「帰国枠で受けられる中学の一覧が、どこかにまとまっているはずだ」――「帰国子女枠 中学受験 一覧」と検索し、塾のサイトを何枚も開いては見比べ、結局どれが正しいのか分からないまま夜が更ける。海外から日本の中学受験を考えるご家庭が、ほぼ全員通る道です。先に結論をお伝えします。全国の帰国枠受入校を1枚で網羅した「公式の一覧」は、存在しません。あるのは性質のまったく違う4種類の情報で、それぞれ「載っていること」と「載っていないこと」が最初から決まっています。この記事では、その4種類の使い分けと、手に入れた一覧をどう読めば志望校が絞れるのかを整理します。
「決定版の一覧」が存在しないのは、探し方が悪いからではありません
まず確かめておきたい事実があります。文部科学省は「帰国・外国人児童生徒教育情報(CLARINET)」というページで、日本語指導が必要な児童生徒のための特別の教育課程、各種調査結果、施策の資料をまとめて公開しています。ただしそこにあるのは支援制度の枠組みと調査であって、「帰国枠入試を実施している学校の全国一覧」は見当たりません。理由ははっきりしています。帰国生入試は国が定めた統一制度ではなく、私立・国立・公立の各校が、それぞれの判断で設けている入試だからです。
制度が学校単位である以上、一覧は「誰かが調べて集めたもの」しか存在しえません。集めた主体が違えば、収録範囲も更新の頻度も、載っている項目も違う。断片的な情報を突き合わせて疲れてしまうのは、あなたの探し方が下手だからではなく、もともと出所の違う表を並べているからです。制度そのものの全体像は帰国子女の中学受験|条件・日程・選考型に整理しました。
そして「集めたもの」である以上、必ず基準日が付きます。たとえば日能研グローバル・サービスが公開している帰国生入試日程のPDFには「2025年12月17日現在」といった時点が明記されています。これは不親切なのではなく誠実な表示で、一覧は生もので賞味期限があるという合図です。

手に入る「一覧」は4種類。何が載っていて、何が載っていないか
(a)公的団体の資料――公益財団法人 海外子女教育振興財団(JOES)。海外・帰国子女教育を支援する財団で、長く『帰国子女のための学校便覧』という刊行物を発行してきました。2024年11月には、その内容を引き継ぐ形で「国内学校情報検索サイト」が公開され、帰国生の受入実績がある全国の学校を、幼稚園から大学まで千校を超える規模で検索できるようになっています。利用は無料ですが、「JOESマイポータル」への登録とログインが必要です。全国を見渡す用途にはこれが最も近い一手です。
(b)塾・受験情報サイトの一覧。日能研グローバル・サービスの「入試カレンダー<首都圏版>」や日程一覧のPDF、インターエデュの帰国生入試日程一覧などです。登録不要で今すぐ開けるのが最大の利点。ただし多くは学校名と入試日が主役で、出願資格・選考科目・募集人員は別の「入試要項一覧」に分かれています。収録も首都圏中心のものが目立ちます。地域ごとの見取り図は東京、神奈川、千葉、関西、名古屋の記事に分けてまとめています。
(c)各校の入試要項。これは一覧ではありませんが、出願資格を一日単位まで確定できる唯一の一次資料です。最終判断はここでしかできません。そして(d)都県の私学協会が出す転・編入情報。東京では、東京私立中学高等学校協会が各私立学校に調査を行い、東京都がとりまとめて学期末ごとに公表しています。応募資格が「①転勤・転居/②海外帰国/③条件なし」の3区分で示され、実施校と選抜日がわかる形式です。ただしこれは新入学ではなく途中入学(転・編入)の情報。帰国のタイミングが学年の途中になるご家庭には、むしろこちらが本命になります(帰国子女の中学編入/編入試験の中身)。
- この4つのどれにも載っていないもの――合否ラインの目安と、実質倍率の予測
- 入学後に日本語のフォローがどれだけあるか、その運用の実際
- お子さんが出願資格を満たすかどうかの最終確認(学校に直接たずねる領域)

| JOESなど公的団体の情報 | 塾・受験情報サイトの一覧 | 各校の入試要項 | 私学協会の転・編入情報 | |
|---|---|---|---|---|
| カバー範囲 | 全国。幼稚園から大学まで広い | 首都圏中心。地域別のものもある | その1校のみ | その都県の私立校(東京は中学・高校) |
| 更新の頻度 | 随時更新。刊行物は例年秋に発刊 | 基準日つきで随時差し替え | 年度ごとに各校が公表 | 学期末ごと(1学期末・2学期末・3学期末) |
| 出願資格まで分かるか | 概要まで分かる | 一覧だけでは分からないことが多い | 一日単位まで確定できる | 「海外帰国」などの区分は分かる |
| 選考型まで分かるか | 選考方法の概要まで | 別ページの要項一覧を要確認 | 科目・配点・面接の有無まで | 選抜日が中心。科目は各校へ |
| 使いどころ | 候補を広く出す最初の一手 | 日程の全体像をつかむ | 絞り込みと最終判断 | 学年途中で帰国する場合の本命 |
同じ「帰国枠あり」でも中身は別物。学校名だけ見て絞るのが最大の失敗です
一覧を手に入れた方がまずやってしまうのが、学校名と偏差値らしき数字だけを見て候補を10校に絞る、という作業です。これが最も遠回りになります。同じ「帰国枠あり」の4文字でも、実際に見るべきは①出願資格 ②選考型 ③募集人員 ④実施時期の4項目で、ここが学校ごとにまったく違うからです。
①出願資格から具体的に見てみます。海城中学校の2027年度帰国生入試は「2021年4月1日から2027年3月31日までの間に通算2年以上海外に在住し、かつ2024年7月1日以降に帰国した方」と公表されています。一方、芝国際中学校や開智日本橋学園中学校のように「海外在留1年以上・帰国後3年以内」を軸にした学校もあります。在外年数が1年でよいのか2年必要なのか、帰国後の期限が2年なのか3年なのかで、出願できる学校の顔ぶれは入れ替わります(いずれも代表例です。最新の募集要項でご確認ください)。日本人学校に在籍中のご家庭は帰国子女枠 中学受験 日本人学校もあわせてどうぞ。
②選考型は、国語・算数の二科型、国算英の三科型、英語+作文・面接型、作文と面接を中心にした独自型などに分かれます。同じ学校の中で方式が分かれることも珍しくありません。海城の場合、A方式は国語・算数と面接、B方式は国語・算数・英語と面接と公表されています。③募集人員は「男子30名」のように明示する学校がある一方、「若干名」とだけ書かれる学校が多いのが帰国枠の特徴です。若干名は数名から十数名までの幅を含み、年ごとの振れも大きい。だからこそ見た目の数字より倍率の推移を追う必要があります(帰国子女枠 中学受験 偏差値)。そして④実施時期は12月から1月に分散し、2月1日を頂点とする一般入試とは別のカレンダーで動きます。
結局は「自分の一覧」を作るのが最短です――三つの手順
手順1:候補を広く出す。JOESの検索サイトで、通える範囲・学校種・帰国生への配慮といった条件から候補を出し、そこに民間の日程一覧を重ねて「いつ受けられるか」を確認します。ここでは絞りません。20校でも30校でも構いません。
手順2:4項目で自分の表にする。表計算ソフトで十分。学校名/出願資格(在外年数と帰国後の期限)/選考型/募集人員/実施日、に加えて「出典URL」と「確認した日」の2列を必ず作ってください。この2列があるだけで、来年また一から探し直す作業が消えます。塾のサイトから写した行と、学校の要項で裏を取った行は色分けしておきましょう。
手順3:一時帰国の回数で絞る。ここが海外在住ならではの、いちばん効く軸です。実施日が12月と1月に分かれている以上、渡航できる回数が受験校数の実質的な上限になります。航空券、下のお子さんの学校、ご家族の勤務――現実の制約から「今年は何回帰れるか」を先に決め、その回数に収まる日程の学校だけを残す。この順番にすると、迷う時間が一気に減ります。学校の空気を確かめる手立ては帰国子女 中学受験 説明会、海外会場や渡航の組み方は海外から日本の中学受験にまとめました。

一覧づくりのあとに残る、いちばん動かしにくい変数
正直に申し上げます。ともだちじゃぱんは受験専門塾ではありません。志望校別の過去問対策も、合格判定も、願書の添削もしていません。それは帰国生入試の蓄積を持つ塾の領域で、その価値は本物です。一覧づくりの伴走まで任せたいなら、迷わずそちらを頼ってください。
私たちが担うのはその一段手前――学年相当の国語/日本語という土台です。どの選考型を選んでも、作文でも面接でも、そして合格した先の教室でも、日本語で読んで考えて書く力は必ず要る。ここだけは一覧をどれだけ精密に作っても代わりにはなりません。母体は国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」を運営する株式会社NIJIN。講師は採用合格率およそ2%の選抜を通った今の日本の教室を知る現役水準の教員です。8人制の少人数クラスには日本に住む同世代の仲間がいるので、「勉強だから」ではなく「友達と話したいから」続きます。料金は通い放題で月額定額。受験期は塾と併用し、志望校対策は塾で、土台の国語はうちで、という分担が現実的だと考えています(帰国子女の国語「できない」の4つの層)。
まずは今の学年とのギャップを確認したい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。

よくある質問
帰国枠のある中学は、全国で何校あるのですか?
確定した数を示せる公的な集計は見当たりません。参考になるのは、海外子女教育振興財団(JOES)の国内学校情報検索サイトが、帰国生の受入実績がある学校を幼稚園から大学まで千校を超える規模で収録していることです。ただしこれは「帰国生を受け入れた実績のある学校」であって、「毎年、中学入試で帰国枠を実施している学校」とイコールではありません。本当に知りたいのは総数ではなく「うちの子が出願できる学校は何校か」のはずですので、在外年数・帰国時期・通学可能圏の3条件で絞ってから数えるほうが実用的です。
JOESの検索サイトは、海外からでも使えますか? 有料ですか?
公表されている案内では、国内学校情報検索サイトの利用自体は無料で、「JOESマイポータル」へのログインが必要とされています。海外在住のご家庭向けに利用手順の案内も用意されています。なお財団は長年『帰国子女のための学校便覧』という刊行物を発行しており、紙で手元に置きたい場合はそちらという選択肢もあります。登録方法・利用条件・刊行の状況は変わることがありますので、最新の内容は財団の公式サイトでご確認ください。
塾のサイトの一覧と、学校の要項で内容が違います。どちらが正しいですか?
例外なく学校の要項が正です。民間の一覧は公表時点の情報を整理したものなので、その後に学校が日程や資格を変えれば当然ずれます。実務的には、候補が5校程度まで絞れた段階で全校の要項を開き、出願資格の日付・選考科目・出願期間・受験料の支払い方法を自分の表に書き写してください。海外からの出願は書類の郵送や在学証明書の取り寄せに時間がかかるため、ずれの発見が遅れるほど傷が大きくなります。
一覧に載っていない学校は、帰国生を受け入れていないということですか?
そうとは限りません。一覧はあくまで作成者が調べた範囲です。とくに首都圏中心の一覧では、地方の学校や、帰国枠という名前を使わずに受け入れている学校が抜けやすくなります。また、新入学の帰国枠はなくても、転・編入では海外帰国を応募資格の区分として設けている学校があります。東京では東京私立中学高等学校協会の調査をもとに、応募資格が「転勤・転居/海外帰国/条件なし」の区分で学期末ごとに公表されています。気になる学校は、一覧に名前があるかで判断せず直接問い合わせるのが確実です。
作った一覧は、いつ作り直せばいいですか?
目安は年2回です。1回目は各校が翌年度の募集要項を公表する時期で、多くは夏から秋にかけて。ここで出願資格の日付が更新されるため、前年の表をそのまま使うと資格を読み違えます。2回目は出願直前で、変更や追加がないかの最終確認です。加えて、ご家庭の帰国予定が動いたときは必ず作り直してください。帰国が半年ずれるだけで、「帰国後○年以内」の条件に引っかかる学校が出入りするからです。

