バンコクで子育てをしていると、どこかの時点で必ず「バンコク 塾」「バンコク 塾 インター生」「バンコク 塾 小学生」「バンコク 塾 中学受験」と検索することになります。ところが出てくるのは広告と「おすすめランキング」ばかりで、「そもそもバンコクには何があって、何がないのか」という前提が書かれていません。この記事では、公式サイトと公的資料で確認できる事実だけを使って、バンコクの塾事情を整理します。最初に、いちばん大事な前提から書きます。バンコクには、日本語補習授業校がありません。
前提――バンコクは「補習校がない都市」だという事実
意外に知られていませんが、これは公的資料で確認できます。在タイ日本国大使館が「タイ国内の日本人学校・補習授業校」として案内しているのは、泰日協会学校(バンコク日本人学校)/泰日協会学校シラチャ校/プーケット日本人補習授業校の3つだけです。バンコクの補習授業校は掲載されていません。文部科学省が公表している認定在外教育施設の一覧でも、タイの欄にあるのはバンコクとシラチャの日本人学校のみです。
補習授業校とは、文部科学省の定義では「土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設」で、世界51カ国1地域に246校(2026年8月時点)あります。ロンドンにもニューヨークにもシンガポールにもあります。ところが、在留邦人が世界第2位の51,297人(令和7年10月1日現在・外務省)を数えるバンコクには、その受け皿がない。日本人学校に通う子は日本の教育課程で学べますが、現地校・インターに通う子には「土曜に日本語で国語を学ぶ公的な場」が制度として存在しないのがバンコクです。
だからバンコクでは、日本語・国語の補い方が「塾」か「オンライン」か「家庭で」の三択になります。「バンコク 塾」という検索が多いのは、偶然ではありません。

バンコクの子どもたちはどこにいるのか――数字で見る
塾を考える前に、通っている学校の分布を押さえます。泰日協会学校(バンコク日本人学校)は、2026年4月現在で小学部1,534人・中学部428人の合計1,962人(89学級)。シラチャ校は小学部313人・中学部86人の合計399人です(いずれも学校公式の公表値)。運営は泰日協会学校という1つの法人で、タイ私立学校法に基づくタイの私立学校でありながら、日本の文部科学大臣から日本の小中学校と同等の課程を有する在外教育施設としての認定を受けています。公式サイトには「本校は日本語補習校ではありません」と明記されています。
学費も公表されています(2026年度・就学規程別表)。入学金160,000バーツ、授業料は1学期58,400バーツ・2学期58,400バーツ・3学期29,200バーツ=年額146,000バーツ。寄付金は徴収せず、宿泊を伴う校外学習等を除いて教材費等の別途負担金もないとされています。入学金は小学部から中学部へ上がるときは60,000バーツに、本校を卒業・退学して続けて入学する場合などは免除、といった減免規定があります。日本人学校の学費水準を他都市と比べたい方は日本人学校の学費もご覧ください。
一方、インターナショナルスクールに通う日本人の子どもが何人いるかは、公的な統計が存在しません。ただ、バンコクのインターの中には校内で日本語を「継承語(Home Language)」として提供している学校があります。たとえばNIST International Schoolは校内で提供する12の継承語のなかに日本語を含めており、公式の費用注記が付いているのは他の3言語だけです。Bangkok Patana Schoolも継承語プログラムの提供言語に日本語を挙げていますが、公式表記は「これらの多くが現在提供されている」というもので、現在の開講状況・対象学年・費用は明記されていません。在籍校に日本語の枠があるかどうかは、必ず学校に直接ご確認ください。
バンコクにある日系の塾――実在する6つと、共通する事情
公式サイトで実在を確認できる主な日系の塾は次のとおりです。エリアはスクンビット(トンロー・プロンポン)に集中しているのが特徴で、日本人学校生とインター生の両方を受け入れる塾が多くあります。
- 駿台バンコク校(エンポリアム・タワー/スクンビット・ソイ24):小1〜高3。受験対策・定期テスト対策・インター生向け講座・個別指導・オンライン。中学受験、高校受験、帰国生入試・編入試験に対応。送迎バス、自習室あり。
- あせすトンロー・プロンポン個別学習院(トンロー/プロンポン):年長〜高3。日本人学校生・インター校生が対象で、講師1名に生徒4名までの完全個別指導・1コマ90分。中学・高校・大学受験、編入試験対策。
- 東進中学NET・四谷大塚NET バンコクトンロー校:小学生・中学生。四谷大塚NETジュニアコース(小4〜6)、東進中学NET、個別指導、そろばん、英検対策。科目は算数・国語・英語。
- 個別指導のバンコク塾(トンロー・ソイ13/2025年8月開校):小・中・高校受験。通塾とオンラインのハイブリッド。国語(漢字・語彙)・算数・数学・英語・プログラミング。日本人学校生とインター生が対象。
- 自立学習塾RED バンコクトンロー教室:小4〜高2。小学生は算数・国語・英語(英検)、中学生は5教科、高校生は国英数理社。
- 佐鳴予備校バンコク校(スクンビット・ソイ39):小中高。小学校編入受験対策、中学校編入受験対策、高校受験対策、夏期講座。
ここで正直にお伝えしておきたいのが料金です。上に挙げた塾は、いずれも授業料を公式サイトで公開していません(問い合わせ導線のみ)。「バンコク 塾 おすすめ」「ランキング」といった記事に金額や順位が並んでいることがありますが、一次情報にあたると出典がないのが実情です。この記事でも金額は書きません。見積もりは各塾に直接お問い合わせください。

目的で選ぶ――「受験対策」と「国語の土台」は別のもの
バンコクで塾を探す家庭の目的は、実は3つに分かれます。ここを混ぜると失敗します。
- A:受験・編入の対策(中学受験、高校受験、帰国生入試、編入試験)。志望校ごとの過去問・面接・作文の蓄積が要るので、受験に強い塾の領域です。バンコクには上記のとおり複数あります。
- B:学年相当の国語の土台(漢字・語彙・読解・記述)。とくにインターや現地校に通う子は、平日の授業が英語なので、日本語の学習時間が構造的に足りません。ここは受験対策とは別物で、細く長く続ける設計が要ります。
- C:日本語の維持(話す・読む)。低学年や、帰国予定がない家庭ではこちらが中心になります。
よくある失敗は、本当はBが必要なのにAの塾を探してしまうことです。受験塾は「志望校に合格させる」ために最適化されているので、まだ受験期でない小学生の国語の土台づくりには、費用も内容もかみ合わないことがあります。逆に、受験が近いのにBだけを続けても間に合いません。目的を先に決めるのが、遠回りしないコツです。日本語の側の全体像は海外から使えるオンライン塾の選び方にまとめています。
バンコクは「日本の中学受験の海外会場」でもある
あまり知られていませんが、バンコクは日本の私立中学の帰国生入試の海外会場になることがあります。実例を2つ挙げます(いずれも学校公式の募集要項による事実です。年度で変わるため、必ず最新の要項をご確認ください)。
- 青稜中学校(2026年入試):帰国生入試の会場にシンガポール・台北・上海・バンコク・ニューヨーク・東京が設定され、バンコク会場の試験会場は駿台バンコク校でした。科目は国語・算数(希望者は英語を追加可)。受験料は海外会場40,000円。出願資格は「保護者の海外赴任のため保護者とともに海外に在住し、現地の小学校で引き続き1年を超える期間学校教育を受け、入学時に帰国後3年以内」。これは2026年度=すでに実施済みの入試で、次年度の実施は本記事執筆時点では未公表です。
- 芝浦工業大学附属中学高等学校(2027年度):シンガポール・バンコク会場の帰国生入試を実施予定で、中学は募集10名・試験日2026年11月7日(土)・科目は算数(40分100点)+面接、受験料40,000円、出願は2026年10月9日〜10月28日(日本時間13:00まで)。出願資格は出願時点で海外の学校に連続1年半以上在籍し海外在住であること。具体的な会場は公式に「未定」とされています。
ポイントは「学校ごとに出願資格も科目もまったく違う」ことです。算数と面接だけで国語がない学校もあれば、国語・算数を課す学校もあります。「帰国枠なら国語は要らない」も「国語がないと詰む」も、どちらも一般化できません。海外にいながら日本の中学受験に挑む場合の全体像は海外から日本の中学受験に整理しています。

バンコクの4つの選択肢を、正直に比べる
塾に通う価値は本物です。face to faceで見てもらえること、同じ教室に仲間がいること、受験情報が集まること――オンラインにはない強みがあります。一方で、バンコクの交通事情での送迎、時間帯、そして「国語の土台」を長く続けるコストという課題もあります。並べて比べます。
| バンコクの通塾(日系塾) | オンライン家庭教師 | 通信・タブレット教材 | ともだちじゃぱん | |
|---|---|---|---|---|
| 得意なこと | 受験・編入対策、定期テスト | 弱点の一点集中 | 日本語の維持 | 学年相当の国語の土台 |
| 国語(漢字・記述) | 塾により扱う | 依頼内容しだい | 教材の範囲 | 中核として毎日 |
| 同世代の友達 | できる(バンコクの日本人の子) | 基本できない | なし | 日本に住む同世代と毎日 |
| 送迎・時間帯 | 教室まで送迎が必要 | 調整しやすい | いつでも | 送迎なし・日本時間の夜=バンコクの夕方 |
| 費用 | 公式サイトでは非公開(要問い合わせ) | 回数×単価 | 月額+海外費用 | 通い放題 月額定額制 |
| 向いている目的 | A 受験・編入 | A 弱点対策 | C 維持 | B 土台づくりと継続 |
補習校がない街で、日本語の「時間」と「相手」をどう確保するか
冒頭に戻ります。バンコクには補習授業校がありません。つまり土曜に日本語で学ぶ場が、制度としては用意されていない。日本人学校に通う子は平日に日本の教育課程で学べますが、インター・現地校に通う子は、日本語に触れる時間を自分で確保するしかありません。日本の小学校の国語の標準授業時数は6年間で1,461時間(学校教育法施行規則別表第一)。この差を、週に何時間で埋めるかという話です。
ともだちじゃぱんは、その「時間」と、もうひとつ足りないもの――日本語を使う相手――を足すために設計されています。授業は8人の少人数クラスで、担当は採用合格率およそ2%の選抜を通った、今の日本の教室を知る現役水準の教員。母体は国内最大級のオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」(在籍900名超)を運営する株式会社NIJINです。クラスには日本に住む同世代の子がいるので、「勉強だから」ではなく「話したいから」続く。タイは日本との時差が2時間なので、日本時間の夜の授業は、バンコクでは夕方。学校から帰ってきてそのまま参加でき、渋滞の中を送迎する必要もありません。料金は通い放題の月額定額制。受験期は日系の塾と併用し、志望校対策は塾で、土台の国語はうちで、という分担が現実的です。

いまの学年とのギャップを見てみたい方へ。1分でできる学年相当・国語力チェック(無料)で、お子さんの「学年の穴」の目安がわかります。海外での国語・日本語の続け方は海外駐在×子どもの国語・日本語 完全ガイドにまとめています。
よくある質問
バンコクに日本語補習校はありますか?
ありません。在タイ日本国大使館が案内している「タイ国内の日本人学校・補習授業校」は、泰日協会学校(バンコク日本人学校)、泰日協会学校シラチャ校、プーケット日本人補習授業校の3つで、バンコクの補習授業校は掲載されていません。文部科学省の認定在外教育施設の一覧でも、タイはバンコクとシラチャの日本人学校のみです。つまりバンコクでは、インター・現地校に通う子が日本語で国語を学ぶ場を、塾・オンライン・家庭のいずれかで自分で用意することになります。
バンコクの塾の月謝はいくらぐらいですか?
この記事で挙げた日系の塾(駿台バンコク校、あせす、東進中学NET・四谷大塚NET、バンコク塾、自立学習塾RED、佐鳴予備校)は、いずれも授業料を公式サイトで公開しておらず、問い合わせ制です。ネット上のまとめ記事に金額が載っていることがありますが、一次情報の裏づけがありません。正確な費用は各塾に直接お問い合わせください。
インターに通っています。日本語はどこで補えばいいですか?
まず在籍校に日本語の継承語(Home Language)プログラムがあるかを確認してください。バンコクではNIST International Schoolが校内で提供する継承語に日本語を含めており、Bangkok Patana Schoolも提供言語に日本語を挙げています(ただし現在の開講状況・対象学年・費用は公式に明記されていないため、学校への確認が必要です)。校内で足りない部分は、国語を扱う日系の塾か、オンラインで学年相当の国語を続ける形になります。バンコクには補習授業校がないぶん、ここは意識して設計する必要があります。
バンコク日本人学校の学費はいくらですか?
泰日協会学校の公表値(2026年度・就学規程別表)では、入学金160,000バーツ、授業料は1学期58,400バーツ・2学期58,400バーツ・3学期29,200バーツで年額146,000バーツです。寄付金は徴収せず、宿泊を伴う校外学習等を除いて教材費等の別途負担金もないとされています。小学部から中学部へ進むときの入学金は60,000バーツ、本校を卒業・退学して続けて入学・編入する場合は免除など、減免規定があります。最新の金額は必ず学校公式でご確認ください。
バンコクから日本の中学受験はできますか?
できます。バンコクを海外会場とする帰国生入試を実施する学校があります(青稜中学校の2026年入試ではバンコク会場が設定され、会場は駿台バンコク校でした。芝浦工業大学附属も2027年度にシンガポール・バンコク会場での帰国生入試を予定しており、会場は公式に「未定」とされています)。ただし出願資格も試験科目も学校ごとにまったく違い、年度でも変わります。算数と面接だけの学校もあれば、国語・算数を課す学校もあるので、必ず各校の最新の募集要項でご確認ください。
塾とともだちじゃぱんは併用できますか?
できます。志望校対策や定期テスト対策はバンコクの塾に任せ、学年相当の漢字・読解・記述という土台はともだちじゃぱんで積む、という分担が現実的です。日本との時差は2時間なので、日本時間の夜の授業はバンコクでは夕方にあたり、通塾のない日の放課後に組み込めます。送迎も不要です。料金は通い放題の月額定額制なので、塾と併用しても費用が積み上がりにくい設計です。
補習校がないバンコクで、日本語を止めない。
ともだちじゃぱんは2026年12月に開校(パイロット)予定です。開校情報をメールでゲットいただくと、体験会のご案内をいちばんにお届けします。

