | 2.9人 |
市でまとめると、横浜市が411人、川崎市が200人で、2市だけで県全体の7割以上です。横浜市の中でも偏りがはっきりしていて、青葉・港北・都筑の北部3区で198人、横浜市全体の48%。この3区の在籍児童は市全体の27%なので、帰国した子は北部に2倍近く集まっている計算です。川崎市でも、宮前区と中原区の2区で200人のうち110人を占めます。
県全体の帰国児童数(国公私立)は令和2年度間の1,013人から令和5年度間の704人まで減り、令和6年度間は887人に戻りました。横浜市立小だけでも、前の年の307人から411人に増えています。
割合で見ると中区と宮前区――「クラスに帰国した子がいるか」の目安
人数の多さは、区そのものの大きさにも左右されます。「同じように帰ってきた子が学年にいそうか」を知りたいなら、在籍1,000人あたりの人数のほうが実感に近い数字です(在籍3,000人以上の区市)。
- 横浜市中区 11.1人(県平均2.1人の約5倍)
- 川崎市宮前区 5.6人
- 横浜市青葉区 5.1人
- 横浜市都筑区 4.4人/港北区 4.1人
- 川崎市中原区 3.2人、麻生区 2.9人、横浜市神奈川区 2.7人、藤沢市 2.6人、鎌倉市 2.2人
中区は在籍4,324人の小さな区に48人で、東京で最も高い港区(10.7人)と同じ水準です(理由を説明する公的資料は見当たりません)。反対に、相模原市(0.6人)や横浜市の瀬谷区・港南区(いずれも0.6人)では、帰国した子が学年にひとりもいないことも普通にあります。県平均の2.1人は東京都平均(2.9人)より低く、神奈川では「どの区か」による差が東京以上に大きいと言えます。
同じ表で外国籍の児童が多いのは横浜市の南区(719人)・鶴見区(655人)や川崎市の川崎区(720人)で、帰国児童が多い区とはほとんど重なりません。「日本語の支援が手厚い地域=帰国子女が多い地域」ではないことは覚えておいてください。

中学になると3人に1人が私立へ――横浜市立中の帰国生は76人
令和6年度間に帰国して神奈川の公立中学校に入った生徒は県全体で194人。横浜市立中が76人(青葉区14人、港北区10人、都筑区7人など)、川崎市立中が42人(宮前区13人、中原区12人、幸区11人)、藤沢市21人です。
帰国した小学生887人のうち公立は852人(96%)なのに対し、帰国した中学生310人では私立が104人(34%)、国立が12人で、公立は194人(63%)にとどまります。中学からは3人に1人が私立の帰国生入試や編入を選んでいます(東京は55%が私立なので、神奈川は公立中に残る割合が高めです)。

私立中学の帰国生入試は帰国子女枠 中学受験 神奈川に、その先の公立高校の帰国枠は帰国子女 高校受験 神奈川にまとめています。
横浜市の受け入れ体制――編入の流れ、「ひまわり」、日本語教室、国際教室
① 住民登録をした区役所が、通う学校を指定する
横浜市教育委員会の「横浜市帰国児童生徒教育ガイド」によると、手順は、帰国して住まいが決まったら区役所で住民登録をする→区役所が入学通知書を出して通う学校を指定する→その学校で編入の手続きと就学相談・面接、という流れです。学年は年齢相当の学年が原則です。現地校からの場合は在学証明書や成績証明書、補習授業校の記録を可能な範囲で持参します。相談先は教育委員会事務局の小中学校企画課です。
② 日本語支援拠点施設「ひまわり」のプレクラス
横浜市は、中区(平成29年)・鶴見小学校内(令和2年)・都筑小学校内(令和4年)の3か所に日本語支援拠点施設「ひまわり」を置いています。ここで行うプレクラスは、帰国・来日して間もない子が対象で、週3日・4週間の集中的な日本語指導と学校生活の体験を行うものです。参加は編入先の学校を通して申し込み、参加費は無料(交通費は自己負担)です。
③ 横浜市日本語教室と④ 国際教室
初期の日本語指導が必要な子のために、横浜市は日本語教室も開いています。小学生は原則として、日本語講師が在籍校に来る派遣指導(週1回)、中学生は市内5か所の集中教室に通う通級指導(週2回)です。さらに、日本語指導が必要な子が一定数以上いる学校には教員が加配され、国際教室が開かれます(「一定数」の具体的な人数は、市の手引には書かれていません)。
どれも「日本語の力が十分でない子」のための仕組みで、市の手引は帰国児童生徒も対象に含めています。ただ、拠点施設のうち帰国子女の多い北部にあるのは都筑だけです。海外で日本語を保ってきた子にとっては、これらは読み書きでつまずいたときの相談先と考えるのが現実的です。なお、帰国前の一時帰国で体験入学をしたい場合の仕組み(横浜市では「一時受入れ」)は横浜市の一時帰国の体験入学で解説しています。
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川崎市の受け入れ体制――国際教室は「5名以上」の学校に
川崎市が文部科学省に提出した令和7年度の報告によると、日本語指導が必要な児童生徒が5名以上いる学校に教員を加配して「国際教室」を設置し、国際教室のない少数在籍校には日本語指導の非常勤講師が巡回します。初期の支援としては、母語で支援できる「日本語指導初期支援員」を、原則週2回・1回2時間・計100時間配置しています(中学生は50時間の延長が可能)。
横浜市の「帰国児童生徒教育ガイド」のような帰国家庭向けの公式案内は見当たらないので、宮前区・中原区などに住む予定なら、区役所の就学担当や市教育委員会に受け入れ方を直接確認しておくと安心です。
公立は「どこに住むか」で学校が決まる――横浜市に学校選択制はない
文部科学省の案内でも、帰国して国内に住所を定めると、住所地の教育委員会が就学先の学校と編入日を通知する仕組みです。横浜市は公式に「住所で指定された学校へ就学する『通学区域制度』」を採っていて、東京の一部の区にあるような学校選択制はありません。
例外の「通学区域特認校制度」も、対象は義務教育学校(小中一貫校)だけで、募集は年1回、翌年4月入学の分のみ。年度の途中には使えません。川崎市も住所で学校が指定され、指定校の変更には事情ごとに定められた理由が必要です。つまり、帰国子女が多い区の学校に通わせたいなら、住まいを決めた時点で通う学校もほぼ決まると考えてください。気になる学校は、指定校が分かった段階で学校見学や就学相談で様子を聞くのが確実です。年度途中の編入の全体像は帰国子女の小学校編入、東京の区別データは帰国子女が多い公立小学校・中学校【東京】で比べられます。
帰国児童の枠がある小学校――附属横浜小は「学年5名」
公立ではありませんが、神奈川で帰国児童の受け入れを制度として持っている小学校として、横浜国立大学教育学部附属横浜小学校(中区)があります。公式サイトでは、帰国児童を学年で5名受け入れ、普通学級に編入して特別学級は作らず、国語科を中心に少人数で未学習の内容を補うと説明しています。2026年度の第2回募集(夏休み明けの編入)は3年生5名・4年生4名で、応募資格は、日本で生まれ、保護者の勤務の都合で帰国して同居していること、海外生活2年以上で出願日の1年以内に帰国したこと、神奈川県在住で通学片道1時間以内であることの4点です。全国の国立小の帰国枠は国立小学校の編入にまとめています。同じ横浜国立大学の附属鎌倉小学校は、公式サイトに帰国児童や編入の募集の記載が見当たりませんでした。
私立小は「帰国枠」ではなく、欠員が出た学年だけの転編入試験が中心です。森村学園初等部(緑区)は空きが出た学年で学期ごとに国語・算数・面接の試験を行い、青山学院横浜英和小学校(南区)も2026年度は7月に3・4年生若干名の転編入試験を実施しました。桐蔭学園小学校(青葉区)は国内からの転入は募集しておらず、海外からの編入は学校に直接問い合わせる形です。慶應義塾横浜初等部(青葉区)は公式の募集が1年生のみで、編入の案内は見当たりません。時期と学年は年度ごとに変わるので、早めに各校の公式サイトを確認してください。
選び方を比べる――「多い区の公立」「日本語支援」「附属・私立」「海外にいるうちの準備」
| 帰国が多い区の公立 | 国際教室・ひまわり | 附属横浜小・私立の編入 | ともだちじゃぱん(併用) | |
|---|---|---|---|---|
| 入り方 | 住所で決まる。試験なし・いつでも | 在籍校を通して申し込む | 募集のある時期・学年だけ。選考あり | 海外にいるうちからオンラインで |
| 得られるもの | 同じ境遇の子に会える可能性 | 初期の日本語の集中支援 | 帰国児童が一定数いる学年(附属横浜小) | 学年相当の国語と、日本の同世代の友達 |
| 注意点 | 学校ごとの人数は非公表 | 外国籍の子が多い地域が中心 | 枠は小さく、居住地や帰国時期の条件がある | 学校の代わりではなく、帰国前後の土台づくり |
| 費用 | 公立のため授業料なし | 無料(交通費は自己負担) | 国立は諸費、私立は学費が必要 | 通い放題の月額定額(学費は資料でご案内) |
帰国子女が多い区に住んでも、埋まらないものがある
同じ境遇の子がいそうな区は心強いものですが、住む区を選ぶだけでは解決しないことが2つあります。
ひとつは国語です。日常会話は2〜3年で身につくと言われる一方、教科書を読んで考えて書く力は5〜7年かかると言われます。附属横浜小が国語を中心に少人数で未学習の内容を補っているのも、帰国した子がつまずきやすいのがそこだからです。会話はできるのに国語のテストで点が取れない、というつまずきは、学校の環境より、海外にいた期間に読み書きの力をどこまで積めたかで決まります。くわしくは帰国子女の国語――「できない」の正体をご覧ください。
もうひとつは友達です。帰国直後に子どもがいちばん不安に思うのは、勉強よりも「話せる友達がいるか」。帰国した子が多い区でも、学年に数人いるかどうかです。最初の数か月は友達づくりに苦労することがあります(帰国子女が学校になじめないとき)。

ともだちじゃぱんは、この2つを帰国する前から準備するためのオンラインの日本語スクールです。国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJINが母体で、現役水準の日本の教員が8人の少人数クラスで学年相当の国語を教えます。クラスには日本に住む同世代の子もいて、帰国する時にはすでに日本に友達がいる状態をつくれます。附属小や地元の公立小の代わりではなく、横浜・川崎のどの区に住むことになっても持っていける土台です。料金は通い放題の月額定額で、学費は学校案内の資料でお届けしています。海外での国語の続け方は駐在中の国語、帰国後に間に合う?や補習校の代わりになるオンライン3タイプ比較もあわせてどうぞ。
よくある質問
神奈川で帰国子女が多い公立小学校はどこですか?
学校ごとの帰国児童数は公表されていません。区市単位では、令和6年度間に帰国して公立小に入った子は横浜市青葉区74人、港北区71人、川崎市宮前区68人、藤沢市58人、横浜市都筑区53人の順に多く、在籍1,000人あたりでは横浜市中区11.1人、宮前区5.6人、青葉区5.1人が上位です(神奈川県「令和7年度 神奈川県学校基本統計」)。
横浜市で帰国子女を受け入れる小学校は決まっていますか?
決まっていません。横浜市立小はどの学校も、住民登録をした住所で指定された学校に年齢相当の学年で編入します。日本語の初期支援が必要な場合は、拠点施設「ひまわり」のプレクラス(週3日・4週間)や日本語教室を学校を通して利用できます。帰国児童の枠を持つのは国立の横浜国立大学教育学部附属横浜小学校(学年5名)です。
川崎市で帰国子女が多いのはどの区ですか?
令和6年度間に川崎市立小へ入った帰国児童200人のうち、宮前区が68人、中原区が42人で、2区で半分以上を占めます。市立中学校は42人で、宮前区13人、中原区12人、幸区11人です(川崎市教育委員会「教育調査統計資料 令和7年度」)。
横浜市立中学校に帰国生は多いですか?
令和6年度間に帰国して横浜市立中学校に入った生徒は76人で、多いのは青葉区14人、港北区10人、都筑区7人です。神奈川全体では帰国した中学生310人のうち104人(34%)が私立に進むため、公立中には小学校ほど帰国生が集まりません。年度途中の受け入れは、小学校と同じく住所で指定された学校に年齢相当の学年で編入するのが原則です。



