帰国の時期が見えてくると、次に気になるのは「東京のどこに住めば、子どもが浮かずに済むのか」です。そこで「帰国子女 多い 小学校 東京」「帰国子女 多い 公立中学 東京」と検索する保護者は確実にいます。ところが検索結果に並ぶのは掲示板の口コミや、私立の帰国生入試の一覧ばかり。「公立で帰国子女が多いのはどこか」に、数字で答えているページはほとんどありません。
じつは東京都教育委員会は、区市町村ごとに「1年間に海外から帰国して公立小・中学校に入った子どもの数」を毎年公表しています。この記事では、その最新の統計(令和7年度 公立学校統計調査)を使って、帰国子女が多い区を人数と割合の両方でランキングにし、学校単位で受け入れ体制が分かる学校、住まい選びと学校選択制の関係までを整理します。先に結論を書くと、公立小で最も多いのは世田谷区(257人)、割合で見ると港区・文京区・目黒区です。

ひとつだけ、数字の読み方を先にお伝えします。統計に載っているのは「海外に1年以上住んで、その年度のあいだに帰国した子の数」(文部科学省の学校基本調査の定義)です。区内に在籍している帰国子女の総数ではありません。毎年どれくらいの帰国家庭がその区を選んでいるか、という流入の目安として読んでください。
帰国子女が多い区ランキング――公立小学校は世田谷区が257人で断トツ
令和6年度のあいだに帰国して都内の公立小学校に入った子は、都全体で1,682人でした。区市町村別に並べると、上位は次のとおりです。
| 順位 | 区市 | 帰国児童数 | 在籍児童数 | 在籍1,000人あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 世田谷区 | 257人 | 37,503人 | 6.9人 |
| 2 | 港区 | 117人 | 10,946人 | 10.7人 |
| 2 | 文京区 | 117人 | 11,385人 | 10.3人 |
| 2 | 杉並区 | 117人 | 22,620人 | 5.2人 |
| 5 | 目黒区 | 88人 | 10,142人 | 8.7人 |
| 6 | 大田区 | 81人 | 29,021人 | 2.8人 |
| 7 | 練馬区 | 71人 | 33,426人 | 2.1人 |
| 8 | 新宿区 | 69人 | 10,065人 | 6.9人 |
| 9 | 江東区 | 67人 | 24,390人 | 2.7人 |
| 10 | 武蔵野市 | 54人 | 6,482人 | 8.3人 |
上位5区(世田谷・港・文京・杉並・目黒)だけで696人、都全体の約4割を占めます。区部が1,353人で8割を超え、市部は320人。市部では武蔵野市(54人)が目立ちます。
都全体の推移も見ておくと、令和元年度間の2,031人から、コロナ禍の令和3年度間には1,489人まで落ち込み、令和6年度間は1,682人と戻りつつあります。帰国の動きは回復の途中で、東京は全国の帰国児童の28.5%(国公私立の合計6,398人のうち1,823人)を受け入れています。
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割合で見ると港区・文京区・目黒区――「クラスに帰国子女がいる」確率
人数が多いのは、区そのものが大きいからでもあります。世田谷区は在籍児童も3万7千人を超えます。「子どものクラスに、同じように帰ってきた子がいそうか」を知りたいなら、在籍1,000人あたりの人数のほうが実感に近い数字です。
- 港区 10.7人(都平均2.9人の約3.7倍)
- 文京区 10.3人
- 目黒区 8.7人
- 武蔵野市 8.3人
- 新宿区 6.9人/世田谷区 6.9人
- 狛江市 6.4人、中央区 5.5人、杉並区 5.2人、渋谷区 4.9人
在籍1,000人あたり10人というのは、毎年、学年ごとに数人ずつ帰国した子が入ってくる計算です。港区・文京区では、帰国した子が「学年でただ一人」になる場面はそれほど多くないと考えられます。反対に、都平均の2.9人を下回る区では、同じ境遇の子が学年にいないことも普通にあります。どちらが良い悪いではなく、子どもがどんな環境で再スタートを切るかを想像する材料として使ってください。

公立中学は都全体で363人――中学になると帰国生の半数以上が私立へ
「帰国子女 多い 公立中学 東京」と調べて答えが見つかりにくいのには、理由があります。令和6年度間に帰国して都内の公立中学校に入った生徒は、都全体で363人。小学校の1,682人の約5分の1です。
| 区市 | 帰国生徒数 | 在籍1,000人あたり |
|---|---|---|
| 世田谷区 | 50人 | 4.3人 |
| 台東区 | 28人 | 9.5人 |
| 港区 | 27人 | 11.2人 |
| 新宿区 | 20人 | 6.9人 |
| 練馬区 | 16人 | 1.2人 |
| 大田区 | 15人 | 1.4人 |
| 中央区 | 14人 | 7.2人 |
| 中野区 | 14人 | 3.3人 |
| 文京区 | 13人 | 5.4人 |
| 都全体 | 363人 | 1.6人 |
人数が少ないのは、帰国する中学生が少ないからではありません。文部科学省の学校基本調査(令和7年度)で東京都の内訳を見ると、帰国した小学生1,823人のうち公立は1,682人(約92%)。ところが帰国した中学生870人では、私立が481人(約55%)で、公立の358人を上回ります。小学校では大半が地元の公立に入り、中学からは半数以上が私立の帰国生入試や編入を選んでいる、というのが東京の実態です。

なお、台東区が2位に入っているのは、区の数字に都立の白鷗高等学校附属中学校(台東区)が含まれるためと考えられます。同校には後で紹介する「海外帰国・在京外国人生徒枠」があります(学校別の内訳は公表されていないため、断定はできません)。私立中学の帰国生入試については帰国子女枠 中学受験 東京に、年度の途中で公立・私立の中学に入る手続きは帰国子女 編入 中学 東京にまとめています。
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「帰国子女が多い学校名」は公表されていない――学校単位で分かるのは3種類だけ
ここまでは区単位の数字です。では「○○小学校は帰国子女が多い」という学校名は分かるのか。結論から言うと、公立小・中学校の学校ごとの帰国児童数は、都も区も公表していません。口コミで名前が挙がる学校はありますが、裏付けになる統計はないのが現状です。学校単位で受け入れの体制が公式に確認できるのは、次の3種類です。
① 日本語学級がある区立小・中学校(ただし帰国子女の多さとは別物)
都内には、日本語の力が十分でない子のための日本語学級が、令和7年5月時点で小学校27校・中学校(昼間)13校にあります。在籍校に籍を置いたまま週に何日か通う「通級」の学級で、都の定義では帰国児童も対象です。港区は公式ページで、小学校は笄小学校・麻布小学校、中学校は六本木中学校に置き、「帰国児童・生徒」も対象と明記しています。
ただし注意が必要です。日本語学級は外国籍の子どもが多い地域(北区・板橋区・葛飾区・江戸川区など)に多く置かれていて、帰国子女が最も多い世田谷区・杉並区・文京区には、小学校の日本語学級がありません。「日本語学級がある学校=帰国子女が多い学校」ではない、と覚えておいてください。日本語学級は、帰国後に日本語の読み書きでつまずいたときの支援の窓口として知っておくものです。
② 都立の中高一貫校と附属小学校の「海外帰国・在京外国人」枠
公立で、帰国した子のための入学枠をはっきり持っているのは都立の学校です。2027年度(令和9年度)の募集人員は次のとおり、2026年10月までに都教育委員会が公表しています。
- 白鷗高等学校附属中学校(台東区):募集180人のうち26人が海外帰国・在京外国人生徒枠。日本国籍の場合は連続2年以上の海外在住などが条件で、検査は作文と面接(日本語か英語を選べる)。2027年は1月25日に検査。
- 立川国際中等教育学校(立川市):募集144人のうち26人が同じ枠。
- 立川国際中等教育学校附属小学校(立川市):募集70人のうち12人(男女各6人)が海外帰国・在京外国人児童枠。出願の前に資格の確認が必要です。
これらは「多い学校」というより、帰国した子が一定数いることが制度で決まっている学校です。どれも入学時の募集で、年度の途中に入れる枠ではありません。
③ 国立の附属小学校の帰国児童学級(参考)
公立ではありませんが、東京学芸大学附属大泉小学校(練馬区)には4〜6年生の国際学級があり、日本語以外の言語で学んできた子を若干名ずつ受け入れています。学校は要項で、外国語の会話力を保つための教育はしないこと、受験のための学校ではないことを明記しています。国立小学校の帰国児童の枠は国立小学校の編入で全国の附属小をまとめています。
公立は「どの区に住むか」で学校が決まる――学校選択制の有無
公立小・中学校は、入試がない代わりに住所で学校が決まるのが原則です。文部科学省の案内でも、帰国した時点で住所地の教育委員会が就学先の学校と編入日を通知する仕組みになっています。つまり、公立で環境を選びたいなら「学校を選ぶ」より先に「住む区を選ぶ」ことになります。
ただ、区によっては住所の学校以外を希望できる学校選択制があります。都教育委員会の「学校選択制の実施状況(令和8年度)」から、帰国子女が多い区を抜き出すと次のとおりです。
| 区 | 小学校 | 中学校 |
|---|---|---|
| 世田谷区・杉並区・大田区 | なし(住所で決まる) | なし(住所で決まる) |
| 港区 | 隣接区域選択制 | 自由選択制 |
| 文京区・新宿区・渋谷区 | なし | 自由選択制 |
| 目黒区 | 隣接区域選択制(当面休止) | 隣接区域選択制 |
| 中央区 | 特認校制・特定地域選択制 | 自由選択制 |
| 江東区・品川区 | 自由選択制(江東)/隣接区域選択制(品川) | 自由選択制 |
帰国子女が最も多い世田谷区と杉並区には学校選択制がありません。小学校は住所でほぼ決まるので、住まいを決める段階で、通う学校もほぼ決まると考えてください。学校の様子を知りたいときは、区教育委員会の学務課や就学相談の窓口、学校公開で直接聞くのが確実です。公立小学校の受け入れの仕組みは帰国子女 受け入れ 小学校、東京での手続きの流れは帰国子女 編入 小学校 東京にまとめています。
選び方を比べる――「多い区」「支援のある学校」「帰国枠」「海外にいるうちの準備」
| 帰国が多い区の公立 | 日本語学級のある学校 | 都立・国立の帰国枠 | ともだちじゃぱん(併用) | |
|---|---|---|---|---|
| 入り方 | 住所で決まる。試験なし・いつでも | 在籍校から通級(区へ相談) | 入学時の募集・選考あり | 海外にいるうちからオンラインで |
| 得られるもの | 同じ境遇の子に会える可能性 | 日本語の読み書きの集中支援 | 帰国生が一定数いる学年 | 学年相当の国語と、日本の同世代の友達 |
| 注意点 | 学校ごとの人数は非公表 | 外国籍の子が中心の地域が多い | 枠は小さく、年度途中は入れない | 学校の代わりではなく、帰国前後の土台づくり |
| 費用 | 公立のため授業料なし | 公立のため授業料なし | 公立は授業料なし(国立は諸費あり) | 通い放題の月額定額(学費は資料でご案内) |
「帰国子女が多い学校」に入っても、埋まらないものがある
同じ境遇の子がいる学校は、たしかに心強いものです。けれど、学校選びだけでは解決しないことが2つあります。
ひとつは国語です。日常会話(生活言語)は2〜3年で身につくと言われる一方、教科書を読んで考えて書く力(学習言語)は5〜7年かかると言われます。帰国子女が多い学校でも、授業はすべて日本語で、学年相当の漢字と読解を前提に進みます。会話ができるのに国語のテストで点が取れない、というつまずきは、学校の環境ではなく、海外にいた期間に学習言語がどこまで積めたかで決まります。くわしくは帰国子女の国語――「できない」の正体をご覧ください。
もうひとつは友達です。帰国直後に子どもがいちばん不安に思うのは、勉強よりも「話せる友達がいるか」。帰国子女が多い学校でも、最初の数か月は友達づくりに苦労することがあります(帰国子女が学校になじめないとき)。

ともだちじゃぱんは、この2つを帰国する前から準備するためのオンラインの日本語スクールです。国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」(在籍1,000名超)を運営する株式会社NIJINが母体で、採用合格率およそ2%で選ばれた現役水準の日本の教員が、8人の少人数クラスで学年相当の国語を教えます。クラスには日本に住む同世代の子もいて、帰国する時にはすでに日本に友達がいる状態をつくれます。学校の代わりではなく、住む区や学校がどこになっても持っていける土台です。料金は通い放題の月額定額で、学費は学校案内の資料でお届けしています。海外での国語の続け方は駐在中の国語、帰国後に間に合う?や補習校の代わりになるオンライン3タイプ比較もあわせてどうぞ。
よくある質問
東京で帰国子女が多い公立小学校はどこですか?
学校ごとの帰国児童数は公表されていません。区単位では、令和6年度間に帰国して公立小に入った子は世田谷区257人、港区・文京区・杉並区が各117人、目黒区88人の順に多く、在籍1,000人あたりでは港区10.7人、文京区10.3人、目黒区8.7人が上位です(東京都教育委員会「令和7年度 公立学校統計調査」)。学校の様子は区教育委員会の学務課や学校公開で確認してください。
帰国子女が多い公立中学はありますか?
公立中学に入る帰国生は都全体で年363人と少なく、多いのは世田谷区50人、台東区28人、港区27人、新宿区20人です。東京では帰国した中学生の約55%が私立に進むため、公立中は小学校ほど帰国生が集まりません。帰国生の入学枠がはっきりある公立は、都立白鷗高等学校附属中学校と立川国際中等教育学校(2027年度はどちらも26人)です。
日本語学級がある学校を選べば安心ですか?
日本語学級は日本語の力が十分でない子の支援の場で、帰国児童も対象ですが、外国籍の子が多い地域に多く置かれています。帰国子女が最も多い世田谷区・杉並区・文京区には小学校の日本語学級がありません。学校選びの基準というより、帰国後に読み書きでつまずいたときの相談先として知っておくのがよいでしょう。
住む区が決まる前に、海外でしておけることは?
どの区・どの学校に入っても授業は日本語で進むので、学年相当の漢字と読解を止めないことがいちばん効きます。あわせて、日本の同世代と日本語で話す機会をつくっておくと、帰国後の友達づくりの不安も小さくなります。ともだちじゃぱんは、海外にいるうちから両方を続けられるよう設計しています。



